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新世代デザイナーのグランドデザイン


●アンズスタジオのデザインアプローチ

−−アンズスタジオのデザインワークは、具体的にはプログラミング主体だと思いますが、例えば形態生成プログラムなどのプログラムそのものは竹中さんが書いているのですか?

竹中:そうですね、プロジェクトに合わせて1から書いています。

−−いろいろなプロジェクトがありますが、ベースになるアルゴリズムはあるのですか?

竹中:プロジェクトごとにゼロからスタートすることが多いので、案件ごとに岡部がリサーチを行い、そこからみんなで話し合いながら自分たちなりのストラテジーを決めます。それに向かって、既存のツールがあればそれを使いたいのですが、ほとんどの場合最適なものがないので作らざるを得ない状況ですね。

例えばロボットを自由に動かして、不定形な溶接を行いたい。そのため既存の1,000万円のソフトを買ってきても実現できないんです。既存のツールはある用途に対してのソリューションでしかないのですね。新しいストラテジーにはすべてツールがない状況になります。結局作らざるを得ないので、できるだけ簡潔に展開できるように作っています。

−−言語は何で書かれるんですか

竹中:まちまちですね。たとえばRhinocerosのようなソフトであれば、スプリクトを使います。ソルバーとの連携はC++やDotNetなど、ロボットを動かす場合はロボット言語を使います。連携する言語は、テキストファイルで吐き出せるものです。XMLのようにスキームさえ分かれば運用できるコードは万能です。

よく使う部分はライブラリ化もしています。オープンソースになっている環境エンジンをRhinocerosで使えるように埋め込んでみたりして、独自のツールにすることもあります。

−−RhinocerocのプラグインツールのGrasshopperはいかがですか?

竹中:Grasshopperはどんどんよくなってきています。もともとGenerative Components、GCというツールが主流だったんですけれど、今は学生たちもGrasshopperを使いこなせる状況になってきています。GrasshopperはVPLによるGUIが特徴ですね。ただどうしても簡易な面があるので、得手不得手があります。ですから得意な面を使えばよいシミュレーションができますし、新しいプラットフォームとして注目しています。

−−たとえばコンピュテーショナルデザインを行いたいけれど、プログラムが書けないというデザイナーにとって、Grasshopperは1つのソリューションになりますか?

岡部:利点はあります。ただそういうデザイナーの方は、むしろ私たちのような職種とコラボレーションする方が結果として効率的だと思います。

竹中:プログラム書けるデザイナーは職能として理解するべきで、デザインが上手い人はデザイナーとしての職能に集中するべきだと考えます。日本人の特徴として、全部自分でできるのがエリートみたいな教育が行われてきましたけれど、海外ではそれぞれの職能で協働しています。建築家が自ら図面を描くこと自体、海外ではおかしな状況なんです(笑)。

岡部:インターナショナルのスタイルは、自分がどうコントリビュートできるか、なんです。デザイナーはデザイナーの役割をもっと磨かなければいけない、下手なことに手を出している暇はないはずです。音楽に例えれば分かりやすいですけれど、バイオリストがピアノやフルートなんでもできるといっても意味がなくて、バイオリストとして秀でていないとオーケストラに居場所はないわけです。自分の職能をきちっと理解しながら協調するのが次の時代のモノ作りの根本なのかなという気がしますね。

−−でもプログラマーにもデザイン感性が必要ですよね。

竹中:優秀なプログラマーはたくさんいます。プログラマーに限らず、専門家はもう世の中的に飽和しています。今後必要なのは、こういった専門家たちの中間を行く人たちですね。先ほどダブルディグリー教育の話をしましたけれど、例えばアートを学びながら数学を学ぶ、数学者だけれどもアーティストの教養も持っている。そうすれば新しい職能を持つスペシャリストとして世の中にコントリビュートできるようになります。

岡部:専門の職能がないとジェネラリストになってしまいますね。スペシャリストでなければいけない。私たちの場合でいえば、プログラミングというコンピュータサイエンスの部分とアートを学んだバックグラウンドを持つスペシャリストです。その職能はどうすれば役に立つかを考えています。

スペシャリストには、いろいろな組み合わせがあると思いますので、新しいデザインがどんどん豊かになる可能性があると思いますね。

−−若い世代はインターナショナルに目を向けているというより、足元の地場産業をどうするかに注力している印象があります。

竹中:たしかに、みなさん世界に出ていかない印象がありますが、世界のいろいろなものを見てから戻ってくれば、ローカルにたくさんのものを持ち込めると思います。若い人の夢とか希望とか、次の時代の役割ですよね。

それと今は、海外から異業種がどんどん入ってきます。Googleのようにコンピュータサイエンスの領域からロボティックスや建築に参入してきたり、そういった大きな流れはどんどん変化しています。スペシャリストだからといって安泰かというとむしろ厳しい時代になってきます。どんどん融合していきながら場所を探していかなければいけないです。

