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Column Index
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pdweb.jp プロダクトデザインの総合Webマガジン ●女子デザイナーの歩き方
第27回 超専門なプロダクト
第26回 樹は木という材料になる
第25回 ポータブル・ビッグモニター
第24回 デザインの境界線を探る
第23回 靴を作るように作る
第22回 サスティナブルなデザイン
第21回 五感と能力
第20回 住む装置
第19回 お正月はにっぽん
第18回 2009年:みんなchangeを求めてる、けど
第17回 テーブルはただの“板と四本足”なんだけど
第16回 新技術とデザイン
第15回 キラキラ感
第14回 ブラウンのデザイン
第13回 老舗の技
第12回 教える、伝える、期待する
第11回 スーベニールというプロダクト(海外編)
第10回 デザイナーズ・スキル・スタンダード:その2
第9回 デザイナーズ・スキル・スタンダード:その1
第8回 食べたくなるプロダクツ
第7回 女子の思考、男子の思考
第6回 おまえの性能を見せてくれ
第5回 プレゼントって何だ?
第4回 デザイン系アウトドア
第3回 3Dモデリング道
第2回  古着屋で出会ったエンスーな扇風機
第1回 母と作ったワンピース

●モバイルデザイン考
第36回 アップル「iPhone 4」
第35回 パロット「Zikmu & Grande Specchio」
第34回 アップル「iPad(16GB Wi-Fiモデル)」
第33回 ソニー「ドックスピーカー/RDP-NWV500」
第32回 Evenno「Fingerist」
第31回 Think Tank Photo「ローテーション360」
第30回 ソニー「ブロギー/MHS-PM5K」
第29回 アップル「Magic Mouse」とロジクールの2つのマウス
第28回 新しいスタイルのデジカメ登場リコー「GXR」
第27回 デモバイルな工夫を感じる折りたたみ傘「センズ・アンブレラ」
第26回 デジカメの1つの進化系を実現したニコン「COOLPIX S1000pj」
第25回 フェールラーベンの多機能バッグ「ディペンドラートラベルバッグ」
第24回 民生用3Dデジタルカメラ、富士フイルム「FinePix REAL 3D」
第23回 デジタルで復活した名機「オリンパス・ペン」
第22回 電子ペン、MVPenテクノロジーズ「MVPen」
第21回 ソニー、サイバーショット「DSC-HX1」
第20回 キヤノン28mm12倍ズームデジカメ「PowerShot SX200 IS」
第19回 ソニーデータプロジェクター「VPL-MX25」
第18回 デジタルカメラ付きプリンタ「XIAO」
第17回 VGA/ビデオ両用のポケットプロジェクター「3M MPro110」
第16回 実用域に達した真にポケットサイズのプロジェクター
第15回 光学のニコンが送り出すヘッドマウントディスプレイ「MEDIA PORT UP」
第14回 薄さと機能向上の絶妙なバランス「iPod nano 4G」、「iPod touch 2G」
第13回 モバイルデバイスの充電ソリューション「The Sanctuary」
第12回 徒歩や自転車にも対応するPND「nuvi 250」
第11回 「iPhone 3G」が到達したデザインに迫る
第10回 モバイルスキャナPFU 「ScanSnap S300M」
第9回 ソニー リニアPCMレコーダー「PCM-D50」
第8回 携帯するテレビの1つの到達点ソニー「XDV-D500」
第7回 文具に潜むモバイルデザインのヒント
第6回 ワイヤレス時代の極薄フルサイズノート「アップルMacBook Air」
第5回 モバイルデザイン十ヶ条
第4回 ソニー パーソナルフィールドスピーカー「PFR-V1」
第3回 iPodケース3点〜きわみ工房「Re-nano」他
第2回 アップル「iPod touch」
第1回 三洋電機「Xacti DMX-CA65」

●デザインの夢
第10回 アメリカの抱える問題点に触れた:その2
第9回 アメリカの抱える問題点に触れた:その1
第8回 カーデザインを取り巻く状況
第7回 不況時代のサバイバル
第6回 ブラウンのデザインの変化
第5回 欧米と異なる、日本のデザインスタイル
第4回 不明瞭な「デザイン」という概念
第3回 フィリップ・スタルクの引退宣言に思う
第2回 予測不能のマーケット
第1回 夢は終わらない

●経営者が選ぶデザイン
第10回 ミニマリズムとは何か
第9回 電子機器のデザインとモダニズムの限界
第8回 モダニズムから合理的なデザインへ
第7回 デザイン事務所を見極めるヒント
第6回 想像を超えたフリーランスデザイナーへの要求
第5回 フリーランスデザイナーに依頼がくる仕事のパターン
第4回 デザイナーと密接な関係にあるエンジニア
第3回 記録的長時間のプレゼンテーション
第2回 最後は女子社員の多数決ですか!?
第1回 あるワンマン社長とのバトル

●プロダクトデザイナーになるための10の条件
条件その10 説得力
条件その9 社交力
条件その8 計画力
条件その7 協調力
条件その6 統制力
条件その5 表現力
条件その4 展開力
条件その3 応用力
条件その2 解析力
条件その1 観察力

●Buyer's Mind
第2回 東京・青山「SEMPRE」
Part 2 店舗経営のコンセプトと作り手へのリクエスト
Part 1 センプレデザインはどんなショップ?
第1回 東京・原宿アシストオン
Part 3 バイヤーから作り手へのリクエスト
Part 2 顧客ターゲットと品揃えの方法論
Part 1 AssistOnはどんなショップなのか?



