┏…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┓ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥       pdwebメールマガジン第13号・・・2011/4/25       編集制作:pdweb.jp編集部 http://pdweb.jp ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ┗…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┛ ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ● pdwebメールマガジン第13号 目次 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ●新連載:西山浩平の空想デザイン 第1回:持ち運びのできる資産をデザインする ●上海的モノ生活 第7回:脳内トイレマップは重要 ●編集後記 ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●新連載:西山浩平の空想デザイン 第1回:持ち運びのできる資産をデザインする 311から1ヶ月経って、初めて被災地にボランティアとして入った。津波の被害 がもっともひどかった女川地域で被災された方のご自宅に伺って、家の中にあ る家財がない交ぜになり、おびただしく溜まった土砂と泥をかきだす作業を手 伝った。自衛隊や行政は油圧ショベルで家の前の通りの土砂を撤去してくれる が、自宅の中までは清掃してくれない。だから家の中はいつまでたっても住め るようにはならない。にもかかわらず、4月に入って学校や大学が授業を始め るようになると、避難先として使っている体育館や教室から出なければならな い。そのためこの数日後には多くの被災者は避難所を追い出され、泥でいっぱ いになった家に戻らなくてはならなくなる。津波の濁流に耐えて、家が流され なかった家族は、ボランティアが手伝って家の中をきれいにすれば、とりあえ ず住めるようになる。そんな状況だから人手が大量に必要とされ、経営者仲間 を通じてボランティアとしての要請があり、私もそこに労働力としてジョイン した。 我々に与えられた仕事はシャベルとネコ車と呼ばれる一輪の台車を使って、泥 を家からかき出すことだ。部屋によっては腰近くまで泥で埋まっている。そう した部屋から泥をかき出していくわけだが、当然、泥の中には津波が来るまで 使っていた家財が含まれている。したがってシャベルですくった泥の中から世 帯主の大事そうなものが出てきたら、廃棄してよいか聞いてから、捨てていく。 結局、家のご主人が、手元に残していたのは、奥さんが大切にしていた一部の 和食器以外は、銀行通帳と契約書の類だけだった。後は、すべて処分するよう に指示を出していたのをみて、プロダクトデザインを通じていくらデザインの 良いものを作っても、本当に最後に残してもらえるのは、物の形をとらない資 産だけなのだと、ネコ車を押しながら、ぼんやりと考えていた。 親しくしている米国にいるユダヤ人の友人、ロルナのことをそのとき考えてい た。育ちの良い、美しい彼女は、仲良くなってしばらくして、彼女の生い立ち を僕に共有してくれた。今はNYで金融業界の専門誌のシニアエディターとして 活躍している彼女は、少女時代にニカラグアで政変があったため、お母さんと 命からがら米国に亡命してきたと教えてくれた。そしてそのとき、彼女と彼女 のお母さんの命を救ってくれたのは、身に着けることができる宝石とその宝石 を鑑定できるスキルだったと話してくれた。宝石だけを身に着け生まれ育った 国を出てくる若い母親と娘のイメージが、津波で家財を失った家のご主人が通 帳だけを大事に泥をぬぐって、かばんに詰め込む姿と重なった。 ロルナと彼女の母親は、亡命を阻む役人や警察に賄賂として小さな指輪などを 渡しながら出国したら、次にネックレスなどの大物を米国で売って現地貨幣に 換えて当座の生活に必要な現金を確保した。そして最後は宝石商で鑑定のスキ ルを用いて職を得ることができた。宝石に関する知識を持っていたからこそ、 いざというとき身体を売らずにすむ。ディナーの席でその話をしながら、彼女 は半分冗談めいて、だから男性は大切な女性に高価な宝石を買うべきなのだと ウインクして言った。そのときは、まあね、と軽く笑って返事をして食事を続 けた。そしてその話を記憶の奥底に押しやっていた。 しかし天災により突然、1日して、それまでに当たり前に前提としていた生活 が失われることがあること身をもって知った今、本当に命以外に持ち出せるも のがあるとしたら、何だろうということを考えざるを得なくなった。そんな中 で突然、ロルナの話は現実味を帯びて頭の中によみがえった。ヘドロまみれに なりながら、肉体労働をするなか、自分がこの先デザインしていくものは、モ ノでなくて、資産性のあるもの、そして持ち運びのできるものでなければ、絶 対にだめだと思うになった。宝石でない、持ち運びのできる、資産をデザイン しよう。そうすれば、天災が起こっても国を後にしなければならなくなっても、 命がある限り、その人の人生を助けることができる。その可能性があるのが、 ビジネスのデザインであり、知的財産のデザインであるはずだ。 西山浩平 エレファントデザイン株式会社 代表取締役 Linkedin : Kohei Nishiyama Twitter : Kohei Nishiyama ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■○■pdwebメールマガジンでは広告のご利用をお待ちしています。