┏…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┓ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥       pdwebメールマガジン第24号・・・2012/3/26       編集制作:pdweb.jp編集部 http://pdweb.jp ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ┗…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┛ ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ● pdwebメールマガジン第24号 目次 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ●連載コラム:西山浩平の空想デザイン 第10回:マイクロビジネス ●連載コラム:上海的モノ生活 第18回:上海女子的ファッション傾向 ●書籍「デザイナーズFILE 2012」発売中 ●編集後記 ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●連載コラム:西山浩平の空想デザイン 第10回:マイクロビジネス ○スモールビジネスより小さいマイクロビジネス インドに出張したときのことだ。次のアポまで3時間ほどあった。朝からぶっ 続けでBlackberryの小さなキーボードで数十通のメールの返信を出していたの で、ちょっと息抜きがしたかった。ホテル近くに小さな個人経営のお土産屋が あったのを思い出して気晴らしに立ち寄ってみることにした。小さな店の中に は所狭しと、インドのお土産が陳列してある。外国人、特にヨーロッパのお客 が多いのだろう。ディスプレイがどこか欧州っぽく、好感がもてた。しかし、 まあ単価もそれなりにするのだろう。 店の奥には女性向けの宝飾品が飾ってあった。しかし、そちらの棚に近づくと 勘違いされて、声をしつこくかけられそうだったので、あえてそちらには関心 のないそぶりで、もっぱら手前のバスケットにうず高く盛ってある、数百円程 度の小さなお土産ばかりを物色することにした。 300円程度に価格帯がそろっているのをみて、出張が多かった父が生きていた ころに聞いた話を思い出していた。外国人向けのお土産屋というのは、意外と 実入りがいいんだ、と教えてくれた。外国人が訪れた国で使わなかった現地通 貨は多かったら、元の貨幣に戻すが、金額が小さいと手数料を払うのがばかば かしいので、みんな他愛のない小さな雑貨に変えてしまうのだという。 5,000円あったら、オフィスの同僚やスタッフのためにチョコレートを買って、 1,000円あったらビールかコーヒーを飲んで、300円しかなかったら、もっとも 安いものを探してぶらぶらする。空港やホテル近くのお土産さんの需要はそう いったラストコインを目当てにするところもきっとたくさんあるのだろう。 100円ショップではないけれど、ある意味、戦略ははっきりしている。 そんなことを考えながら棚から棚へとゆっくり歩いていたら、親指ほどの大き さの象の彫り物を見つけた。なかなか良くできていたし、まさにコーヒーも買 えないぐらいの値段だったので、1つ買い求めてポケットにしまいこんだ。 ○象の彫り物つながり 9月のインドはまだ雨季が明けきっておらず、ローシーズンでホテルはがらが らだった。ヨーロッパから来ている客もいたが、そのレストランの味は特段お いしくもなかった。近くのもう一軒のレストランのほうが雰囲気が良いから、 そのわずかの宿泊客もそちらに行ってしまうのだろう。こちらのレストランに は僕しかいないことが多かった。 ミーティングが終わって、1人でコーヒーを飲んでいるときに、午前中に買っ たお土産のことを思い出してゆっくり鑑賞したくなった。テーブルの上で嬉々 と戦利品を眺めていると、後ろから「それ、私のパパが家で彫っているのよ」 と声が聞こえてきた。ビックリして振り返ると、レストランのウェイトレスが 立っていた。1週間以上同じところに泊まっていて、多くの場合1人でご飯を食 べているので、すっかりホテルのスタッフたちとは顔なじみになっていた。ウ インディもそのうちの1人だ。おそらく20歳前後の彼女は、ホテルに就職した ばかりで年配の他のスタッフとちがって投げやりなところがないので、ものを 頼むときはできる限り彼女に声をかけるようにしていた。ウインディも先輩の スタッフがいないときは積極的に話しかけてきたので、いつしか遠くからでも 目が合えば挨拶をするし、食事が終わってコーヒーを待っている間はお互いの ことを話し合うようになっていた。  ウインディの父親はきっと30代後半から40代前半と思われた。ということは実 は僕とそんなに歳は離れていないことになる。物価がいくら安いとはいえ、 300円しないお土産を作るだけで家族を養っているとは思えなかった。なので、 てっきりそれはサイドビジネスなのかと思ってメインの仕事は何かと聞くと、 いやお土産屋さんで売る小さな象を彫るのが仕事だという。 ○1本のナイフとデザインマインド えっ、という顔をするのも失礼だと思ったので、急いで頭の中で試算してみた。 仮に彼がお土産屋さんへ出荷する値段が上代の3分の1の100円だとする。