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コラム

坂井直樹のデザイン色眼鏡

第41回:椅子は座るものという概念を崩したオフィスチェア「ing(イング)」
「ing」は椅子を革新するか?


坂井直樹さんのコラム「デザイン色眼鏡」では、コンセプター坂井直樹さんに、モノをメインにデザインを取り巻く状況を語っていただきます。

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[プロフィール]
坂井直樹:コンセプター。株式会社ウォーターデザイン代表取締役。1947年京都生まれ。19歳で渡米し、サンフランシスコで「Tatoo T-shirts」が大ヒット。帰国しテキスタイルデザイナーとして活躍した後、80年年代後半に「Be-1」(日産自動車)や「O-product」(オリンパス)のコンセプトを手掛け脚光を浴びる。その後もau design projectで数々の先進的な携帯電話のデザインをプロデュースするなど、コンセプトからデザインまで革新的なビジネスをクリエイティブしている。


●椅子は健康に悪い?

自動車の椅子メーカーとの仕事で、脳科学の専門家とも話し合ったときに、座ることは大変身体に悪いという発言があった。パソコンやメールのおかげで、ますます座る時間が増えたような気がする。

働き方革命の多様化にともなって、本能的に座ることのリスクを感じているのだろうか? カウンターのようなデスクで立って仕事をする人も増えてきた。コクヨからの「これまでの概念を根底から覆し、働き方改革を次ステージに推し進める新製品」が出た。

「概念を覆す」「働き方改革」、そんなバズワードの連続だ。「働く」の未来を考えるオフィスチェア「ing(イング)」は、ゆるやかな「動き」で “座るを解放する”というコンセプトのオフィスチェア。椅子は座るものというバイアスを崩したコンセプトのようだ。

●座り過ぎのオフィスワーカーのための「ing」

日本人は椅子に座っている時間が世界で最も長いとされている。成人の総座位時間の値は1日7時間で、世界主要20か国と比較すると日本人の座位時間が一番長い。下半身の筋肉は全身の筋肉量の70%といわれるから、長時間の座る行為は、それらの筋肉が動いていない状態が長時間続くので、健康リスクが高まる。

「ing」は、そんな長時間同姿勢で座っている日本人のために作られた “動くためのオフィスチェア”だ。身体の微細な動きに合わせて360度自由に揺れる「グライディング・メカ」が、前傾、後傾、左右や斜めのひねりまで、身体の動きを細やかにフォローする。

バネを使用しない「グライディング・メカ」には、バランスボールのように座って姿勢を固定するまでの負荷がない。「フロントフリーチルト」を採用。高さや角度を調整しなくても、さまざまな背骨の形状にフィットして一点に体圧が集中してかかり続けるのを防ぎ、体圧を分散する。

●座りながらカロリーを消費し、α波、β波も増加

同じ姿勢を続けることで引き起こされる筋肉の緊張状態。長時間座っていると、どうしても肩が凝ったり腰が痛くなったりするが、「ing」は従来品に比べて、8割のユーザーの肩の筋肉、5割のユーザーの腰の筋肉が活動している。

また「ing」に座っているだけで運動と同じ効果が期待できるという。たとえば「ing」に4時間座れば1.5時間ウォーキングしているのと同等のカロリー消費が得られるという、夢のような性能だ。さらに「ing」はリラックスできる環境をサポート。

座面がスイングすることで生まれるリズムが身体と脳の活性化を助ける。「ing」に60分揺られることで、7割のユーザーのα波(リラックス度を表す)が増加、6割のユーザーのβ波(集中力を表す)が増加したという結果が出ている。


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コクヨの「ing」。(クリックで拡大)

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「グライディング・メカ」で身体の動きをフォロー。(クリックで拡大)

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「座るを解放する」がコンセプト。(クリックで拡大)

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「ing」のバリエーション。(クリックで拡大)




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