moviti/片山典子
1964年神戸生まれ。京都市立芸術大学卒業、東京でインハウスデザイナーとしてパーソナル機器のプロダクトデザインや先行開発に携わる。デザインの師匠である同業のオットと2人暮らし。2005年から“デザインって何だ!”と称してノンジャンルで自主活動展開中。最近はフリークライミングとバスケットボールの“大人部活”と旅行にはまっている。2010年から本格的ソロ活動(離婚じゃなくて独立)開始。
http://moviti.com |
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梅雨かあ。そういえば最近かたつむりって見てないです、子供の頃はよく見かけたのに。コドモの身長でちょうど見つかる高さにいるのかな。
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立て続けにちょっと変わったスタンスのデザイン展を見ました。比較しながら書いてみます。6月も開催中の展示もあるので是非参考にして行ってください。
●世界を変えるデザイン展 http://exhibition.bop-design.com/
あの本「世界を変えるデザイン――ものづくりには夢がある」(英治出版)に載っているプロダクトがメインの展示。
「あの有名なパソコンOLPC」とか「転がせるドーナツ型水タンク」「太陽電池ライト」「ミシン発電」とか「正しいコドモの生活すごろく」など実際に触ることができた。意外とショックだったのが「正しいコドモの生活すごろく」。途上国のコドモって親に「目標とすべき将来の生活、姿」を教わらずに、目先の労働力として親の犠牲になってすり減ってしまう子も多いんだろう。
単純に面白かった。ちょっとフィールドワーク分析やエンジニア的な発想、「こうやったらこの問題が低価格で解決できる、この動力に耐えられる強度があるものが作れる、この作業なら現地でできる、修理が可能」という知識/知恵/機転/応用力が必要。ガチのモノ作り。“デザインをバリエーションする、フォルムを研ぎ澄ます、ちょっとしたウィットで購買意欲をかきたてる”系ではない。
アウトドア用品のアイデアが転用できるんじゃないかと思った。濾過ストローは以前からアウトドア用品屋で見かける。
BOPではどうやってデザイナーは報酬を得たらいいんかな、ターゲットはお金を持ってないヒト/国だし。社会貢献は大事だけど、デザイナーもカスミを食って生きてはいけない。
フィリップスは実際にインハウスデザイナーをBOPに参加させているらしい。企業にもメリットあると思う。大量生産/消費して価格を下げたい素材を使うとか、生活必需のシステムを提供してインフラ化して定着させるとか。企業イメージの向上にも有効だし。
今膨大に使っている海外援助金の代わりに、こういう気の利いた知恵を企業がスポンサーになって途上国に提供して、その分税金免除とかCO2削減減免とかしてもらう仕組みが日本にあればいいのか。デザイナーを派遣援助/税金優遇して「知恵の海外援助」っていかがでしょうか。
●ポスト・フォッシル:未来のデザイン発掘展 http://www.2121designsight.jp/pstfsl/index.html
5/13の川上典李子さんギャラリートークのときに行ってきました。
post fossilとは「ポスト化石燃料時代」の意味と「新しい才能を発掘」両方かけているらしい。
未来のデザイン、と銘打っているが、すごくワイルドで原始的(リーさんの嗜好/志向もあると思う)な印象の作品が多い。
http://column.madamefigaro.jp/culture/design/post-462.html
オランダのリー・エデルコートさん(オランダでアート、デザイン、消費者文化等の関係性を研究し、国際的企業に対するトレンド分析とコンサルティングサービスを提供)がディレクションしているので、日本人の感覚よりもアート/デザイン/クラフトの境目があいまい。既存の材料で新しいコンセプトを付加して大量生産ではなく自分の手作業でカタチを作り、ロングスパンのテーマにしている。この「大量生産じゃない」というところがアートピース的でデザインじゃない、という印象につながっているのだと思う。あえてバラツキレベルのバリエーションを出そうとしている作品もあった。
プロダクトデザイナーは「細かいディテールまでこだわって管理する」のがエライと思いがち。個人的には「ちょっと俯瞰的な品質管理をすれば、すべてのフォルムがオリジナル、でいいんじゃない、均一の形状の必然はない」と思うんだな。制作工程や歩留まりなど考慮すると、品質性能に関係のないところはおおらかでもいいのでは、やむなくばらつくのが気になるのであれば、底や裏に回せるように配慮したらいいのでは、と思います。むしろカタチのばらつきが個性になる商品ジャンルならそれを認めちゃうのが今のモノ作りの流れじゃないかと。
日本のデザイナーが見たら「これはアートでしょ」と感じるヒトが結構多いと思う。でも出展している作家の中にはVitraとか企業と協働してたり、ちゃんとデザインビジネスにつながっているヒトもいるらしい。
個人的にはこれまでの21_21で見せてきた佐藤卓さんや深澤直人さんの「整理し秩序を与える」デザインも「研ぎ澄ましシンプル化する、すっきりする」で好きだけど、こういう「“なんじゃこれ?”を面白がる、デザインの境界を広げようとする」目線の展示、単純に好きです。自分に合ってるし。
整理し研ぎ澄ますという作業はどうしても過去前例のリファインになるので、枠にとらわれがち(だから売りやすいという効用がある)。だけど、モノを作るプロセスに関わる企画/設計/生産/営業/販促も「過去〜現在、枠にとらわれて小さな差異でしのぎを削っている」。だからデザインにはもっと飛躍する役目があるのではないかと思う。
川上さん、三宅一生さんもすごく思い入れて企画したらしい。お勧めです。
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●前号に書きました「コド・モノ・コト:おやつどうぐてん」 5/21〜25まで http://www.codomonocoto.jp/
萩原修さんが5年前からデザイナーに呼びかけて活動しているコド・モノ・コト。子供向けのワークショップを行ったり、毎年異なるテーマでプロダクツの展示販売をしています。今年は「おやつどうぐ」、器やおやつ作りの道具など。35名のデザイナー/クラフト作家の参加です。手作りおやつの販売、小学生向け落語会のイベントもあり、おかげさまで夏祭り状態の大盛況でした。
「おやつわくせい」という器をリリースしました。コドモのコップは大きな曲面でつるつるしていて持ちにくそうなので凹凸をつけてみました。取っ手以外で持ちやすくする手段がないのか。斜めにも立てられるので器の縁を口元に向けやすい。角をつけた球状の器が「星の王子さま」の惑星のように見えるので、おやつわくせいと命名。斜めに置いてゼリーを冷やし、まっすぐ立てると斜めに固まった「無重力ゼリー」ができます。
作陶していただいたナカハラマキさんの最近のテーマが、正円、水平にこだわらない「手なり」のカタチ、焼成の歪みを補正しない自然な楕円なので、そのエッセンスも取り入れた。1個1個カタチが違います。成形だと難しい放射状のとげのカタチが、手ひねりの陶器だからこそ作れました。
見に来ていただいた川上典李子さんに「あらこれそのままpost fossil出せるじゃない」と言われました。結構嬉しいです。
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