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pdweb.jp プロダクトデザインの総合Webマガジン

●フォルムそして構造をデザインするためにVectorworksをずっと使っています。ドリルデザイン
●デザイナーを強力に支援する必須のデザインツール「Vectorworks」/設計事務所ima
●デザインとエンジニアリングを融合したサービスを展開。三枝克之/有限会社咲和惟
●スペースクレイム・ジャパン「SpaceClaim」×芝 幹雄(デザイナー)
●建築、インテリア、プロダクトをボーダレスに活躍するデザイナー、田中行氏を支える「Vectorworks」
●Autodesk Visualization Contest 2010」の審査員、カーデザイナーの和田智氏に聞く
●低価格CGツール「CINEMA 4D」の計り知れない導入効果
●PTCジャパンが提案する最新のソリューションとは
●美しさに隠れた機能が光る日用品デザイン「フォルム」のモノ作りに迫る
●スペースクレイム・ジャパン「SpaceClaim Professional 2007+」
●ソリッドシンキングジャパン:「solidThinking」
●日本SGI:Asterismによるデザインビューシステム
●日本SGI:開発中のデザインツール


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* pd WEB Interview
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酒井俊彦
1987年、東京造形大学デザイン学部卒業。1989年より株式会社コーゾーデザインスタジオ入社。1992年、有限会社サカイデザインアソシエイツ設立、現在に至る。インテリアデザイン、プロダクトデザインを中心に活動。PANTONEシリーズの文具、ライターのデザイン、おいしいキッチンプロジェクトのデザインディレクション、最近では北米で発売されたYAMAHAのBODiBEATなどをデザイン。http://www.sakaidesign.com

注目のCADソフト「SpaceClaim Professional 2007+」を
デザイナー酒井俊彦氏が試用レビュー

スペースクレイム・ジャパン
http://www.spaceclaim.jp/
(SpaceClaim Professional 2007+の体験版ダウンロードも可能)

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「SpaceClaim Professional 2007+」は、さまざまなCADの互換性をテーマの1つに構築された、エンジニアのみならず製品開発に関わる幅広いユーザーのためのツールである。デザイン面ではRhinocerosのネイティブファイルの読込・保存が行えるため、デザイナー、エンジニア間の作業効率を向上させることが可能だ。今回は、「SpaceClaim Professional 2007+」をデザインツールの観点からデザイナーの酒井俊彦さんに試用していただいた。
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▼酒井氏による電卓の作例Photo
まず一般的なCADと同じように平面図を描きトリム、フィレットをして、形状を閉じる(クリックで拡大)*
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出来上がった閉じた形状に高さを与え、ソリッドを制作する(クリックで拡大)
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ソリッドを切断するための2次曲面を制作する(クリックで拡大)
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2次曲面でソリッドを切断し、下側のパーツを残す(クリックで拡大)

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フィレット機能を使い、左下に大きなアールを、全周に小さなアールをかける(クリックで拡大)*
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ソリッドの側面サーフェスのみをコピーして、内外両方に厚みをつける(クリックで拡大)

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グリーンのソリッドからベージュのソリッドとの干渉部分をブーリアン演算で引く(クリックで拡大)
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2つのソリッドを組み合わせた後、液晶部とテンキーの外形形状を作る(クリックで拡大)

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グリーンのソリッド上に開口部を作り、その中に別ソリッドのテンキーを配置する(クリックで拡大)
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ソリッド上の開口部と、独立したテンキーを同時に一度の複数回コピーで制作する(クリックで拡大)

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グリーンのソリッドから液晶部をブーリアン演算で引く(クリックで拡大)
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液晶部をはめ込み、周りにフィレットをかける。実際に使いたい色に変更する(クリックで拡大)

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パースのついた投影法に変更し、サイドのパーツに金属の質感を与えて完成(クリックで拡大)
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主要なツールのネイティブファイルを読み込むことができる(オプション)
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* ●SpaceClaimの使い勝手

−−今回実際に、SpaceClaimで簡単な作例をモデリングしていただきましたが、まずインターフェイスなど使い勝手についてはどんな感想を持たれましたか。

インターフェイスはOffice 2007ライクですね。CADの操作はプルダウンメニューから機能を選ぶより、こういったアイコン選択を中心としたほうが適していると思います。とても分かりやすい。

−−初めて3D CADに触れる人にも理解しやすそうですね。

アイコンが分類整理されていて、左から作業工程順に並んでいるので、絵を描いて、編集してと、順番にやっていけば迷うことなく形状が作れます。また、引き伸ばしとか回転が直感的にできるので、初心者にも敷居は高くないと思います。エンジニアにもデザイナーにも、入門用にはすごく使いやすいのではないでしょうか。

