product design WEB Design Competition 2009  
 
 写真:審査会の様子 pdwebデザインコンペ2009大賞発表! pdwebデザインコンペ2009 明日のカタチ、生きたカタチを求めて
 
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  ■総評

●審査委員長 秋田道夫
第2回をむかえた「pdwebデザインコンペ2009」も多くの力作が集まりました。昨年にくらべて応募総数は減少しましたが、デザイナーをめぐる社会情勢、そしてコンペそのものもまだ初期の段階であり、5年10年という長いスパンでこのコンペを育てていこうというのが審査委員一同の想いです。

さて審査の結論は残念ながら「大賞なし」ということになりました。なりましたというよりはそうしたのですが、昨年の大賞作で見られたような「審査委員の限界を問う」という迫力ある応募作を見いだすことができませんでした。

昨年も入賞された小林さんの「YUTANPO DISH」 木村さんの「wall clock ~ 太陽と月」どちらも予備審査の段階から評判もよく票を集めましたが、どこか「既視感」があり、ぐっと気持ちをつかむものが不足していたように思います。

その2点にくらべてU-22賞に輝いた立石さんの「modan KOTATSU」は「つっこみどころ満載」である一方、着目点と造型感覚に可能性を感じさせてくれました。

最後にひとつお願いでもあるのですが、応募作の中にすでに学校の課題で制作し、ホームページで発表済みの応募作がありました。インターネットでオープンになるこのコンペですからいずれは「わかってしまう」ことだと思います。さらなる改良を加えて「問いかける」。そういう姿勢を来年のこのコンペで示してほしいと願って、総評を終わります。

■審査委員講評

●磯野梨影
モノのあるべきカタチとして、「こころ」や「きもち」が感じられる作品を選びました。モノ(プロダクト)は、単なる物質ではなく、常に使う「人」がそこに関わっているからです。

No48「YUTANPO DISH」:「食事のちょっとした心遣い」が、シンプルな発想によってデザインされているところがいいと思った。実際の使い勝手についてなどは、実用化するにはもう少し検討が必要。

No19「modan KOTATSU」:家族の集まるあたたかな風景の核となるこたつに着目し、新しい姿を模索したことを評価。独特なスタイリングも魅力的。しかし、実際の使い方やプロダクトの詳細についての説明は、不足しており残念。

No64「wall clock ~ 太陽と月」:時間を感覚的に表わすことに共感を覚えました。残念なのは、昼間の明るい室内での使用が難しそうな点と、コードの処理。この2点にもっとアイデアがあれば、さらに魅力的な提案になったと思います。

●倉方雅行
No19「modern KOTATSU」:生活環境が洋風モダンになったとはいえ、日本人の生活習慣の中で忘れられない事のなかに、食習慣と居住習慣が挙げられる。家族が揃って鍋をつつくさま、ごろっと横になりくつろぐ姿は、全国的に細かくは違うにせよ、懐かしくもあり、微笑ましい情景だ。夏場のたたずまいが少々気になるが、この作品は、そうした日本人の生活の本音にアイデアの視点に置き、まとめ上げた点に好感が持てる。

No48「YUTANPO DISH」:熱いモノを熱いうちに、冷たいモノを冷たいうちに。「温度もご馳走」をごく自然に素朴な発想として提案したのが、この作品だろう。ハイテクノロジーを使用しない「お湯の熱源」という点が、料理が自然からの恵みであるという、忘れかけそうなおもてなしを大切にしていると感じる。簡単な構造であるがゆえ、排水時の水切りの問題など、解決するところはまだあるが、あったら使ってみたいモノのひとつだ。

●芝幹雄
No01「Dino SPR」、No16「ひまわりecoカメラ」、No28「Oval Chair」、No64「wall clock ~ 太陽と月」、私が入賞作品の中で特に関心があったのは以上の4点です。Dino SPRはその完成度の高さ、というよりもう完成している。脱チューブ構造というコンセプトは明解だったと思います。Oval Chairはその表現力に不思議な魅力を感じました。wall clockは、時計のデザインの中ではもはややり尽くされたコンセプトとは思いますが、光の色と影を使って表現したところが小さいながらも盲点を突いていた気がします。ひまわりecoカメラ、今回私が一番関心を持った作品です。定点撮影専用カメラというコンセプトはあるようでなかった気がします。その場に置き去りにするわけですからあまり高価であってはならない。今や100万画素クラスの撮像素子などおもちゃに十分使えるレベルで転がっています。ソーラーパネルに太陽を追いかける機能など必要ないと思いますし、もう少し造形的な魅力がほしかったのは事実ですが、このコンセプトをあきらめずに追いかけていけば、実現性はあるかもしれません。

●中林鉄太郎
「明日のカタチ、生きたカタチを求めて」…というスローガンのpdwebデザインコンペ2009。今日ではなく、近未来でもなく、明日使える(使いたくなる)製品に…という方向性。その「明日使える製品」という表記には抜け落ちがある。「どんな人たちが、どんな時に、なにを満たすために」…という設定だ。それらのことが、プロダクトデザインを通して見えてきたり、感じられた提案を評価することになった。

頭の中のイメージを、アイデアスケッチ、図面やCG、モデルの撮影などで表現していく…いわゆるプロダクトデザインの視覚化は、具現化…共感を伴うリアライズが宿っているのかが鍵になる。私が選出した「YUTANPO DISH」や入選した作品は、それらに加えて「明日」が感じられる要素があった結果だと思う。

●森屋義男(pdweb編集部)
受賞者の皆様、おめでとうございます。今年は不況を反映してか、各種デザイン系イベントの多くは縮小傾向にあり、当デザインコンペも残念ながら応募作品数が昨年を上回ることができませんでした。ただ、応募作品はいずれも作者の想いが伝わってくるものばかりで、特に学生、若手の皆さんのモチベーションの高さには圧倒されました。

11月24日の審査会では審査委員長をはじめ審査委員の皆様ともう一度全作品をプレビューし、意見を交わしました。大賞に関しては、昨年同等以上の作品に進呈すべきとの考えから、今年は該当なしとなりました。今回の準大賞のデザイナーお2人は、大賞に一番近い位置にいるので、来年はぜひこの上の席に座っていただきたいと思います。

最後になりますが、審査委員の皆様、そして協賛いただいた各クライアントの皆様に厚くお礼申し上げます。
来年も本コンペをよろしくお願いいたします!

■審査方法と審査経緯

「明日のカタチ、生きたカタチ」をテーマとした本コンペ。2009年は71作品の審査に際して、まず以下の審査基準を設けた。「カタチ」10点、「アイデア」10点、「実現性」10点、合計30点を最高得点とし、審査委員長および審査委員に全作品を採点していただいた。審査委員長および審査委員の5名によるそれぞれの採点上位3作品を審査エントリー作品とし、11月24日に行われた審査会によって、「入選」全10作品と、その中から大賞およびU22賞が選出された。

また優秀賞(スポンサー賞)は原則的に入選の10作品から各スポンサーに選んでいただいたが、メーカー独自の視点も尊重し、入選に適切な作品が含まれなかった場合、全応募作品をその対象とした。
 

 
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