┏…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┓ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥       pdwebメールマガジン第60号・・・2015/3/27       編集制作:pdweb.jp編集部 http://pdweb.jp ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ┗…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┛ ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ● pdwebメールマガジン第60号 目次 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ●リレーコラム:若手デザイナーの眼差し 第36回:松山祥樹/Ateliers Yoshiki Matsuyama ●編集長のミニコラム 「Apple Watchって何だろう?」 ●編集後記 ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●リレーコラム:若手デザイナーの眼差し 第36回:松山祥樹/Ateliers Yoshiki Matsuyama 初めまして。Ateliers Yoshiki Matsuyama の松山祥樹と申します。 学生時代よりコンペティションなどをきっかけに、地場産業のメーカーとの商 品開発などを行ってきました。 また2012年からは、総合電機メーカーのイン ハウスとして、公共・産業機器のプロダクトデザインにも携わっております。 そのため、活動としては、いつからがスタートか、という境界が実に曖昧なの ですが、これまでを通して得てきたものや、考えてきたことなどについて、こ の度のコラムにて、皆様にお話できればと思います。 ○言葉から考える。 デザインを教えていただいた先生に「人はデザインするとき、何を使ってその 思考を行うか?」と問われたことがあります。紙? ペン? ポストイット?  もしくはコンピュータ? CAD? いろいろと候補を挙げますが、「あなた は」ではなく、「人は」という言葉で問われている以上、そこにはもっと普遍 的な答えがあるはずです。先生が提示した答えは「母国語」でした。この答え としては、「問い方」がちょっとトリッキーで意地悪な感じもしますが(笑)、 当時の私にとっては、とても腑に落ちる考え方だったと記憶しています。 人は、言葉の語彙を増やすことにより、より自由かつ複雑な思考が可能になる と考えています。そのため、私の個人的なデザインのトレーニング方法は、ス ケッチの練習などではなく、ただひたすら本を読むことでした。知識を増やす ことではなく、語彙を増やすことが目的なので、特に難しい専門書ではなく、 いわゆるポピュラーな小説ばかり読んでいます。 例えば「時計」を考えるとして、「時を/時が」に続く動詞が「経つ」や「流 れる」程度だと、時間を単なる移動または循環する連続性の一部としか認識で きません。しかし、「時」は「刻む」ことも「重ねる」こともできるし、「紡 ぐ」こともできます。このような感じで、本によって蓄積された語彙のボリュ ームそのものが、ダイレクトに私にとってのアイデアやデザインを思考するた めの重要なベースとなっています。 「Philosophy」も「Art」も「Science」も、西周という思想家によって哲学・ 芸術・科学として創訳され、初めてその概念を理解できるようになりました (概念という言葉も、西周によって創られた言葉です)。言葉のない概念は、 理解も思考もできない。このことは、モノ・コトを想像・創出する上で、極め て大切な認識だと思っています。 そのため、私のデザインプロセスの中でも、一番のコアとなる部分は、言葉や 文章によって構築されていきます。「Collinette.」という商品を事例として、 お話させていただきます。 ○文章をカタチに翻訳する。 Collinette.は、富山県高岡市に古くから続く金属加工の技術を活かして作ら れる、アルミニウムのツボ押しです。有機的な造形と、職人によって1つひと つ磨かれた美しい光沢が特徴で、富山プロダクトデザインコンペティションで のグランプリをきっかけに商品化、発売から1年足らずで3万個のセールスを記 録し、現在でも通算で6万個近い売り上げを記録しています。 伝統的な産業を活かす上で、例えば皿やグラス、花器といったいわゆる王道の 製品ではなく、何か現代の暮らしに密着した新たなアイテムはないか、と考え る上でツボ押しというアイテムに行き着きました。金属の持つ重く男性的な印 象に、軽やかな造形と、ボディケアという女性的なニーズを合わせ、水のうね りや小さな大地の起伏などの自然の造形を引用して、ひとつのアイテムにまと めていきました。 このような上記の過程を、ある種のエッセイのようなカタチで、文章としてま とめていきます。ニーズからコンセプト、アウトプットイメージのストーリー の整理も、ほとんどをテキスト上で行い、スケッチなどはあまり行いません (もちろん、ゼロではないですが)。 そのようにして最終的なカタチのイメージまでを文章化した後は、すでに一般 的ではありますが、3Dモデリングソフトを用いて一気にモデリング、細かいデ ィティール部を3Dプリンタによって出力し確認、最終デザインの完成となりま す。Collinette.の場合は、富山県総合デザインセンター協力のもと、50個近 い微妙な形状差の試作を重ねました。 客観的に計ることができないために、あまり重要視されていませんが、人には、 限定的な情報ほど、それを無意識的に想像で補おうとする能力が備わっていま す。