PDWeb *
* * *
Product Design WEBプロダクトデザインの総合Webマガジン * NewsSpecialInterviewColumnReviewTechniqueCase StudyData & LinkEditor's NoteContact Us
* * *
Interview Index
*
pdweb.jp プロダクトデザインの総合Webマガジン

●フォルムそして構造をデザインするためにVectorworksをずっと使っています。ドリルデザイン
●デザイナーを強力に支援する必須のデザインツール「Vectorworks」/設計事務所ima
●デザインとエンジニアリングを融合したサービスを展開。三枝克之/有限会社咲和惟
●スペースクレイム・ジャパン「SpaceClaim」×芝 幹雄(デザイナー)
●建築、インテリア、プロダクトをボーダレスに活躍するデザイナー、田中行氏を支える「Vectorworks」
●Autodesk Visualization Contest 2010」の審査員、カーデザイナーの和田智氏に聞く
●低価格CGツール「CINEMA 4D」の計り知れない導入効果
●PTCジャパンが提案する最新のソリューションとは
●美しさに隠れた機能が光る日用品デザイン「フォルム」のモノ作りに迫る
●スペースクレイム・ジャパン「SpaceClaim Professional 2007+」
●ソリッドシンキングジャパン:「solidThinking」
●日本SGI:Asterismによるデザインビューシステム
●日本SGI:開発中のデザインツール


*
* pd WEB Interview
-
Photo
●小林 恭
1966年兵庫県神戸市生まれ。1990年多摩美術大学インテリアデザイン科卒業後 カザッポ&アソシエイツに入社。
●小林 マナ
1966年東京都生まれ。1989年武蔵野美術大学工芸デザイン科卒業後、ディスプレイデザイン会社に入社。

共に1997年退社後、建築、デザイン、アートの勉強のため半年間のヨーロッパ旅行へ出る。1998年帰国後 設計事務所ima(イマ)を設立。物販、飲食のインテリアデザインを主軸にプロダクトデザイン、住宅建築なども手掛けている。


デザイナーを強力に支援する
必須のデザインツール「Vectorworks」


設計事務所ima(イマ) 小林恭+マナ
http://www.ima-ima.com/


*
東京・東麻布にオフィスを構えるimaは、国内外の店舗設計やインテリアデザインなどで活躍している気鋭の設計事務所だ。その素材の経年変化までも織り込んだロングライフなデザインは、海外でも評価は高い。1998年の設立以来、imaではデザインツールにVectorworksを選び、長年愛用しているという。ここではimaのデザインのアプローチとその道具としてのVectorworksの魅力を語っていただいた。

協力:エーアンドエー株式会社 http://www.aanda.co.jp/
*

*
Photo
imaの作品から「marimekkoニューヨーク店インテリアデザイン」(クリックで拡大)
*
Photo
同じく「marimekkoヘルシンキ本社カフェテリアインテリアデザイン」(クリックで拡大)
*
Photo
「brillia稲毛海岸ロビー、インテリアデザイン」(クリックで拡大)
*
Photo
「biotopeブースデザイン」(クリックで拡大)
*
Photo
「cattoy archプロダクトデザイン」(クリックで拡大)
*

*

*
●ima設立のきっかけとデザインコンセプト

−−まずima設立のきっかけや活動内容をお話願います。


小林恭:私は多摩美術大学の立体デザイン科(現環境デザイン科)でインテリアデザインを学びまして、卒業後、植木莞爾さんが主宰する設計事務所、カザッポ&アソシエイツ(http://www.casappo.com/)に入社して、インテリアを中心に店舗の設計を行ってきました。退職後は学生時代からのパートナーであるマナと一緒にヨーロッパで建築を見て回ったりして、1998年にimaを設立しました。

小林マナ:私は武蔵野美術大学短期大学部の木工科を卒業後、博物館の展示やディスプレイなどテンポラリーのデザインを行う会社で仕事をしてきました。展示会などのディスプレイは会期が終われば取り壊してしまうので、やはりロングスパンのデザインを行いたかった。パーティーや発表会の設営はその時だけで後に残りませんからね。そこで夫の仕事を手伝うようになって、imaの設立にいたる流れです。


−−残るデザインがしたかったのでしょうか?

小林マナ:そうですね。今でも展示会などテンポラリーの設計の仕事もやらせていただいているのですが、今はなるべく捨てるものが少なく、再利用できる方法を考えています。

−−imaさんは、設立後14年になると思いますが、現在はどういった仕事がメインなのでしょう?

小林恭:フィンランドのマリメッコなど、国内外の店舗設計などインテリアデザインがメインですが、プロダクトデザインも行っています。インテリアデザインは、住宅、飲食などさまざまですが、物販の店舗設計が一番多いですね。プロダクトの方は北欧が中心のインテリア家具を販売されているコレックス(http://www.collex.jp/)と家具を作ったりしています。自分たちの作品的なものも作っています。あとはカストホール(http://www.kasthall.jp/)というスウェーデンのカーペットメーカーのデザインも行っています。

−−空間とモノのデザインはご自身の中で違和感なく行えますか、それともスイッチの切り替えが必要なんでしょうか?

