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コラム

坂井直樹のデザイン色眼鏡

第1回:高級ブランドに迫る危機的状況
「ステイタス」ではなく「自分らしい経験」が求められる時代へ

坂井直樹さんの新コラムスタート! 前回までの「世界の中の日本デザイン」から「デザイン色眼鏡」に。今月から始まるこの新連載コラムは、コンセプター坂井直樹さんに、モノをメインにデザインを取り巻く状況を語っていただきます。

イラスト
[プロフィール]
坂井直樹:コンセプター。株式会社ウォーターデザイン代表取締役。1947年京都生まれ。19歳で渡米し、サンフランシスコで「Tatoo T-shirts」が大ヒット。帰国しテキスタイルデザイナーとして活躍した後、80年年代後半に「Be-1」(日産自動車)や「O-product」(オリンパス)のコンセプトを手掛け脚光を浴びる。その後もau design projectで数々の先進的な携帯電話のデザインをプロデュースするなど、コンセプトからデザインまで革新的なビジネスをクリエイティブしている。


●有名ブランドの新たな動き

メルセデス・ベンツやバーバリー。これらの、いわゆる高級ブランドたちが、いま、こぞって顧客とのつながりづくりに勤しんでいる。

例えば「メルセデス・ベンツコネクション」。メルセデス・ベンツが東京・六本木と大阪・梅田のグランフロント大阪にオープンしたこのスペースは、カフェを併設した”開放型ショールーム”だ。外苑東通りに面したガラス張りの2階建てで、新型車を展示しながら、イベントも開かれる。気軽にカフェとして入ると、すぐそばにはメルセデス・ベンツが置かれている。コーヒーを飲みながらベンツの世界観を味わうことができるのだ。

一方、「NOWNWSS」というWebマガジン(英語版)をリリースしたのは、世界最大規模の高級ブランドグループLVMH(モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン)だ。これは海外ではかなり知られたデジタルマガジンで、アート、ライフスタイル、カルチャー、著名なクリエイターが発表した写真やショートフィルムまで見ることができる。すべて無料の独自のコンテンツで、毎日配信している。

こちらもユーザーとの距離感を縮めようとする、ブランドからユーザーへのアプローチとみることができる。

●「ステイタス」から「自分らしい経験」へ

高級ブランドというと、従来なら、高嶺の花的な立ち位置だった。それがなぜ、いまになって“歩み寄り”をみせているのか。そこには、高級ブランドに迫る危機的状況がある。

ヤフーバリューインサイト株式会社が2010年に行った「世代間の意識差に関する調査」によると、昨今は、世代に関わらず多くの人が、ブランドや高級イメージへのこだわりをあまりもたないのだという。

「ファッションに興味・関心の強い傾向の若い世代でも、また、かつてブランド品に強い憧れを持っていたイメージのあるバブル世代でも、そしてその他の世代でも、総体的にブランドへの関心が低いようです。そして特に若い世代では、ブランド品であるかどうかというよりも、自分の好みやこだわりに合ったものでファッションを楽しみたいという意識が強い傾向が見られます」(同資料から引用)

http://prtimes.jp/data/corp/624/b68c1a41b06182bc9d98ff1aeb012152.pdf

確かに、データをみるとブランド志向の人は全体の20%に留まっている。

コンサルティング企業、ベイン・アンド・カンパニーのゴヴァース健二氏は、ブランドを求める人々の心理を「もはやロゴでもステイタスでもなく、いかに自分らしい経験ができるかに関心がシフトしている」と言う。下の表にある通り、顧客のスタンスは「自分らしいものを購入するし、購入するものは自分らしい」となってきたのだ。

http://www.dhbr.net/articles/-/2554?page=2

つまり、ブランド企業がより強く考えるべきは、マーケットシェアではなくマインドシェアということになる。その人の心の中にすっと入り込み、まるで「我がもの」のように扱ってくれるモノをいかに作るのか。商品(モノ)と顧客(ヒト)の心をつなぎ、それらが共に惹き寄せられるような仕組みづくりが求められている。

ユーザー志向の変化

 

イラスト
メルセデス・ベンツコネクション



イラスト
NOWNWSS

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