2010年1月、21世紀の最初の10年が終わり次の10年がスタートした。ここではpdweb新春特別対談として、プロダクトデザイナー秋田道夫氏とコンセプター/デザインプロデューサー坂井直樹氏に、2000年から2009年の10年間におけるプロダクトやデザイナーの動向を振り返っていただいた。この10年、お2人にはどのようなディケイドだったのだろうか?
秋田道夫
http://www.michioakita.jp/
坂井直樹
http://www.waterdesignscope.com/
http://sakainaoki.com/
司会進行
pdweb編集長森屋
●この10年間で印象に残ったプロダクト
−−まずはじめにプロダクトについてお話いただきたいと思います。2000年から2009年の間、どんな製品が印象に残っていますか?
秋田:まず岩崎一郎さんが韓国のメーカーと組んで生み出した「MUTECH(ミューテック)」の家庭用電話機。液晶テレビが普及されはじめたときに喜多俊之さんが特徴的なデザインを作り出したシャープの「AQUOS」。「デザイン家電」というカテゴリーのきっかけとなった鄭秀和さんが東芝から発売した「atehaca(アテハカ)」のシリーズと、そこから継承されて生まれた「amadana(アマダナ)」の製品群。
その後の携帯電話のあり方に大きな影響を残した深澤直人さんの傑作「INFOBAR」とマーク・ニューソン氏の「talby」。そしてそれらを生んだau design project。
これも深澤さんの仕事ですが無印良品の「壁掛式CDプレーヤー」、±0の「加湿器」。ある意味衝撃的だった山中俊治さんのOXO「大根おろし」、ムラタチアキさんが立ち上げたコンソーシアムから生まれたメタフィスブランドの「掃除機」。それから、すでに定型が定まった感があった世界から生まれた新しいカタチである柴田文江さんのオムロン「体温計」。
最後に自分事で恐縮ですが、コーヒーやワインという嗜好性の高いジャンルを一般化したデバイスタイルから生まれた「一本用ワインセラー」です。そのカタチは案外バウハウスから継承したと自分で思っていて、基本形のシンプルな組み合わせでできています。
坂井:オムロンの体温計と秋田さんの一本用ワインセラーはある意味同じ立ち位置ですね。どちらもその企業を象徴するプロダクトでしょう。オムロンを象徴する体温計と、デバイスタイルを象徴するワインセラー。また、企業を作家に置き変えて考えてみれば、ウォーホルだったら「マリリン・モンロー」、柳宗理だったら「バタフライスツール」で、秋田さんといえば「一本用ワインセラー」という代表作というのかな。アイコンになりましたよね。
−−坂井さんがこの10年で印象に残ったプロダクトは何ですか。
坂井:1つはダイソンの扇風機「Dyson Air Multiplier」ですね。あれは面白い。
−−オリジナルのアイデアは、1981年に東芝が特許を取得していたようですね。
坂井:ただ実際に製品化したという行為がイノベーティブですね、デザインの要件が変わりますから。もう羽根をデザインしなくていい、そこがダイナミックだと思います。
秋田:あるイベントで川崎和男さんがイノベーションが最近弱いと言っていました。その10日後にダイソンの扇風機が発表がされたんです(笑)。
この10年に生まれたデザインの優れたものは、けっこう「身近なもの」の再発見という気がします。「発明よりも発見」の10年だったかもしれません。
坂井:川崎さんも僕は面白いと思いますよ。医者でプロダクトデザイナーという2つのスペシャリティを持っているということは、彼にしか見えない世界がある。そして彼にしか作れないものがあります。だって人工心臓を依頼されても、普通プロダクトデザイナーは困りますよね。
秋田:坂井さんも依頼があれば新たな領域にトライされるように思いますが。
坂井:僕は鵺(注:ぬえ/日本で伝承される妖怪や物の怪である伝説の生物)みたいな存在ですから、誰かの力を借りてやるでしょうけどね(笑)。2つの領域という意味では山中俊治さんファミリーもそうで、エンジニアリングとデザインの2つの領域を持っている。機械工学や電子工学の双方を理解しているとけっこう面白くて、takramはすごくブレークしましたね。日本もまだ捨てたものじゃないなと思うのは、彼らのような優れたプロトタイプを作る才能に企業がお金を出しています。この不況下に。それは素晴らしいことだなと思います。
