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News Index
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pdweb.jp プロダクトデザインの総合Webマガジン E2013.1111
新進気鋭のデザイナーが集まった「IFFT/インテリアライフスタイルリビング」
E2013.1029
東京デザイナーズウィーク2013開催中
E2013.0904
10/8、10/11に愛知、東京でSpaceClaim特別セミナー開催
T2013.0903
書籍「Adobe Creative Cloud ではじめる、一歩進んだクリエイティブワーク」、9月上旬発売
T2013.0617
イグアス、低価格パーソナル3Dプリンタ「Cube」を6月下旬より販売
E2013.0610
6/5〜6/7、東京ビッグサイトでインテリア ライフスタイル開催
T2013.0301
書籍「デザイナーズFILE 2013」、3月上旬発売
E2013.0214
3/8、TooとJIDA東日本ブロック・コンピュータ・デザイン研究会がRhinoceros 5新機能セミナー東京を開催
T2013.0218
オートデスク、3Dキャラを紙粘土感覚で作るiPad用アプリ「123D Creature」発売
E2013.0214
2/6〜2/8、東京ビッグサイトで「東京ギフト・ショー春2013」開催
E2012.1227
Too、2/8に大阪で「Rhinoceros5新機能セミナー」、また3/1に東京で「3Dプリンタ体験セミナー」
E2012.1227
1/15〜1/18、TooがRhinoceros 5体験コースWEEK開催
T2012.1128
シャープ、32V型4K2K薄型ディスプレイを来春発売
T2012.1126
アプリクラフト、「Rhinoceros 5」を発売
T2012.1030
ロジクール、コーヒーなどをこぼしても洗い流せるウォッシャブルキーボード「k310」
T2012.1024
アップル、新しいiMac、MacBook Pro、iPad miniなどを発表
E2012.1019
「IFFT/インテリア ライフスタイル リビング」開催
E2012.1017
日本デザイン振興会、2012年度グッドデザイン大賞候補15点を発表
T2012.1017
東京・渋谷に3Dプリンタのショールーム「CUBE」オープン
T2012.1009
3D CADからフォトリアルなCGを作るフォトレンダラー「KeyShot3.3」
E2012.1002
10/7、川崎和男氏が大阪大学豊中キャンパスで講演
T2012.1001
シャープ、画素密度443ppiのスマートフォン用5型フルHD液晶パネル
P2012.0918
ワコム、モバイルに最適なスタイラスペン「BambooR Stylus pocket 」発売
P2012.0913
アップル、iPhone 5およびiPod touch、iPod nanoを発表
T2012.0907
アドビ、iPadやAndroid対応タブレット向けに「Adobe Photoshop Touch 1.3」リリース
T2012.0724
ナナオ、グラフィックス市場向け液晶モニター「ColorEdge」3シリーズを投入
T2012.0710
ワコム、Cintiqシリーズに2つの新製品を投入
E2012.0702
日本ものづくりワールド2012の第23回設計・製造ソリューション
E2012.0609
過去最多の出展者数652社を集めた今年の「インテリアライフスタイル」
E2012.0607
アプリクラフト、6/21と7/5に東京、名古屋でセミナー開催
E2012.0606
6/22、大阪大学でKAIST(韓国科学技術院)特別講義
P2012.0530
天童木工、新作家具“Souve Collection”発表
T2012.0515
3D Systems、次世代の3Dプリンタシリーズを発表
T2012.0423
アドビ、高速かつ多機能のPhotoshop CS6、CS6 Extendedを発表
P2012.0423
トヨタ、北京モーターショーでハイブリッド車のコンセプトモデルを出展
P2012.0418
天童木工から、プライウッドの組み立て式チェア「Coshell-Chair」発売
P2012.0418
±0から、アロマディフューザー
E2012.0411