そし て1日あたり30個作れたとして、月10万円の売りが立つ。インドの平均月収が3 万円程度であるから、平均よりは稼いでいることになる。確かにインドでは一 家を養える規模の売り上げになる。 実際、彼女の暮らしぶりを聞いてみると近所の中でも比較的余裕のあるほうで、 おしゃれのための洋服を買うことも学校へ通うことも不自由を感じなかったと いう。改めて小さな象の彫り物をみて、小さな木っ端をナイフで削ることによ って生み出された価値のことを考えざるを得なかった。そのデフォルメされた 象は、荒削りだが、なかなか愛着があり、良いデザインなのだ。飛行場で売っ ているお土産がもつチープな粗悪品のイメージがない。ある意味では、デザイ ンが生み出している雇用であり、生活なのだ。 ウインディという名前もインドの名前だと思っていたが、英語のWINDをもじっ た彼女のお父さんの造語だという。風のように爽やかにという、お父さんの願 いが込められている。なかなかクリエイティビティのある人物なんだと、会っ たこともないのに親近感を覚え始めていた。 ○セルフ・エンプロイドという響き 自営という言葉の英訳には、日本語と違う響きがある。会社に雇ってもらうの ではなく、自分が自分を採用しているというニュアンスがある。自分が雇用主 であり、自分に雇用されているという一種のエコシステムがあり、私はセルフ ・エンプロイドという言葉が嫌いでない。 ウインディの周りには彼女の父親をはじめとして、就職してお給料をもらう人 よりも、自分で何かを作って売って、生活している人が多いという。ホテルに 就職した彼女のほうが珍しいようだ。学校を卒業したら就職しないといけない という常識が当たり前になっている日本とはまったく考え方が違う。 一般に従業員が5人未満の事業を中小企業と呼ぶ。しかし年商が平均年収の3倍 を超えない場合はさらにマイクロビジネスと呼ぶということを後で調べて知っ た。日本人の平均年収は現在500万円程度である。日本に置き換えて考えると 年商が1,500万円未満の事業がそれに該当する。毎月130万円の売り上げを超え ない事業を営んでいる人は、この定義からしてもマイクロビジネスに従事して いることになるわけだ。 米国では、まだその数は少ないとはいえ、手作りの商品を個人が直接インター ネットで取引して生活を成り立たせている人が増えているという。こういった 動きが日本にも伝播してくると、マイクロビジネスにもっと注目が集まるよう になるかもしれない。かくいう私は、マイクロビジネスから事業を起こしたの で、大のマイクロビジネスファンでもある。上手にマイクロビジネスをリデザ インできないものだろうかと思う。 西山 浩平 Linkedin : Kohei Nishiyama Twitter : Kohei Nishiyama ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●上海的モノ生活 第18回:上海女子的ファッション傾向 稲吉実菜子/フリーライター 少しずつ春の気配が漂い始めた上海。モノトーンがクローゼットの大半を占め る冬モノにも飽きてきて春らしい色にひかれる季節です。とはいえ上海女子は もともと華やかな色使いが好みのようで、冬場でも明るい色味をよくみかけま した。最終回となる今回は、そんな上海のファッション傾向についての個人的 感想をお伝えしたいと思います。 ○色モノ、柄モノが大好き 私は毎朝、上海のターミナル駅である「人民広場」を利用しているので、人間 観察が日課。なかでも目につくのはやっぱり女子、とくに彼女たちの服装です。 そこでいつも感じるのが、ぱっと目を引く色味や柄使いが多いこと。どうして も暗い配色が増える冬場でも、ダウンコートが赤やグリーンなどの派手色だっ たり、コートから覗くタイツがヒョウ柄だったりと、日本に比べて鮮やかな印 象が強いように思います。 色の組み合わせ方も日本とはだいぶ異なります。挿し色として派手色を使う日 本人とは逆に原色×原色も珍しくなく、さらには柄×柄というパターンもあり。 これは老いも若きも一様です。 ちなみに、やはりというべきか赤いアイテムもとても多いです。日本ではあま り赤いコート姿を目にしませんが、こちらでは赤いアウターもよく見かけます。 先日は前を歩く三人組がみんな赤いコートで、ちょっと目がチカチカしてしま いました。 実際、赤好きは洋服にとどまりません。私はヨガに通っているので、更衣室で 自然と目に入ってくるのが赤い下着…。上海の下着売り場は赤のアイテムがや たらと多く、当初はいったい買う人はどれだけいるのだろうかと思っていたの ですが、確かに赤い下着率は高かった! とくに春節前は縁起をかついでか着 用率も高まり(しかも上下セットだったりする)、中国らしさを実感したもの です。 ○カワイイ>キレイ目、派手め>シンプル もう1つ感じるのはカワイイ系のコーディネートが多いことです。いわゆるキ レイ目OLのようなコンサバな着こなしをみることは少なく、リボン、レースな どがふんだんに使われたガーリー系が多い気がします。仕事関係も中国語の先 生も私の周りは皆そうです。ただ、ともすれば過剰気味なコーディネートなの になぜかそう感じさせないのが不思議なもの。 デザインについても同じで、パンチの効いたアイテム好きに思えます。実際に シンプルな服の方が探すのが大変なほど。