小林恭:そうですね、デザイナーは何か取っ掛かりを探していくのですが、例えば洋服などさまざまなブランドが存在しますが、まずそのブランド個々の特性を理解するところから始めます。そして、ユーザーがどういう風に使っていくのかを手がかりにして、どんどんイメージを膨らませていく感じです。無から何かを生み出すというより、その本質や文脈を探りながら形状にしていく作業ですね。方法論としては、プロダクトもインテリアも分けて考えてはいないですね。

−−これまでのimaさんの仕事を拝見すると、バリエーションに富んでいて、柔軟なデザインですよね。

小林マナ:店舗の本質や個性、ブランドをまず理解するところから始めています。例えばイルビゾンテといった革のバッグの場合、どうすればそれがきれいに見えるかを背景などを含めて考えていくと、必然的に他の店舗とは異なる独自のイメージが生まれます。モノやクライアントの求めるイメージを突き詰めていくと、そこに独自性が生まれます。

小林恭:自分たちのデザインを見せたいというよりも、モノや場所にどうマッチングしていくかを主題に考えています。マテリアルの選定、照明計画、空間の配置などは、居心地の良さ、雰囲気を大切にしています。素材にしても使えば使うほど味の出る質感、飽きずに経年変化を楽しめる長持ちするものを選ぶようにしています。おそらくデザイン性を主題に設計するとすぐに飽きられてしまうかもしれません。imaが目指しているのはそういうことではないですね。

−−一過性や時流に乗ったデザインではなく、長く愛されるデザインということですね。

小林恭:時代の流れは敏感に感じてはいますけれど、それを自分たちの中で消化して、表現するということですね。


●手描きスケッチとVectorworksのコラボレーションで

−−道具の話ですが、そもそも、お2人がデザインを始めた当時はデジタルではなく手作業の時代ですか?

小林恭:今45歳ですけれど、手描きの図面は私たちの世代が最後かもしれません。私は1988年に独立してから「MiniCAD」(Vectorworksの前身)を使い始めました。カザッポ&アソシエイツ時代の6年間くらいは手描きの図面を勉強させてもらいました。

小林マナ:私もだいたい一緒ですね。会社勤めの頃は手描きメインで仕事をしていまして、手描きのスケッチやレンダリング、図面も手描きでした。初めてCADを触ったのが、会社を辞める1年くらい前でした。


−−当時MiniCADを選ばれたきっかけ、理由はなんですか?

小林恭:独立した当時はカザッポさんからの仕事を受注していてよく出入りしていたんです。カザッポさんがMiniCADを導入したので、いろいろ試させていただきました。それまでコンピュータはぜんぜん使っていなかったので、CADは難しいという先入観というか恐怖感がありました(笑)。ところが皆さん簡単だよとおっしゃっていて、それで使わせてもらったら、数値入力というわけではなく、手で描く感覚とそれほど大差がなかったんですね。それで、これだったら自分にも使えるかもと思って、導入しました。1ヶ月くらいで基本的な操作はできるようになりました。

他社製のCADも操作風景を見たことはあるんですけれど、すごくややこしくて難しい印象でした(笑)。やはり「機械っぽい」といいますか、自分たちはもっと「絵っぽい」仕事なんですよね。Vectorworksはそんな絵の感覚でツールとして使えるところが魅力ですね。多分コマンド入力で操作していくようなCADしか知らなかったらCADは使っていなかったでしょうね(笑)。

−−ユーザーフレンドリーなインターフェイスがよかったということですね。

小林マナ:私も1999年頃からMiniCADを使い始めました。私は新しモノ好きなので、ぜんぜん抵抗なかったです。それと私はマニュアルをよく読むタイプなので(笑)、常にマニュアルをパソコンの傍らにおいて作業していましたね。

小林恭:逆に私はマニュアルを読まないタイプで(笑)、マナにいろいろ教えてもらいました。仕事で必要な基本的な操作はマスターしましたが、未だに知らない機能もたくさんあります。

−−現在の仕事では、インテリア、空間、住居、プロダクトなど全部Vectorworks1本で作業されているのですか?

小林マナ:図面はすべてVectorworksです。

小林恭:ただ、簡単な形状はVectorworksで行うこともありますが、建築パース的なものとかプレゼンテーション用のCGが必要なときは、外注にお願いする場合が多いです。Vectorworksで起こした図面データを渡す場合もありますし、手描きスケッチをCGにしてもらう場合もあります。

小林マナ:いつも時間のない中での仕事が多いので、Vectorworksで平面図まではちゃんと描いておいて、その後空間を作ってもらって什器を収めていく感じですね。床や壁などの素材も実物をスキャンして、それをCG空間にマッピングしてもらいます。社内ではVectorworksでレンダリングまでは行っていませんが、2Dだけでも伝えられる図面作りを心がけています。

−−クライアントにプレゼンするとき、外注のCGだとイメージが異なったりしませんか?

小林恭:いつもお願いしているところなので、こちらの望むイメージや雰囲気をよく理解していただいていますので、それは問題ないですね。

小林マナ:質感など、細かい直しもお願いしています。フローリングがフローリングに見えなければ意味ないですからね。

小林恭:そうですね、質感には非常にこだわっていますので、それが絵として表現されていないと、ちょっと厳しいですね。CGを使うならかなりリアルにしていかないと。リアリティの追求が必要ですね。逆にスケッチであればそれはそれで雰囲気を伝えるのに有効なんですけれど。


2ページへ

*


-
| ご利用について | 広告掲載のご案内 | プライバシーについて | 会社概要 | お問い合わせ |-
Copyright (c)2007 colors ltd. All rights reserved