2012年度グッドデザイン賞、4月27日より応募受付開始
T2012.0410
ワコム、デジタルも紙も書き心地良い「BambooR Stylus duo」を発売
T2012.0322
アドビ、「Photoshop CS6ベータ版」を無償でダウンロード開始
P2012.0314
川崎和男デザインの有田焼コーヒー・ティーカップセットが発売
T2012.0301
ワコム、マルチタッチ操作など新機能搭載のペンタブレット「Intuos5」を発売
T2012.0216
オートデスク、クラウド機能を強化した「AutoCAD 2013」を発表
T2012.0214
エーアンドエー、2/15より電子書籍「Vectorworks BIM実践講座」を無償配布
T2012.0213
書籍「デザイナーズFILE 2012」2/20頃発売
E2012.0210
2/8〜2/10、東京ビックサイトで「東京ギフト・ショー春2012」開催
P2012.0208
マーク・ニューソンがデザインしたデジタル一眼カメラ 「PENTAX K-01」
T2012.0208
SpaceClaim、2011年度は110%の伸びと販売チャネルの強化を達成
T2012.0201
マクソンコンピュータ、30%オフの乗換キャンペーン
P2012.0111
トヨタ、北米国際自動車ショーに次世代4ドアコンセプトカー「NS4」を出展
P2011.1226
トヨタ、コンパクトなハイブリッドカー、新型車アクアを発売
P2011.1222
トヨタ、北米国際自動車ショーにプレミアムクーペ「LF-LC」を出展
P2011.1209
住友スリーエム、プロジェクタ内蔵のビデオカメラ「CP45」を発売
T2011.1208
エーアンドエー、「Vectorworks 2012」を2012年1月13日より発売
P2011.1128
TOYOTA、東京モーターショーに「86」のプロトタイプを出展
P2011.1124
和真、イルムス×和真のコラボレーションアイウェアを発売
T2011.1118
アドビ、Android Marketに「Adobe Touch Apps」を販売
P2011.1115
TOYOTA、11/30からの東京モーターショーに新たなコンセプトカーを出展
P2011.1115
プラマイゼロから、ミニセラミックファンヒーター
E2011.1111
12/8、9、エーアンドエーが「Vectorworks Solution Days '11」
E2011.1102
今年も「DESIGNTIDE TOKYO 2011」、「TOKYO DESIGNERS WEEK 2011」開催
E2011.1014
2011年度「グッドデザイン大賞」候補となる6件が決定
P2011.1012
ライカ二子玉川店2周年記念「M9-Pシルバーレッドレザーセット」発売
T2011.0928
オートデスク、時間と場所を選ばないデザイン環境「Autodesk Cloud」を発表
E2011.0927
アイロボット社CEOのコリン・アングルが来日会見
E2011.0927
ソリッドワークス、「SolidWorks2012」に関するプレスイベント
T2011.0926
Too、コピックのカラーシステムパレットを「Autodesk SketchBook」に搭載
P2011.0916
ダイソン、より早く部屋を均一に暖める「dyson hot + cool AM04ファンヒーター」
T2011.0916
アルテック、初期費用不要の3Dプリンタお試しレンタル開始
E2011.0908
9/23、多摩美で第1回産廃サミット開催
E2011.0827
東京ビッグサイトで「GOOD DESIGN EXPO 2011」開催
P2011.0825
ソニー、ランニングしながら音楽を楽しめる一体型ウォークマン
T2011.0801
マクソンコンピュータ、「CINEMA 4Dリリース13」を発表
E2011.0713
第22回設計・製造ソリューション展にみる3Dプリンタなどの最新動向
P2011.0711
セイコー、坂井直樹氏とのコラボモデルNS_CONCEPTを限定発売
T2011.0708
PTCジャパン、Pro/Eに変わる新アプリ群に関する詳細を発表
P2011.0706
セイコー、渡辺力氏100歳を記念し、マリンクロック腕時計を発売
E2011.0706
来場者数84,509名と盛況だった設計・製造ソリューション展
P2011.0705
パナソニック、文庫本サイズの小型ソーラーパネル内蔵ライト



