┏…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┓ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥       pdwebメールマガジン第85号・・・2017/4/24       編集制作:pdweb.jp編集部 http://pdweb.jp ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ┗…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┛ ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ● pdwebメールマガジン第85号 目次 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ●リレーコラム:若手デザイナーの眼差し 第61回:猪田恭子/INODA+SVEJE ●編集長のミニコラム 「機能と素材のミスマッチ」 ●編集後記 ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●リレーコラム:若手デザイナーの眼差し 第61回:猪田恭子/INODA+SVEJE INODA+SVEJE(イノダ+スバイエ)の猪田恭子です。 デンマーク出身のニルス・スバイエとデザイン事務所を立ち上げ、17年目とな りました。事務所はイタリアはミラノの中心部、ブレラ地区に位置しています。 私は、日本で高校を卒業した後、アメリカの大学に進学するも中退。ワーキン グ・ホリデーを利用して、19歳から23歳くらいまで、海外で語学学校に通った り、またアルバイトをしたりしながら、いろいろな国を自由気ままに放浪する 生活をしていました。 そしてある日、突然にデザインに興味を持ち、それならミラノだと、23歳だっ た私は、日本に急遽帰国し、朝晩働いて半年で300万円を握りしめ、ミラノに 降り立ちました。まずは、語学学校に半年通い、そのまま3年間の建築デザイ ンの学校に入学、個展などを行い、その時に知り合ったスバイエとコンペにた くさん出すようになり、今にいたります。 現在の仕事内容は、主に、医療器具やエコ・エネルギーに関する部品のデザイ ンコンサルタント業、そして家具デザイン業、家具ショールーム経営、その他、 電気自転車開発会社をデンマークで立ち上げ、開発、製造、販売を行っていま す。 ○デザイン業界に入る ミラノに来て早20年が過ぎました。やっと、デザイン事務所の経営も軌道に乗 り始めたところです。 事務所を開くきっかけは、数々の家具の個展やコンペをするようになったこと です。そのなかで、家具の知識を本格的に身につけ、技術を知り、PCのプログ ラムを覚え、家具業界を知り、クライアントとのやり取りの方法を、1つひと つ学んでいきました。 いわばゲリラ的に、経験でモノにしていくタイプでした。デザイン学校時代に 少しインターンもしましたが、どうやら私には向いていなかったようです。 ○家具デザインの話 私たちは、数ある仕事内容の中でも、一番家具デザインが好きかもしれません。 そして、イタリアは、家具デザインを学ぶ、デザインで生きていくという人に 、とても適した場所だと思います。 私の信条は「家具は日々進化している」です。 現代の家具作りは、今だからこそ作ることのできる家具である必要があると考 えています。極端な表現を使うならば、50年代でも作ることのできる家具には 興味がありません。 もちろん、50年代の北欧家具、それをさかのぼるシェーカー家具などに学ぶ点 はたくさんありますし、その魅力は尽きません。言うなれば、まるで科学の研 究のように今まで積み重ねてきたものの上に、さらなる研究を積んでいくとい うプロセスを踏まえた家具であるべきだと思うのです。 現在進行形の家具は、人間の身体はもとより、新素材や新技術の活用、生産工 程での新しい機械の導入などにより、50年前とは大きな変化があります。 例えば、フィン・ユールの家具が手作業でしか製造できなかった時代があって、 工業生産の時代においては過去のものとなりました。しかし、今また、作れな い形などないという恐るべし究極のNCルーターが登場し、生産工程がコストと 見合うようになり、復刻しました。ただ、外見的には同じでも、その制作過程 が今でしかできないならば、それは「現代の家具」という観念で私たちは見て います。そういうものも含めて現在進行形の家具作りに興味があります。 しかし、それは歴史抜きでは不可能で、歴史を知り、咀嚼した上で、彼らが考 えてきたように、その時その時の時代背景、環境、影響も把握した上に、現代 に生まれるべき家具を考えなければならないのです。 ○日本人とデンマーク人がミラノで活動 他国と比べて、イタリアにいると「開発する」力がとてもつく、ということを すごく感じます。 それは、イタリア家具の発展から培われてきた土壌によるもので、イタリアで は、各地域、各分野の職人の探究心が旺盛です。またミラノ・サローネの発展 で、競争相手も常に新しい素材を発見し、それをどう加工していくのか、新し い技術の探究をしていることも分かります。 デザイナーもアンテナを張って、この素材だともっとシャープなラインを表現 できるとか、もっと軽快にしたいと考えている家具に合わせて新技術を応用し てみたりと、家具工場と対等に意見を交わせる知識がなくてはいけません。家 具の価値は、自分たちデザイナーのレベルや能力によって定められてきます。 日本やデンマークは、そんな変化し続ける家具文化とは無縁の国です。そこで 育ってきた私たちチームは、それぞれのバックグラウンドである、デンマーク の歴史や知識、その土地に根付くデザイン感に、日本の繊細さや精密さを加え、 イタリアにおいて、自分たちなりの手法や発展方法を編みだしてきていると認 識しています。 ○今後の家具製作の行きつく先 椅子にしても、プラスチックでパコンと作ってしまえば、どんな曲線も出せる し、コストも安い。合理化を進む時代だったからこそ、そういう発展があった わけですが、超工業製品が一般化しつくされた今、また価値観も微妙に変化し ています。 工業製品であることは量産において必要不可欠ですが、そこにどれだけクラフ トマンシップを持ってきて、バランスよく製品として世に出していくのかが、 今、私たちが追い求める「現在進行形の家具」なのだと認識しています。 「機械とハンドメイドの両立、それは、”Heart made”につながる」。 私たちは、そう信じます。 私たちは、”Heart made”(心に伝わる何か)にこだわって家具を作り続けて いこう! そう今は、思っています。 猪田恭子 INODA+SVEJE http://www.inodasveje.com ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●編集長のミニコラム 「機能と素材のミスマッチ」 木材、金属、プラスチック。たいていのモノの外装はほぼこの3つの素材から できている。紙や布、革、エラストマーなどもあるが、固い筐体にはあまり用 いられない。またガラスやセラミックのように、食器系などによく用いられる 素材もある。 さて、木、金属、プラスチックは、細分化され、それぞれの特性に最適な加工 技術や製品がある。逆に言えば、あらゆるモノは現実的に上記の素材で形作る しかないわけで、変幻自在な素材は存在しない。これはモノ作りにおいて、落 としどころが定められているということになり、自由な発想を妨げる足かせと 感じているデザイナーもいるかもしれない。 変化球かもしれないが、機能と外装素材のミスマッチ的組み合わせ製品も面白 い。セラミックや紙のボックスでできたスピーカー、木製キーボード、ガラス 製のギターなど、すでにそういった製品はいくつも存在するが、それをさらに 飛躍させたアイデアはないだろうか? たとえば木製筐体のPC、スマホやタブ レット、革張り自動車(検索したらありました!)…いずれも安全性や耐久性、 精度を無視したアイデアだが、まずはイメージありきで、これまでなかった製 品を見てみたい気もする。 森屋義男/pdweb.jp編集長 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■○■pdwebメールマガジンでは広告のご利用をお待ちしています。■○■ イベント/セミナーの告知や集客、新製品のご案内に。臨時増刊もあります。 ■○■お問い合わせはinfo@pdweb.jpまで。料金:1行6,000円〜。 ■○■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●編集後記 早いモノで、もうすぐゴールデンウィーク突入ですね。今年も旅行などの予定 はありませんが、カメラをぶら下げて山歩きくらいはしたいと思っています。 そういえば最近、DVカメラやカセットテープなどのアナログ信号を入力すれば、 MP4やMP3に変換してくれる大型スマホサイズ程度の専用機を買いました。PCい らずでとても簡単。ハードディスクもUSBで直付けできます。 以前、DVカメラで撮影した子供の記録などを、FireWire(IEEE 1394)でPCに 接続してデジタル化していましたが、それが面倒で途中で止めてしまい、未デ ジタル化のテープがたくさん残っています。それとカセットテープでしか残っ ていない若い頃のバンド演奏など。GWはそれらを専用機でデジタル化するとい う地味な仕事をコツコツしようかと思っています。 ○それと引き続き、pdwebではバナー広告などを掲載していただける企業を求 めています。プロデザイナーおよびプロ予備軍などデザインの世界に特化した 媒体ですので、専門的な製品なども承ります。ご興味のある方はお気軽にメー ルをお願いいたします。最新のメディアデータを送付して返信させていただき ます。ご連絡をお待ちしています。(M) 送り先メールアドレス→ info@pdweb.jp ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■■取材・執筆・DTPデザイン・印刷物納品を行います! カラーズ(有) ■企業のユーザー事例、パンフレット、Webコンテンツなどの制作を行います。 ■お問い合わせはinfo@pdweb.jpまで。お待ちしています。■■■■■■■■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ pdwebメールマガジンNo.85 2017年4月24日発行 3,000部配信 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓   pdwebメールマガジン登録変更および解除のご案内 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ※このメールに返信はできません。配信アドレスの変更や停止を希望される 方は、pdweb.jpのトップページ右側の登録フォームにて操作をお願いいたし ます。 http://pdweb.jp ┏…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┓ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥   編集・制作:pdweb.jp編集部   〒151-0071 東京都渋谷区本町1-20-2-909 カラーズ有限会社   お問合せ先 info@pdweb.jp   Copyright(C) Colors.,LTD. All Rights Reserved ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ┗…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┛