ギャザーやらフリルやらラメやらが これでもかというくらいついているのに、なぜか違和感なく着こなしているの は押し出しの強さから来るものなのでしょうか? ちなみに、ナチュラル系と いうかリラックス系はほぼ皆無です。 そういう志向を反映してか、日本のファッション誌の中国版もよく見かけるの は『ViVi』『mina』『Ray』など、中国人女子ウケしそうなタイプが多いです。 あくまで個人的見解ですが『InRed』や『LEE』が中国にやってくる気配はまだ 当分なさそう? 正直な話、こちらに来るまでは上海の女の子たちがこれほどまでにファッショ ンに興味を持っているとは思ってもいませんでした。そしてこちらで知り合っ た上海女子が毎度取っ替え引っ替え違う服を着て現れることに二度びっくり。 まだまだ現在進行中の上海の街で今後のファッション事情がどのように移り変 わっていくのかが気になるところです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■○■pdwebメールマガジンでは広告のご利用をお待ちしています。■○■ イベント/セミナーの告知や集客、新製品のご案内に。臨時増刊もあります。 ■○■お問い合わせはinfo@pdweb.jpまで。料金:1行6,000円〜。 ■○■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●書籍「デザイナーズFILE 2012」発売中 2012年2月23日より、プロダクトデザイナーの年鑑ガイドブック「デザイナー ズFILE 2012」が全国主要書店、アマゾンなどで発売されました。 最先端を走るデザイナー101組が手がけた製品や作品を、豊富なカラー写真で 紹介。主に日本において、家電、インテリア、日用品、工業製品を手掛ける第 一線のデザイナーによる優れたデザインを一望することはもとより、その製品 や作品を通して、デザイナーの魂に触れることのできる一冊です。 ○「デザイナーズFILE 2012 プロダクト、インテリア、工業製品を創るデザイナーズガイドブック」 ワークスコーポレーション刊 カラーズ編著 A5判/256ページ [本体2,500円]+税 pdweb.jpの紹介記事と表紙カバー写真 http://pdweb.jp/news/books.shtml ワークスコーポレーションの販売ページ http://www.wgn.co.jp/store/dat/3262/ Amazon.co.jpの販売ページ http://www.amazon.co.jp/gp/product/gp/product/4862671241 ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●編集後記 ○例えばカフェ。くつろぐ人々のコーヒーカップの横にはスマートフォン(携 帯電話)が置いてある。それはもう当たり前の日常だ。そもそも持ち運べる電 話という道具は、財布と同じように必需品だ。いつでもどこでも1対1のコミュ ニケーションができることを多くの人は望んでいたと思う。そしてスマートフ ォンはいつでもどこでも必要な情報にアクセスできるツールとして、携帯電話 同様に普及した。次は、こういったデバイスがよりウエラブルになるという方 向性か。腕時計型やヘッドマウントディスプレイ型のスマホ誕生ももうすぐ? (M) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■■取材・執筆・DTPデザイン・印刷物納品を行います! カラーズ(有) ■企業のユーザー事例、パンフレット、Webコンテンツなどの制作を行います。 ■お問い合わせはinfo@pdweb.jpまで。お待ちしています。■■■■■■■■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ pdwebメールマガジンNo.24 2012年3月26日発行 2,400部配信 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓   pdwebメールマガジン登録変更および解除のご案内 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ※このメールに返信はできません。配信アドレスの変更や停止を希望される 方は、pdweb.jpのトップページ右側の登録フォームにて操作をお願いいたし ます。 http://pdweb.jp ┏…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┓ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥   編集・制作:pdweb.jp編集部   〒151-0071 東京都渋谷区本町1-20-2-909 カラーズ有限会社   お問合せ先 info@pdweb.jp   Copyright(C) Colors.,LTD. All Rights Reserved ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ┗…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┛