−−SpaceClaimはソリッドモデリングのみでサーフェスはサポートしていませんが、それが逆に初心者でも使いやすい面となっているのかもしれませんね。

これだけ簡単に使えるCADは他にないんじゃないかな。インテリアや建築用のCADはインダストリアルデザイン用のCADに比べて操作が比較的簡単なんですけど、SpaceClaimはそれより分かりやすい印象です。

●プロの現場で使うツールとして

−−プロの現場で使うツールとして、SpaceClaimの実力はいかがですか。

まずモデリングはベーシックな機能のみですので、SpaceClaim 1本だけでデザイン業務をすべてまかなうのは難しいかもしれません。ただ、それは現時点の話ですので将来的には携帯電話などのデザインに使えるようなバージョンアップを期待したいです。

−−ではデザイナーはSpaceClaimをどのように使えばいいのでしょうか。

SpaceClaimにインポートしたデータは自分のデータと同じように扱えます。インターフェイスは素晴らしいですから、Rinocerosやthinkdesignなどの3次曲面が強いサーフェスモデラーのデータを持ってきて結合し、SpaceClaimで直していくという使い方が効率的で良いと思います。フィレットがもう少し強ければ、最後の仕上げまでできますね。

−−デザイナー側でソリッドにして納品する流れができるわけですね。

できますね。あとはすぐに形が変えられるので、エンジニアから返ってきたデータを見てアールを調整してみたりとか、チェック用や編集にはいいと思います。

−−設計から戻ってきたデータのデザインチェックをして、問題があれば編集も行える。

そうです。そのときはまた実データを戻さなくてもいいので、SpaceClaimで「このアールを10ミリに変更」という具合に修正して、その画像を戻せば簡単ですね。

もう1点、コンバーターとしての利用があります。インポートもアウトポートもオプションになりますが、SpaceClaimを中心に主要なCADを行き来できますので、そういった利用も便利だと思いました。

●家具、日用品に適したソリッドモデラー

−−SpaceClaimはデザイナー目線では「簡単に扱えるソリッドモデラー」と言えると思いますが、どんなプロダクトのデザインに向いていますか。

サーフェスモデラーではないので複雑な3次曲面形状の制作は難しいですが、コップや食器など、そういった日用品のデザインはスピードアップできそうですね。家電製品じゃなくて、インテリア雑貨などの仕事がメインのデザイナーにはよいのではないでしょうか。

−−トレイとか小物とか。イスは難しいですか。

家具までだったら多分大丈夫。プラスチックじゃない家具、木工家具だったら大丈夫だと思います。

−−プラスチックのような射出成形系だと難しいですか。

プラスチックは3次曲面を生かす素材ですよね。木はもともと加工上制約が多いですからね。モデリングは早いからすごく楽だと思います。

今回作例に電卓を作ってみましたが、シンプルな形状でしたのでとてもすんなり作れました。時間的にも表現したい形まではいきませんでしたが、食器などなら手早くきちっとしたデータが作れると思います。

●モデリングの作例に電卓を作る

−−実際に電卓のモデリングを行ってみていかがでしたか。

電卓はSpaceClaimの機能を知りたくて作ってみました。本当はもうちょっと四角いモノにしたかったけれど、そうすると丸い形状は作れないと思われても困ると思って(笑)。今回は短い時間で作ったのですが、ディテールに関しては時間を掛ければもう少し凝った造り込みができると思います。

−−初めてということもあって苦労されましたか。

いや、マニュアルもよくできているんで、半日、遅い人でも1日あればここまでいけると思います。初めてCADを触った人で1日かな。ちなみにこの作例は2時間で作りました。

ただモデリングした後、レンダラーが付いていないのが残念ですね。この作例は一番きれいなシェーディングです。SpaceClaim上で終わらせるならこれが限界ですね。テクスチャも用意されているのはメタリックだけです。ただ、レンダリングはレンダリングソフトを用いれば問題ありませんが。

●まとめ

−−SpaceClaimは、メジャーなCADよりもう少しエントリーの位置づけなのでしょうか。

「見れば使える」。この観点からCADを作るというのは素晴らしいと思います。メジャーなCADの最新版を本当に使いこなしているデザイナーやエンジニアがどれだけいるのかというと疑問で、実のところ内蔵されている機能の1/5も使いこなしていないのではないでしょうか。操作が難しいから1つの面を張るのに1日、2日掛かる場合もあるわけです。それって基本的におかしなことですよね。職人の使うノミとか彫刻刀だったらそれもよいのかもしれませんが、ノウハウがないと使えないって、そんなソフトはないだろうって(笑)。

ですからCADを直感的に使えるようにしましょうという発想は、素晴らしい高い志だと思います。CADの導入を検討しつつも、難しいソフトはノウハウを覚えるだけで大変で仕事になかなか使えないというジレンマを抱えた人は少なくないと思います。そういう人であれば、SpaceClaimと一緒に歩んでいけば楽に勉強もできるし、とてもいいと思います。

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