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イラストリレーコラム:若手デザイナーの眼差し

第84回 小林宏嗣/VT Pro Design

この連載リレーコラム「若手デザイナーの眼差し」では、プロダクトデザインやインテリア、建築などを手掛けている若手デザイナーの皆さんの”今の声”をお伝えしていきます。




デンマーク・コペンハーゲンの森田さんから、バトンを引き継いだ小林宏嗣と申します。前回の記事読んで即本人に連絡しました。ハードル上げてくれましたね…と。

先にお話ししておくと、自分個人の裁量で空間デザインをしている身分でも何でもなく、あくまでもチームの一員として会社がクライアントから受けた仕事をしています。期待をされていた方々、ごめんなさい。ただ、アメリカ国内を回りながら最高に面白い環境で仕事ができているので、そのあたりをお伝えできればと思います。

ちなみに森田さんとの出会いは2年前にコペンハーゲンを訪れた際、共通の知り合いの知り合いという形でした。記事のとおり、「ニュー・ノルディック・キュイジーヌ」の素敵なレストランで食事をしました。味も見た目も今まで見たことのないような趣向を凝らした品ばかりで、今でも鮮明に記憶に残っています。

●勤務している会社について
さて、自分は現在ロサンゼルスのVT Pro Designというクリエイティブスタジオに勤務しています。クライアントはGoogle、Netflix、WarnerBrosなどなど。ハリウッドで映画のプロモーションイベントを行ったり、SXSWで体験ブースを作ったり、Coachellaなどの音楽フェスティバルで特設ブースを作ったりしています。自社企画のプロジェクトとしては、ロボットアームにライトを取り付けたアートインスタレーション「Telestron」が代表的な作品です。



▲VT Pro Designのアートインスタレーション「Telestron」。(クリックで拡大)









人数は全部で40名弱。内訳はおおまかにオフィスマネージメント5名、クリエイティブディレクター5名、CGデザイナー8名、テクニカルスタッフ8名、ショップスタッフと言われる大道具さんのようなチームが12名ほどです。

自分はCreative Techという部署に属しており、アイデアに対して実現可能なテクノロジーを提案、テスト、現場でのセッティング、運用まで落とし込むのが仕事です。具体的なプロジェクトについては後述します。

社内は大きな倉庫を改装した造りになっており、PCが並ぶオフィスエリアの他に、工具がひしめき合う工房エリアが併設され、トラックの搬出入も可能です。分業制が当たり前のクリエイティブ業界において、企画から制作、現場での設置まで行っているVT Pro Designはアメリカでもユニークな存在です。これらの行程を間近で見ることができるのは、自分のキャリアを積む上でこの上ない環境だと思っています。



▲VT Pro Designのオフィスエリア。(クリックで拡大)





▲VT Pro Designの工房エリア。(クリックで拡大)







●レゴムービー2プロモーション
ハリウッド中心街の駐車場に映画の世界観を体験できる巨大な建物を作りました。エリアは大きく2つに分かれており、主人公のエメットが住むApocalypseburgという町と、その後に展開されるSystarという宇宙のシーンです。

それぞれのエリアにプロジェクションマッピングを行い、LEDでできた床やセンサー、VRを使ったいろいろな仕掛けやフォトブース、ムービーブースを作りました。エメットの声を担当したクリス・プラット(ジュラシックワールド主演)のインタビューもここで行われました。



▲レゴムービー2のプロモーション建物。(クリックで拡大)





▲VRを使ったアトラクションも楽しめる。(クリックで拡大)







●NBAオールスターゲーム
2月にノースカロライナ州シャーロットで開催されたNBAオールスターゲームの特設ブースの演出を担当しました。巨大なTVスクリーンを設置し、試合の様子やイベントに応じたグラフィックをリアルタイムで制御できるようなシステムを構築しました。建物の外側にはプロジェクションマッピングを施しています。会場内にはバスケットゴールが設置され、日中はダンクコンテストやスキルチャレンジなどのイベントが行われ、夜はアフターパーティーの会場にもなりました。アートディレクションはニューヨークのデザインスタジオ、エージェンシーと制作はロサンゼルスという役割分担でした。



▲NBAオールスターゲームの特設ブース。(クリックで拡大)





▲建物の外側にプロジェクションマッピングを施す。(クリックで拡大)






ワーキングスタイルについて
文字数の関係で書き切れませんが、上記のようなプロジェクトが最低月2、3件は発生しています。メンバーも決して多くないため、スケジュールが重なることがあれば1、2週間しか作業時間がないこともあります。また、イベントのスケジュール次第で仕事の時間帯も変わるため、土日も関係ないこともあります。ただ、平常時は9時~18時できっちり仕事を終わらせて帰ることが多く、メリハリがはっきりしています。とにかく、皆よく働くという印象が強いです。

また、モノをハッキリ言い合う文化なのかと思っていましたが、皆すごく空気を読みます。円滑にコミュニケーションを取るためのスキルに長けている人が多い印象です。その一方でクライアント都合による度重なるプラン変更、長いミーティングなど、日本で良くある光景も見受けられます。

今後について
西海岸は日本と比較するとアーティストとしてやっていくチャンスにすごく恵まれているように思います。ただ、作家性を打ち出した作品を作っていくよりも、大規模な予算と広大なスペースを生かしたクライアントワークに携わっていくのが今は楽しいです。フィールドが異なるスペシャリストと組み、プロジェクトがどんどんスケールしていく感じが好きです。レゴムービー2は大好きな現場だったので、休日の日も勝手に現地入りしていました。映画公開後にプロジェクトメンバー全員で映画館に行ったのですが、イベント会場でよく聴いていた曲とエンドロールが流れてきたときにはこみ上げてくるものがありました。プロモーションの仕事は、一定期間終了後に形としてはなくなってしまいますが、人の記憶や思い出に残るもの作りを続けていければと思っています。

さて、次回のコラムですが、東京で同僚だった後輩の小谷にバトンを渡したいと思います。「テレビ朝日・六本木ヒルズ夏祭り」において大人から子供まで一緒に楽しめるイベントをともに作り上げてきました。また、ジャンルが異なるさまざまな番組のニーズに対して、独特のキャラクターとセンスで応えてきた空間デザインのスペシャリストです。


小林宏嗣/Atsushi Kobayashi
慶應義塾大学大学院 理工学研究科修了。テレビ朝日技術局コーポレートデザインセンターにて番組のCGデザインや、イベントにおけるインタラクション制作に従事する。2018年よりアメリカ・ロサンゼルスVT Pro Designに所属。受賞歴はDigital Signage Awardグランプリ(2015年)、同賞クリエイティブ部門(2018年)など



2019年4
月16日更新。次回は小谷知輝さんの予定です。

※本コラムのバックナンバー(メールマガジン時)
http://pdweb.jp/column/index.shtml#mailmag

 


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