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pdweb.jp編集後記

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▼2011年121日
●目黒美術館で開催中の「秋岡芳夫展」を観てきた。わたしは大学時代に秋岡先生の講義を受けたこともあり、そんな関係で東中野にあるショールーム「モノモノ」にも研修旅行の際にお寄りしたことがある。わたしの92歳になる母親は好奇心が強く息子が仕事にしている「工業デザイン」というものを知ろうとして何十年も前に買ったのが秋岡の著書「デザインとは何かー伝統美と現代」だったらしい。その話が実家に帰る度に出て来て『秋岡芳夫という人の本を読んだけれどちんぷんかんぷんでちっとも判らなかった』と聞かされる。そうこともあって秋岡さんの名前はずっと忘れることがなかった。秋岡さんの年表を見て驚いた。1920生まれでわたしの母とほぼ同じ年なのだ。あたらめて不思議な因縁を感じた。(アキタ)

●スティーブ・ジョブズの他界に伴う記事発注の余波が、まだ続いている。マスコミの採り上げ方は、やや持ち上げ過ぎとも思えるが、そこまで評価するならば、生前にもっと採り上げてしかるべきだったと思うのである。(K.O.)

●久しぶりに地方の行政からデザインカウンセリングの講義依頼が。地場の産業の活性化にデザインを活用したいという点では、今までとは変わらないところがあったが、今回は組合青年部へマーケティングの話をして欲しいとのこと。自分たちが思い描いたモノは完成しても、なかなか売れない。それが、何故なのかを検証し今後の開発の参考にしたいという。さっそく、クラスター分析や発想法などを分かりやすく解説し、ワークショップをやってみた。彼らの会社の持つ技術力などと、以前に合同で開発した商材を題材にブレーンストーミングからはじめクラスターにまとめ、特徴を洗い出して貰った。何故売れないかが解明できて、一同大笑い。終わりにはMN法などを紹介し、次回までの宿題とした。さて、桶屋が儲かるほどの風を吹かせることができるかどうかが楽しみだ。(くらまさ)

●愛車が原因不明の不調で入院してもう1カ月以上になる。セミオートマシステムに原因がありそうなのだが、まだ特定に至らない。繊細なイタリア製故、仕方ないかとも思うが、限度ものである。V8エンジンのサウンドは官能的ではあるが、大飯喰らいの加減も半端ではなく、少々もてあまし気味になってきた。最近発表されたプリウスPHVはリッター61km走るらしい。しかもモーターのみで26km以上。会社への片道分で余る。計算すれば今のガソリン代の差額で買えてしまう。ただ車好きにとっては退屈さへの覚悟も必要。何を取って何を捨てるべきか、悩ましい。(芝)

●先日、とある会員さん向けイベントで、ローカリゼーションをテーマに450人の前で共著者の安西洋之さんとともに1時間話をしました。海外ビジネスを実践している中小企業の方々と情報交換は有意義。そんな中、WACOMの新製品でデジタルペンの「Inkling」が到着。少々太めで小さい充電池が内蔵されてるボールペン。ボールペンだからいつも使っている紙やノートに普通に描け、それがそのままデジタルデータとして取込めるのだけれど、デザイン系イベントも多い11月、本格導入に至る前に師走に突入です。(ナカバヤシ)

●新しいポメラは、多分、とても「好み」に印象が左右されるデバイス。機能や使い勝手以前に、ワープロが好きなら好き、ガジェット好きにはイマイチ、といったような、ハッキリした区分けが出来るような気がしている。個人的には好みだけど、買うほどではないというか、iPadで代用できるので、どうしようかと悩んでいる。(納富)

●数年前からフィンランドのアーティスト、クラウス・ハーパニエミ氏とクリスマスにコラボレーションしている伊勢丹。今年はまた力の入れ方が違っていて、11月中旬頃から伊勢丹新宿店正面入り口から入るともう、クラウスワールド全開。不思議な生き物が阿吽像のように迎えてくれて、ただ店舗内を歩くだけで異世界に誘ってくれる。百貨店に入るだけでドキドキさせられるのは、本当に何年ぶりなんだろう。今年は日本人アーティストとコラボしたオリジナルグッズも数多く販売され、以前からクラウス氏ファンの私はどれを買うか厳選するので、これまでにないくらい脳内アドレナリンで頭がいっぱいになった。こんな風に手にとって、目にするだけで人を幸福感に満たさせる力って素晴らしい。特に今年はいろんなことがあったせいか、クラウス氏のデザインがしみじみと心の中に染み込んできた。これからはクラウス氏からもらったこの力を、他の力に転化できたらいいな、と思う。(野々村)

●10数年前に買ったウクレレを久々に引っ張り出して、編集部に持ってきた。チューニングの仕方も忘れていたが、教本読みつつなんとか思い出した。知っているコードはAとDとEのみだけど、3コードでポロポロと軽やかな音色を奏でれば、気分も上々。2011年は忘れられない年になってしまったが、2012年はいろいろな新しい息吹を感じることのできる年にしたいと思う。(森屋)


▼2011年11月1日
●読書の秋ですが、社会人になってからの方が学生時代よりもよく本を読んだなあと思い返します。自分で自由になるお金が出来たということもありますが、それ以上に勉強の大切さを改めて思ったことが大きい。それまで美術系の高校から大学に進んで「話題」がそう広くなくてもなんとかはなるわけで、中学時代のように「まったく人種の違う人」や「人一倍成長が早い人」とのつき合いによる刺激は忘れ去られてしまいました。 会社に入ってその刺激が再燃したわけです。独立してからまたどうも「学生時代」に戻ったようで、異種の本よりもデザイン動向にばかり気が向いてしまっているのを感じます。あ、ブックレビューをお休みしていることを思い出しました。(アキタ)

●自転車系雑誌の企画で、mindbokeのデザイナーの角南さんと共に、最小限の用具でキャンプを楽しむという記事を連載していくことになりそうだ。そのための道具は、まさにモバイルデザインの申し子。今後は、その方面のアイテムも採り上げていこうと思う。(K.O.)

