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第3回:EvolveとInspireを使用したデザインプロセス
最終回の今回は、EvolveとInspireの両方を使用して、既存の製品(ベンチ)を再設計する例を紹介する。
●シミュレーションの目的
既存製品のCADモデル情報をInspireに読み込み、製品がおかれる環境で使用するために最適な形状を検討します。今回の例では、ベンチのシート表面はそのままで、内部の骨組みをいかに少ない材料で(=軽く)、強度を保った(=強い)構造となるかをInspireで見出します。 |
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▲[Inspire] 既存製品のCADモデルの読み込み
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●条件の設定
実際に製品がおかれる状態を考察し、モデルに条件を与えます。例えば、ベンチの背面が壁と接地する範囲には動きを制限する拘束条件を与えます。また、シートの表面に人が座った際にかかる重量を重みとして、CADモデルに直接条件を設定します。Inspireは、面全体やエッジ、コーナー点などの様々な箇所や任意の位置に、素早く条件を与える機能を備えています。 |
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▲[Inspire] CADデータに条件を設定
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●シミュレーションの実行
計算は実行ボタン1つで開始します。終了後の最適な形状は、新たなモデルとして画面上に表示することができます。 |
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▲シミュレーションによる最適形状の抽出
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●新しいデザインの考案
Inspireの構造シミュレーションによって得られた形状を元に、Evolveを利用して様々なデザインコンセプトに具現化していきます。InspireとEvolveの両ソフト間のデータ交換においては、シームレスなインターフェイスを用意していますので、最適化形状をポリゴンモデルとして簡単にEvolveに受け渡すことができます。 |
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▲結果を元に新しいデザインの考案
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●3次元NURBSモデルの作成
Evolveの柔軟なNURBSモデリング機能により、Inspireで得られた最適形状を参考に新しいデザインモデルを構築します。パラメータの変更による形状のバリエーションを画面で調整するだけでなく、コンストラクションツリー(構成履歴)に含まれる既存のオブジェクトに対してプロファイルを後から変えることで、デザイン形状自体のバリエーションを表現することも可能です。 |
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▲[Evolve] 3Dサーフェスモデルの作成
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●最終デザインの検討
デザイン案が固まると、実際のシーンに適応した製品イメージの確認が必要になります。Evolveのフォトリアリスティックなレンダリング機能を用いることで、高品質なイメージ画像をリアルタイムに可視化することができます。製品に使用する材料の質感は、マテリアルライブラリより簡単に指定でき、光源や影などの煩雑な設定項目についても代表的なプリファレンスが用意されていますので、設定変更が簡単に行えます。 |
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▲[Evolve] 製品イメージのレンダリング |
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