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●第36回:au「INFOBAR A02」
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●第35回:ユカイ工学
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●第34回:スペックコンピュータ
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●第32回:エステー「エアカウンター」シリーズ
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●第29回:ドコモ スマートフォン「P-07C」
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●第28回:東芝扇風機「SIENT」F-DLN100
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●第26回:ウォークマンSシリーズ
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●第24回:パナソニック「Let'snoteシリーズ」
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●第23回:カシオ「EXILIM G」
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●第22回:富士通「FMV-BIBLO LOOX U」
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●第21回:Panasonic「LUMIX DMC-GF1」
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●第20回:Tivoli Audio
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●第19回:SONY「VAIO Wシリーズ」
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●第18回:KDDI「iida」
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●第16回:ダイハツ工業「TANTO」
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●第15回:ソニー「VAIO type P」
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●第14回:デジタルメモ「pomera(ポメラ)」
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●第13回:日本HP「HP 2133 Mini-Note PC」
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●第12回:ウィルコム「WILLCOM D4」
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●第11回:リコー「GR/GX」
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●第10回:オンキヨー「KM-2W」
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●第9回:東芝gigabeat Uシリーズ
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●第5回:日産「GT-R」
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●第4回:au携帯電話「INFOBAR 2」
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●第3回:新幹線車両N700系
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●第2回:ソフトバンク携帯電話「913SH」
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●第1回:マツダ「新型デミオ」
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日産GT-R
日産GT-R、
そのエクステリアデザインの完成まで

2007年12月、日産GT-Rがデビューした。サードジェネレーションとして1969年の初代GT-Rから受け継がれた遺伝子を秘めながらも、その驚くほど斬新、かつ精悍でパワフルなスタイリングは、見るものを圧倒する。性能的にも価格的にも日産のフラッグシップカーともいえるGT-R。ここでは日産のプロダクトチーフデザイナーの長谷川浩氏に、GT-Rデザインの開発ストーリーをじっくり伺った。

日産自動車 http://www.nissan.co.jp/
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長谷川 浩
日産自動車
プロダクトチーフデザイナー

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1969年に登場した初代のスカイライン2000GT-R(クリックで拡大)
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1973年にモデルチェンジされたGT-R(クリックで拡大)
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1989年に誕生したセカンドジェネレーション(クリックで拡大)
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2007年にデビューしたサードジェネレーション、日産GT-R(クリックで拡大)
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日産GT-Rのファイナルスケッチ(クリックで拡大)
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●パフォーマンス、GT-Rらしさ、そして日本であること

−−GT-Rは2001年にコンセプトを発表され、6年後の2007年にデビューとなりました。まず開発経緯をうかがえますか。

2001年の東京モーターショーで「GT-Rコンセプト」の名前でショーカーを出しましたが、それ以降、あの形をベースにずっとデザイン開発をしてきたわけではありません。コンセプトから6年経っているように思えるかもしれませんが、先日発表したモデルの開発が実際にスタートしたのは、2003年12月頃でした。それから約4年ですね。

−−今の形を目指して4年前に仕切り直しということですが、そこで現在に至る方向性が固まったのですか。

違います。そこからまたスタートです。2000年にプロジェクトが始まり、2001年にショーカーを出してから2003年冬までの間は、GT-Rをどういうコンセプトで出すか、どういう役割を担わすのかなど、社内でいろいろ議論したり、スタディしたりをずっと行っていました。

−−コンセプト固めということでしょうか。

対外的にはそれでいいかな(笑)。2001年のコンセプトはスカイラインとは全然違う形で出していますが、そのときもスカイラインと切り離してやるべきなのか、もう少しアフォーダブルな感じでGT-Rを提供するためにスカイラインベースで作るのがいいのかがスタディとしてはありました。そういう中で、最終的にはやはりオールニューでという決断ができてスタートしたのが、2003年の12月です。

−−その時点でスカイラインGT-Rの3代目は止め、初代GT-Rを作ろうということになったのですか。

初代という感覚は全然ありません。我々は初代GT-RのGC10型と2代目のGC110型をファーストジェネレーション、1989年に出たR32型からR34型までをセカンドジェネレーションと呼んでいます。これに対して、今度のものは結果的にスカイラインという名前はついていませんが、GT-Rとしての歴史は脈々と続いているわけですから、我々の中ではサードジェネレーションという位置づけでやってきました。たまたまそういう進化の中で、スカイラインから枝分かれしたんです。

−−GT-Rとスカイラインとはセカンドまで一緒にきていて、サードで枝分かれしたという概念なのですね。

とくにデザインの考え方はそうです。とは言っても車両自体はファーストもセカンドも目的はそれなりに違うし、まったく別のクルマです。今度のサードも、ある意味セカンドとは全然違うクルマですね。基本はパフォーマンスオリエンテッドなクルマですけど。

GT-Rは日産のテクノロジー・フラッグシップという役割を担っていますので、走行性能を含めて今、日産ができる最高のものを注ぎ込む。それに対してどういうお客さんが買ってくださるのかといったら、そうした高性能を楽しみたい人もそうですし、高性能なクルマを所有したい人もそうですね。高性能を引き出せる人は当然いらっしゃるでしょうけれど、出せる出せないは別として、そういう考えで作られたクルマを所有したい気持ちを持つ人たちからも支持をいただいています。

もう1つは、今までのGT-Rは日本のマーケットだけでやってきましたが、今度はグローバルに展開します。とくにマーケット的に大きいのはアメリカ、ヨーロッパです。要は、クルマ文化の成熟したマーケットの中でも認められる存在感のあるクルマにしなくてはいけない。とくに目の肥えたユーザーたちはクルマを複数所有されているでしょうし、そういった中でのアピアランスは意識しました。