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* pd WEB News
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* 2007.09.26

深澤直人氏、
INFOBAR 2を語る

2007年9月26日(水)/
東京・恵比寿ザ・ガーデンホール
主催:KDDI、沖縄セルラー
http://www.au.kddi.com/


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ワンセグ放送も楽しむことができるINFOBAR 2*
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左が深澤氏、右が平野氏
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INFOBAR 2を語る深澤氏
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* ●INFOBAR 2のカタチの背景

2007年9月26日、INFOBAR 2の発表会場にて、デザインを担当した深澤直人氏とゲストの平野啓一郎氏によるトークセッションが行われた(司会勝恵子氏)。ここではこのトークセッションの模様をお伝えしよう。

−−INFOBAR 2ですが、実際に手に取ってみて、この丸みが温かいなと感動しました。「四角い飴が口の中で溶けて丸みを帯びはじめたかのようなかたち」という表現をされていますが、どういう想いでこのデザインをされたのですか。

深澤:こういう携帯電子情報機器というのは、四角くできているんですが、でも、時代がどんどん進化してもっともっと細分化されていくと、オーガニックな人間に近い形になっていくんですね。その進化する、人間の形に近寄ってきたということを表現できたらいいなとの想いを、四角い飴をなめていたら角が取れていった感じと表現しました。
それは、例えば、使い込んでいくとテーブルの角が丸くなっていくのと似たようなことだと思うんですけど、人によって丸くなった形というのは、より親しみやすくなったものの表現でもあるんですよね。

−−平野さんはINFOBAR 2を持たれてみて、今回のデザインの印象はいかがですか。

平野:デザインモノって雑誌などで見て素敵でも、実物を見たら「うーん?」というのもあるんですけど、これは写真で見ている以上に持ち心地がいい。
今の話にもありましたけど、深澤さんのお仕事には、経年変化の中でモノの運命を見ていくみたいな視線があると思うんですよね。木の製品だったら最初はカクカクでも使っていくうちに角が取れていくとか、飴玉だったら数秒ごとに溶けていくわけでしょう。
ジーパンだったら買ってきてこれぐらいのクタリ具合のときが一番いいんだというのがありまして、その「ここ」という感じがINFOBAR 2にはあるんですよね。角がありすぎる状態からなくなっていく途中の「あ、ここ」という感じがします。

−−持ってみると(その感覚が)わかりますよね。

深澤:あまり人間に近づいてオーガニックになりすぎてしまうと、それも逆に拒否反応で気持ち悪いものになってしまいがちです。ですから、人間と機械のちょうど間にいるような、ちょうどインターフェイスの中間にいるような感じというのが今回は表現できたと思います。

平野:それは絶妙で、言葉でもそうだと思うんですよね。例えば「コンプライアンス」と最近よく言われますけど、あれはまだ言葉としてけっこう角が立っていて何となく馴染まないんですけど、もうちょっとしたら角が取れてくると思うんですよね。それを過ぎたら今度はつまらない言葉というか、普通になりすぎると思います。
別に角が立ったところから始めなくてもいいじゃないかという感じがするんですよ。気持ちがいいところからプロダクトとして最初から始めようという感じがして、それはすごく面白いです。

−−携帯電話は手に取って、手を使うものですよね。ペットボトルもコップもそうですけれども、手が感じる感触というのは私たちはものすごく敏感に感じるものだと思います。だからこそ、形状や丸みをより鋭く感じてしまう。そこにデザインの面白さもあると思います。

深澤:そうですね。もちろんこれは電話をする、話をする道具なんですけど、それ以外でも無意識の状態で、例えば会議中に手イタズラしていたり、ポケットの中で触っていたりということも実は重要なコミュニケーションだと思います。すごく緊張しているときは触っている動きが早くなったりと、人と携帯電話のまた違ったコミュニケーションもあると思うんですよね。それは、機械が人間の生活の中にかなり溶け込んできている状態を表していると思います。
僕は人間の無意識の状態でやってしまっているみたいなことにとても興味があって、そこにはめて込んだほうがモノが素直に溶け込んでいくんじゃないかということを考えていたりするんです。

平野:それは1つの発見であって、例えばバスの整理券とかをヒュッと取って、乗っている間に折ってしまいますよね。

−−折りますね(笑)。

平野:誰に言われたわけでもないのに折ってしまうというのは、逆にあの絶妙な形とバスに乗っている数分という時間が、最終的に折るというところにストンと人間の行為を落とし込むんだと思います。そうすると、あの形と時間というのはかなり特別な意味が出てくると思うんですよね。
人間がなんとなくやってしまうことを突き詰めていくと、そこに1つのフォルムが見えてくるというのが、深澤さんがよくプレゼンなんかで、パズルのワンピースをポコッと外して見せるようなのをやられているのと同じような考え方なのかなと思います。

深澤:さりげない行為の中に、人間のドラマや感覚、想いが出てくるときがあるんですよね。自然な行為の断片に、その人の人ととなりが出てくるときがある。デザインはそこまで考えた上で非常に客観的な立場をとっていなければいけない。

