pdweb
無題ドキュメント スペシャル
インタビュー
コラム
レビュー
事例
テクニック
ニュース

無題ドキュメント データ/リンク
編集後記
お問い合わせ

旧pdweb

ProCameraman.jp

ご利用について
広告掲載のご案内
プライバシーについて
会社概要

コラム
イラストリレーコラム:若手デザイナーの眼差し

第135回 久留島裕也/建築家

このコラムページでは、若手デザイナーの皆さんの声をどんどん紹介いたします。作品が放つメッセージだけではない、若手デザイナーの想いや目指すところなどを、ご自身の言葉で語っていただきます。





●けんちくの思考

いまの会社を設立して約4年、最近ではいろいろな方に「なにをしている会社なの?」と聞かれることがある。

僕たちteam raw row inc.ではこれまでに個人住宅の設計からまちづくりプロジェクト、エリアの活性化を図るイベントサポート、企業のブランディングなど、さまざまなプロジェクトに関わらせていただいている。一見違うようにみえるプロジェクトも、僕たちにとっては設計、デザインするということに変わりはなく、それぞれのプロジェクトにおける本質的な価値を見出し、意味のあるモノやコトを創造しカタチにするお手伝いができればという考えのもと、日々取り組んでいる。

建築を設計する上でもあらゆることを想定し、考えている。何もないところにさまざまな背景や文脈など、1つのストーリーを組み立て、クライアントの想いに寄り添い、なぜこの場所に建てるのか、どのようにカタチにするべきなのか、まちとの関係やつながりなどを整理し考えている。僕たちはこれを建築的思考と呼んでいて、この思考をベースに建築だけでなく、さまざまなモノやコトを創造することも可能だと考えている。

この建築的思考が、どのようなかたちで僕たちの取組みに活かされているのかをいくつかご紹介できればと思う。

●これまでの取組み

-大阪・阿倍野区の住宅「K邸」-



Ph:Yosuke Ohtake(クリックで拡大)









マンションの一室をリノベーションした住居の計画。クライアントさんからは、家族が集まりたくなるリビングというテーマをいただいた。そこで、家の中央に「中庭」を配置することでそれぞれの部屋をつなぎ、家族をつなぐ構成とした。中庭はリビングやダイニング、キッチンなどの機能を満たしながら、自由度高くさまざまなシーンに対応できる空間とした。また、隣接する公園内に点在する岩が子供たちの拠所となっているように造作ベンチがこの家の拠所となるようにと考えた。


▲diagram(クリックで拡大)






▲造作ベンチを移動させることで多様なシーンを生みだす。Ph:Yosuke Ohtake(クリックで拡大)







-大阪・羽曳野市の「教会」-



Ph:Yosuke Ohtake。(クリックで拡大)








世界各地に拠点を構え活動している宗教団体の新たな活動拠点の計画。いくつかの拠点を見学すると、クライアントさんが地域や社会、環境に対していろいろと考え、取り組まれていることが見えづらい状況だった。そこで、今回の施設では宗教団体として大切にしていることや日々の取組みなどを建物全体で体現できる構成とした。敷地条件や計画ルールにより各部屋の性質を整理し、日常的なエリアを道路側へ、活動エリアを敷地の奥側へと配置し、団体の象徴である“光”で各エリアを分けることで訪れた方々の気持ちを切り替えるセットポイントとなる光の通りみちを考案した。


▲提案時のdiagram。(クリックで拡大)











▲光の通りみち。Ph:Yosuke Ohtake(クリックで拡大)






憩いのスペース。Ph:Yosuke Ohtake(クリックで拡大)



▲ご神前。Ph:Yosuke Ohtake(クリックで拡大)





-福岡・博多駅東のエリア活性化プロジェクト-



スモールオフィス「Mol.t」。(クリックで拡大)








博多駅東側エリアの活性化を目的とした開発プロジェクト。当該計画地は福岡市の駅周辺の活性化を担う場所として認定を受けている。僕たちは新築計画のビル1階スペースと広場の活用を通して、エリアの活性化を図るべく福岡という地で働くだけでなく暮らしを豊かにし、人生にやりがいと生きがいにプラスを与えるというコンセプトでスモールオフィスのMol.t(Meaning of life+)を立ち上げ、企画からブランディングまでのお手伝いをした。また、広場に面した区画に新たな文化を一緒に育んでくれるカフェのパートナーの選定など、現在は定期的に広場を活用したイベントサポートを継続して行っている。


▲「Mol.t」の空間。(クリックで拡大)





▲「Mol.t」に隣接するカフェ。(クリックで拡大)



▲建物前の公開空地を活用した定期的なイベントの開催。(クリックで拡大)





-大阪・大阪ガスビルエリア活性化プロジェクト「GAS STAND」



Graphic:4:00AM。(クリックで拡大)








大阪ガス都市開発とともにエリアの活性化を図るプロジェクトとして、企画から設計、ブランディング、運営サポートまでをお手伝いしている。当該地は大阪ガスの保有する土地であり、今後再開発の工事が行われるまでの期間で、街に、人に、新たな活力(エネルギー)を育み、広げる場としてGAS STANDというプロジェクトを立ち上げた。
オフィス街という余白のないエリアに“遊び心”を散りばめることで人々に予感や期待感を生み出し、新たに活力(エネルギー)を見出したいと考えている。今後もより多くの方に体験してもらえるようなイベントの企画から運営サポートまでを継続して行っていく。Instagram:@ogud_gas_stand



▲工事中のGAS STAND 既存のプランターを活用したベンチを配置。(クリックで拡大)






地面に遊び心を散りばめたペイント。(クリックで拡大)





●ぼくたちの思考

ほんの少し見方や捉え方を変え、些細な気づきから価値を見出す。僕たちteam raw row inc. はこれからも固定概念にとらわれず、問い続ける。
実現したい想いや創造をカタチにするための本質的な価値を見出し、新しい体験と場の創造を目指して。建築の設計を軸に空間づくりだけでなく、ひとりでも多くのひとの心が動き、感動を与えられる体験と場を企画から設計、運用構築まで多種多様なパートナーと共に実現するためのチームとして伴走していけたらと考えている。






久留島裕也(Yuya Kurushima):1992年生まれ。大阪工業技術専門学校卒。建築設計事務所を経てSUPPOSE DESIGN OFFICE Co.,Ltdのプロジェクトマネージャーに従事。その後、2020年にteam raw row 株式会社を共同設立。
Instagram:@teamrawrow




2023年7月20日更新。次回は竹村優里佳さんの予定です



 


 


Copyright (c)2007 colors ltd. All rights reserved