┏…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┓ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥       pdwebメールマガジン第38号・・・2013/5/27       編集制作:pdweb.jp編集部 http://pdweb.jp ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ┗…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┛ ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ● pdwebメールマガジン第38号 目次 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ●連載コラム:西山浩平の空想デザイン 第24回:無駄を省くのが趣味 ●リレーコラム:若手デザイナーの眼差し 第14回:竹内 稔/PROOF OF GUILD ●pdwebデザインコンペ2013のご案内 ●編集後記 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━    ■■設計エンジニアのためのコンセプトツールsolidThinking■■ 6/3無料体験セミナー|6/21 DMS2013にて紹介セミナー | 6/27ワークショップ| 6/28ユーザー事例の発表【詳細のお問い合わせ:marketing@altairjp.co.jp】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●連載コラム:西山浩平の空想デザイン 第24回:無駄を省くのが趣味 ○予期せぬ出会い 朝、子どもを保育園に連れて行こうとして家を出たところ、出勤に向かう香さ んとばったり出くわした。お互い近所に住んでいるということをまったく知ら なかったので、その日の出会いは予期せぬものだった。 ちょうど朝7時だった。出勤時刻にしては早いほうだ。オフィスがよほど郊外 にあるか、何か特殊な仕事なのだろうか? その日、香さんは地味だがきちん とした仕立てのダークグレーのスーツを着ていた。しかし外見から、仕事の内 容はまったく想像をすることができなかった。知りたかったが、どんな仕事か 聞く時間もなかった。そそくさと挨拶をして別れた。 その日の午後、香さんからFacebookにダイレクトメールが届いた。プロフィー ル写真には着物姿の写真が載っていた。しかしプロフィールには仕事の内容は 書いていなかった。せっかくだから、週末にブランチでもしましょうというお 誘いだった。そして、近所に住んでいるということ以外は何も知らないまま、 彼女の自宅に遊びに行くことになった。 ○数件先の瀟洒なマンション 香さんが伝えてきた住所に建っていたのは、瀟洒な建物だった。外資系企業の エキスパットをターゲットにしているのだろう、いかにも外国人好みのする感 じの建物だ。 香さんの夫君は有名人だ。脳の研究の一人者でよくメディアにも登場する。と はいえ国家公務員。さすがにエキスパットと肩を並べる報酬をもらっているこ とは想像しがたい。ということは香さんのキャリアも合わさってそこに住むこ とを可能にしているのだろうか? 失礼とは思いながらも香さんの仕事に関す る興味は募っていった。 というのも、香さんと知り合ったのは、非営利団体の活動を通じてだったから である。そのNPOが主催する講演会で香さんはボランティアスタッフをしてい た。ファンドレイジングをするために講演会を開くことになり、僕も話をする ことになった。 講演会当日、僕が前の仕事で遅れて到着したためにリハーサルを十分に行えな かった。あせる僕に香さんが要領よく進行をブリーフィングしてくれた。多少、 きつい物言いだったけれど、正確で無駄のない話し方には、一種の数学的に構 築されたインテリジェンスを感じた。 他の出席者であるお偉方にも悪びれずきびきびと指示をだす、そのなれた采配 ぶりをみて、彼女はTV局でADなどをしているのかなあとぼんやり考えてみたが、 どうも違う。むしろエンジニアっぽい。香さんのバックグラウンドがどんなも のであるか、自分の出番の発表を気にすればよいのに、香さんの正体について あれやこれや考えていた。 身の回りにいるNPOのボランティアスタッフをあえて、二分すると、ミッショ ンドリブンなどちらかという熱情的なタイプと、そうでないタイプに分かれる。 香さんからは、熱い想いなどは、一切感じられず、むしろミッションなどとい う概念に対するひんやりとした気持ちが伝わってきた。 