●大学祭シーズン、この数週間に数校の美大を見てきた。模擬店で屋台の飲食はどこも工夫の跡は見られるものの、今ひとつ街のどこかにありそうなモノばかり。販売はというとプリントTシャツや手作りの雑貨が多く目立ち、学生の思いが形作られているようだが、なにか特徴に欠ける。かく言う私が学生の時はというと、絶対に他とかぶらない商売で、資本や仕込みが少ないものと言うことで、ミニフリスビーを使った「射的屋」をやった。飲み屋の模擬店の酔った客の射幸心を見事にあおり、売上は、ん十万。これも立派なデザインだったと思う。(くらまさ)

●ソニーからNEX-5nが発売された。NEX-5のユーザーとしては気がかりでしようがない。デザインはほとんど変わっていないが、まずシャッターのレスポンスが改善、LCDがタッチパネルになった。これは結構大きい。そして電子ビューファインダーがオプションに加わった。これはと思ったが、NEX-5には対応していない。正直悔しい思いでヨドバシに見に行った。さっそく覗いて、ガッカリと言うかほっとしたと言うか、これは使い物にならない。とにかく画質が悪すぎる。次に出るNEX-7に期待する。しかし、タイの洪水で何時になることやら。懐具合も問題です。(芝)

●デザインは機能と意匠を作っているようでいて「意味」を作っている。その「意味」は文脈が異なるだけで同じ使用者であってもまったく異なるものになってしまうことから、「人+文脈(コンテクスト)」に紐付いていると見るのが適切だ。そして、モノと自分をリンクさせて納得させているのは「脳(論理=ロジック)だ。言語が異なる国ではこのロジックが異なる。それを鑑みたデザイン…について想いを巡らすことが多くなった。(ナカバヤシ)

●誰もに便利なモノよりも、誰かに便利なモノ、プロ用、業務用、といった製品を増やしてくのが、これからのグッズ関連の方向ではないかと考えている。もしくは作品とか。汎用プロダクトは大手に任せてしまいたい。とか、考える最近です。(納富)

●やっと秋らしい日和になってきた今日この頃。休日に山に登ったり、ジムで踊ったりしていると、おなかがやたらと空いてたまりません。安全な食事と美味しい空気が思う存分いただけるのは、本当に貴重で幸せなことなんだ、とつくづく実感する日々です。(野々村)

●あまり良い表現ではありませんが、最近、街中からお金の匂いがしなくなってきた気がします。例えば以前はクルマや家電が当たるプレゼントなどハデなプロモーションもよく見かけたものですが、今やすっかり影を潜めました。震災、原発事故からの復興、もっといえば日本の再生をテーマに、各企業が少し真顔になって優先すべきことに取り組み始めたのかもしれません。
pdwebも時勢にしたがって、コンテンツの量など今年は縮小傾向になってしまいました。読者や関係者の皆様には申し訳なく思っています。ただ、pdwebは特定市場向けのコアなメディアだからこその強みもあります。世の中、山あり谷あり。ニッチであってもマクロ的な視点は忘れずにいきたいと思います。そして当面は、オリジナルコンテンツの発信により注力し
ていこうかと考えています。最後に、本年もpdwebデザインコンペにご応募、ありがとうございました! 追って告知いたします。(森屋)

▼2011年10月1日
●先月末にデザインを手がけていた製品が発売されました。それは珈琲で有名なUCC上島珈琲のコーヒーメーカー「エコポッド専用機EP2」です。実はわたしがフリーランスになった時一番最初に「してみたい」と思っていた電化製品が「コーヒーメーカー」でした。当時コーヒーをそんなに飲まない自分がなぜそう思ったかと言えば、家にある家電の中にあってもっとも「工場の機械」を彷彿とさせるものがあって、それがどう家庭の空間に馴染むかというところに醍醐味を感じたからです。そんな自分が今ではたぶんインハウスを除けば一番コーヒーメーカーをデザインした人になりました。今回で6機種目です。(アキタ)

●手前味噌で恐縮だが、筆者も創立メンバーで取締役を務めるデザイン系セレクトショップのAssistOn(http://www.assiston.co.jp)が、同じ原宿ながら隠田(おんでん)へと移転。新規開店した。今も個人商店が残る商店街の一角ながら、洒落たカフェやブティックなども建ち並ぶ不思議なエリアである。近くまで来られた際には、ぜひお立ち寄りを。(K.O.)

●大学では9月から後期の授業が始まった。90分講義をインタラクティブにこじんまりとやりたいと思っていたところ、履修者数が418人に。その数字を春には知らされていた。夏休み中に出欠席のチェック方法や進め方などを考えていたことが奏効し、笑いが出る、全員が拍手をするなど学生をちゃんとつかめたようだ。ホールなど広いスペースで大人数を相手に講演をするは、それほどプレッシャーには感じないのだが、授業となると少し勝手が違う。この後毎週、十数回続くかと思うと、初めての経験にどきどき。(くらまさ)

●アメリカの特許法が改正されるらしい。あの理解に苦しむ先発明主義を先願主義に改めると言う。グローバルスタンダード云々と言っていた国が今まで何をやっていたのかと言いたくなる。今までアメリカで特許を取得し商売するには、落とし穴のような特許も数多く存在し、訴訟保険的な費用が10万ドル程度必要と聞いていた。その状況はかなり改善されそうである。我社ではオリジナルの医療器具で、年内に国内特許を取得する予定をしていた。ここにきてアメリカでの特許取得も視野に入ってきた。しかし、先願主義の施行は2013年とのこと。パリルートでは間に合わず。PCTルートなら30ヶ月の猶予を使えるのか、しかし費用は嵩む。道は開かれたようだが悩ましい。(芝)

●この数ヶ月、スモールチームでのデザインプロジェクトにエネルギーを割いてきた。デザイナーだけでなく創造工学やデジタル系モノ作りの専門家などによる混成チームに参加している。そのチームに依頼をしてくださっている業種やアイテムはさまざまだけれど、今までのデザイン業務とは異なるプロセスや意思決定の仕組みを作りながらの進行は刺激的だし有意義に機能している。もちろんクライアント側もメンバーの一員。デザインは産むのではない…連れてくるのだ。その仕組みのデザイン。(ナカバヤシ)

●パーカーの第五の筆記具「インジェニュイティ」が面白い。確かに、万年筆ともボールペンとも違う独特の書き味。だからこそ、もう少しカジュアルなペンにも同じリフィルを使った製品が欲しいし、リフィルを長く作り続けて欲しいと思う。(納富)