●デザインの未来へ

−−アンズスタジオのビジネスモデルと今後をお話しください。

竹中:アンズズタジオを立ち上げた当初は、手探りでした。ただデザインに関して、私たちの職能による新しいアプローチで活動したい。そういう風に貢献できれば、デザインをもっと強くできる。デザインはお絵かきで終わるのではなく、工学と組み合わせてちゃんとビジネスモデルにしてお金を生み出す、社会に貢献できる仕組みにしていくことが次のデザイナーの役割だと思います。

今までデザインは、たくさんの情報を頭の中で処理しながら、たった1つのものを作る作業でしたが、それを社会の仕組みの中で動かすビジネスモデルにしていくと、自ずと経営に関わることになります。デザイナーは、大きな全体を動かす能力を問われることにもなります。そして、本来のデザイナーの力というのはそこにあると思っています。

デザイナーが、たくさんの情報をさまざまな形状や行動に変えることのできる職能だとすれば、その職能を自分たちで勝ち取るべきだと思います。何が弱かったかというと、デザインは意匠として捉えられてしまっていたからです。きちっとしたビジネスモデル化、そして工学化。多くの人たちが数値上で納得できる面と、感覚的に許されるところを組み込める仕組みを作っていければ、デザインは大きく変わります。

アップルコンピュータのデザイナー、ジョナサン・アイブは副社長です。日本でデザイナーが副社長のポジションを持っている会社がどこにあるのでしょう。これがデザイナーの職能の正当な評価だと思います。彼がデザインしたカラフルなiMacは、アップルを立て直すための起爆剤になりました。デザインがきちっと経営戦略とマッチして動かせたのです。こういうデザイナーがどんどん出てこないと、デザイナーは使い捨てという慣習になってしまう。日本のスタイルはあまり健全ではないと思いますね。

発想とテクノロジーを組み合わせながら、そして問題を解いていく。そういう思考が次のデザイナーに求められています。アンズスタジオの役割としては、デザインから生産を含めた経営戦略をフォローできる技術集団になれればよいと思います。

−−そういったことをクライアントに理解してもらう努力も必要になりそうですね。

竹中:そうですね、すでにグラフィックデザイナーの方々はすごくいい挑戦をされていますよね。もともとポスターなど視覚伝達の仕事だったのが、今は経営コンサルティング的なところまで踏み込んだ職能をきちっと勝ち取っています。多くのデザイナーはそういう能力を持っていますから、実績をあげて結果を出すことしかないですね。建築でも「商品が売れるビルを作ってください」という要望があれば、こんな形が面白いですよだけではなくて、経営にきちっと応えられる、商品が売れるビルの設計をするべきです。

岡部:数値的な情報やマーケティングリサーチをきちっとやりながら、しっかりした土台を形成し、意匠に変えていく。リサーチには成功事例も重要ですが、失敗事例から学ぶことも多いですね。そして建物が経年変化していく、時間軸のサスティナブルな状況まで提案していく。そういうところまでデザイナーが扱えればよいと思います。

−−アンズスタジオとしては今後も建築、ロボットメインですか?

竹中:我々の技術がどこで貢献できるのか、常にリサーチしていますし、挑戦しています。例えばロボティックスの分野は、プロダクト、建築などモノ作り全般に役に立ちます。まずは、コンピュテーショナルデザインとデジタルファブリケーションをもっと自由につないでいきたい。情報と連携する万能な道具がロボットだとすれば、ロボットをもっと成長させるためのルール化をしていかなければいけないと思っています。

−−最後に若い読者へ向けてメッセージをお願いします。

岡部:分野を超えて、自分の住んでいる町を超えて、日本を超えて、世界に出て行ってほしい。海外には非常に挑戦的なことをしている人がいっぱいいます。デザイナーも世界に出て、自分の夢に挑戦して欲しい。ネット時代とはいえ、住んでみないと海外の感覚は分かりません。

竹中:その話につながりますが、若い人にはたくさんの経験、たくさんの失敗をして欲しい。どうしても教育は失敗したら「×」と教えがちですが、実は失敗しないと「○」が出ないんですね。
これからの時代、答えのないことの方が多いので、答えを見つけられる力を付ける。そのためには、たくさんの失敗をしてください(笑)。

−−ありがとうございました。

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形態生成プログラム
「風のようなかたち」「光のようなふるまい」そうした目に見えない現象を正確に図面化したい。従来のソフトウェアでは困難だった表現を、コーディングの技術を用いて実現。(クリックで拡大)





木漏れ日プログラム
「木漏れ日プログラム」による小学館神保町3-3ビルのファサードデザイン。オフィス空間に柔らかな自然の光を演出するため、「木漏れ日プログラム」を開発。外装パネルには大小20万個の穴を操作し、環境データと連動して風形、光形をデザイン。パネルはデジタルファブリケーション技術で制作。(クリックで拡大)




神保町 SFIII
建築設計:日建設計
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種まきプログラム
「種まきプログラム」によるソニーシティ大崎 ランドスケープ計画。都市環境に「自然な森」を生成するための「種まきプログラム」を開発。刻々と変容する都市環境情報に対して植物がどうのように応答するかという観点からデザインが導き出された。(クリックで拡大)




NBF大崎ビル(旧ソニーシティ大崎ビル)
建築設計・ランドスケープ:日建設計
(山梨知彦、羽鳥達也、石原嘉人、川島範久)












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