それだけに、ご自宅に伺えば、香さんの正体にまつわる謎が解けるかもしれな いと、好奇心の赴くままにお誘いをうけることにした。 ○段捨離一家 香さんの住まいの最初の印象は極端にものがない、というものだった。断捨離 という、家の中のものをどんどん捨てて、整理整頓する生活術というコンセプ トがぴったりと形容できる感じだ。なにしろ200平米ある自宅の40畳はあろう リビングにはポツンとソファー1つと壁掛けTVがあるだけである。僕もものを 持っていないほうだが、香さん夫婦のものがない生活の度合いは2段も3段も違 う。 夫君を紹介してもらい、しばらく話をした。夫君と香さんとは、海外に2人が 留学していた時代に知り合って、学生結婚したということだった。当時から香 さんは無駄嫌いで、極端な倹約家だったという。たとえば、身体を壊さずに一 週間の総食費をどこまで削れるかということを真剣に試していて、2,000円で 生活をしていたという。 キッチンから戻ってきた香さんが、会話に参加して、コメントしたのは、「無 駄があるといらいらし、無駄がないと快い気持ちになるの」とも言った。やが て夫婦に共通する価値観は、無駄がないことにあるのだと気がついた。家のな かに、がらんとしていて何もないことを夫君もあきらかにエンジョイしていた。 ○マイクロペイメント ひとしきり、談笑した後に、思い切って香さんの職業は何かと、聞いてみた。 そして教わった彼女の仕事はなんと、金融会社のエグゼクティブということだ った。 ここまでだったら、驚きだが、さらに詳細を聞いて、ははん、と思った。 香さんが勤めているのはIT系の金融機関で、マイクロペイメントの事業の立ち 上げを担っているということだった。マイクロペイメントと無駄がないのが好 きというコメントが、あたまの中で静かに、きれいにブレンドされていって、 深い納得をすることができた。 マイクロペイメントの金融は、ロイヤリティの支払いや、ゲームのポイントの 支払いなど、100円未満の単位が中心の取引に特化した市場だ。インターネッ トが発達したから可能になった技術だ。極論すると1円より小さい単位の値段 での取引もできる。データのやり取りだけなので、紙幣も必要ないし、それを 取り出すATMのようなものもいらない。アクセスするサーバー上で取引が行わ れるので、総流通量も把握できる。実際の貨幣と比べてなくなったりすること もない。 これまでは、値段のつけかたが、100円や、500円といったようにコインなど物 理的な貨幣につられたものになっていたが、完全にデジタルで取引が行われる ようになると、そのような規定はなくなる。23銭、45.344銭といったように、 極端に小さく、極端に中途半端な金額でも対応できる。 マージンが金額に関係なく、定率で設定できるなら、これまでは、なかなか小 額の値付けができなくて販売できなかった、極小なサービスやコンテンツも売 ことができるようになる。従来の金融機関ではあまり、やりたがらないけれど も、ITがバックグラウンドにある企業経営者がいると、従来の取引がどんぶり 勘定に見えるのだろう。 マイクロペイメントを極めると、究極まで無駄を排除した金融機関になれるこ とも意味する。そのようなマイクロペインメント事業を立ち上げるということ は、無駄をなくしたい香さんの快感原則にぴったり即しているのだろう。マイ クロペイメントの導入は究極の無駄を排除できる金融取引だとも言える。 ○天職と本性 以前、人から、放っておいてもしているようなことが強みにつながる仕事を選 ぶと間違わないという話を聞いたことがある。人を採用しようとしていたとき にアドバイザリーボードから聞いた話も、似たようなものだった、採用しよう としている本人が幼少から持っている本分と募集している職種が求める素養が マッチすると、人は生き生きと仕事をするという。香さんは、そういった意味 では天職を得ているのだと思った。 今後、人類の多くは、自分自身が生み出すサービスをネットで売るようになる だろう。それはテレワーキングという形態をとって時間を切り売りすることか もしれないし、著作物をライセンスしていくことになるかもしれない。その未 来が実現したとき、それぞれの発注単価はひょっとしたら今の貨幣よりもっと 細かい単位で行われているかもしれない。そうなったとき、これまでどんぶり 勘定で計算されていたために、請求できなかった価値が、マイクロペイメント を通じて無駄なく流通できるようになるだろう。 香さんの取り付かれたような無駄嫌いは、そういった技術と結びついて未来を 切り拓いていく。 西山 浩平 Linkedin : Kohei Nishiyama Twitter : Kohei Nishiyama ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●リレーコラム:若手デザイナーの眼差し 第14回:竹内 稔/PROOF OF GUILD 初めまして、PROOF OF GUILDの竹内 稔と申します。