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インタビュー

たった1人で家電業界に切り込んだ新世代家電メーカーの先駆者

2015年8月、UPQは17種24製品を同時発表して、センセーショナルなデビューを飾った。そして2016年2月に第2弾の製品群をリリース。SIMロックフリースマートフォン、ヘッドフォン、キーボード、アクションスポーツカメラなど、blue x green、navy & redの特徴的なカラーリングを持つUPQの製品群は、これまでにない個性を放っている。たった1人で家電業界に切り込んだ中澤優子氏に、その戦略や想いを聞いた。

[プロフィール]
中澤優子:1984年東京生まれ、中央大学卒業。2007年カシオ計算機株式会社入社、携帯電話・スマートフォンの商品企画、プロダクトマネジャーを担当。2012年、カシオ退職後、商品企画を専門にフリーランスとして活動、また2013年にカフェをオープン。2015年株式会社UPQを立ち上げる。現在同社代表取締役。
http://upq.me/jp/


●カシオ、カフェ、そしてUPQ設立へ

−−中澤さんはカシオを退社後、フリーで商品企画、プロダクトマネジャーの仕事をしながらカフェを経営。その後2015年にUPQを設立されて、DMM.make AKIBAを拠点に再びモノ作りの世界に戻られました。そしてUPQとして2015年8月に第1弾の製品群を発表され、2016年2月に第2弾を発表されました。個人の活動としては、相当なパワーを必要とされたと思います。

中澤:カシオ時代から商品企画担当としてゼロからモノ作りを行っていました。デザイナー、エンジニア、営業など関係者と話を詰めながら、プロダクトマネジャーとして企画から販売まですべてに関わってきました。

UPQでもそれと同じことを行っています。私が統括して全体を見ていて、各工程においてデザイナー、エンジニアなどのプロのメンバーがいて成り立っているということですね。

−−製品はすべて中澤さんのアイデア、企画から始まっているのですか。

中澤:はい、製品イメージのラフスケッチからラフ仕様書まで私のほうでまとめて、それを製品化するために各メンバーに落とし込んでもらいます。

−−企画の段階からラフスケッチまで描かれると、デザイナー的要素もお持ちなんですか?

中澤:いえ、私はデザイナーではありません。デザインは、私の言葉、ニュアンスや意図を汲んで具体化できるメンバーに任せます。私はあくまでも商品企画者であり、プロダクトマネジャーです。出しゃばりすぎない配慮もプロマネに必要な要素だと考えています。

●プロダクトマネジャーとしての役割

−−UPQにおいて、中澤さんは経営者として、プロダクトマネジャーとして、モノ作りの上流工程から下流工程まで、そして販売もすべてご自身で統括されているわけですね。

中澤:企画者やプロマネ、デザイナーが上流、製造が下流ということ認識はカシオ時代からなく、最初から全部、プロジェクトチーム全員で理解してやらないと意味がないと思っています。

メーカーによっては、デザインが強い、開発が強い、営業が強いとよく偏りがあるように言われますが、それではダメ。私ができないことができる、プロフェッショナルなチームの全員をまとめるのが私(プロマネ)に必要なスキルだと考えています。

ですから、たとえUPQ社内にデザイナー、エンジニア、営業のメンバーがいなくても、プロマネとしてのスキルがホンモノなら、外部のプロの方々ともモノを作ることができると考えます。

−−なるほど。UPQの製品はデザイン性に優れていると思いますが、デザイナーは見えないですね。

中澤:はい。デザイナーの名前でUPQの製品を売ろうとは考えていませんので。「UPQ」というブランドのブランディングを第一に考え、デザインディレクションを私自身で行う形をとっています。

−−UPQ製品はDMM.make STOREをはじめ、ヨドバシカメラ、ビックカメラ、ヤマダ電機、蔦屋家電、アマゾン、楽天などで販売されていますが、ロットで作るのですか、受注生産ですか。

中澤:ロットです。ロットで作らないと量販店に納品できません。

●UPQ製品群のコンセプト

−−UPQ製品の誕生背景、市場分析などをお話いただけますか?

