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初心者にも優しいMac/Windows両用のデザインツール
「solidThinking」の実力を聞く
今回のCASE STUDYはソフトウェアにスポットを当てる。イタリア生まれのデザインツール「solidThinking」は、ヨーロッパでは著名デザイナーの間で親しまれているものの、日本では一部のユーザーの利用を中心に、広く普及するまでにはいたっていない。そこでまず、「solidThinking」というツールはどのようなソフトなのか。日本で「solidThinking」の普及を推進しているソリッドシンキングジャパンの長岡功氏に、その実力や可能性を語っていただいた。
株式会社デジアーク
長岡 功氏
http://www.digiarch.jp/ |
眼鏡のモデリングの例。レンズは眼鏡と同じ形になるように履歴が付いているので、眼鏡のフレームと中のレンズが同時に変形する(クリックで拡大)
リアルなレンダリングも非常に短時間に容易に行える。テクスチャーもリアルタイムで確認可能で、スケッチや絵画のようなレンダリングもできる(クリックで拡大)
ヨーロッパでは著名なデザイナーのツールとして広く親しまれている(クリックで拡大)
Mac版(画像上)があるのもsolodThinkingの魅力だ。Mac OS X (10.4.0以上)対応で、Mac、Windowsとも要求するハードウェアスペックは現行のマシンであれば十分だ(クリックで拡大)
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−−solidThinkingを一言で言えば、どのようなソフトですか?
solidThinkingは、MacとWindows両方で作動する、建築、CG、プロダクトデザイン、自動車などのトランスポーテーションのデザイン、そしてパッケージデザインやイラストレーションと、デザインに関わる業務全般に使うことのできる万能型の3Dモデラーです。ソリッドとサーフェス、それからNURBSとポリゴンを扱うことができます。
−−では、solidThinkingならではの特徴といえばどんな点でしょう。
solidThinkingの一番大きな特徴は、他の3Dモデラーにはない「手続き型」と言える作業履歴、コンストラクションヒストリーを持っている点です。
履歴を持つ3D CADはありますが、それらにはsolidThinkingの持つ柔軟性はありません。手続き型と言うのは、いつでもコマンドの履歴に戻ってモデルのパラメータを変えることができ、またモデルの原型となるNURBSカーブやオブジェクトなどを、他のNURBSカーブやオブジェクトに入れ替えることができます。それは、それらの制御点などを移動しオブジェクトを変形する、つながった手続き型の履歴を持つからです。
−−3Dモデルをいろいろな段階で、変形・編集できるわけですね。
そうです。これがsolidThinkingがデザイナー向けのツールとして最適なソフトウェアと言える理由なのです。デザイナーは、デザインの過程で、さまざまなプロトタイプを作ります。手描きスケッチであったり、デジタルのイラストレーションであったりするのですが、私は何故直接3Dで試行錯誤しないのか? と思います。
−−solidThinking上でスケッチが描けるということですか?
solidThinkingは非常に柔軟なソフトウェアですから、いくつものプロトタイプを同じファイルで作ることができます。簡単な例ですが、ここに眼鏡のモデルがあります。眼鏡のフレームをいくつかのパターンで作りたいとします。普通のモデラーであれば、変形ツールを使うか、ゼロから作り直しです。作り直しとなると時間がかかりますが、solidThinkingであれば、たった数秒でできるのです(長岡氏、パソコン画面で説明)。
−−眼鏡のフレームと中のレンズが同時に変形しましたね。
レンズは眼鏡と同じ形になるように履歴が付いています。もちろんそれらの履歴やオブジェクトの関係を切ることも自由にです。
−−パラメトリック型のモデラーとは違うところですね。
solidThinkingは、拘束条件で縛るパラメトリックモデラーではありません。もちろん、すべてのオブジェクトに正確に数値入力できるパラメータはあり、いつでもそれを変えることができます。そして、同時にNURBSカーブの制御点を動かして変形することも可能なのです。それらの変化はリアルタイムでインタラクティブに見ることができます。
−−面白いですね。オブジェクトを自由に変形しながら、そのオブジェクトの数値を変えることができる。
履歴が付いているコマンドツールにおいてはすべてこのように変形できます。まるでポリゴンモデリングのように制御点を移動できます。また、solidThinkingの持つポリゴンモデラーも結構便利なツールです。
−−例えばどういった点でしょうか?
