┏…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┓ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥       pdwebメールマガジン第76号・・・2016/7/25       編集制作:pdweb.jp編集部 http://pdweb.jp ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ┗…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┛ ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ● pdwebメールマガジン第76号 目次 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ●リレーコラム:若手デザイナーの眼差し 第52回:板坂諭/the design labo ●編集長のミニコラム 「良いデザインとは」 ●編集後記 ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●リレーコラム:若手デザイナーの眼差し 第52回:板坂諭/the design labo 私は2012年に 株式会社 the design labo というデザイン研究所を設立し、日 々デザインを必要とする人、企業とともにモノ作りをさせていただいています。 株式会社 the design labo は一級建築士事務所でもあるため、建築の設計/ 監理を自社で行い、そこに納まる家具や照明、サインやグラフィック、Webま でトータルにご提案できる体制を整えている点が弊社の強みだと考えています。 建築以外にも、展示構成、デジタルデバイス、食器、アプリ、パッケージデザ インなど幅広くデザインを請け負っています。 また、それらの活動と並行して「h220430」というブランドを立ち上げ、デザ インの可能性を追求/研究する活動を行っています。ここではその h220430で の活動を中心にお話しさせていただきます。 これまでh220430では、椅子や照明などの家具、歯ブラシ立てなどの雑貨、ジ ュエリーや携帯アプリなどをデザインさせていただきました。2014年には青幻 舎からh220430の作品集「New made in japan」(https://www.amazon.co.jp/ Japan-works-h220430-Satoshi-Itasaka/dp/4861524512)が出版され、その中 でこれまでの作品の多くが紹介されていますので、よろしければご覧ください。 もともとは「建築家は器用だから」という理由で、さまざまなデザインの相談 をいただくようになったことがh220430を立ち上げるきっかけになっています。 住宅設計業務では、しばしばクライアントから頭を抱えたくなるような難題を 投げかけられます。クライアントにはもちろん悪気などありませんから、とん でもない難題をぶつけてきている時でさえ、大体笑顔です。笑顔で言われると 「無理!」と言いたくても言えず、そんな時は開き直り、どんな難題に対して も悲観的にならず、ひとまず前向きに考えるようになりました。「不可能です」 と答えることは簡単ですが、アイデアや努力次第で不可能は可能になると信じ、 不安を押し消しながらひとまず前進するようにしたのです。そうすると、これ まで見えなかった景色が見えてくるようになりました。しかし、極めて困難な 状況下であっても前進し続けるためには経験値を積むことと、相応の鍛錬が必 要になります。その鍛錬として、自らが自らに難題を課す目的で活動をスター トさせたのがh220430でした。 世間と対話しながらアイデアを磨き、制作方法を吟味し、製作依頼先を厳選し、 自らの意志を隅々まで伝達し、コストを調整し、作り手のモチベーションを高 めながら製作を監理し、さらにはデザインの力で最大限そのものの魅力・価値 を増幅させ、最終的には世間が想像する以上のものへと昇華させることがh220 430の命題と定めました。自分の能力を鍛錬しながら、その成果がクライント の喜びにつながるのであれば、これほど嬉しいことはありません。 そんな風にいくつもの難題をクリアし、やれることを増やしてきました。その 結果できあがった作品はこれまでにフランス、メキシコ、シンガポール、中国、 アメリカ、韓国、ドイツ、オランダへと旅立っています。 前出の「New Made in Japan」はその鍛錬の蓄積をまとめた作品集です。その タイトルには作品を造る際に常に意識している「日本らしさ」を表現したいと いう想いを込めました。日本で生まれ育った自分だからこそできることを追求 し、表現することが重要だと感じているからです。 戦後に世界を驚かせたMade in Japanは、今では諸外国製品の影に隠れてしま いました。モノ作りの現場は価格競争の波に飲み込まれて疲弊し、激変する時 代の変化についていけていません。 日本のモノ作りの伝統的な技術もその余波を受けて存在感が薄まり、各所で存 続の危機が訪れています。デザイン活動を続けていると、そのような悲しい状 況を方々で目の当たりにします。なんとかしなければならないという想いが自 分の中で強くなったことも、この作品集出版のモチベーションになりました。 日本のモノ作りは間違いなく世界に誇れるものだと確信しています。しかし、 それらは、気づけば他人の土俵で相撲を取らされているような状況に陥ってい ます。 日本人は身の回りのものに対して、万物に神が宿るという思想のもと、八百万 の神の存在を感じながら心を込めて向き合ってきました。