−−アメリカ向けはマッチョ、ヨーロッパ向けはエレガントなイメージと、スタイリングの好みに差があると思います。グローバルに売っていくということではどちらをより意識されましたか。

マーケットは意識していますけど、デザイン上はあまり意識していません。デザインの狙いとしては、1つは「パフォーマンスオリエンテッド」なクルマであること。日本語で言うと「真の高性能感と機能感」。これが外観から内装からにじみ出ている、機能に裏づけられた形という意味でのファンクショナリティとパフォーマンス感。

もう1つは、先ほどのファーストジェネレーション、セカンドジェネレーションという流れ、そしてグローバル展開を意識したサードジェネレーションでも「GT-Rらしさ」を大切にしたかった。

「GT-Rらしさ」には、例えば丸ランプやサーフィンラインといった分かりやすいアイコニックなものも含まれます。でもそれ以上に、誰が見てもGT-Rだと分かる「らしさ」、GT-Rでしか表現できない形や世界観ですね。

世界にはポルシェやフェラーリなど素晴らしいスポーツカーがいろいろありますし、彼らは彼らなりの伝統や考え方でああいう形を作ってきているわけです。我々はそういうマーケットに入っていくにあたって、物真似というふうには見られたくはありません。逆に日本のGT-Rとしては1969年からの長い歴史があるわけですし、国内外にGT-Rを愛してくれている人がたくさんいます。そういう中で育ってきたGT-Rの価値観や文化をちゃんと取り込んで、グローバルに出していきたい。

−−欧米市場に迎合するということではなくて、GT-Rのアイデンティティをグローバルに発信したいということですね。

アイデンティティということと、もう1つは3つ目のコンセプトである「ジャパニーズカルチャー、ジャパニーズモダン」を発信していきたい。ヨーロッパ的なデザインと、マッチョでマスキラーなアメリカ的のデザインがあるとします。それに対して、ジャパニーズテイストを感じるデザインにしたいということですね。それらをベースにデザイン開発をしています。

●パフォーマンスと日常使いの両立

−−日産のクルマ作りは、機能、性能などのスペックありきでそれに対してデザインをしていくのですか。それとも初めからデザイン、機能すべて一緒に考えるのですか。

いろいろなケースがありますけども、だいたいは一緒に考えていきますね。

−−では、GT-Rにおいてもデザインの部門として最初から関わっていらっしゃる。

今回の場合はクルマがクルマなので、目標とする性能、パワーがまずあります。例えばニュルブルクリンクのタイムは、現時点での計測結果は7分38秒になりましたが、当時は8分を切る、7分の真ん中とか40秒前後で走るクルマですと。つまり、どのくらいの性能のクルマを作ろうとしているのかの大枠があるわけです。

それに加え、車両のパッケージングということで、今回はチーフ・ビークル・エンジニアの水野和敏さんのスタイルがあります。彼は、クルマ全体の性能がどこがどういうふうに影響してどういうことが起きるかというのを、ある程度自分の頭の中で組み立てるタイプの人間です。エンジニア、設計者によっていろいろな人がいますので、ここはケースバイケースですね。

今回の場合はスタート時点でタイヤサイズと前後トレッド、乗員位置、それと最終的に今回のメカニズム的なキーになっている独立型トランスアクスル4WD(後ろに駆動を持っていき、そこからもう一度前に持ってきて四駆にする動力駆動機器)。これが全部水野さんの頭の中に組み立ててありましたので、そういう情報は全部事前に分かっています。

−−水野さんの描く性能を引き出すためには、デザインでどういうスタイリングにすればいいかですね。速度を出すためには空力抵抗などを考える必要がありますが、最高速度を意識したデザインになっていくのでしょうか。

今回一番難しかったのは、最高速ゾーンの走りと安定した走りの2点の両立です。「誰でも、どこでも、どんな時でも」というコンセプトでしたが、高い速度になった場合にダウンフォースが発生しないとクルマが浮いてきて、非常に不安定な状態になってしまいます。スピードが上がれば上がるほどそうです。それと、コーナリング中の安定感を求めることでもダウンフォースは要求されます。

ダウンフォースをマイナス側にして、なおかつCd値(Constant Drag=空気抵抗係数)を0.27という目標で開発してきましたが、そういう市販車は世の中にほとんどありません。そのゾーンに挑戦するということで、我々にとっては未体験であり、チャレンジしなければいけないところでしたね。

−−誰でもどこでもという状況とスピード、相反する2つの面を持たせているのですね。

基本はパフォーマンスの方向ですけど、そのパフォーマンスが普段のときでも誰でも使いこなせるものにするというところです。

−−普通の乗用車ではダウンフォースはあまり考えないのではありませんか。

私はスカイラインのセダンとクーペもやっています。これらはマイナスダウンフォースは出していないんですが、ゼロリフトといって、ダウンフォースが入っているわけではないけれどリフトが出ない。普通のクルマは高速になると浮き上がるんですが、スカイラインセダンやクーペ、フェアレディZは、ゼロリフトでほぼ浮き上がらない空力特性にしています。でもGT-Rはそれでも足りなくて、クルマを地面に押し付ける必要がある。押し付けるということは抵抗で、浮き上がっているほうが抵抗は少なくできます。

空気の力で押し付けるということは、クルマにそれだけ重力をかけなければいけない。それを行いながらCd値を良くするというのがデザインの課題でした。これはエモーショナルな表現以外のところ、とくにエクステリアのファンクションからくるニーズというところでは、大きな課題の1つでしたね。

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