●9月から、pdwebや書籍「デザイナーズFILE2012」の編集に携わることになりました。素晴らしいクリエイターさんたちに出会えるのが楽しみです。みなさまどうぞよろしくお願いいたします。(野々村)

●アイロボットのCEO、コリン・アングルを見ていると、若き日のスティーブ・ジョブズやビル・ゲイツを思い出す。彼らが昔、パーソナルコンピュータに求めた夢を、今コリン・アングルはロボットに託しているように思われる。パソコンは結果を画面上に出力するけれど、ロボットは現実世界に結果を出力するITマシンなのでしょう。
いよいよロボットが具体的に面白くなりそうです。ルンバはその端緒なのかもしれません。
さて、「pdwebデザインコンペ2011」の締め切りまで後1ヶ月となりました。皆様からのたくさんのご応募、お待ちしています!(森屋)


▼2011年9月1日
●昨年から中之島にあるメリヤス会館という築80年近い風情のあるビルに友人が事務所を構えるようになって、それを機会に勉強会を2ヶ月に1回のペースで行っています。先日も学生さんを中心にちょっとした講演会を開きましたが、ちょうどそのタイミングで同じビルにある画廊で「海洋堂」の展示会が開かれていました。大きな大魔神やゴジラ等興味深いのですが、今度四万十に「ミュージアム」ができるということを知りました。四万十にある集成材工場と現在わたしも仕事をさせてもらっているのでふしぎなつながりを感じました。偶然のつながりといえば一世を風靡したチョコエッグも製菓会社の正式な企画からではなくちょっとした偶然からスタートしたそうです。記念におたのしみ箱を買いましたが、流行の最中であれば大変貴重な「ひめねずみ」のチョコエッグが入っていました。はなしの「おまけ」。(アキタ)

●代々木公園から仙台の荒浜まで18区間をリレー形式でmindbikeを走り継ぐ「mind to 仙台」が無事終了。前半2日が灼熱地獄、後半3日は雨模様だったが、mindbikeを世に送り出す上での最良の実地試験となった。http://www.tsdesign.jp/mind/mindtosendai/index.html (K.O.)

●大学卒業後に入社した自動車会社で始めて携わった車種が、トヨタ最後のFRスポーツAE86カローラ・レビン、スプリンター・トレノだった。後期型のモデルではスポーツシートやコンパネのグラフィックなどを担当した。コミック「イニシャルD」でも藤原豆腐店の車としても有名になり、それから四半世紀が経ったいまでも、中古車(旧車)市場では根強い人気ある。そして最近トヨタの社長がAE86の精神を復刻するとして、TF86(Toyota Future 86)の開発を発表した。わくわくする車作りを目指すそうだ。近年の若者の車離れをどこまで引き寄せることができるのか? それとも群がるのは50代のオヤジだけなのか? いまから楽しみにしている。(くらまさ)

●先月クライアントとの出張で最新型カローラフィールダーの運転を任された。久々に運転する国産車、195/55R16と一昔前の大衆車では考えられないほど立派なタイヤに少し期待する。案の定、足回とボディの剛性感は素晴らしい。アクセル全開での高速入口のコーナーは何の不安感もなく、殆どロールしない。ところが1.8LバルブマチックエンジンとCVTによる、加速と一致しない無機質で色気のないメカノイズですべてが台無しだった。全開加速は一気にエンジンがふけ、後はCVTが加速させているようなもの。運転していてまったく面白くない、長時間の運転は退屈から苦痛に近づく。燃費、排ガス対策のためかもしれないが、作り手は何か大事なものを忘れている気がする。これも若者の車離れの一因なのだろうか。(芝)

●8月27日(土)に東大iSchool夏のシンポジウム「ビジネスデザイナーの時代 デザイン思考をどう実践するか」に参加してきた。今回のメインゲストはRoger Martin氏。トロント大学ロットマン経営大学院を創造的実践の学びの場に変革し、デザイン思考研究の聖地へと導いた同校の学長さん。イノベーションにおける「ビジネスデザイン」の必要性を分かりやすいプレゼンテーションで語ってくれた。仮説的な思考でAnalytical ThinkingとIntuitive Thinkingに橋渡しをする。それがビジネスデザイン…との視点には共感することが多かった。(ナカバヤシ)

●ワコムの新しいペンタブレットが、デジタル文具として作られていた「Air Pen」シリーズと同じ方向を向いた。多分、行き着く未来の普通は、アナログとデジタルのボーダーレス化なのだろう。と思いつつ、実はワコム製のケースのデザインの良さに惹かれて購入を決意する。何だか未来の筆箱みたいだから。(納富)

●いよいよ本日9月1日(木)より10月31日(月)まで、「pdwebデザインコンペ2011」の応募作品の受付を開始いたします。福島の原発事故をきっかけに、原発に変わるエネルギーをどうするかは、世界的な課題となっています。少なくとも少子高齢化社会に向かう日本にとってのエネルギー問題は、大量消費社会からの逸脱を意味する面もあるのかもしれません。今回のコンペでは、今まさに有効な省エネグッズから、もう少し先を見据えた新しい価値観を提案できるモノまで、皆様の力作をお待ちしています! 応募は以下のメールアドレスまでお願いいたします。
dc2011@pdweb.jp
それと、本日からpdwebは5年目に突入したことをご報告しておきます。(森屋)

▼2011年8月1日
●久々に自分にとっておおきなニュースが飛び込んできました。昨年の11月に販売を開始した土鍋「do-nabe」が、岐阜県の多治見で開かれた陶磁器コンペ「国際陶磁器展美濃」で銀賞に選ばれました。世界57カ国、応募点数が約2,800点という点数もさることながら開催が3年に一度なので、製品化のタイミングも重要だったと思います。「do-nabe」は「土鍋はかさばるなあ」という個人的な長年の感想と、IH対応という設定条件がなければ生まれなかったカタチであります。(アキタ)

●カナダのモントリオールで、BIXIというレンタサイクルサービスを体験してきた。これまで利用したり、見聞きした、どのシステムよりも先進的で使いやすく、また実際にも市民、観光客を問わず有効活用されていた。今度、改めてコラムでも取り上げようと思うので、乞うご期待。(K.O.)