作り手もそれに呼応 し、フィロソフィを込めたモノ作りを伝統的に行ってきました。しかし、戦後 の高度経済成長期にそれらの思想や姿勢は置き去りにされてしまいました。フ ィロソフィを意識しながらデザインすることは日本のモノ作りの特徴であり、 自分の土俵に立ち戻るために必要な行為だと考えています。 h220430では、これまでの「造り易く、売り易く、使い易い」をマーケティン グにより形にしてきた日本のデザイン文化が行き詰まりを見せている中で、デ ザインの可能性を追求する試みとして、フィロソフィを重要視し、従来の評価 軸から敢えて外れたモノ作りを続けています。作品の中には、生産性が低く、 高価格で、機能も不十分で、これまでのデザインの常識からすれば落第点をい ただくようなものもありますが、昨今のプロダクトデザインに対する評価軸、 価値観は多様化しており、日本においても商業的ではない評価軸が存在感を増 してきたため、幸いにも高い評価を頂けるようになりました。今後もh220430 では日本らしさを発揮しながら、新たな評価軸を意識したデザイン活動に注力 していきたいと考えています。 板坂諭/the design labo http://www.h220430.jp/ ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●編集長のミニコラム 「良いデザインとは」 モノを中身と外側に分けるとすると、デザインは主に外側の話になる。モノに 中身と外側があるのは人工物だからだろう。特に機械モノはそうなる。動物や 植物は中身も外側も一体化しているが、人工物の場合は、中身と外側に隙間が あったり干渉したり、なかなか一体化とまではいかない。もちろん食器や日用 品、椅子のように一体化したモノも少なくないが。 特に家電などの場合、消費者がモノに求めるのはまず中身(機能)が優先し、 外側は後付けになる場合が多い。そしてモノの中身の進化が停滞すると外側 (デザイン)による差別化が始まる。スマホ登場の前に流行ったデザインケー タイなどは、その典型的な例と言えるかも知れない。またスマホ時代になって、 筐体はどの機種もそれほど変わらず、OSやアプリケーションのGUIといった画 面インターフェイスの重要度が増した。そして外装は、サードパーティーによ る着せ替えケースが大きなビジネスになった。 さて、良いデザインとは、何なのだろう。機能的にも精神的にも、あるいはハ ード的にもソフト的にも、中身に無理なく沿うということが大切なような気が する。本質は外側に宿るのかもしれない。 森屋義男/pdweb.jp編集長 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■○■pdwebメールマガジンでは広告のご利用をお待ちしています。■○■ イベント/セミナーの告知や集客、新製品のご案内に。臨時増刊もあります。 ■○■お問い合わせはinfo@pdweb.jpまで。料金:1行6,000円〜。 ■○■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●編集後記 暑いですね! 今回も広告営業の話をさせていただきます。pdwebおよびこの pdwebメールマガジンでは、バナー広告、ユーザー事例などの記事広告のご利 用をお待ちしています。また、リーフレット、パンフレット、小冊子など、各 企業様のご要望に合わせた制作物の納品も可能です。コンテンツ制作は、デザ イン系専門メディアとして培ってきたノウハウが生かせる弊社にお任せくださ い。(M) ご質問・ご依頼などは、以下までお気軽にご連絡ください。 メール info@pdweb.jp 担当:森屋 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■■取材・執筆・DTPデザイン・印刷物納品を行います! カラーズ(有) ■企業のユーザー事例、パンフレット、Webコンテンツなどの制作を行います。 ■お問い合わせはinfo@pdweb.jpまで。お待ちしています。■■■■■■■■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ pdwebメールマガジンNo.76 2016年7月25日発行 3,000部配信 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓   pdwebメールマガジン登録変更および解除のご案内 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ※このメールに返信はできません。配信アドレスの変更や停止を希望される 方は、pdweb.jpのトップページ右側の登録フォームにて操作をお願いいたし ます。 http://pdweb.jp ┏…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┓ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥   編集・制作:pdweb.jp編集部   〒151-0071 東京都渋谷区本町1-20-2-909 カラーズ有限会社   お問合せ先 info@pdweb.jp   Copyright(C) Colors.,LTD. All Rights Reserved ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ┗…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┛