秋田:確かにこれまでのデザイナーのキャリアとは異なる若い世代の活躍が目につきます。建築を学んだ佐藤オオキさんの率いるnendo、違うキャリアの3人組のMILE(参)は、普段は別々の場所で働いていてスカイプでコミュニケーションを取るという方法自体が新しいですね。たまたまかもしれませんが3つとも「英語表記」で名前にちょっと洒落が入ってますね。
坂井:takramはR&Dに対する投資に積極的な企業がパトロンになっています。キヤノンやソニーなどの多くの日本企業はR&D投資において、世界の上位に入っています。そういう未来に投資する企業がtakramに仕事を依頼している。R&Dというのは、ようするに10年後の企業の利益という考え方です。でも小さい会社は明日の売り上げが大事ですからなかなかそういう投資はできにくい。10年後もまだ確実にあると信じられる大企業が仕事を出していますね。takramみたいに技術とデザインを持っているというのは、川崎さんと違った意味でパラレルキャリアで未踏の分野が見えるんでしょうね。
−−今後のキーワードとしては、パラレルキャリアが大事ですか。
坂井:スペシャリティが2つくらいある人はやっぱり強い。鳥の目と虫の目と言いますか、視点が立体的な感じがしますね。
秋田:そういった意味では、これまで美術系大学に限定されていた「デザイナーの門戸」が工学系、さらに言えば医学や心理学の領域にも拡大されていく予感をさせる10年だったかもしれません。
−−いきなり話が脱線しましたが(笑)、ダイソンの扇風機以外ではどうですか。
坂井:三菱の電気自動車の「i-MiEV(アイ・ミーブ)」かな。あれは非常にいいフォルムだと思いますよ。
−−その元の「i(アイ)」が2006年のグッドデザイン賞大賞を受賞していますね。
秋田:iが発売されるときにちょうど雑誌で軽自動車を一同に集めた評論会に参加する機会がありましたが、軽であっても「軽くない」デザインだと思いました。
坂井:何でi-MiEVがいいかというと、すでにiの内燃機関のデザイン時に、電気自動車(EV)のフォーマットを想定していると感じるところですね。
秋田:ああ、もともとそういう狙いがあったんですね。
坂井:今EVは、日産も「Leaf(リーフ)」を発表していますけれど、基本的には電気なのでホイールインモーターを意識したフォルムになります。車輪の中に4つモーターが入る想定ですね。EV+ホイールインモーターはまだまだ大きな投資が必要ですが、そこを乗り越えればEVのフォルムは自由度を持ち、将来大きなデザインの飛躍の可能性があると思います。
●パッケージデザインからエンジニアリングへ
−−坂井さんの挙げたダイソンの扇風機とi-MiEV、そしてtakramの仕事。いずれもこの10年を振り返るというより、未来志向ですね。
坂井:10年というのは僕のイメージだと時間の区切りがちょっと短いですね。100年に1度いろいろな大きな変化が社会の中に起きているわけで、その大きなパラダイムの中でいうと、慶應義塾大学SFCで山中俊治さんが語った「20世紀のデザインはパッケージデザインにすぎなかった」というのが、我々のこの100年のデザインの総括を端的に表わしています。
フェラーリでさえ基本的にはエンジニアが組み立てたシャーシの上にパッケージを乗せるわけだから、いろいろな理屈をつけて合理性や機能性からデザインが創出されたと言ってみても、結局は単なる「美しい彫刻」じゃないかと。極端に言うとね。それが悪いということではなくて、そうであったと。
では21世紀はどうなるかというと、ネットワークという技術が出てきて、そのインフラ上に新サービスが出てきた。「iPhone」などはその典型で、iTunesやUIの価値を除いてプロダクトだけを評価したところで、ほとんど意味がない。人々はiPhoneが欲しいのではなく、iPhoneから取り出せるコンテンツが欲しいのですから、そういうふうにプロダクトを取り巻く環境が大きく変わってきている。だから今まで言われ続けてきた「中身と外見」の評価ではないし、「機能か? デザインか?」でもないわけです。
−−では何なのでしょうか。