平野:モノを作る側ってつい可能性のバリエーションを全部一揃い揃えて、その中からチョイスしてしまいがちですよね。例えば、あることをやろうと思ったら、「それって100通りできるの? 200通りできるの?」と考えてその中からチョイスしてしまうんですけど、そうすると人間から遠い感じのものになってしまう。使う側が引っ掛かるものがないとか。コンセプトとして面白くても日常接し続けるモノとしては遠い感じがしてしまう。
だから、なんとなくやってしまっていることの中に面白い形が潜んでいるはずだということなんじゃないかな。

深澤:付け爪をした女性がものすごく速くメールを打つということ自体がドラマになっていて、どうしてあんなことができるんだろうという中にINFOBARがポンとあってというようなことが、実際の生活の中でかなり当たり前のこととして登場し始めるということ。それが本当に面白さですね。

平野:ケータイにしても、今まで僕たちの日常になかった一定の重さとスペースをどうしても要求しますよね。カバンの中にも、今まで必要なかったスペースが要求されるし重みも増す。そうネガティブに考えると生活を1つ圧迫するものが増えたということになるんですけど、その重みと形を楽しむとポジティブに考えて、あとはここに自分のお洒落心を表現するものが増えたと思えば、そのスペースをネガティブに感じなくていいわけですよね。それは発想の転換次第だと思います。
ケータイはすごくスリリングで面白いと思います。

−−何か使いやすいと感じるものを探していくと、美しくて使いやすい。そういうものがきっと愛されて長く使うというものになっていってますよね。

深澤:僕は作り手ですけど、作り手の意思というのはみんながすでに考えていた、得ていた感覚を代弁して表現するような立場だと思います。
だから僕の作ったモノというよりは、手に持ったときに「こんなの感じが欲しかったんだよ」と。その「こんな感じ」というのは実はなかったんだけど、そう言ってもらえるような。
これは別に僕の個性でもなんでもなく、INFOBARが出て「ああ、それもあるね」と。その先に「こうなっていくんだ」というところにストンと落ちるような線を描いているということだと思うんですよ。
人間はそこにすごく敏感で、そこが破綻していると違和感があるんです。拒否反応になるから、そういうものはあまりいいデザインじゃないということになってしまうということもあるかもしれません。

平野:言葉を使ったり、身振り手振りでコミュニケーションをするでしょう。その中にこういうフォルムが潜んでいるはずなんですよ。それを探り当てることが凡人にはなかなかできないんですけど、それを見つけて形にして、僕らが思い描いてたよりも+αにちょっといいものにして出てくるときのワクワク感みたいなものが深澤さんの作品の中にある気がして、僕とかはコレクターみたいにして集めているんですけど(笑)。

−−どこかで探していたものはこれだというふうにしっくりくる。

深澤:そうなんです。全然つながっていない人間がモノを通じてつながるということがあって、この人はこういうことを考えているんだというようなことが製品開発の中でないとつまらないと思うんです。

平野:「懐かしい」という言葉には親しみやすいという意味もあるんですよね。今回レトロフューチャーみたいなコンセプトも出されていますけど、そういう意味で二重の意味で懐かしいとか。本当は知らなかったんだけど知っているような気がするというのと、親しみ深いという意味の懐かしいという意味、2つがどっちも実践されているという感じがします。

−−親しみ、懐かしさ、なんとなく安心感というのが、社会背景や時代の変化なども感じられて、デザインにもつながっていると思います。人が求めるものといいますか。

深澤:INFOBAR 2は、自分が求めたモノよりも進化している感じがします(笑)。インターフェイスもデザインしているんですけど、これだけのものが中に全部収まっているというのはかなりびっくりしましたね。ワンセグもそうなんですけど、いざ手にとって動かしてみるとすごい時代だというのが、ちょっとマジックで出来上がったのじゃないかというくらいびっくりします。

−−携帯電話というコミュニケーションツールの代表的なモノがこのように丸みを帯びた形というのはこれからのキーワードになるのでしょうか?

