坂井直樹のデザイン色眼鏡

第10回：田村奈緒のファンタジーで美しいデザイン
機能的ではないけれど美しいデザイン

坂井直樹さんのコラム「デザイン色眼鏡」では、コンセプター坂井直樹さんに、モノをメインにデザインを取り巻く状況を語っていただきます。

[プロフィール]
坂井直樹：コンセプター。株式会社ウォーターデザイン代表取締役。1947年京都生まれ。19歳で渡米し、サンフランシスコで「Tatoo T-shirts」が大ヒット。帰国しテキスタイルデザイナーとして活躍した後、80年年代後半に「Be-1」（日産自動車）や「O-product」（オリンパス）のコンセプトを手掛け脚光を浴びる。その後もau design projectで数々の先進的な携帯電話のデザインをプロデュースするなど、コンセプトからデザインまで革新的なビジネスをクリエイティブしている。

●エレガントでファンシーなデザイン

機能を突き詰めると美しいデザインが生まれるという表現がある。

確かにそういうロジックで説明できるデザインもあるが、田村奈緒さんの作品には当てはまらない。彼女の作るモノにはファンタジーがあり詩のようにも感じる。機能的ではないけれど美しいデザインは存在するという証明のようだ。


田村奈緒の新作シャンデリア「Momento」


Momentoは床に波紋のような影を作る

●今年のミラノサローネで発表された「Momento」

Wonder Glass社と共同で制作した「Flow(t)」は、水の都・ヴェネツィアにインスパイアされ「吹きガラス」という手法でつくられたシャンデリア。

続いて今年、2015年のミラノサローネで発表されたシャンデリア「Momento」は床に、水面に現れる波紋のような影を作り出す。

ひたすら美しい空間を生み出す。ファッションに強いプロダクトデザイナーは世界でも少ない。こういうエレガントでファンシーなデザインを評価したい。

田村奈緒Webサイト
http://naotamura.com/