坂井:将来あらゆるものがネットワークでつながる社会では、プロダクトはその膨大な情報の取り出し口の1つにしかすぎないわけですね。デザインのテーマはもっと広大で、多様です。シンプルに言うと「バーチャルとリアル」の全体系が、デザインの対象になってきたということですね。
また、私見ですが、デザインというのは必ずしも機能を突き詰めれば美しくなるわけではないということも言いたいですね。そういうケースもありますが、それで美しいデザインのすべての説明はつかないですね。例えば吉岡徳仁さんがやった「パンの椅子(PANE chair)」のデザインはその文脈の中にないし、マーク・ニューソンのデザインだって機能主義の延長にはないですね。
もちろん機能とデザインの関係は密接に違いないということはよく分かっています。しかし、ソニーだってトヨタだって機能を創出するエンジニアリングとデザインは事業部が分かれている。違う部隊が2つあるわけですよね。知る限りダイソンはデザインエンジニアリングという言葉で、従来型の企業の2つの事業部を統合した企業です。
秋田:お話を伺っていて、「ソフトとハード」という概念がコンピュータの世界にとどまらず、すべての物事を「ソフトとハード」という側面で再検証していく作業を必要としている。そして、これからの10年をリードするだろう企業やデザイナーは、そういう検証から生まれたリストラクション(再構成)にいち早く対応したモノや人によってリードされていく、ということかと思いました。そういう「これまでにない世界観」を生むためにマルチキャリア、パラレルキャリアが有効なんですね。
−−確かに20世紀までのモノ作りは機能ありきのような感じがありました。エンジニアが原型を作って、デザイナーが後から形を与えるような。
坂井:だから優れたデザインは常に機能主義であるというバウハウス的な考え方で、デザイン全体に対して整合性を求める方法は、ちょっと違和感があるなということを言っているだけですね。機能主義を否定しているわけではないです。
秋田:そういう意味では、takramが山中さんのところからデザインエンジニアとして出てきたのは必然性を感じますね。これまで「絵が描ける」ということが絶対条件であり金科玉条の世界でしたが、山中さんという工学を学びながら絵を描くことにも長けた人物によって、エンジニアリングと「絵」の間にあった「溝」の意味が埋められたわけですね。
坂井:デザインエンジニアというよりは、デザインもできるエンジニアということでしょうね。そんな説明はどうでもいいんですが。本質的に5人のメンバーを見ていると、理科系で偏差値が極めて高くて、スタイリングも意識してちゃんとやろうとしているところがユニークで面白い。
takramの田川欣哉さんは10年くらい前から知っているけれど、この前会ったときに改めて面白いなと思ったのは、その時代でいけてるプロダクトは何でもいいと言うんです。領域はどうでもいいと。別に携帯電話のデザインに興味があるわけではなくて、むしろ自分たちでそれを変革していくんだということです。それは僕の発想ととても似ている。僕も自分の仕事のカテゴリーはまったくなく、とんでもないようなデタラメな人生を送っておりますので(笑)。そこはよく分かります。
秋田:僕は「時代はいつも最先端を目指している」、そういう意味では「携帯電話」というのはこの10年を代表する最先端だったと思っています。そういう言葉の積み重ねで古くなってしまうし、そのセグメントではいつも最先端だという思い込みでやっていて、「いけてたはずのデザイン」もいつの間にか「いけてない」ことになってしまいます。
坂井:それはとてもよく分かります。未来を安易にイメージすると、とても平凡な退屈な未来になる。僕はプロフェッショナルなアマチュアなんですね。常に仕事の依頼を受けてから自分にとって未開の分野を勉強するんです。例えば「Be-1」のときにはクルマの免許を持っていないし、まずカーデザインをやったことがない。プロダクトデザインすら勉強したことがないわけです。ただ依頼を受けると猛烈に勉強するんです。徹底的にカーデザイナーにインタビューしました。
かつての武士は、まず剣道を竹刀で猛練習してから、そろそろ辻斬りに行こうかとなるわけでしょう? 僕ははじめから切りに行きますから(笑)。基本はアマチュアリズムですよね。