例えば読んでいた小説が映画になると、キャスティングされた俳優に違和 感を感じたり、アニメーションになると、この声優は何か違うと感じたり。優 れた文章や小説ほど、そのような明確なインスピレーションにつながります。 アイデアやコンセプトを文章として整理し、そのテキスト情報を明確な造形イ メージとして頭の中でビジュアライズして、あとはそれをトレースするように 3Dデータとしてモデリングする。そのアプローチの精度を高めていくことが、 今後の自分のデザインワークにとって重要な要素となっています。 ○今後について 2020年のオリンピック開催に伴い、日本の伝統的な地場産業も盛り上がりを見 せる中、インハウスとして携わっているセキュリティや交通などの公共インフ ラなども同様に、大きな拡大を見せています。 国内の伝統や文化的なモノ作りから、公共や社会インフラの構築まで、Ateriers Yoshiki Matsuyamaでの活動と、企業でのデザインの2つの立ち位置を並行す ることで、より総合的に、デザインの力で暮らしにアプローチできればと考え ています。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 Ateliers Yoshiki Matsuyama 松山祥樹 http://yoshikimatsuyama.com ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●編集長のミニコラム 「Apple Watchって何だろう?」 先日、pdwebの連載コラム「坂井直樹のデザイン色眼鏡」で、坂井さんが「Apple Watch」を取り上げていた。 http://pdweb.jp/column/c_sakai/c_sakai08.shtml 巷間、マーク・ニューソンがデザインした電池が1日持たない腕時計? など とも言われているが、坂井さんは「ついにアップルのファッション企業として の顔を見せ始めた」とコラムをまとめている。 なるほど、と思った。アップルはコンピュータメーカーからスタートしたもの の、音楽配信や携帯電話も手がけており、ファッションに参入しても何ら不思 議ではない。 アップルが音楽やるの? アップルが携帯電話? アップルの動向をいち早く 理解するアーリーアダプターたちもいれば、一方で懐疑的な人も少なくない。 「iPhone」のデビュー当時も感じたが、「Apple Watch」はまだ何かの卵のよ うな気がしている。スマートウォッチ、ウェラブルデバイスとは何なのか?  それらは本当に必要なのか? その答えは私にはまだ分からない。 森屋義男/pdweb.jp編集長 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■○■pdwebメールマガジンでは広告のご利用をお待ちしています。■○■ イベント/セミナーの告知や集客、新製品のご案内に。臨時増刊もあります。 ■○■お問い合わせはinfo@pdweb.jpまで。料金:1行6,000円〜。 ■○■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ////////////////////////////////////////////////////////////////////// ●編集後記 つい先日、新年を迎えたかと思ったら、もう桜の季節です。新年度、新生活の スタートです。早いです! さて、3Dプリンタが話題になってもう3〜4年経つと思いますが、話題ほど市場 が活性化しているようにも見えません。今年は3Dスキャナのテクノロジーが来 るような予感がしています。デジカメ、スマホ、タブレット…やはりコンシュ ーマには3Dプリンタに対応する簡単な入力デバイスは必要不可欠だと思います。 (M) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■■取材・執筆・DTPデザイン・印刷物納品を行います! カラーズ(有) ■企業のユーザー事例、パンフレット、Webコンテンツなどの制作を行います。 ■お問い合わせはinfo@pdweb.jpまで。お待ちしています。■■■■■■■■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ pdwebメールマガジンNo.60 2015年3月27日発行 3,000部配信 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓   pdwebメールマガジン登録変更および解除のご案内 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ※このメールに返信はできません。配信アドレスの変更や停止を希望される 方は、pdweb.jpのトップページ右側の登録フォームにて操作をお願いいたし ます。 http://pdweb.jp ┏…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┓ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥   編集・制作:pdweb.jp編集部   〒151-0071 東京都渋谷区本町1-20-2-909 カラーズ有限会社   お問合せ先 info@pdweb.jp   Copyright(C) Colors.,LTD. All Rights Reserved ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ┗…・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・…┛