moviti/片山典子
1964年神戸生まれ。京都市立芸術大学卒業、東京でインハウスデザイナーとしてパーソナル機器のプロダクトデザインや先行開発に携わる。デザインの師匠である同業のオットと2人暮らし。2005年から“デザインって何だ!”と称してノンジャンルで自主活動展開中。最近はフリークライミングとバスケットボールの“大人部活”と旅行にはまっている。2010年から本格的ソロ活動(離婚じゃなくて独立)開始。
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私事ですが、腹痛と下がらない高熱で緊急入院してました。胆石でした。幸い自然に散ってくれたので肝機能が戻るまで1週間。まったく想定外の入院でした。
すごいですね、禁飲食(飲水禁止ってきつい!)でも点滴経由で投薬と栄養補給されて、血液検査などバイタルデータを取ってフィードバックしていくんでしょうね。たまたま手術なり治療なりの作業がなかったから、自分の身体が一情報として扱われているような妙な気分でした。情報収集と分析、ちょっと株為替予測みたいな視点なんでしょう。ここではデジタル機器のUSBにあたるものが「点滴の針」、点滴経由で何入れられても思うがまま、みたいな気になってくる。
まさに「老人Z」がリアルになりはじめてる感じ。いや実際は看護士さんとたわいなーい話したり、大部屋の奥さん方と病院食のテイスティングの言い合いとかしてたんですけど。
なるほど、こういうところから「健康管理するトイレ浴室」とか発想するんだなー。
看護師さんは点滴の薬交換や血圧を測るとき、POSリーダーの付いた端末の乗ったワゴンを押してやってくる。だから病棟内は当然バリアフリーで通路幅も十分取ってある。投薬のときには患者個人の手首に巻いたバーコードと薬剤ラベルのバーコードをPOSリーダーで読み取り、名前を目視して取り違えを防止する。通路を多く通っているのは内科の場合、ストレッチャーでも車椅子でもなく、看護師の端末ワゴンと患者についた点滴スタンドだ。
昔は「ケータイは外でお願いします」だったのが、今は通話しなければWiFiで普通に病室からネットに繋げられる。大部屋でもコンセントが与えられて充電し放題。私は夫のGalaxy nexusでテザリングを初体験しました。すごい、テザリング。個室のアメニティはオーガニック、大部屋も当然液晶テレビが壁からアームで引出せる。三食上げ膳据え膳、掃除もしてくれて…快適です。
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たまたまこの入院の前に大友克洋GENGA展に行った。5/30まで3331アート千代田。
http://www.otomo-gengaten.jp/
生原稿は凄いです。見てきたかのように描いているけど、この人が昭和のどろどろ人間臭い乾いたドラマを最新テクノロジー(バーチャルやデジタル、ではない)の場で語った世界を最初に創ったんでしょうね。描きたいものがはっきりしているから澱みがない、パースが狂わない。非常に効率的にマンガの用具を使ってベーシックな手法で描いてます。ただ恐ろしく解像度が高い。またこの原稿の保存クオリティが凄い。整然と並んでいます。一個人の知のアーカイブです。この展示自体がOTOMOマンガの中みたい。展覧会というよりOTOMO詣で。
それにしても資料をどこまで自分のモノにしているのか。なんか見たことがあるようなモノも多いのだが、その再構築で独特の世界観ができているのか(童夢のあられちゃんキャップなど)。AKIRAの保育園のようなふわふわ丸いモチーフの柄のついた病院のようなナンバーズのラボ。手のひらにいれられた数字のタトゥー。
見たことがない、ではない未来、現在の次の未来。「きっと来る」と潜在的に思っていた未来が大友克洋のマンガを見て「あ、やっぱり」と思う。冷静に考えたら一個人がペンで描いただけのビジュアルなのに納得してしまう、説得されてしまう。
個人的にはAKIRAは後半が話が大きくなりすぎて、絵も堅くなって興味が失せてしまいました。「スチームボーイ」は見に行きましたが。でも巨大な都市の塊やつるんとした曲面のカウルの2人乗りのコミューター、ぷしゅんと壊れる機械、自信に満ちて仁王立ちする若い男女のビジュアルはもう自分の中に完全に刷り込まれている。
GENGA展の中でイタリアの街並みや自転車の1枚イラストがすごく綺麗で楽しそうな一隅があって(それでもチクリスタの背中やお尻の立体感がすごい)、それが最新の仕事というのが、良いなあと思いました。
いやあ、画力ってやっぱ素晴らしい力ですよ!
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