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コラム
イラストリレーコラム:若手デザイナーの眼差し

第112回 永田 敦/建築家

このコラムページでは、若手デザイナーの皆さんの声をどんどん紹介いたします。作品が放つメッセージだけではない、若手デザイナーの想いや目指すところなどを、ご自身の言葉で語っていただきます。





●初心:どんな建築を作っていきたいか?

例えば住宅であれば、お客さんの要望をただ単に受け入れて、ちょっとだけお客さんの想像を超えて、満足してもらうだけの仕事はしたくない。建築は誰にとっても身近なもの過ぎて、安易な存在に感じてしまうかもしれない。だからこそ深い歴史があり、発展進化し、非常に奥ゆかしく、価値のあるものだと思っている。

私は、原始的で根源的な人間の歩みの中で、少しでもそのダイナミズムの発展に寄与した、今までにない建築を考えていきたいと思っている。大きなことを言っているようだが、ほんの少しでも、そうなっていたら良い。建築家の自己満足だの、古い考えだのと揶揄されるかもしれないが、その新規性は、施主にとって、もっとも適している解答でもあることは言うまでもない。そんな、消費されるだけでない、今までにない建築を作りたいという初心は、建築を学び始めてから10年以上経った今でも変わっていない。

そして、それを実現するには、建築をつくる初期の構想段階がもっとも重要だと思っている。構想段階で良い物になる確信が持てなければ、その後に続く実施設計や現場監理、ましてや、完成後何十年も存在し続ける建築と向き合うことを想像するだけで恐ろしい。だからこそ、最初が肝心で、建築の軸になる構想に力を注いでいる。

●初心の実践方法

いくつか信じている建築家の言葉がある。

「一言で説明できない建築は良い建築じゃない」
「アイデアの切り口の鮮やかさを大切にしている」
「アイデアとは、1つの操作で複数のメリットを生み出すこと」
「100案を考え、もう案が出なくなってきたときを超えると出てくる」

これらの言葉を満たしているかが、私の建築思考の合格条件になっている。実践方法としては、アイデアを考える上で当たり前のことであるが、主に以下のようなことを踏まえて実践するやり方が、自分に合っていると思っている。

10分で10個の案出し、60分で10個の案出し、60分で1個の案出し。それを再度眺めて、グルーピングしたり、カテゴライズしてみたり。
模型、文字、題名、詩的な文章、ダイアグラム、平面断面、CG、など、さまざまな切り口で脳を刺激する。
アイデアの途中段階で、これは違うと思い込み、切り捨ててしまうこともあるが、いかにその可能性に気が付くことができて、拾い上げることができるかが大事なので、最後までどの案も切り捨てないで、眺められる状態にしておく。
知識も大事、インプットからの派生から生まれる。
適当に描いたスケッチに対して、仮に検討を深めてみて可能性を探るという、トライ&エラーを繰り返して、ジャンプすることもある。
自分のアイデアは面白いと思い込みがちに注意。

●実践の実作



▲RoS house:廊下を通すことで、耐震補強になり、空調効率が上がり、一人暮らしのスケールに合った暮らしが実現。既存建物の特徴を読み解き、正方形の同じ大きさの4部屋ができるようにプランが解けたことで、ストーリーが完成した。(クリックで拡大)




▲RoD house:梁型を住まい全体に設けることで、既存の大きな梁の違和感をカモフラージュし、露出だらけだった配線・設備類を内包し、頭上の梁型は動線に干渉しないため、施主の要望通りのプランニングを可能に。(クリックで拡大)



▲nami zaimokuza:部屋を取り囲む吊戸棚に、配線、レール、照明、エアコン、スピーカー、レンジフードを仕込み、機能的でありながらも、意匠的なデザインを実現。「Nami」と言うお店のコンセプトから、家具の形態やタイルや左官の仕上げを選定。(クリックで拡大)






▲小規模事務所(2021年内完成予定):板は、スパンが小さくなったら、ほとんどたわまなくなり、床として扱えるのではないかという着眼点から、自由に移動できる家具のような可動床建築ができるのではと。(クリックで拡大)




▲1点の内部空間(いつか実現したいアイデア):なんとなくスケッチで描いた幾何学模様に、建築的解釈を加えてみたら、新しい内外の概念的特徴を示せるのではと。(クリックで拡大)



▲二重螺旋階段:仮に二重螺旋の階段を配置してみて、可能性を模索してみたところ、動線がクリアになることに気が付いた。(クリックで拡大)



●最後に

マーケティングという視点が欠けているのは自覚しているのだが、今はゆっくり、自分のペースで建築に向き合い、自分らしく建築との関係を育み、洗練された建築空間の実現を目指したい。焦り急ぎたくはないし、今を一生懸命、自分が納得して情熱を注ぎ込めるスタイルでいることの方が、長い目で見て効率が良いと思っている。



永田 敦/Atsushi NAGATA
1987年埼玉生まれ。東北大学にて建築を学ぶ。地方コンプレックスも有り、全国を知るためコンペに応募し続け受賞歴は10以上。卒業後は、TNA一級建築設計事務所に就職。その後、2018年NagaArts設立。
https://nagaarts.com/
https://www.instagram.com/nagaarts/




2021年8
月23日更新。次回は植松千明さんの予定です。


※本コラムのバックナンバー
http://pdweb.jp/column/index.shtml#mailmag

 


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