●製氷器「POLAR ICE」(ポーラーアイス)がやっと発売された。この製品は大阪在住のデザイナー林 篤弘氏によって2009年のTokyo Designer's Weekで発表され、monosのプロデュースとディレクションで約2年の歳月を経て誕生した。その間、海外を始め国内でも多くの反響をいただいたが、初期のアイデアを忠実に具現化するために、これだけの時間を費やした。キャラクターの抜け形状や脱型を左右するシリコンの硬度など、技術的課題が当初思ったよりも難題だったのだ。グラスの中でゆっくりと溶けていく、流氷にのったシロクマやペンギン。北極や南極に生きる野生動物の立体的なロックアイスができる製氷器だ。愛らしい姿に、地球温暖化へのメッセージを少しだけ託してもよいかもしれない。(くらまさ)

●最近クライアントの軽音楽部でドラムをたたくことになった。5年ぶりに自室のエレドラの電源を入れる。さすがにリハビリが必要と、電子メトロノームのスイッチを入れると、電子楽器定番の9Vバッテリーが電池切れ。何軒かコンビニを物色するがこれが売っていない。そういえばと思い、App Storeでアプリを探すと、選びきれないほどある。いくつか無料アプリを試すがどれも今ひとつ。仕方なく有料アプリを選びダウンロード、これが凄い。1年ほど前に買った電子メトロノームはかなり多機能なもので、1万円以上した。それと遜色ない機能が今ではアプリになって200円強。これではプロダクトデザイナーの仕事、なくなります。(芝)

●7月28日に、共著(安西洋之、中林鉄太郎)の書籍『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力』が日経BP社から発売になりました。これは2010年10月から日経ビジネスオンラインで連載している「ローカリゼーションマップ」を再編集し、第4章を新たに書き下ろした内容です。デザインは制約条件によって成り立つわけですが、そのスタート時点での情報取得や判断のためのヒントとなる事例を…という趣旨で企画されたプロジェクトの一環です。私にとっては初の著作となりました。ご笑覧くだされば幸いです。 (ナカバヤシ)

●水筒は真空二層構造を採用する以上、円柱形なのは仕方がない。とりあえず、次の段階はパッキン部分のゴムの匂い対策ではないかと思う。コーヒーを入れてもサッと濯げば匂いが取れる水筒が欲しい。(納富)


●私が昔勤めていた会社の社長は、創業当時「豆腐屋のように一兆、二兆と売り上げを数える」といった趣旨の発言をして、その夢を本当に実現していった。だけど今の日本は、それこそ「一丁、二丁」と豆腐を数えるように仕事をしていかなければいけない状況のように思える。それも手作りの豆腐を、その味を好んでくれる人たちのために、丁寧に作っていかなければいけない。組織の時代から、個人の時代へ。少なくとも個人的にはそんなパラダイムシフトを実感しているけれど、昔のバブリーな価値観を捨て去れば、今の時代もそんなに悪くない気がしている。(森屋)


▼2011年7月1日
●Pdwebのデザインコンペが今年もはじまった。今年は3月11日に起きた東日本大震災を教訓に、テーマを「ポスト311の日本のエネルギーとプロダクト」としました。かねてからコンペが日常の仔細な観察と詩的な表現にどんどん流れていっているような思いがありましたが、もう一度「大文字のデザイン」を考えるいい機会だと思います。以前「マジックハンドというものがあるが、それを日常の怠惰を助長する便利グッズとして捉えるか、駅のホームからモノを拾うための大事な道具として考えるかによってそのカタチとコンセプトは変わるだろう」とブログで書きました。「大掛かりなモノ」だけが「大文字のデザイン」ではありません。災害で困った時をサポートしてくれる「ちょっとしたアイデアと製品」も大文字足り得ると思います。(アキタ)

●Mac OS X Lion(正式名称は、OS X Lionとなった)は、Core 2 Duo以上のCPU搭載機でないとインストールできない。現在の自分のメインマシンである初代MacBook Proは、Core Duoなので対応せず、サブの初代MacBook AirはCore 2 Duoだが、スペック的に心許ない。ということで、メインマシンの買い換えを検討しているが、さて、どのモデルにどのようなBTOを施すか、思案中。(K.O.)

●先月の後記にMacBook AirとiPod Touchのことを書いたが、その続報。中国にいる知人が新しいMacBook Airの発売の知らせをくれた。どうも中国系のメーカーが生産の一部を担うことから中国内で発表されたようだ。その知人の友人でもあり日本に住む私の知人は、まさに先月の私の状態になった。その友人、どうもiPadの使い勝手がうまくいっていなかったようだ。さっそく知人からのメールは、背中を押されましたとの文章から書き始められていた。Airは、もうすぐ発売になるらしい。その日本の知人はまた誰かの背中を押すことになるだろうか?(くらまさ)

●我が家の周りの森林公園と湿原は毎年その生態を変化させ続けている。去年初めに湿原の改修工事が行われた時には、自然は放っておくのが一番と思っていたが、何のことはない。自然の修復力の方がはるかに上回っている。人間が手を入れるごと新たに姿を変え、意にそぐわぬものは覆い尽くし、意に沿ったおせっかいには、意外な姿で人間の目を楽しませてくれる。今年はついにリビングの窓辺まで蛍がやってきた。そう思って喜んでいるのは人間だけなのだが、人の手によって失われたものが、人の手によって再生したという点では、人間の適度な介入も意義がありそうだ。(芝)

●写真のTwitterと形容されることの多い「Instagram」。そのネットワーク上で交流していただけのあるカップルが、写真のグループ展に参加するというので6月の初めにお邪魔した。アマチュアではあるのだけれど一眼レフからiPhoneまでを巧みに使いこなして撮影された写真は、彼らが共に暮らすネコとの日常が切り取られたハートフルな写真ばかり。カフェに併設されたギャラリーで、撮影したご本人らを前にネコ談義に花が咲いた。その後もInstagramつながりで、そのグループ展に足を運んだ人も多かったようだ。ポストカード化された作品もあり、それらは売上の一部を震災のための義援金とするとのこと。知人以外はすっかりネコの飼い主さんたちが増えてしまったInstagramなのだが、それが楽しい。(ナカバヤシ)

●何となく、シンプルとか機能美という言葉に対して懐疑的になっていたところに、狩野一信の仏画「五百羅漢」全百幅を見て、面影ラッキーホールの新譜「typical affair」を聴いて、過剰であることの魅力を改めて考えています。プロダクトにも「美しい大きなお世話」があるのではないかとか。(納富)