■○■ 6/22からのDMSの告知や集客などに、ご活用いただけます。臨時増刊もあり。 ■○■お問い合わせはinfo@pdweb.jpまで。料金:1行6,000円〜。 ■○■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●上海的モノ生活 第7回: 脳内トイレマップは重要 稲吉実菜子/フリーライター 毎日お世話にならざるを得ないお手洗い。個室に扉がついていない”ニーハオ トイレ”など、なにかと噂の多い中国のトイレ事情ですが、上海に限っていえ ば市内の清潔なトイレの場所を頭に入れておけばそれほど困ることはありませ ん。今回は近年改善が著しいトイレ環境について。 ○外資系ホテル、香港系モールはレベル高し 旅行ガイドブックになにかと恐ろしいことが書いてある中国のトイレ事情。実 際、水圧の関係からか、いまだにトイレットペーパーは流さず備え付けのゴミ 箱に必ず捨てるように指示されているところがほとんどです。 ただ、その点だけそういうものだと納得してしまえば(あきらめ?)、たいて いのところは予想以上に不潔ではないというのが私の印象です。とはいえ、緊 急事態でもなければできれば清潔なトイレを使いたいもの。この半年の上海生 活で使えるトイレの場所が記憶にインプットされ、今ではそれほど困ることは なくなりました。 それでも最近の日本のデパートのお手洗いの清潔さ、使い勝手の良さは群を抜 いており、残念ながら上海はデパートとはいえトイレ環境は日本とは比較にな りません。ただ、私が感じるところでは香港のデベロッパーが経営しているモ ールや日本のテナントが多く入っている商業施設のお手洗いは比較的清潔な印 象。ホテルもこれにしかり。日系ホテルはもちろん、外資系の場合は日本と遜 色のないレベルです。 ○TOTOは高級ブランド これらの清潔なトイレはたいていと言っていいほどTOTOの便器が使用されてい て、中国では高級ブランドとして広く知れ渡っているようです。なので、個室 でTOTOの文字を目にすると日本人としてちょっと嬉しくなってしまいます。 実際、高級マンションではTOTOの商品を使っていることがウリにもなり、物件 情報にそのことが明記されていることもあります。私の友人が住む外国人の入 居率が高いマンションもTOTOを使用。ただ、2ヶ所あるお手洗いのうち1つは確 かにTOTOなのですが、もう1つは国産メーカーのもの。たしかに宣伝文句はウ ソではないけど。。。やはりすべてをTOTOにするにはコストが相当かかるので しょうね。 と、レベルの差が大きい上海のトイレ環境ですが、万博以降格段にきれいな箇 所が増えたとか。また、いまだに建設ラッシュが続く上海なので今後もますま す環境は改善され、TOTOの文字を目にする機会もさらに増えるのではないかな と期待しています。 ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●編集後記 ○10年以上前に中古で買ったものの、物置台と化していたアップライトピアノ を掃除して、最近遊んでいます。ピアノはまったく弾けないので、簡単な曲か ら練習しようかと思っています。目標はジャズの名曲「Misty」です。ピアノ の音はいいなと思います。木と金属の音ですね。ただ、弾ける時間は深夜に限 られ、そうするとミュートしてもそれなりに響きご近所迷惑になりかねません。 というわけで今度はプリセットのシンセが欲しくなってきました。(M) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■■取材・執筆・DTPデザイン・印刷物納品を行います! カラーズ(有) ■企業のユーザー事例、パンフレット、Webコンテンツなどの制作を行います。 ■お問い合わせはinfo@pdweb.jpまで。お待ちしています。■■■■■■■■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ pdwebメールマガジンNo.13 2011年4月25日発行 2,000部配信 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓   pdwebメールマガジン登録変更および解除のご案内 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ※このメールに返信はできません。配信アドレスの変更や停止を希望される 方は、pdweb.jpのトップページ右側の登録フォームにて操作をお願いいたし ます。 http://pdweb.jp ┏…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┓ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥   編集・制作:pdweb.jp編集部   〒151-0071 東京都渋谷区本町1-20-2-909 カラーズ有限会社   お問合せ先 info@pdweb.jp   Copyright(C) Colors.,LTD. All Rights Reserved ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ┗…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┛