moviti/片山典子
1964年神戸生まれ。京都市立芸術大学卒業、東京でインハウスデザイナーとしてパーソナル機器のプロダクトデザインや先行開発に携わる。デザインの師匠である同業のオットと2人暮らし。2005年から“デザインって何だ!”と称してノンジャンルで自主活動展開中。最近はフリークライミングとバスケットボールの“大人部活”と旅行にはまっている。2010年から本格的ソロ活動(離婚じゃなくて独立)開始。
http://moviti.com |
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モンベルのバーサライトレインウェアを山用に買ったのですが、急な雨に備えて普段でもカバンにいれてます。画期的にちっさいし便利だよ。
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日本で生活していると、心遣いが行き届いた便利なものや思いがけないものが通販でほいほい買えるので、もう「新しいモノの姿のノビシロがなくなっちゃったんじゃないか」と心配になってしまいます。
ワタシの場合、思い返してみるとイラレでスケッチ描くのとほぼ同時のタイミングで、2D CADを操作しはじめたのが1995年くらい?
3D、SolidWorksの講習にいったりしたのが2000年、Rhinoにツールを決めて一応使いこなせるようになったのが2005年あたりか。
それにしてもRhinoは40歳過ぎてからとっかかったんだけど、3Dできる/できないで将来できることが変わるような気がしたし、仕事で使うようになってからも「3D CADじゃないとできないカタチ」の追求にこだわっておりました。
CAD化によってデザインだけでなく、設計、量産検討、店頭サンプル、パッケージ、カタログまで変わるとして、設計、デザイン、宣伝、販売みんなで協力していろいろトライしたもんだ。
・作る前にいろんな角度から見て検証できる
・データとして通信で国内外に即時送れる、複数の人が見て修正できる
・設計もより立体として検討できる、解析もできる
結果的に開発期間の短縮、コストダウンなどの効用が非常にあったんです。
でも実は造形に特化して私の実感を言うと、コンピュータって精度が高かったり、リサイズ/コピーができたり、痕跡なくキレイに消せたりするけど、基本は「正面/側面/上面のある6方から見たカタチ」という大きな約束の外には出てないし、本当にオーガニックなものを作ろうとしても4辺のカーブをどう生成するかは自分で決めなくてはならない。
作りたいなあと思うカタチが自分の技量が足りなくて作れないもどかしさ、試行錯誤の七転八倒。内部構造とのせめぎあいもシビアだったしね。
また3D化できても「金型など作るための道理」には縛られているのでオーバーハングや逆テーパーに配慮すると、意外とぶっとんだフォルムにはならない、そこがまたよかったんだと思うところもありますが。
2003年あたりから3D造形機というのが仕事にはいってきたかなあ。モックを作るのは高価だし、携わっていた商品が「手で持って構える」系で、持ち心地も確認したいので。手で発泡ウレタンを削るのでは、あいまいにいい感じに丸く滑らかにしちゃって、その後の図面−製品化ステップにつなぐときにイメージのずれが発生していた。そこを解決するんだけど前提として「面定義がほぼ完成してないと立体化できない」結構てんやわんやしてました。
でも半透明褐色のビニール、あるいは白くて粉っぽい通称「らくがん」、ピッチも粗い横縞だけど一晩で確認できるのは画期的だった。
それにしても自分がイメージする「コンピュータらしい」自然を思わせる滑らかなカタチは自分がやってる手芸よろしくチクチク面を貼るのではなく、フィボナッチ数列とかフラクタルとか数式に則って自動生成させて作るものだったというのが、なんかふがいなくてねえ。将来Rhinoにもフラクタル生成コマンドとかできるといいなあ。
今「3Dプリンタでモノ作りが変わる」と言われても、1個ずつ作るのは時間かかるのがダイレクトにコストに反映されるし。
オリジナルなカタチのバリエーションと言っても限界あるし(名前や柄を彫る、とかあなたを3Dスキャンしてミニチュア作ります的ならともかく)。
http://prigure.com/
もちろん臓器、骨、歯を作るのは是非広まって欲しい。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/hayashinobuyuki/20121128-00022567/
3Dプリンタで作った精巧な花のブローチとか愛らしくてよろしい。CGぽさとオーガニックのバランスがナイス
http://monocircus.com/ja/
東京芸大で行われていたマテリアライジング展に行ってきました。
http://materializing.org/
マテリアというからもっと素材ぽいのかと思ったら、コンピュータをモノ作りに取り入れたものが結構多かった。直観的に基本形状を入力すると肉厚を付け、有機的に組み合わさったカタチを生成するボロノイ図形生成プログラム(これ触ってみたい)、テンセグリティ構造を生成するプログラム、中の空間の心地よさから設計していく家とか。立体物を多面体で梱包するORHI-SHIKIの展開図作成ソフトとか。中に細い木材をたくさん寒天よせのように作った橋梁素材の耐久シミュレーションとか。
樹脂基本形状は同じでPhotoshopのフィルタのように表面テクスチャを着せ替えるシステムはすぐ欲しい。世界各地の大学や建築事務所などが参加して、アートの体裁だがビジネスとは切り離した技術の可視化のようで、非常に洗練されていた。単純に「ああ3D面白いなあ」改めて感じた。
その中で異質な存在感を放っていたのが中村竜治さんの極細ピアノ線で手作りされた自立するキューブタワーだったというのも印象深い。この記事がアップさせるときには終了している展示会だけど、きっとこの流れ、影響をうけた展示会がまた開催されると思いました。
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