●今年も、pdwebデザインコンペの作品受付は9月1日からとなります。皆さんのご応募をお待ちしています。本年は賞金がないため応募する楽しみも減ってしまったと思いますが、今年のテーマ「ポスト311の日本のエネルギーとプロダクト」は、これからの日本にとって大切なキーワードだと思いますので、よろしくお願いいたします。
それと、最近コンテンツの更新ペースが若干落ちていて申し訳ないです。取材記事も連載も順次仕込んでいますので、ぼちぼちお付き合い願います。また、編集スタッフを募集中です。プロダクトデザインのWebサイトでエディターの募集は違う気もしますが、見習い可ですので、コンテンツ制作に興味のある方はぜひご応募よろしくお願いいたします。(森屋)


▼2011年6月1日
●先日、中国の深センで開かれたデザインイベントでの講演とコンペの審査をしてきました。驚くような斬新な大きな建築物が各所に点在していて街と国のパワーを感じましたが、とにかくいろんな会場が「赤い」。レッドカーペットなんてものではなくて会場全体に「緋毛氈(ひもうせん)」が敷き詰められていたりしてそれは強烈な印象でした。ベンツのデザイン責任者を長年務めていたハラルド・ラシュケ、日本でもよく知られているマイケル・ヤングと一緒に審査や講演会をしましたが、ふたりの人間性の豊かさを知ることもできてとても有意義な経験をさせてもらいました。(アキタ)

●御茶ノ水での写真展「WONDER-FULL WORLD」にご来場いただいた皆さま、ありがとうございます。次期Mac OS X Lionの動作には、Core2Duo以上のCPUが必要なため、自分の初代MacBook Proでは動かない。いよいよ買い換えを考える時期に差し掛かっているが、iPad 2を持ち歩くようになった今、メイン機をMacBook ProにするかiMacにするか、悩ましいところだ。(K.O.)

●新年度になったらモバイル環境を整えようと思っていたのが、大学の授業開始がずれたこともあり、ひと月以上も遅れた。気にしていたiPadはやめてMacBook Airとwifiルータにし、携帯端末としてのiPhoneをiPod Touchに予定変更した。Airが軽いのはもちろんだが、iPod Touchも、iPhoneの電話以外の機能をほとんど備えているし、薄いところが気に入った。電車内で座れない場合はTouchで、着席時はAirでと使い方で考えると、iPadはどうも物足りなさそうな気がした。2枚買ってそれぞれをモニタとキーボードとして使い分けられたら…などと考えていると、やはり同じ思いを形にしてacer ICONIAが誕生した。(くらまさ)

●最近iPadのテレビCMを見ていて、疑問に思うことがある。タッチパネル上を指で画像を滑らかに操作するシーンである。一昔前、タッチパネルは操作感をユーザーにフィードバックできないインターフェイスデバイスの劣等生として扱われ、それらを用いた製品はことごとく失敗していたものである。使いやすくするために、パネルを振動させたり、前面に透明のキーを配置したり、試行錯誤があったが、どれも決定打にならず消えていった。ではiPhoneやiPadのマルチタッチとGUIのデザインがそれらを解決したのだろうか。そう考えると答えが出てこない。慣れさせられてしまったのだろうか。それにしてもあの小さなスライドON、OFFスイッチ。2割程度の確率でしか反応してくれない。(芝)

●高校生のとき、バスケットボールの授業中に右手の小指を剥離骨折しました。まっすぐだった小指は、歪んでしまいかつての感覚とは違っています。私はそれをどうも気にしてやたら触ってしまうくせがあります。イタ気持ちいいのでやみつきなのです。いつか自分の手で再び小指を骨折させてしまうんではないかと懸念しています(汗)。(高橋)

●人の五感は、敏感だけれど鈍感でもある不思議なものだ。視覚だけを例にとっても見ているようで見ていない。直接、間接、屈折、反射…眼球に届く光の周波数はさまざまだけれど、光そのものを見てるわけじゃない。信号機のLEDが緑に点灯しているのを「Go」と認識するように「意味」として認識している。先日書店で『皮膚という「脳」』という本を見かけた。センサーがなければ判断できない…というような内容だろうか…。「次に読む」リストに載せようと思う。(ナカバヤシ)

●各社から携帯電話/スマートフォンの夏モデルがいろいろ発表された。pdweb編集部にも各キャリアやメーカーから次々とプレスリリースが送られてくる。いずれにしてもすべての新しいケータイを紹介するのは不可能ですが、ニュースに掲載する際、何を掲載して何を載せないか、いつも線引きに迷う。ガラケーもスマホも、ボディはデザイン的に安定していて大きな差はなく、ソフトウェアの時代になっている。でもやはりチャレンジングなボディを持った機種を紹介したい。となると紹介する機種が選べない。困りました。
さて、本年の「pdwebデザインコンペ2011」ですが、今年は震災が発生したことを受け、例年と実施内容を変更いたします。応募テーマは「ポスト311の日本のエネルギーとプロダクト」です。詳細は6月上旬に告知いたします。(森屋)


▼2011年5月1日
●震災後、3回の講演会と勉強会を開き招かれたが、その場でセルフプロデュースの湯のみ80mmを売って義援金に当てたりした。これはある意味「ツイッター効果」だった。震災後ツイッターに書き込まれる短い文章やリツイートと呼ばれる他人の言葉の引用によってただでさえ情緒が揺らぐ中、手をかけて前後に身体を揺すられるかのような気持ちになった。しばし書き込みを中止した挙句「言うより動くぞ」そんな気持ちがムクムクとこみ上げて実際に行動した。まあ行動後記ですね。(アキタ)

●5月16日より、お茶の水のA&AカフェSweetJam(http://www.aanda.co.jp/function/sp_news/Cafe_stJAM.html)にて写真の個展「Wonder-Full World」(ワンダフル・ワールドではなく、ワンダー・フル・ワールド)を開くことになった。小さなスペースなので、作品数は多くて15点ほど。主に、エプソンのR-D1で撮影したモノクロフォトになる予定だ。美味しいコーヒーも飲めるお店なので、お近くに来られた際には、ぜひお立ち寄りを。→作品イメージ (K.O.)

