┏…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┓ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥       pdwebメールマガジン第37号・・・2013/4/30       編集制作:pdweb.jp編集部 http://pdweb.jp ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ┗…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┛ ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ● pdwebメールマガジン第37号 目次 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ●連載コラム:西山浩平の空想デザイン 第23回:リストラ執行人 ●リレーコラム:若手デザイナーの眼差し 第13回:浅野雅晴/eN ●pdwebデザインコンペ2013のご案内 ●編集後記 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■○■pdwebメールマガジンでは広告のご利用をお待ちしています。■○■ イベント/セミナーの告知や集客、新製品のご案内に。臨時増刊もあります。 ■○■お問い合わせはinfo@pdweb.jpまで。料金:1行6,000円〜。 ■○■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●連載コラム:西山浩平の空想デザイン 第23回:リストラ執行人 ○最初の仕事 35歳で人事担当役員に就任したシャシの最初の仕事は、人員を20パーセント整 理することだった。30代半ばで一万人の従業員を抱える航空会社の人事担当役 員に就任した彼女は、リストラ計画の実施を就任してわずか2週間で実行に移 してしまった。生え抜きの前任者が数ヶ月かけても実現できなかっただけに、 シャシの決断は大きなニュースとなった。 もともと前任者が計画を作っていたとはいえ、そんなに早く決断を下してしま うとは誰しもがビックリしたに違いない。しかし彼女を雇った新CEOが、シャ シの即決即断ぶりを高く評価した背景を知ったとき、なぜシャシがそんな電光 石火の決断に踏み切ったのかがわかった。 ナショナルフラッグキャリアーであるその航空会社は、国を代表するエアーラ インにありがちな高コスト体質を払拭できずにいた。そして市場に新規参入し てきたローコストキャリアーに価格競争で負け続け、マーケットシェアを奪わ れ続けていた。そんななか、業を煮やした株主たちは、社内の生え抜きのCEO では、大胆な高コスト体質からの脱却に踏み切れないと判断し、ライバルであ るローコストキャリアーのCEOをヘッドハンティングした。 その新CEOが打ち出したのは、当然ながらコストカットの計画であった。計画 の要であるリストラの計画はしかし、社内から抜擢された役員では、手がつけ られず、新CEOは計画を実行に移してくれる人材を探していた。そこにシャシ が現れて、シャシはそのミッションを引き受けた。シャシと航空会社の契約は 5年間にわたるものだった。最初の数年で人件費を20パーセント削減するとい うが主な任務で、新CEOもそれなりの時間がかかるものだと考えていたのだろ う。 事実、新CEOは、5年間務め続けないとフルに報酬を手に取れない条件をCEOは 提示していた。つまり、リストラを敢行して成果を出さなければボーナスでな いインセンティブプランだった。新CEOとてリストラを実行するには時間がか かると考えていたのだ。 シャシは弁護士でもあり、大手法律事務所のCOOを勤めていたということもあ って、面倒な交渉を合法的に進めていく力量と経験も豊富だったところを評価 されていた。大半の予測ではリストラの対象者2,000人と話し合いを進めてリ ストラを進めていくのだと考えていたようだ。しかし彼女は乱暴と批判される のを覚悟の上で、機械的に通告をしてリストラを実施をしてしまった。そして 退社の条件をやめていく側にも有利にしたことで、誰もが驚いたことに、多く が予想したような混乱を生じさせずに仕事をやってのけてしまった。 シャシにしてみれば、会社にとっても競争力を勝ち取るためにコスト構造は早 めに改善したほうがよいし、本人の報酬も最初の一月で同じ成果が出るなら、 ということでシャシは実行に移してしまった。一時的に支出が増えたといえ、 固定費が恒常的に下がったことを株主は評価した。そして新CEOは自分の計画 が現実のものになりつつあるのを感じて大いに喜んだ。 ○進んで人の嫌がる仕事を引き受ける 決して裕福な家庭に生まれなかった彼女は、勤勉に勉強をし、それだけでなく 勇気を持って他人がやりたがらない仕事を進んで引き受けてきた。移民の子供 であるシャシにとって、いつチャンスを手にするか、それに備えてどういう社 会に役に立つスキルを身につけておくかが常に彼女の関心事の中心でありつづ けた。