普段からモノ作りの仕事 をしているもので、こういった文章を書くことがあまりなく、拙い文章かと思 いますが、せっかくこういう場をいただきましたので、改めて自分のモノ作り について考えてみたいと思います。 まずは自己紹介から。私は2002年よりジュエリーとフラワーのオーダーショッ プとしてスタートした「プルーフ オブ ギルド」で、モノ作りをスタートしま した。作り手として手を動かしてモノを創る。この先もその気持ちを大切にし たいという思いから「PROOF OF GUILD/職人の証」という意の名前をつけまし た。「GUILD/ギルド」という言葉は、中世の欧州で仕事や人が集まる盛り場を 指してそう呼んでいたことに由来しています。作り手が集いモノが生まれる。 そんな伝え手と使い手が集うような場所にしていきたいという思いも込めてい ます。 現在では、そんな思いが叶い、ジュエリーを作りながら、少しずつ作りたかっ たアイテムを手がけられるようになりました。 ○モノ作り 「ジュエリーで培った経験と技術を使い、自分の手を動かしてモノを作る」と いうスタンスで、ジュエリー以外のアイテムも精力的に作っていますが、もと もと美術大学やデザイン事務所を出たわけでもないので、知識や経験はありま せんでした。ジュエリーを通して出会った方や、異業種の作り手さんの話、職 人さんの話など、本当に人に恵まれ、たくさんの話を聞くことができました。 そして自分なりの作り方でもイメージを形にすることができるのではないかと 思えたのがきっかけで、いろんなモノ作りに挑戦し続けています。なかなかこ ういった話をする機会はありませんので、私のモノ作りについて少し紹介させ ていただきます。 今作りたいアイテムのラフ案、そこから図面を作ることもなく、直接原型を彫 っていきます。これはジュエリーを作る時も同じ作業です。もちろんコンピュ ータなどを使ってデザインすることもありません。原型は、その都度作りたい ものに合わせ変えています。小ぶりなものならロウ(ジュエリー用ワックス) を彫り、大きなものなら石膏や木を彫って原型を作ります。「技術や道具、素 材の使い方などを自分のモノ作りに置き換えて考える」ということを繰りかえ しながら手探りで形にしていきます。 形になったあとは生産していただく職人さんと微調整を重ね、商品に落とし込 んでいくというスタイルです。 出来上がった商品は、合同展示会やデザインイベント、百貨店の催事などに、 精力的に参加し、販売するまでの流れも自分達で手がけていくというのも私た ちのモノ作りの一部です。自分達で考えてでき上がってきたアイテムを見て、 喜んでいただける方と出会えた時は、本当に嬉しい瞬間です。 今では、展示会やイベントで本当にいい出会いをいただき、国内外への発送が 少しずつではありますが増えてきました。まだまだ作りたいモノはたくさんあ りますが、いままで通りジュエリーを作りながら自分達のスタンスでいろんな モノを手がけていきたいと思っています。 ○新作について 一昨年のDESIGN TIDE TOKYOで発表したフラワーベースと同じコンセプトで今 回もHands & Handと名付けた磁器を使ったスプーンを作っています。原型を持 って職人さんに相談したとたん「チャレンジやな? できるかどうか分からん ぞ」と言われ、はじめはどういった意味か分からなかったのですが、チャレン ジしてもらいサンプルを作ってもらって、その意味がよく分かりました。 言葉では伝えづらいのですが、磁器の性質とスプーンを焼く過程で、とても生 産が難しいフォルムだということでした。イメージを崩さないまま何度も型の 調整をして、何度もチャレンジしてくれて、なんとか生産の目処が立ちそうな ところまできています。こうやって新しい発見があるのも含めて、本当にモノ 作りの楽しさを実感しています。 このスプーンは2013年9月に池袋で行われる「FOR STOCKISTS EXHIBITION」で 発表できるよう、しっかり仕上げたいと思います! ○最後に ジュエリーを作るようになったきっかけは高校生の頃、だれも持っていない鞄 が欲しくて、自分で革を縫って鞄を作り始め、今度は金具が欲しくなり彫金教 室に通い始めたのがきっかけです。自分の知らない素材に触れて新たなモノが 生まれ、また新しい出会いがさらに何かを作りたいという気持ちにさせてくれ る。ジャンルを軽々と飛び越えていけるような作り手になりたい。そんな目標 を掲げこれからも日々頑張って参ります。 またどこかでPROOF OF GUILDのアイテムを見かけたらぜひ手に取ってみてやっ てください。 