●震災の影響で大学の授業開始が延びていたなか、オリエンテーションや会議が開催されると徐々に新学期らしさが始まる。うれしく思う反面、退学者の数が報告され、理由の中には経済的なものが大変多い。基幹産業が大きな打撃を受け、それに付随する業態が連鎖的に余波を受ける。しかし、高度成長期に生を受けたものとして感じるのは、こんなことでへこたれる日本ではないはず。気持ちを入れ替えてリセットした後のリスタートを思うとき、今年もコンペ開催との連絡を受けた、とても勇気づけられて楽しみだ。(くらまさ)

●あれ以来、16年前の事をよく思い出す。救援物資を担いで神戸に帰郷したのは1月20日の事だった。生まれ育った町の見るも無残な姿に呆然とした。その後16年、神戸は復興を遂げたわけであるが、もうそこは私の知っている街では無かった。それ以来、「いつかはあの街に帰りたい」という気持ちが薄れていったように思う。そこに暮らす人々にとって思い出したく無いことも多々あるだろうし、何より被災した人々の利を最優先して迅速に街を建て直す事に何の異論も無い。復興は生活を取り戻すことが最優先であり、人の思い出などにかまっていられないのもいたし方ない。しかしそれを残念がる事が贅沢なことだとは今でも思えない。(芝)

●はじめまして、4月21日より編集スタッフになりました高橋と申します。これまで某出版社の絵本編集部で働いていましたが、このたび縁あってこちらでお世話になることになりました。まだ右も左も分からない毎日ですが、一人前の編集者になるべく精進していきたいと思います。みなさま、どうぞよろしくお願いいたします。(高橋)

●デザイン系の教育機関でも、震災の影響を考慮した授業開始日の遅れなどの話が耳に入る中、私が非常勤講師を務めている大学や専門学校は従来通りのスケジュールで今年度の授業が始まった。専門学校の方では、例年担当しているプレゼンテーション系のカリキュラムに、Evernoteを積極的に取り入れる試みをスタートさせた。大学の方は昨年に引き続き、SolidWorksでのサーフェスモデリングを主軸にした内容で計画している。いろいろ場面で、スタートラインを強く意識した4月だった。(ナカバヤシ)

●わが社の入っている14階建ての古いビルは、震災以降1ヵ月半以上、2基あるエレベータの片方が使用不可能になっていた。同じようなビルが多く、修理業者のスケジュールがいっぱいだったと言う。また通路などの壁面もひび割れが生じたが、これはすぐに補修が行われた。東北地方の被災地とは比べるべくもないが、液状化した地域を含め、震災は東京にもこれまでにない物理的な爪あとを残していった。ある調査によると、今回の地震で日本列島が乗った北米プレートは、太平洋側に約50メートル移動し約7メートル隆起したという。大陸が何万年もかけて動いていることを我々は忘れていたのかもしれない。この国でどう生き、暮らしていくのか。震災が残した課題を乗り越えていきたい。今年のpdwebデザインコンペのテーマは「ポスト311」を検討しています。詳細は6月に告知を行います。(森屋)


▼2011年4月1日
●東北関東大震災で被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。亡くなられた方々の冥福をお祈りするとともに一日も早い復興を願っております。(プロダクトデザイナー 秋田道夫)

●災害の被害は甚大だが、被災しなかった地域では過剰な自粛を避け日常的な経済活動を回していくことも重要である。そして、国内市場はもちろん、広く世界に通用するデザイン製品が一層発展していくことを願っている。(K.O.)

●生きるということを考えさせられるひと月だった。地震があったその時はオフィスにいたが、自分のデスクでない所で電話をしていた。揺れが来た瞬間にすぐに近くの打ち合わせテーブルの下に身を隠すやいなや、大きな音と共に割れたガラスや焼き物の破片が飛んできた。ケガもなく静まってから辺りを見渡すと、普段座っている所を取り囲むように配置していた本棚が崩れ、出口への道を阻んでいた。被災地では多くの方が亡くなり不明になっている。その中には、志半ばの方も多いことだろう。震災とは関係ないが、先日ある友人の訃報が届いた。人生の道を阻むモノは沢山あるだろうが、生きて後世に伝承できる仕事をさせていただいていることに感謝したい。(くらまさ)

●このたびの東北地方太平洋沖地震により、亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被害を受けられた皆様に心よりお見舞い申し上げます。何度もの津波災害を乗り越え、万全の対策をしていた地域での被害であったことはあまりにも衝撃的であり、自然を前にした人間の無力さを改めて思い知らされた気がする。一昔前まで地震国の日本では高層ビルは建てられないと言われていたのを思い出す。そして高層ビルが立ち並ぶ東京の光景を目にし、はたしてテクノロジーが自然を制した結果なのかと訝しく思ってしまう。災害後、想定外という言葉をやたらと耳にする。シビアアクシデントに対して十分なマネージメントがなされているとされていた原発があの惨状である。今後原発のあり方も然りであるが、もはや防災というレベルでなく、人類の自然に対する根本的な考え方そのものに於いて変革が必要な気がする。(芝)

●こんなに長い行列は初めて見た。3.11 PM6:00、JR中野駅前。もちろん駅構内にも人は入れないので、人は大勢いるが列にはなっていない。見れば、この列は南口のバスターミナルからのもので、それがガードをくぐり北口改札の前を回り込み、新宿側にまで連なっている。300人を超えそうな列だ。手のひらのiPhoneは、ルート検索で自宅までは7.7km、約1.5時間の道のりと表示している。加えて、都心部から放射状に移動するのではなく、北から南への垂直方向の移動である。散歩好きの身としては何の問題もない距離。しかし、それは始まりに過ぎなかった…。(ナカバヤシ)

●東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。1日も早い復興をお祈り申し上げます。こんな時期ではありますが、”元気出していこう”ということで、先日新宿で義援金チャリティーを兼ね、複数のアマチュアバンドによるライブイベントを行いました(私がベースを担当しているバンドも参加)。大勢の観客の前で演奏するのはうん十年振りでしたが、拍手や歓声など、お客さんの反応がリアルタイムで返ってきて、これもまたある種のモノ作りなんだと感じました。結局はモノも音楽も、作り手の想いや魂を伝えるための器、メディアなのかもしれません。(森屋)。