話は飛躍しますけど、坂本竜馬なんてその典型です。彼はプロの政治家ではない。だけど、そういう人が世の中を変えていく。ただプロの役割の大事さというのがあって、それは「改善」にあります。インプルーブしていく。それは僕は一番苦手なんです(笑)。
僕はデザインのルールをひっくり返すようなことが好きなんですね。四角いクルマは丸くしようとか、黒いプラスチックのカメラを金属にしてしまえとか、ルールを変えてしまうんです。バスケットボールをやっていながらいきなりアメリカンフットボールをやるわけだから、仕掛ける側が一番有利になるんですね。そういう瞬間が。
秋田:時代に対する難しいお話をしても、結局のところデザイナーは「あまのじゃく」で「負けず嫌い」という資質は変わらないですね。
●この10年で印象的なデザイナー
−−では今度は人を軸に語っていただきたいと思います。この10年で印象に残っているデザイナーは誰ですか。
秋田:最初の印象に残った製品でも深澤直人さんのデザインをいくつか取り上げましたが、やっぱり人としてもこの10年で一番影響力があったのは深澤さんだと思っています。それから、先ほどのパラレルキャリアを狭義で捉えると、佐藤可士和さんや佐藤卓さん、原研哉さんといったグラフィックデザイナーが携帯電話や生活用品をデザインしたことも大きな流れかと思います。プロダクトデザインが「平面(2D)デザイン」化している証かもしれません。
また、メディアの影響力が大きかった10年でもありましたから、デザイナーではありませんが、若いデザイナーにいち早く注目し世に発信している桐山登士樹さんや、ミッドタウンの21_21 DESIGN SIGHT創設にも関わられたデザインジャーナリストの川上典季子さんの存在は大きいかと思っています。
グラフィックデザイナーでありながら古物商の資格も持っているナガオカケンメイさんの「もうデザインしなくてもいいでしょう?」というコンセプトから生まれた、主に60年代の製品を復刻販売させた「60VISION」という製品コンセプトも、ある意味パラレルキャリアかもしれません。
最近でいえば「SAKURASAKU glass」やしずく型の加湿器がヒットしている100%の坪井浩尚さんや、広範な活動をしているNOSIGNER(ノザイナー)さんが印象に残っています。そう言いつつ別格で深澤さんでしょうか。
坂井:例えばピカソやマティスなど、絵画の世界には何十人かの天才がいた時期があるじゃないですか。で、誰がチャンピオンかという話にはならないでしょう。あるレベルを超えるとみんないいんですよね。僕はそう思ってデザイナーを見てるんです。
僕はデザインが好きというよりデザイナーが好きなんです。何故かというと、僕のデザインに対するコミットの本質はファシリテータなんです。ようするに僕は、企業の考え方とデザイナー(例えばグエナエル・ニコラや山中さん)のマージをしながらクリエイティブなチームをあるべき方向に持っていくというビジネスをしているんです。だからデザイナーが好きなんです。
秋田:木にもいろいろあるように、その土地にふさわしい木を坂井さんが「選んで」植えられているわけですね。
−−プロデューサー的な視点でデザイナーも1つのツールということですか。
坂井:もちろんそうです。クライアントだってある意味ツールですしね。
秋田:ツールと言いながらもその関係を楽しまれているんですよね。
坂井:好きです。デザイナーが好きだし、しかも僕の変な癖は、だいたい5、6年は決まったデザイナーとしか仕事をしないんですよ。山中さんとやった5、6年。ニコラとやった5、6年。今は田村奈穂という人が一番多い。何故か浮気しないんですよ(笑)。
秋田:(笑)。
−−パートナーとしてのデザイナーさんのポテンシャルを最大限引き出そうとする5年間ですか。
坂井:そうですね、本当に組み合って。しかもだいたい20代後半の人と組みます。歳を取るとみなさん自分で仕事が取れるということもあるし、リリースしちゃいますね。ニコラは今でも僕と仕事をしたいと言ってくれるんだけど、「お前もう一人でできるからいいじゃない」というふうになっちゃうんだよね(笑)。ただ、最近ちょっと1つ仕事をしようと思っているんですけど、ニコラと(笑)。
−−すでに名前が挙がっている気もしますが、この10年で坂井さんの印象に残ったデザイナーは?