最後まで読んでいただきありがとうございました! PROOF OF GUILD 竹内 稔/Minoru Takeuchi web:http://www.proof-of-guild.com http://www.guild-wedding.com ///////////////////////////////////////////////////////////////////// ●pdwebデザインコンペ2013のご案内 「pdwebデザインコンペ2013」は、今年も「デザイナーとモノ作りの現場を直 結する」コンペとして開催いたします。 皆様からの応募作品は、日本各地のモノ作りの産地のプロが審査を行い、優れ た作品は商品化への道が開かれます。製品化への道がぐっと近づいたデザイン コンペにぜひみなさんチャレンジしてください! そして基本テーマは従来と 同じ「明日のカタチ、生きたカタチを求めて」です。遠い未来ではなく、明日 の暮らしをより快適にしてくれる、モノのあるべきカタチを提案してください。 ○審査員企業 セラミック・ジャパン(磁器・食器) 仁秀(陶器・食器) 能作(銅、錫・金属インテリア) 菅原工芸硝子(ガラス製品全般) ハコア(木工系プロダクト。今回はオブザーバー参加) ○応募ジャンル 磁器、陶器、金属、硝子、木工など。具体的には食器、ステーショナリー、家 具・インテリアなどが対象になりますが、審査員企業が製造可能なモノであれ ば、特にジャンルの制限は設けません。 ○10月1日(火):応募作品受付開始 10月31日(木):最終締切日 11月下旬:年間賞発表 詳細、応募要綱は以下まで。 http://pdweb.jp/dsgncmp2013/index.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■○■pdwebメールマガジンでは広告のご利用をお待ちしています。■○■ イベント/セミナーの告知や集客、新製品のご案内に。臨時増刊もあります。 ■○■お問い合わせはinfo@pdweb.jpまで。料金:1行6,000円〜。 ■○■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●編集後記 メルマガの面白いところは、100%テキストだけで構成されている「モノ」だ ということです。Webや紙、放送メディアは写真も音も映像も取り込むリッチ メディアの方向を目指してきました。もちろんメルマガもHTMLを使えばある程 度のリッチ化も可能ですが、pdwebメルマガは今後も100%テキストだけで配信 したいと思います。テキストは読み手のツボにはまれば、リッチなイメージを 膨らませてもらうことができます。そんな、文字だけなのに豊かな気持ちにな れるメルマガを目指したいと思います。(M) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■■取材・執筆・DTPデザイン・印刷物納品を行います! カラーズ(有) ■企業のユーザー事例、パンフレット、Webコンテンツなどの制作を行います。 ■お問い合わせはinfo@pdweb.jpまで。お待ちしています。■■■■■■■■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ pdwebメールマガジンNo.38 2013年5月27日発行 3,000部配信 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓   pdwebメールマガジン登録変更および解除のご案内 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ※このメールに返信はできません。配信アドレスの変更や停止を希望される 方は、pdweb.jpのトップページ右側の登録フォームにて操作をお願いいたし ます。 http://pdweb.jp ┏…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┓ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥   編集・制作:pdweb.jp編集部   〒151-0071 東京都渋谷区本町1-20-2-909 カラーズ有限会社   お問合せ先 info@pdweb.jp   Copyright(C) Colors.,LTD. All Rights Reserved ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ┗…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┛