▼2011年3月1日
●楽しみにしていた「デザイナーズFILE 2011」が手元に届きました。コンパクトで凝縮されたすてきな装丁の本からは若いデザイナーの息吹が感じられました。いつの間にかと、とぼける気はないのですが紹介されているデザイナーの中でもとっても年上になってしまいました。
しかしわたしは新卒で会社に入ったときから定年はくるものだと覚悟をしていました。明確に。そこから逆算して会社を辞める時期を考えていたところもあります。この年でも現役のプロダクトデザイナーでやれているのがとてもうれしいということをこの本から確認した次第です。(アキタ)

●先月から卒展をいくつか見てきたが、いわゆる形態そのものよりも、テーマの持つ社会性、それを現実化するシステムデザインに対象が大きく移行していると感じた。必然的にその表現としても、レンダリングよりもピクトグラムやまんがによる説明がより重要となっている印象を受けた。一方、21_21で開催されている「倉俣史朗とエットレ・ソットサス」展を見ると、改めて詩的なイマジネーションの世界、スケッチの持つ魅力、実物で見せる力、ことばの力を感じずにはいられなかった。この両極をどう一本化できるか? そんなことを考え続けた1カ月であった。(イフジ)

●iPhoneのカメラ機能で、手書きのノートを歪みなく取り込めるキングジムのSHOT NOTE。初回出荷分は、ほぼ売り切れて、次の入荷は少し先になるとのこと(AssistOnには、まだ少しだけMサイズがある)。初期ユーザーが2冊目も買うかで、本当に成功と呼べるかどうかが決まるが、いずれにしても素晴らしい着想で、他の文具メーカーには、かなりよい刺激になっているようだ。(K.O.)

●SNSやTwitterなどのデジタルコミュニケーションツールが日常的になっている。先日の某国の市民運動もそれらが活躍した。毎日さまざまな情報が、世界中を駆けめぐっている。私も時々自分自身への書き込みをチェックしている中で、偶然にも同姓の方が、私自身の名前を出して会いたがっていることを知った。そして、ついに先日お会いした。名字が珍しいので、日常的に気にしているのは同じで不思議ではなかったのだが、彼が建築史家だったことで、仕事のジャンルがかなり近かったことと、父上は私が知る方だったのは興味深かった。こうした出会いも、デジタルのなせるワザと改めて思う。(くらまさ)

●春も近づいた休日、井の頭公園でお弁当を食べていると、あるご夫妻がカモにエサをあげました。近寄ってくるカモ、それを見る人たち、そして…カモを狙う猫。カモに夢中の猫は、今にも池に飛び込もうという勢い。そのまま本能的に引き寄せられ、池の上の木をつたって、枝がバキッとなったところでジタバタしながら正気に(?)戻りました。どうにか地面に戻ってきた猫。いざとなったら助けにいこうと思っていたので、無事で何よりなのでした。(佐々木)

●昨年度、初めて出展した「京都ビジネス交流フェア」(http://www.ki21.jp/bp2011/)内「KYOTO DSIGN WORKS SHOW」に、今年度も出展してきました。京都を中心とする関西圏に事業所のある中小企業が参加するビジネスフェアは2日間で7,200人の参加…という、東京ビッグサイトのような巨大な見本市と比べると小規模ですが、来場くださった皆さんや、出展者同士の密なコミュニケーションができる場です。2回目となる今年は、昨年お会いできた方との再開があり、収穫の多い出展でした。(ナカバヤシ)

●「おニャン子クラブ」から「AKB48」へ。これはアイドル集団という方法論を時代に適合させて再パッケージした成功例といえるでしょう。アイドルという根源的なニーズもパッケージが古ければ見向きもされません。「本質」と「表層」。このことを最近考えています。pdwebも3年半が過ぎ、平たく言えば「次、どうしよう?」ということなのですが、もう少し悩みが続きそうな2011年の春です。ただ、メディアは基本的に時代を映す鏡のようなものなので、「次、どうしよう?」は、今の業界全体が抱えているテーマでもあるのかもしれません。もちろん誰にとっても永遠のテーマとも言えるのですが。
さて、少しコンテンツの更新が遅れていますが、「座談会」、「旬のプロダクト」、「素材とデザイン」、それぞれまとめ段階に入っています。アップまでもうしばらくお待ちください。(森屋)


▼2011年2月1日
●今「Facebook」の創設者の若者をテーマにした「ソーシャルネットワーク」という映画が評判になっています。考えてみるとデザイナーとして社会に出てからずっとパソコンとどうつきあうのが良いのかということが、自分にとって重要なテーマでありつづけています。そこには「世の中に遅れてしまう」という強迫観念のようなものがつきまといます。さすがにこの頃は、自分のスタンスが少しは見えるようになったようで、iPhoneもツイッターもFacebookも乗り遅れたままでよしとしています。そういいながらiPadには「乗ってしまった」んですね。実際につかってみてわかったのはiPadには「遅れた最先端」という今までにパソコンに感じたことのない感覚があるのです。その遅れたように感じさせるところが、自分にちょうどあっていたのかもしれません。(アキタ)

●大学では後期の授業も終わり、いよいよ卒業展のシーズン到来である。すでに展覧会が始まっているところもあり、さっそく見てきたが、近年の学生の 伝達力は上がってきていると感じた。3次元造形機によるモデルや、3DCADのレンダリングの完成度の高さをはじめとして、説明パネル自体がわかりやすく、自らの作品が伝えたいことがうまく伝達できるようになってきている。また学生のポートフォリオの質も最近高くなってきている。このよう に表現力と伝達力が高まった今、改めて発想力が作品の質を左右する時代になってきたように思える。(イフジ)

●近頃、日本に代理店がなくて海外から直接購入するガジェット類の価格が、不思議と200ドル前後であることが多い。どれも内容を考えると、リーズナブルあるいは場合によっては安く思えるものばかりだが、機能やデザインセンスと対価のバランスにおいて、200ドルというのは1つの目安になっているのかもしれない。(K.O.)