深澤:携帯電話というのは誰でも使います。ガジェットの好きな若者のためにデザインしているわけじゃないんですよね。INFOBAR 2はキーも大きいし見やすいしということで、お年を召した方にも、僕なんかだんだん目が悪くなっていますけど、そういう人たちにも受け入れられる。ある種のマーケティングにセグメントした人に当てようとしているわけではなくて、(現在の携帯電話の)1つの基準を出していると思います。

平野:僕らの世界の風景って、携帯電話で変わったと思うんですよ。ケータイが出るまでは、僕たちの生活は基本的に手の届く範囲でしょう。だけど携帯電話が出てきてからは、今はそれ以上の情報端末になってきていますけど、いつでもアクセスできるというのがある。ケータイは彼方との接点なんですよね、いつも。
機械に弱い人が自分にはアクセスできない世界だと思ってしまうこともあると思うけど、そのときにこういうデザインは人と機械を近づけるし、手の届く範囲の世界ともう1つ向こう側と常に接し続けていられる窓としても、情報端末というのを人間に近づけてくれたと思うんです。
日本のデザインプロダクツが発展していく中で、ケータイはある意味いい時期に出てきたと思います。計算機などがお洒落になっていくより、ケータイはここまで来るのが早かったと思うんです。最初は電卓みたいなデザインでしたけど、あっという間にここまできてしまったという感じ。

深澤:ここまでくると、これが今の瞬間から当たり前になっちゃうんですよね。すごくびっくりするのは、今まですごいすごいと言っていたものが、一斉に普通の人がこれが普通のテクノロジーだと思うようになるということで、見えないところで生活が大きく変化しちゃったというポイントにいると思うんですけど、それって不思議な感じがします。

−−最後に皆様にメッセージをお願いします。

深澤:携帯電話はコミュニケーションツールとして非常にスタンダードなモノになってきています。それが今後どうなるのだろうとここに来ていらっしゃる人たちは常に考えていると思いますけど、その適正な答えを出していくのが僕たちの仕事です。
なかなか未来は読みきれないんですけども、INFOBARという1つのスタンダードは携帯情報機器としての1つの普遍的な提案をしている位置をとっているというのは言えるんじゃないか、ということで次の進化にも期待してほしいと思います。

●質疑応答にて

ここから先は発表会場での質疑応答における深澤氏の回答を抜粋した。

−−INFOBAR 3が出てくる可能性について。

深澤:いずれ次が期待されてくると思いますが、作るほうはそんなに簡単じゃないので(笑)。作るときにはそれなりの話題もさらっていかないといけないのでタイミングもあると思いますし、期待されたモノとしてテクノロジーは常に改良していかないといけないですよね。コンピュータでバージョンアップというのはありますけど、こういったハードウェアではあまりないんです。でも、携帯電話はそういういふうに考えていかないといけないモノだと思います。進化の元を持っていれば、進化形は見えてくるような気はします。

−−インターフェイスでこだわった部分。

深澤:インターフェイスに関しては特にメインメニューのところに力を入れました。
基本的に操作性はスタンダードになっていくもので、操作するときの情報がはっきりと相手に伝わるということを中心に考えないといけないのですが、そこに装飾的なトレンドやいろいろなものが加味されてくるというのがインタラクションデザインの傾向でして、例えばメニューを見る方法が動画になるというのがトレンドになったりします。そうするとユーザーは困惑し、作る側の力の入り具合とトレンドが逆になってしまう傾向があると。
今回特に注意したのは、できるだけそういう面は削ぎ落として、操作が分かりやすいアイコンに徹しました。ただアイコンに徹する反面、せっかく大画素の有機ELを使っているので、機能が選択されたときにはリアルな画面を出しました。つまりアイコンが選択されるとリアルな画面に変換するというように、人間の操作の思考に逆らわないような誘導を考えました。
遊び的なインタラクションなデザイン要素は排除して、機能に徹したことにこだわりがあるということになります。


※プロフィール
深澤直人:初代INFOBARにはじまり、W11Kなど多くのau design projectを手がける。neon、無印の壁掛け式CDプレーヤー、プラマイゼロの加湿器がニューヨーク近代美術館MoMAの永久所蔵品に選ばれるなど、世界の第一線で活躍するプロダクトデザイナー。

平野啓一郎:1999年、大学在学中に発表した『日蝕』で芥川賞を受賞しデビュー。近年は数々の小説を発表すると同時に、芸術や音楽、歴史、情報や通信にも深い考察を展開、幅広い分野で活躍中。デザインにも興味を持っており、深澤氏デザインの携帯電話neonのユーザーでもある。



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