大谷和利
テクノロジーライター、原宿AssistOn(www.assiston.co.jp)アドバイザー、自称路上写真家。Macintosh専門誌、Photographica、AXIS、自転車生活などの誌上でコンピュータ、カメラ、写真、デザイン、自転車分野の文筆活動を行うかたわら、製品開発のコンサルティングも手がける。主な訳書に「Apple Design日本語版」(AXIS刊)、「スティーブ・ジョブズの再臨」(毎日コミュニケーションズ刊)など。アスキー新書より「iPodをつくった男 スティーブ・ジョブズの現場介入型ビジネス」、「iPhoneをつくった会社 ケータイ業界を揺るがすアップル社の企業文化」、エイ出版より「Macintosh名機図鑑」が好評発売中 |
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パーソナルコンピュータの主流がMacBook Airに代表されるようなウルトラブック系のノートモデルに移行し、モバイル状態で利用されることが多くなってきたことから、ポインティングデバイスのマウスにも利用法の変化に対する対応が求められている。
この流れは数年前からあり、マウスのトップメーカーであるロジクール(スイス、ロジテック社の日本法人&ブランド名。商標登録の関係から、この名称を採用している)も、コンパクトなモバイルマウスを流通させてきたが、最新のCubeと呼ばれる製品(ロジクールのオンラインショップのみでの販売。6,980円)は、形状・機能ともにシンプルかつ革新的なものだ。
その形状は、実はCube(立方体)ではなく直方体だが、あえて長時間の作業を念頭に置いたエルゴノミックフォルムではなく、携帯時に収まりのよいフォルムになっている。
また、机上で滑らせることでマウスとして利用できるほか、持ち上げると自動的にプレゼンターモードに移行し、そのままマウスボタンのクリックで次スライド、Cubeを引っくり返した状態でのクリックで前スライドを呼び出す操作が可能となる。
ブラックとホワイトの2種類のモデルが用意された本体には、薄いストライプ状のパターンが入り、特にブラックモデルは全体がソーラーパネルで覆われているように見える。もちろん、それは装飾的なもので、電源は内蔵された充電池であり、USBポートからチャージする仕組みだ。
ブラックモデルとホワイトモデルでは、パッケージもきちんとそれぞれのカラーで用意されている。基本形は海外向けと同じだが、ロジクールの名前が印刷されていることから、国内市場向けに別に作られたものと分かる。(クリックで拡大)
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フタを外したときに、本体のみをシンプルに見せるという視覚的な演出もしっかり考えられた構成。また、フタの内側の上面にも薄いクッション材が挿入されている。(クリックで拡大)
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コンピュータの側には、1つで6台までのロジクール製対応デバイスをワイヤレス接続できる超小型レシーバー(ナノレシーバー)をUSBポートに差し込んで利用する。
このナノレシーバーは、パッケージ内の本体を取り外すと顔を出すように収められているが、このパッケージデザインも、アップル製品並みにユーザー体験を重視した巧みなデザインといえる。
本体を外すと、PC側のUSBポートに差すナノレシーバーが見え、さらにスポンジを外すと"Look inside"の文字のある中ブタが現れる。(クリックで拡大)
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本体サイズは、やや大きめの消しゴム程度。本格的な作業のためのエルゴノミックなマウスとは逆に、モバイル&プレゼンテーションユースに特化することで生まれたカタチとサイズだ。(クリックで拡大)
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マウスとしての機能は基本的なもので、上面を押す位置で左右のクリックが使い分けられるほか、上面そのものがタッチセンサーとなっており、指を滑らせることで縦スクロールにも対応する(スムーズなスクロールには、純正のFlow Scrollソフトウェアのインストールが必要)。
用途を考えれば、これらのマウスとしての機能は必要十分であり、その割り切りがシンプルな外観にもつながっている。
電源スイッチと充電用のミニUSBポート。予備知識がなければ、この部分を見ない限り、この物体が何であるかを当てることは難しいかもしれない。この面にはインジケーターランプも埋め込まれており、充電量が減ってくると赤く点灯する。(クリックで拡大)
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トラッキング用の円形の小窓が空けられた底面。本体のすべての面は、薄いストライプ状のパターンが入っている。(クリックで拡大)
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しかし、細かく見ていくと、ボタン面や側面にわずかな凹みを設けて、ボタンの位置が触感で分かったり、本体のホールドをしやすくするなど、デザイナーの気遣いが感じられる形状であることが分かる。
側面は、指でホールドしやすいように、わずかに凹みのある成型となっている。(クリックで拡大)
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同様に、クリックするボタンにあたる上面のエリアも、その部分だけがわずかに凹み、触感で位置が分かるような工夫がある。実際には凹んでいるところが左クリック。そのすぐ後ろ(全長の中央あたり)が右クリックに相当する。(クリックで拡大)
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近年のマウスデザインは、有機的な3次曲面を多用するものが多かったが、このロジクールCubeは、GUIの黎明期からマウス開発を手がけてきた老舗メーカーが、今も真摯にその進化を考えていることの証であり、時代の変化に対応する高いデザイン力を維持していることを示すものと言えるだろう。
パッケージの一番底の部分("Look inside"の中ブタの下)には、持ち歩き時のための専用カバーと、充電用のUSBショートケーブルが収められている。このケーブルも、コネクタが丸みを帯びた独自のデザインだ。(クリックで拡大)
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