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●第23回:カシオ「EXILIM G」
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ソニー「XEL-1」
有機ELディスプレイを搭載した初めてのテレビ
ソニー「XEL-1」

最近は携帯電話や音楽プレーヤーなどに有機ELディスプレイを搭載する機種が増えてきた。その新しい高画質デバイスをいち早くテレビとして製品化したのがソニーだ。薄くて、軽くて、超高画質。この優れた特徴を持つ新時代のデバイスを、ソニーはどのようにデザインしたのだろうか。

ソニー「XEL-1」  http://www.sony.jp/products/Consumer/oel/
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企画の立場から「XEL-1」を語っていただいたプロダクトプランナーの酒井博史氏
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「XEL-1」のデザイン面はチーフアートディレクターの松岡文弥氏に聞いた
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●有機ELディスプレイこそ次代の映像表示デバイス?

−−はじめに、有機ELディスプレイと従来の液晶やプラズマディスプレイとの相違点を教えてください。

酒井:まず圧倒的な薄さですね。さかのぼればブラウン管、最近では液晶やプラズマさえも凌駕する薄さが特徴の1つです。今回の「XEL-1」に関しては、一番薄い部分で約3ミリと、他のデバイスと比べても圧倒的な薄さを実現しています。

−−製品になった状態で3ミリですか。

酒井:実際は我々が「オーガニックパネル」と呼んでいるパネル部はもっと薄いんです。有機ELは、2枚のガラスの間に有機材を挟んで、そこに電気を流して光を通して映像を映す構造です。このガラス1枚あたりが1ミリ弱なので、ガラスを2枚合わせたパネル部だけだと2ミリもありません。

−−ほとんどガラスの厚さなのですね。有機ELという発光デバイス自体はどのような性質なのでしょうか。

酒井:固定画素の部類に入りますから画素が並んでいます。解像度という概念もあって、これは液晶やプラズマとほぼ同じですね。

有機化合物を思い描いていただくのに一番イメージに近いのが粉状のようなものです。我々が11型ディスプレイの製造プロセスの中で採用しているのがメタルマスク蒸着です。有機化合物を加熱して昇華させ、そこでガラス基板側に蒸着させます。それぞれ赤青緑と各光の原色ごとに別々に蒸着していきます。先ほどお話したガラスとガラスの間に、数100ナノ、1ミリの1/1000のさらに1/1000の単位の厚みでこの有機層を蒸着させているんです。

−−電気を通すとそれぞれが発光するのですか。

酒井:はい、電気のエネルギーによって自らが光ります。片側がガラス基板でトランジスタが入っていますから、そこで1個1個の画素ごとに管理されています。

−−液晶などに比べてどのようなメリットがありますか。

酒井:有機ELは自ら光るデバイスです。液晶の場合は必ずバックライトという光源が必要ですが、有機ELは電気を流せば自ら光を発する特性を持ちます。したがって非常にコントラスト性能が良いですね。完全に電気を切った状態で黒になりますから、今唯一の真っ黒の表現ができるディスプレイなのです。

また電気を流す量で明るさをコントロールできますから、電気を多く流してあげると輝くような白に光ってくれます。一番明るい部分の輝度を我々はピーク輝度と呼んでいますけど、相対的に他のデバイスに比べて有機ELはその特性に優れています。明るいところと暗いところの差分が必然的にコントラストの表現になります。

−−今までの液晶は速く動く物体などの映像表現では残像感がありましたが、有機ELの動画応答性はいかがですか。

酒井:応答性は例えば液晶と画素単位で比べた場合、約1/1000程度ですね。見た目ではもうほとんど気にならないと言ってもいいと思います。

−−最近は携帯電話にも有機ELディスプレイが使われ始めていますが、気になったのが解像度です。大型化はコスト的に難しいのでしょうか。

酒井:単にコストだけではなくて、製造プロセスがまだ確立、完成形に至っていないということです。メタルマスク蒸着は我々もこの11型に採用していますが、将来的にそれが大型化になったときに向いているか、あるいは他のプロセスがいいかは検討中です。まだ発展途上だと思っていただいていいと思います。

−−11インチは現時点では実用化できる最大のものなのですね。将来的な見込みはどうですか。

酒井:具体的な計画は今の段階では申し上げられないですが、必然的に大型化に対する開発はしていきます(編集部注:2008年2月19日、ソニーは有機ELパネル事業をさらに発展させるため、約220億円の設備投資を行い、将来の中大型化・高精細化に向けた技術開発を加速していくと発表した)。

−−省エネ、省電力化に関しては、TFTやプラズマと比べてどうですか。

酒井:最近、液晶やプラズマの領域もどんどん消費電力の技術革新がされていますが、有機ELはバックライトいらずで画素単位で管理されています。つまり、暗いところや光っていないところは電気がほとんどかかっていなかったり、あるいは切ってしまっています。ですから、理屈的には非常に省電力のデバイスと言えると思います。

−−今後の用途はいかがでしょう。有機ELがプラズマや液晶を凌駕していくのか、それとも共存していくのか。

酒井:あるタイミングでコロッとというわけにはいかないでしょうから、段階を踏んでいろいろなかたちで普及させていかないといけないと思っています。圧倒的な薄型と、一目瞭然の高画質。この2つの優位性をいかにディスプレイ用途として展開していくかが一番大きなポイントだと思います。

−−例えばPCのディスプレイなどにも用途はあると思いますが、メインは家庭用テレビになるのでしょうか。

酒井:それ以外の領域も十分にあると思います。ビジネスに置き換えるとどうしてもAV機器としてテレビやPCモニタという方向に向いてしまいがちですけども、用途としては決してそこに縛られることなくそこ以外の用途も広いと思います。

−−業務用途などでしょうか。

酒井:放送業務用なども昨年一部の参考出展がありました。他にも医療の現場においてもこれだけリアリティが出せるモニタですから、いろいろな活用のされ方があると思うんですよね。

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