中澤:今の時代、モノも情報も溢れていますよね。特に家電に関して言えば、新製品を出しても「高機能であること」や「優れたデザインであること」そして、「価格」についてしかうたっていない。そこに対してユーザーはどれだけ評価しているのでしょうか? いわゆる一般の消費者、大衆は、新しいデザインプロダクトだからといって、必ず購入してくださるわけではありません。

一般の人が量販店でモノを買う場合の基準は、型落ち品でもいいから価格とスペックとデザインのバランスのよいものを選んでいると思います。要は、安くてもダサいのは買いたくないし、一方ハイスペックでも価格が高ければ敬遠するということです。

少し前まではハイスペックの高級製品も売れたのですが、2010年頃からモノが飽和してしまって、面白くなくなってきました。いつでもどこでもモノは買えるのに、買いたいと思えるモノが少なくなってきたと言われて久しいわけです。

そんなとき、よく「デザインの力で」って言われるんですけれど、それだけではダメだと思うんです。デザイナーだけでも、エンジニアだけでも、セールス、価格の話だけでもダメ。繰り返しになりますが、プロジェクトチーム全員で理解してつくらないと意味がないんです。

また大手メーカーは、部署ごとに分断されてモノを作る傾向が多いために、モノの力が失われているのではないでしょうか。出せるはずの力も最大限出せていないのではないかと感じています。今思えば、カシオ時代は恵まれていて、どのメンバーも顔が見えていて、みんなで相談してモノを作っていました。そういった中でモノを作ることで、商品における自分の役割を明確に理解しながら、どうやって作り、売っていこうかと初めて考えられるのではないかなと思います。

例えば「デザイン優先の商品である」と定義した場合、デザインからしかアプローチできないと思い込み、それを一番重要視すると価格が高くなってしまったり設計が難しくなったりとなりがちですが、「デザイン優先」とはいえ、我々がつくっているのは大量生産品であり嗜好品。ユーザーが「何でこれを買ってくれるのか?」を常に考え、自分が商品にできることは何かを全メンバーが知恵を絞ることが重要、という意味です。職種での上下関係なんてないということ。

−−モノが売れなくなってきて、メーカーもユーザーに何を提案してよいのか、分からなくなってきたのかもしれません。

中澤:この時代、家電はみんな持っています。携帯もテレビも炊飯器も洗濯機も持っていて、ないモノはないんですよ。新しいモノを追加しようがしまいが生活は困らない。

家電は嗜好品なのです。普通の人は購入動機を持ちにくい。家電はそういったモノ作りのビジネスとしても非常に難しくなってきてはいます。

−−UPQ製品は「愛着」と「仕掛け」がコンセプトとのことですね。

中澤:UPQの「愛着」と「仕掛け」で一番大事にしているのは、ワンポイントで誰かに自慢できる特徴を持つことなんです。

「これデザインすごいでしょ!」と言っても、それが相手の好みでなければ「へー」で終わってしまう(笑)。それではダメでもっと本質的な特徴を持たせたい。

例えばスマートフォンの「UPQ Phone A01/A01X」ですが、ああいったカラーリングで1万円台のスマートフォンはいままでなかったんですよ。デザインや機能にこだわる方向を見つめ直して、ユーザーに向けてちょうどよいバランスの製品を提供する。デザイナーだけの目線で言えば、諦めなければならない部分も多々ありますし、エンジニアの目線で言えば、スペックを諦めなければならない部分が多々ありますが、結果としてデザイン、スペック、価格のバランスで落としどころを決めるのが私の役割だと思っています。

まだ名前も知れていないベンチャーの製品を買うのは「安かろう悪かろう」と思われがちかもしれませんが、1万円台のスマートフォンでも「買ってみてよかった」と思われるモノ作りを行っています。それが「愛着」につながっていくと思うからです。

そして「仕掛け」ですが、長く使ってもらうからには単調でない製品にしたい。家電ですからソフトウェアアップデートが可能です。ソフトを改善するだけでなく、遊び心も入れられる。アップデートしてみたら見たことのない機能も追加されている。そういうところで「人が作っているんだな」と人間味がユーザーに伝わると嬉しいですね。

−−確かにUPQ製品には中澤さんの顔が見えますよね。

中澤:私は顔を売りたくてUPQを立ち上げたわけではありませんが(笑)、UPQというブランドを大事にしたいですね。ブランディングに関しては、マーケティングの観点からもデザインの観点からも、かなり意識しています。

UPQ製品を買っていただいたら、長年付き合ってもらうわけですから、そういった中でUPQ製品を少しずつ知っていってもらいたい。UPQ製品のファンが作れるといいですね。

ブランドって名前をつけて広告すれば売れると勘違いしている人たちが大企業の中にも大勢います。「女子向けブランドならキラキラ、ふわふわ」って、そんなんじゃ売れないんですよ(笑)。

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話を聞いたUPQ代表取締役の中澤優子氏

 

 

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