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コラム
イラストリレーコラム:若手デザイナーの眼差し

第134回 村山昭宏/建築家

このコラムページでは、若手デザイナーの皆さんの声をどんどん紹介いたします。作品が放つメッセージだけではない、若手デザイナーの想いや目指すところなどを、ご自身の言葉で語っていただきます。





●活動とその原点

自身の活動のルーツは、祖父でした。

祖父は専業農家で、先祖代々引き継がれている土地で農業をしていました。その中で、祖父はあらゆる農機具や道具を自分で修理したり、自分で作ったりしながら従事していました。おじいちゃん子だった私は、そんな祖父の姿を間近で見ながら、ものづくりの素晴らしさと可能性を感じながら成長することができました。

そして美術大学に進学し、そこで「デザイン学」に出会いました。それは、あらゆるものを根本から支える素晴らしいものだと学びました。そしてそれは、私が祖父から受け継いだ、在る物を最大限に生かし、目的のためにものを作り使う。そして利用してもらう。という「百姓マインド」のようなものと結びついていきました。

そんな、なんでも作ってしまう「百姓マインド」をベースに、いま私は建築設計事務所、株式会社rivvonを主宰しています。そこでは、建築、インテリアデザインを中心に、プロダクトデザイン、シェア事務所の運営などを行っています。

また、お茶道をベースにした、ものづくりの取り組みであったり、 日本らしい well-beingを”well-down”と再解釈し、集団的創造と探究を行うアートコレクティブ「Ochill」にも参画しています。たばこ葉ではなく茶葉を吸う新たな嗜好品「吸うお茶」や瞑想室「落散 京都」の共同製作も行っています。
https://ochill.jp/



「U house」 個人宅。(クリックで拡大)





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「いぬいクリニック」 泌尿器・内科。(クリックで拡大)





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「真福寺 水琴奏」 永代供養墓。(クリックで拡大)



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「煙小卓 名:落散」 吸茶道具。(クリックで拡大)





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「SXSW2023 COLDRAW Exhibition Booth in Texas」 展示ブース。(クリックで拡大)





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「KYOTO FRAGMENT ART PROJECT」 アート作品。(クリックで拡大)





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●デザインに対しての思想

「足るを知る」。これは古代中国の思想家、老子の言葉で「今の自分の状況に相応しい満足感」という意味ですが、デザインにも同じようなことが言えると考えています。すでに持ち合わせているものや状態、またそれらの“価値”はすでに存在しているはずですが、近現代ではそれらに目を向けることが少なくなっていると感じています。

デザインにおいても、歴史や場所や文化、また環境や素材、空間などが持つ”既存の価値”から情報を引き出し解析することでよりよいものが生まれると考えています。

現在、マッチポンプ的なものづくりが多くなっている世の中で、元来存在するものに目を向け、それらに対してさまざまな尺度、方向からアクセスすることで生まれるものが、無理のないものづくりだと私は考えます。

それは、これからのものづくりを健康的に継続していく上で、より大切になってくると感じていますし、現在、さまざまなプロジェクトを通じて、研究、発展させています。


村山昭宏(Akihiro Murayama):1990年生まれ。京都精華大学デザイン学部建築学科卒。SCI-ARCへの短期留学ののち、インテリア、建築設計の企業を経て、立命館大学のキャンパス計画室マスタープランの策定に従事。その後インテリアデザイン事務所を経て、株式会社rivvon設立。  https://rivvon.jp/




2023年6月14日更新。次回は久留島裕也さんの予定です



 


 


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