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コラム

坂井直樹のデザイン色眼鏡

第16回:エバンジェリストやギークが新しいドローンやGoProのようなニッチ商材を見出す
大衆からニッチの時代へ?


坂井直樹さんのコラム「デザイン色眼鏡」では、コンセプター坂井直樹さんに、モノをメインにデザインを取り巻く状況を語っていただきます。

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[プロフィール]
坂井直樹:コンセプター。株式会社ウォーターデザイン代表取締役。1947年京都生まれ。19歳で渡米し、サンフランシスコで「Tatoo T-shirts」が大ヒット。帰国しテキスタイルデザイナーとして活躍した後、80年年代後半に「Be-1」(日産自動車)や「O-product」(オリンパス)のコンセプトを手掛け脚光を浴びる。その後もau design projectで数々の先進的な携帯電話のデザインをプロデュースするなど、コンセプトからデザインまで革新的なビジネスをクリエイティブしている。


●アップルもはじまりはニッチだった

「大衆」はどこへ消えたのか? 万人向けを想定したものが以前のように売れなくなってきている。一方エバンジェリストやギークが新しいドローンやGoProのようなニッチ商材を見出す。

ニッチ市場とは市場全体の一部を構成する特定のニーズを持つ規模の小さい「隙間」市場のこと。アップルも創業時はニッチ市場向けのマザーボード100台分を売るニッチメーカーから始まっている。現在、米アップルの時価総額は巨大化し、世界一の時価総額、約83兆6000億円を突破し、ニッチとはほど遠い企業になった。

大手でも製造元ソニーに捨てられたロボット犬「AIBO」などは、ニッチ製品だったのだろう。


●大手資本が狙わない、潜在的ニーズを探せ

手既存の商品やサービスでは満足できない消費者が存在する場合、これらの消費ニーズがニッチ市場だ。「指毛専用の除毛クリーム」など極端な事例もあるが、ドローンやGoProなども最初はニッチ市場で、ニーズの規模が小さい商品を要求する消費者の数が少ない市場だった。そしてあまりにも潜在的なニーズのため、多くの企業は「産業」として考えつかなかった。

市場規模の小ささから既存企業が進出していないため、ベンチャー企業が進出しやすい「大手資本が手をつけないようなマーケット」。例えば海洋堂のフィギュアなど「オタク向け」に特殊化した市場も発生し、市場全体から俯瞰してみると多くのニッチ市場が登場している。 各々のニッチ市場の合計が一般層向け全体の娯楽媒体市場規模をも追い抜きつつあり、いわゆるロングテールというeコマースの強みが生かせる。

自動車最大手のトヨタでさえもニッチ商品は販売している。TOYOTA・86「RC」。このグレードはエアコンや一部内装パーツ、さらにバンパー塗装すら省かれている。他のグレードとは違い、写真のように購入後カスタムすることが前提の「素材」と割り切った商品であるからである。


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アップルが草創期に100台作ったマザーボード

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海洋堂の村上隆のスーパーフラットミュージアム「Kaikai Kiki & Flower」

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ソニーの「AIBO」

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トヨタ「86RC」


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