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デザインの夢
第6回: ブラウンのデザインの変化


「夢」は創造の原動力。
これからデザイナーを目指す方々や若手デザイナーに向けて、1プロダクトデザイナーの視点から、さまざまな夢の断片をお伝えしていく。

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芝 幹雄
1983年多摩美術大学デザイン科卒業、GKインダストリアルデザイン研究所に入社。1990年株式会社GEO設立に参加、医療機器の設計とデザイン、その他産業機械の設計を手がける。2007年3月独立、株式会社SHIFT設立。同社代表取締役。
http://www.shift-design.jp/
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●高品質なドイツのデザイン

「Form・Follows・Emotion」、つまり形態は情緒に従うということになる。そう言ったのはブラウンのデザインディレクターであるピーター・シュナイダーである。

我々の世代のデザイナーにとってブラウンの製品はデザインの教科書のようなものであった。まさにモダニズムの具現化であり、またその優れた生産技術にも目を見張るものがあった。特に記憶に残っているのは電卓だ。シンプルで機能的なデザインを真似をすることは出来ても、その成型技術に関しては当時の日本ではとても真似のしようがなかった。

1980年代の日本はもう工業大国と世界から認められ、アメリカとの間で貿易摩擦が問題化していた頃である。それは安価で価格以上の価値があるものを大量に作り出す術は十分に持っていた証拠でもある。

しかし、高品質と言う点ではドイツに及んでいなかったようである。その後十数年でようやく、品質に於いてもドイツと肩を並べることが出来るようになったわけであるが、超えたと言う実感は現在でも、いろいろな製品を比較してもなかなか確実なものとはならない気がする。

●形態は情緒に従う?

当時のデザインディレクターはミスターブラウンと呼ばれたディーター・ラムスである。デザイナーで彼の名を知らない人はいないであろう。彼のデザイン哲学は「Less・but・better」であった。そして、当時のブラウンの製品は世界中のデザイナーから注目されるデザインの手本となった。しかし昔のブラウンのデザインを知る人たちは、その質の高さは変わらないものの、ここ10年ほど間のブラウンのデザインの変化にお気づきのことであろう。

ディーター・ラムスはデザインディレクターの座をピーター・シュナイダーに譲り1997年にブラウンを退社している。

そしてピーター・シュナイダーはブラウンのデザイン思想の看板を「Less・but・better」から「Form・Follows・Emotion」に取り替えた。彼自身がそうしたいと望んだことかどうかは分からないが、それまでの流れを変える必要に迫られていたのではないだろうか。彼が見たものはモダニズムの限界と言えるのかもしれない。つまりモダニズムの規範の中では世界のマーケティングに合致する製品を作り出すことが出来なくなり、そこから一歩踏み出さざるを得なかったのかもしれない。

ブラウンは随分前にアメリカのジレットグループの傘下となっている。そんな背景が彼にあのように言わせたとすれば、理解出来なくもない。

彼は「Form・Follows・Emotion」と言う言葉によって何を語りたかったのであろうか。「形態は情緒に従う」という直訳的な言葉の意味だけをとらえるならば、どうしても疑問が残ってしまう。人間の情緒ほど、あてにならないものはない。自分自身の感情分析すら難しいのに。他人の感情を論理的に分析出来る人がどれだけいるだろうか。

●Emotionと言うキーワード

人間の脳は右脳と左脳に分かれ、それぞれ感情的思考の分野と論理的思考の分野に役割を分け、脳梁と呼ばれる神経回路によってつながれている。ここで随分と情報の絞込みが行われているらしい。進化の過程でそのようになったのはそれなりに理由があるのだろう。脳梁が左右の情報を多く伝達しすぎると、人間は精神分裂になってしまうらしい。

そのようなわけで、もともと感情と論理は相容れないことが多い。理性的には理解出来ても、感情的にはどうしても受け入れられないなどと言うことは良くあることで、またその逆もある。しかし両者が一致する時もある。それは今まで意識せずに深層心理の中で何かを求めていて、ある光景やモノを目の当たりにした時それに気づいたときなどが良い例ではないだろうか。そんなとき人は感動したり、妙に納得がいく気分になったり、それに続く別の衝動が沸き起こったりする。

マーケティング的に言えば潜在需要の中の購買力が伴わず有効需要とならないもの以外にあたり、まだ目にしたこともないため、あるいは考えたこともなかったため、欲しいと思わないもの。そのようなモノの存在を示している。通り一遍のリサーチでは決して顕在化しない部分であり、マーケティングとデザインの永遠のテーマであろう。

それをいとも簡単に解決してしまいそうに思わせる言葉がEmotionと言うキーワードであり、ある時期世界中で流行った。だが当然のこと誰もそこから方程式など導き出せていない。その言葉によってデザインはより自由になったのは確かであるが、商品開発に博打的な要素を持ち込んでしまったのも事実である。

いずれにしてもデザインの世界では最も取り扱いに注意を要するキーワードと言えるのではないだろうか。


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