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コラム

坂井直樹のデザイン色眼鏡

第7回:天才よりも集合知?
ジブリかディズニーか? 
1人の天才的能力に頼るのではなく、秀才の集団が有利。


坂井直樹さんのコラム「デザイン色眼鏡」では、コンセプター坂井直樹さんに、モノをメインにデザインを取り巻く状況を語っていただきます。

イラスト
[プロフィール]
坂井直樹:コンセプター。株式会社ウォーターデザイン代表取締役。1947年京都生まれ。19歳で渡米し、サンフランシスコで「Tatoo T-shirts」が大ヒット。帰国しテキスタイルデザイナーとして活躍した後、80年年代後半に「Be-1」(日産自動車)や「O-product」(オリンパス)のコンセプトを手掛け脚光を浴びる。その後もau design projectで数々の先進的な携帯電話のデザインをプロデュースするなど、コンセプトからデザインまで革新的なビジネスをクリエイティブしている。


秀才チームによるモノ作り

「ベイマックス」を見て日本のクリエイティブは完全に死んだと思った。

「濱口秀司氏が語るデザインファームの今までと次の一歩」

とまったく異なる趣旨のWeb記事を読んだ。

しかしその分析はほぼ同じだったことに驚いた。レオナルド・ダ・ヴィンチのような一人の天才的能力に頼るのではなく、秀才の集まりによる集合知。どうも天才は分が悪い時代という話。

「ベイマックス」の話は、要約すると、スタッフの中には天才って1人もいない。秀才の集団が切磋琢磨してものすごいものを作ってしまった。

彼らは「チーム主義」でモノ作りをしている。一方チーム主義なんてくだらない、天才作家の想像力を最大限に発揮させる作家主義じゃないとすごい作品はできないという考えもある。

しかし彼らはチーム主義で「どうやったら面白いか」をみんなで必死に考え、ダメな部分を補強していく。ジブリを始め日本は作家主義なので、監督の長所を反映した尖った表現を行うけれど、短所も露骨に作品に出してしまう。ディズニーはチーム全員で短所を埋める方法を見つけてしまった。1人の天才に寄りかかった表現を続けている限り、日本は終わりです。


●99%はブティック型デザイン

一方デザインファームのあり方「濱口秀司氏が語るデザインファームの今までと次の一歩」では、世の中一般にあるデザインファームを分類する。

分類方法は冒頭の図のように単純なものです。縦軸に「何をデザインするか」という“What”を、横軸に「どうやってデザインするか」という“How”を置きます。横軸は、「天才(g)」と「グループ(G)」に分けます。小文字のgは「genius」のgで、アーティスティックで天才的な人を表します。

大文字のGは「Group」で、1人の天才的能力に頼るのではなく、複数人でデザインプロジェクトを回すことを表します。大きな違いは、背後にプロセス性が少ないのが天才、プロセスがあるのがグループです。天才は他人に頼らず1人で勝手にデザインしている。

ちなみに、4分割図の左上に入るのは、イメージとしてはレオナルド・ダ・ヴィンチのような究極的にマルチなアーティスト兼戦略家のような人です。アーティスティックなことでも戦略的なことでも、1人で何でもできる天才ですから、世界的に見て数は非常に少ないと考えてください。

さて、世の中にあるデザインファームはこの4つに分類されるわけですが、星の数ほどある世界中の99%のデザインファームは、いまだに図の左下、いわば才能あるデザイナーが率いる小さなブティックに属しているといえるでしょう。

イラスト
デザインファームのマトリックス







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