solidThinkingのポリゴンモデラーでは、NURBSサーフェスをポリゴンメッシュに変換することで、サーフェスをより見やすい形にしてから変形できます。そしてその変形がNURBSオブジェクトに反映されます。普通は、オブジェクトを一度メッシュに変換したら、NURBSに戻すことができません。
また、NURBSサーフェスより点群を作り、そこからNURBSサーフェスを生成し、NURBSの面を張ることも可能です。
−−点群を扱うこともできるのですね。
ある程度の量の点群であれば扱うことができます。マイクロスクライブやミノルタVIVIDのプラグインが付いていますので、それらのデバイスを使ってリバースエンジニアリングも可能です。
−−レンダリングやアニメーションの機能はいかがですか?
solidThinkingには、高速で動くレイトレーシングとグローバルイルミネーションのできるフォトリアルなレンダラーが付属しています。これはパッケージによってはオプションとなります。
−−レンダラーの特徴としては何がありますか?
まず、レンダリングに使えるテクスチャー素材が豊富で、それらのマテリアルを編集することも簡単です。それからHDRIやステージセット的な環境がありますので、リアルなレンダリングを比較的容易に作ることができます。同じレベルのレンダリングは他のソフトウェアでも可能ですが、solidThinkingではそれらと比較にならない程短時間に作業することが可能です。
テキスチャーの位置もリアルタイムで確認することができ、また、スケッチや絵画のようなレンダリングも可能です。
−−アニメーション機能はいかがでしょうか。
solidThinkingには基本的なキーフレームアニメーションが付いています。オブジェクトの位置や大きさ、回転、カメラの位置などがアニメーションできます。
−−solidThinkingはデザイナーにとっては使いやすい、統合されたモデリングやレンダリングパッケージのようですね。ところでsolidThinkingはCADではなく、CAID(Computer Aided Industrial Design:CADの一種で、デザインを含む設計を可能とするツール)の位置付けと聞いていますが、その点で他のCADとの連携はいかがですか?
本格的なドローイング・ドラフティング機能は将来のバージョンで付く予定です。もし他のCADにファイルを移動したい場合には、IGESやSTEPなどで問題なくできます。
−−将来的には、このパッケージですべての作業をまかなうということですね。現在のパッケージ構成を教えてください。
現在、MODLER(モデラー)、MODELR XL、DESIGN、VANTAGE(バンテージ)の4つのパッケージ構成となっていて、価格帯は約20万円から約60万円となっています。
−−solidThinkingは、デザインの国イタリア製のソフトウェアですが、ユーザーはヨーロッパ中心なのでしょうか。
ヨーロッパでは、数多くのデザイン事務所、個人のデザイナーが使用しています。著名なところでは、ジウジアーロ、ピニンファリーナ、ブルガリ、モンブラン、オフィチーネ・パネライ、フォルクスワーゲン、ボルボなど。solidThinkingはさまざまなデザイン分野で使われています。
−−日本市場ではいかがでしょうか。
おかげさまで、毎月ユーザー様は確実に増えています。ただ、ヨーロッパと比較して、日本では、本格的にデザイナー自身が3Dを使う比率は少ないようです。それは今まで、このようなツールが少なかったこともあるかと思います。インターフェイスも非常に理解しやすい、使いやすいツールですので、ぜひチャレンジしていただければと思います。
−−これからCADを使おうと思っているデザイナー、あるいは他の3Dツールを使ってきた人にとって、solidThinkingはマスターしやすいツールでしょうか?
3Dモデリングの概念が分かっていらっしゃる人であれば、1週間以内でプロダクションレベルに入ることができます。隠れたメニューもないので、非常に簡単です。また他の3Dツールをお使いの人であれば、最初に概念さえ理解していただければ、2、3日でプロダクションレベルに入ることができると思います。
−−履歴付きと聞くと難しそうに感じますが、そうではないようですね。
そうですね。3Dモデリングの初心者にもとても入りやすいソフトウェアだと思います。
まずは、デモバージョンを以下のURLのページからダウンロードして試してください。そしてもし分からない部分がありましたら、お気軽におたずねください。http://www.digiarch.jp/application/solidthinking/solidthinking/
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