半ば野生の動物がジャングルで生き抜いていくように、シャシは学歴を 身につけ、好条件の仕事を見つけ、実績を上げてはキャリアを磨きあげてきた。 サバイバル術に近いその嗅覚と行動力は、外国において中国人の父親と母親を 持つシャシにとって、幼少から自然と身につけてきたものなのだろう。 シャシが提示された条件は、前の職業の5倍近い報酬額だった。リストラ担当 の役職はそれだけ報酬を出しても他になり手がいないいやな役割だったのだ。 そんな役割でもシャシは、進んで引き受けただけでなく、人事担当役員という 肩書きにもう1つ肩書きを加えて欲しいとCEOに頼んだ。そしてCSR担当役員と いう肩書きを提案してそれを受け入れてもらった。CSR部門は人権や環境など の社会問題の課題に貢献しているNPOに寄付や助成をすることが主な役割であ る。どちらかというと閑職というイメージが強いポジションである。 しかし、このCSR担当の役員になるということはシャシにしてみれば、この仕 事を引き請けるに際して譲りたくない条件だった。シャシはすでに6年後を見 ていた。5年間でリストラを無事に終えて、次のポストを探すとき、リストラ の専門家としてジョブマーケットで認知されたくなかった彼女は、CSRの面で も実績をあげて、次はCSRの専門家としてキャリアをつないでいきたいと考え たのであった。中国企業が輸出を拡大して、グローバル企業として成長してい くには各国で企業の社会的責任を果たさなければならず。中国語が話せるCSR の専門家の需要が増えることを見越しているのである。当然中国語を話す彼女 にしてみれば、ここは彼女にとってのブルーオーシャン市場である。 ○最初の仕事 今回のリストラ執行人としての役割も誰もやりたがらなかった仕事であるに違 いない。しかし彼女はそれを進んで請負い、さっさと実行に移すことで評価を 上げた。のみならず、そのことで彼女のブランドが固定されないようにCSRと いう社会貢献を行う部門のヘッドになることで、次の展開まで半ば実現してし まった。 社内で順当に昇進を続けていく人生になんら問題があるわけではない。しかし シャシのように自分で進む道を開拓していくことで、用意された道をたどって では行き着けなかった高みに到達する人生も一度しかない人生の過ごし方とし て魅力的に思えてならない。 西山 浩平 Linkedin : Kohei Nishiyama Twitter : Kohei Nishiyama ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●リレーコラム:若手デザイナーの眼差し 第13回:浅野雅晴/eN ○eNとは 「eN」は、浅野デザイン事務所のオリジナルレーベルとして発足した、「ヒト ・モノ・コト」が交わり偶発的に生まれるストーリーをカタチにしたプロダク トブランドであり、メーカーです。普段は、さまざまな商住空間を設計する設 計事務所として活動しています。1つの物件を作りあげていく工程で、手仕事 との関わりも多く、熟練した職人さんとのやりとりが多々あります。そうした 関わりの中でさまざまなことを感じることがあります。お客様との対話や職人 さんとの対話によって、代々伝わる工芸の奥深さと技術を体感しながら、その 過程での発見やひらめきをカタチにしていくことが「eN」の表現となります。 ○始めて知ること 3年前の5月、福岡で毎年開催されたデザインイベント「DESIGNING」に向けて eNの原型となる照明器具を制作しました。このときに製作したパーツが現在の 花器のファーストモデルとなり、ブラッシュアップしたものが「suspendet flower」や「flowerbase」です。 eNでは、現在の形状に至るまで何回もサンプルを作り直し再考したことは、大 きな経験となりました。建築設計業務でのサンプル作りは「予算」があるなか で試作し、検討し、議論を重ね最終系を作りあげていきます。基本は変わりま せんが、eNでは「予算」が違うことが、自身のリスクとしてあることを改めて 知りました。同時にそれにより得る対価も喜びの1つです。 対価とは製品を作り上げていく中で生まれる、共有するコトやヒトやモノのこ とです。展示会へ出展して、たくさんの方との対話によって感じたプロダクト の反応やコミュニケーションによる新たな出会いです。これらは自社プロダク トブランドとしてすべてを請け負うことによって感じることも少なからずある のだろうと思います。 ○流通としてのプロダクト 展示会の出展や取引先様と直接と話すことで、今の市場はどう動いているのか など、今後の方向性を考える上でとても貴重な意見をいただいています。当た り前のことですが、作りたいモノを作るわけではなく、自社の考え方に沿って 作り出すものがニーズに沿っているのかを検討し、イメージを作り世界観をま とめパッケージやパンフレットを用いて演出します。 流通にあたっては、必要な生産量や各在庫の確保などすべての機能を事務所に まとめていますが、出荷量が増えるに伴い場所の確保が必要になるなど、細か いことを含めるとかなりの雑務が生じます。これがブランドを持つメーカーと しての仕事だと痛感するところも多々ありましたが、試行錯誤しながら2年目 を迎えました。2年目は流通の流れと仕組みをさらに強化し、新たなステージ へいきたいと考えています。 ○これからのモノ作り 今後はeNとしての活動と「浅野雅晴」個人名で動くプロジェクトの2つで軸を つくっていきます。現在もいくつかのメーカーさんと共同でお話を進めていま す。モノは違えど共通していくことは、伝統工芸を受け継ぎ「現代の和」とし て解釈し、革新し、表現していくことです。 「eN」は轆轤(ロクロ)のブランドではありません。始まりが福岡県内の家具 産地である大川木工の轆轤技術に着目し発表したシリーズの1つとなります。1 つの素材と向き合い探求し答えを見つけカタチにしていくことをベースに、来 年は新たなシリーズを発表します。そうして、各地のモノ作りに触れ技術に新 たな価値を足し表現することで、少しでも日本の優れた技術や伝統を生活文化 に取り入れることができれば、事業を継続する役割も担うことになると思って います。 日本が誇る伝統的な手法や感性を基に現代の生活に合わせたモノ作りを行い、 世界へ向けた上質で豊かな暮らしの提案を通じ、次代の文化創造を目指しま す。 eN / produce by Asano Design Office http://www.enproduct.jp/ info@enproduct.jp http://www.asanodesign.com ///////////////////////////////////////////////////////////////////// ●pdwebデザインコンペ2013のご案内 「pdwebデザインコンペ2013」は、今年も「デザイナーとモノ作りの現場を直 結する」コンペとして開催いたします。 皆様からの応募作品は、日本各地のモノ作りの産地のプロが審査を行い、優れ た作品は商品化への道が開かれます。製品化への道がぐっと近づいたデザイン コンペにぜひみなさんチャレンジしてください! そして基本テーマは従来と 同じ「明日のカタチ、生きたカタチを求めて」です。遠い未来ではなく、明日 の暮らしをより快適にしてくれる、モノのあるべきカタチを提案してください。 ○審査員企業 セラミック・ジャパン(磁器・食器) 仁秀(陶器・食器) 能作(銅、錫・金属インテリア) 菅原工芸硝子(ガラス製品全般) ハコア(木工系プロダクト。今回はオブザーバー参加) ○応募ジャンル 磁器、陶器、金属、硝子、木工など。具体的には食器、ステーショナリー、家 具・インテリアなどが対象になりますが、審査員企業が製造可能なモノであれ ば、特にジャンルの制限は設けません。 詳細、応募要綱は以下まで。 http://pdweb.jp/dsgncmp2013/index.html ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●編集後記 何故か毎年、春になると新しいカメラが欲しくなります。花がいっぱい咲き始 めるからでしょうか。毎日SNSには写真がたくさんアップされますが、中には プロ級の腕前の人も少なくなく、紙焼き写真を見せ合っていた頃に比べ写真は 確実にレベルアップしていると思います。ただ残念なのはネットにあがる写真 はほとんどiPhoneなどスマホで撮った写真だということです。Wi-Fi経由でい いので、高倍率の光学ズームを持ったカメラや、ボケ味のきれいなカメラから、 スマホを介さず直接SNSにアップできるようになれば、写真の楽しみはもっと 広がるのではないでしょうか?(M) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■■取材・執筆・DTPデザイン・印刷物納品を行います! カラーズ(有) ■企業のユーザー事例、パンフレット、Webコンテンツなどの制作を行います。 ■お問い合わせはinfo@pdweb.jpまで。お待ちしています。■■■■■■■■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ pdwebメールマガジンNo.37 2013年4月30日発行 2,700部配信 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓   pdwebメールマガジン登録変更および解除のご案内 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ※このメールに返信はできません。配信アドレスの変更や停止を希望される 方は、pdweb.jpのトップページ右側の登録フォームにて操作をお願いいたし ます。 http://pdweb.jp ┏…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┓ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥   編集・制作:pdweb.jp編集部   〒151-0071 東京都渋谷区本町1-20-2-909 カラーズ有限会社   お問合せ先 info@pdweb.jp   Copyright(C) Colors.,LTD. 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