9年前のモデルとは思えない、洗練されたデザインの「Talby」

Domestic Design, Global Design. 世界の中の日本デザイン 第10回 スマートフォン以前の携帯電話 このコラムではコンセプター坂井直樹さんに、日本のプロダクトデザインをグローバルな視点から眺めていただきます。ドメスティックな感性とグローバルな対応力が、デザイナーに求められているのかもしれません。 坂井直樹 コンセプター。1947年京都生まれ。京都市立芸術大学入学後、渡米。サンフランシスコでファッションビジネスを立ち上げる。帰国後はテキスタイルデザイナーとして活躍後、1987年に日産から販売された自動車「Be-1」のコンセプトで脚光を浴びる。その後au design projectで数々の先進的な携帯電話のデザインをプロデュースする。慶應義塾大学 大学院 政策・メディア研究科教授。

2013年1月に発表されたばかりの最新モデルau「INFOBAR A02」。台湾のHTCが開発（クリックで拡大）		ユーザーインターフェイスには「iida UI」が採用されている（クリックで拡大）

エルゴノミックが高く評価されたノキア「NOKIA NM151」（クリックで拡大） ）		大胆でスポーティーなノキア「DP-154」（左）と「DP-154EX」（クリックで拡大）		外側のカバーが着せ替えできるノキア「NOKIA 7600」（クリックで拡大）

当時としては超薄型携帯電話だったモトローラの「RAZA」（クリックで拡大）		根強いファンを持つリサーチ・イン・モーション社の「BlackBerry」（クリックで拡大）

●デザインケータイの時代

さらに、近年躍進を続ける韓国の携帯電話のデザイン。韓国の携帯電話というとサムスン電子の名前がすぐに浮かぶが、LG電子もチョコレートフォンやプラダケータイのヒットによって、「携帯電話をデザインで選ぶならLG電子」という評価を得ている。LG電子は全ての製品とサービスをデザイン中心に開発するという「デザイン経営」を実践しており、デザイナーの評価制度や育成システムも整えている。「デザイン経営」はサムスン電子においても重要視されており、近年の韓国勢の躍進にデザインの力が大きく貢献していることをよく表している。

最後に、「ガラケー」の国、日本の携帯電話のデザイン。携帯電話が誕生してからしばらくの間は、黒くゴツゴツとした無骨なデザインが主流であったが、1990年代半ば頃からは白や明るいカラーの携帯電話が一般的になった。これは携帯電話がビジネス（黒＝ストイック）からパーソナル（カラフル＝個性・楽しさ）へと広まっていったことをよく表している。そして、「INFOBAR」「talby」をはじめとした数々の名作を生み出した“au design project”。「生活者の視点でものを見ること」、すなわちキャリアや端末開発側中心主義の打破によって、「auの携帯はどこかちがう」というデザインによる携帯電話へのアプローチを確立した。

LG電子のチョコレートフォン（クリックで拡大）		同じくLG電子のプラダケータイ（クリックで拡大）

2002年に誕生した初代の「INFOBAR」（クリックで拡大）		2004年発表の「Talby」は、au design projectの第3弾として、マーク・ニューソンがデザイン（クリックで拡大）