坂井:僕はちょっと偏った人だから、偏った選択としてやっぱりジェームス・ダイソン、マーク・ニューソン、takramも入って山中俊治ファミリー、深澤直人、佐藤卓、フランク・ゲイリー、隈研吾。そして、ひいき目もあるかもしれないけれど、シームレスデザインを標榜して広範囲なデザイン活動を続けるニコラ。
マーク・ニューソンがすごいなと思うのは、あの人は1コのシェイプしか作っていないでしょう。「棚からぼた餅」みたいなフォルム(笑)。何でもこれで作っちゃうわけ。形状そのものがCIみたいなアイデンティティを持っているんですよね。あの一貫性という手法はすごいです。
ダイソンは、山中さんと似てエンジニアとデザインの統合という意味合いのスタンスですね。1つ違うのは、ダイソンは自分で事業を興したということです。基本的に事業家なんですよね。
僕も自分が本当に好きなものを作る場合には事業を興すしかないかなと思っていて、今62歳ですけど、また新会社を作ってエコカーを自分たちで作り始めています。そして最近、「デザインって売るものなのかな?」と疑問を持っています。いっぱい売ってきてこんなことを言うのもおかしいのですが。
秋田:フランク・ゲーリーや隈研吾さんのお名前が挙がったので、続けさせていただくと、コンピュータ技術の向上によってゲーリーやザハ・ハディッドといった極めて個性的な建築が、スケッチ止まりの「アンビルト(建てられることのない)建築」から実現可能になり、一気に世界を席巻した感じですね。北京オリンピックの陸上会場だった「鳥の巣」もすごいインパクトでした。隈さんも「負ける建築」という概念から時代を代表する建築家になりましたね。日本では建築家のプロダクトデザインが少ないのか、不思議です。
−−坂井さんの言われる「デザインは売るものではない」というのはどういった意味ですか?
坂井:デザインは企業に儲けさせるものでしょう。そのクライアントに利益が出るからデザインを買うわけですよね。だから本当の理想的なかたちでいうと、売れるデザインを0円で渡してロイヤリティだけ受け取る。EUは一部そうですね。家具はそのルールが整理されていて、10年経っても自分がデザインした家具のロイヤリティが入ってくる。うちの会社もロイヤリティ収入はあります。そういうデザインビジネス、それを事業家とクリエイターがシェアするというのが美しいなあと思って。
秋田:ロイヤリティでの契約は、家具の世界ではすでに一般的なようですし、僕自身このところそのかたちでの仕事が増えています。ただデザイナーとしては、一般的な契約から「長い目でメリットのある」ロイヤリティ契約の過渡期である今が一番こらえどころでもありますね。
−−日本のような季節商品の大量消費型の市場ではそれは難しいですね。
坂井:無理を承知なんですけど、あるべき姿というのはそういうことかなと思っています。高い安いという値段はどうでもいいんですけど、デザインを売るというのは何か違うなという気がして、個人的には違和感がありますね。
もちろんフリーランスのデザイナーは飯を食わないといけないから、現実は否定しないんだけれど、あくまでもある企業に利益をもたらすためのバリューメイキングをデザインが手伝っているんだと僕は思っています。
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