●センター試験も終わると、卒業制作展があちこちで開かれはじめる。大学や専門学校の学生達にとっては、集大成の大仕事。支援をしてきたその成果を見ようと、会場へは親御さんたちも足を運んでいる。非常勤でお手伝いしている数校の展にもいくつか顔を出し、力の固まりを確認する。作品を見るほか、直接の授業から離れた学生たちとの再会も楽しみだ。懐かしい名前や顔が並ぶ。そんな作品群の中に、その大学で初めて教えた学生の学籍番号を見つけた。卒業おめでとう八年生。(くらまさ)

●先日、とあるショッピングモールに行きました。数年ぶりのそこは記憶よりもはるかに大きく、お店がとても多い。同行者は「セールだから!」と元気にいろいろ買い物していましたが、私はたくさんのモノたちを見るだけで頭がいっぱいに。次は雑貨屋だけに狙いを定めて行こうと思います。(佐々木)

●技術革新や社会現象が、趣味の世界をガラリと変える事がある。そんな中でスパイラルのように自分の趣味も、盛り上がっては冷め、また再び昔の趣味に没頭するそんな繰り返しであったが、ここのところその動きが止まったまま。バイクは最後の1台を売り払い、熱帯魚の水槽はただのガラスの箱のまま、鉄道模型はレイアウトを拡張する場所が無く、ラジコンヘリもエレドラも自室でほこりをかぶったまま。次はそろそろ天体望遠鏡を持ち出そうかと思うが、まずはいつ収穫できるか分からない仕事に忙殺される日々をなんとかせねば。(芝)

●社団法人日本インダストリアルデザイナー協会(JIDA)の「賀詞交歓会」が1月21日にアクシスギャラリーにて行われた。今年度の基調講演は、Twitter(ツイッター)タイムライン上でフォローしておくと面白い人ランキングで堂々の1位(情報雑誌「ゲットナビ2月号」(学研))を獲得した芦田宏直(http://twitter.com/#!/jai_an)さんによる『デザインの意味論―見ることと見終わること』という内容。「だから心理学はだめなんだ!」「反省するやつは良心がない!」「見終わってるのに、まだ見ている世界…が現実」など、哲学的にデザインに切り込みつつ、印象に残る鮮烈なフレーズの数々は刺激に満ちていた。(ナカバヤシ)

●1/28配信のメルマガではすでにお伝えしましたが、弊社編集制作、ソフトバンク クリエイティブ刊行の「デザイナーズFILE 2011」が間もなく発売されます。2月中旬には書店に並ぶ予定です。またアマゾンなどネット書店系ではすでに予約を受け付けているようです。3,000円(税込み)。本書は日本デザインのクオリティの高さを再認識できるとともに、126組のデザイナーのみなさんのモノ作りへの真摯さを実感できる、ある意味刺激的な書籍になったと思います。ご興味のある方はぜひご一読お願いいたします。(森屋)
表紙カバー(+背表紙)→ http://pdweb.jp/mailmag/10_df2011cover.jpg


▼2011年1月1日
●pdwebのデザインコンペの話に触れないわけにはいかないですね。5人の審査員が異口同音に同じ内容の指摘をしたわけです。先生5人に言われてしまっては話を聞かないわけにはいきません。「表現力とモノ作りに対する配慮のバランスがとれていない」そこに尽きるのかと思います。まあもともとそういう傾向はあったのですが、2010年はそれが特に顕著だったように審査員のみんなが感じたんですね。わたしの頭の中では「表現力と思考力」というのは、密接につながっていて、よいプレゼンテーションと中身のよさはイコールだという意識がどうしても拭い去ることができないので、余計に反動が大きくてがっかり感も増えてしまいます。どうしたらいい方向に向かうのか。難しい問題ではありますがみんなにとっても考える必要のあることかと思います。(アキタ)

●iPhone/iPadで操縦する4ローターのラジコンヘリ、AR.Droneで、初めて知人と対戦を行ってみた。1人で飛ばしているのとは、また違った面白さと緊張感がある。こんな製品が、トイザらスでは2万8千円弱で販売されているのは驚異的だ。(K.O.)

●本当に1年が早く感じる。年ごとにその早さが増してきているような気がしてならない。2010年もいろいろなことがあり、年の初めには思いもしなかった驚くほどの変化があった。そしてその流れで年が明ける。2011年は、ちょっと、変わったことをしてみようかと企んでいる。別れもあるが、それよりも出会いが増えるだろう。2012年に大きな変化が訪れるという諸説渦巻く中、自分自身のパラダイムシフトが始まっているのかもしれない。今からわくわくする。(くらまさ)

●今年はたくさんのデザイナーさんとお会いし、お話しすることができました。皆さん自分の手でモノを作っているという自信や力にあふれていて、とても魅力的でした。デザイナーの皆さん、刺激的でこちらまで楽しくなるような場をいただき、どうもありがとうございました。(佐々木)

●12月初旬に香港で行われた「BODW(Business of Design Week) 2010」は、日本がアジアの中で初めてパートナー国として参加して行われたことで、全イベントの約1/3が日本のデザインやクリエイティブビジネスのプレゼンテーションの場となって開催されました。その中の展示プログラムの1つだった「IDTExpo(INNO DESIGN TECH EXPO )」は、クリエイティブおよびテクノロジー分野の専門家と企業が参加する国際的な見本市の位置付け。この中に日本からの約50社が参加して「JAPAN PAVILION」が作られ、ここに私も展示とパネルディスカッションのパネラー等で参加をしてきました。広東語と英語が並列表記の街並を走る2階建てトラムが象徴的な香港に、日本のデザイン関係者の集結した状況は、とても刺激的で今後の示唆を含んだ体験でした。(ナカバヤシ)

●あけましておめでとうございます。本年もpdwebをご愛読のほどよろしくお願い申し上げます。2011年のことをいろいろ考えています。今年の特集は「素材とデザイン」にしようかと思っています。新素材を含む、いろいろな素材でモノ作りにチャレンジしているデザイナーさんを訪ねていきます。連載の新シリーズも検討中です。
あ、それと年末、自宅にルンバがやって来ました。iRobot社の丸いお掃除ロボットですね。心配していた動作音はそれほど気にならないし、なにより掃除能力が高いです。また学習しながら掃除する動作が可愛いらしくて見ていて飽きない。ペットみたいで、餌をあげたくなります(笑)。ルンバは日本での販売台数が現在20万台とのことですが、 この市場はもっと成長する気がします。こういうホームオートメーション系のデザインってまだまだ未開拓な潜在ニーズがある気もするのですが、どうなんでしょう。(森屋)

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