moviti
1964年神戸生まれ。京都市立芸術大学卒業、東京でインハウスデザイナーとしてパーソナル機器のプロダクトデザインや先行開発に携わる。デザインの師匠である同業のオットと二人暮らし。2005年から"デザインって何だ!"と称してノンジャンルで自主活動展開中。最近はフリークライミングとバスケットボールの"大人部活"と旅行にはまっている。
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今年のGOOD DESIGN EXPOの会場は涼しかった気がします。
ぷらぷら見て回って「お!」と思った鉄瓶は小泉誠さんの仕事でした。なんか普通なのにフォルムがしっかりしていて、魅力が一発で分かる。ぐぐ、まだまだ私は修業が足りん。あとはVestaxのオーディオデバイスがどうやって使うのかさっぱり分からないが妙にそそられた。
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プロダクトデザイナーとしては素の造形力とか直感的な機能がそのまま魅力になってるようなデザインを目指したいところですが、経済活動においてはサーフェイスな付加価値を要求されることがままあります。ちょっと後ろめたい華がある値頃感、高級そう、キャッチー感、キラ感。学校では教えてくれない、OJT&プライベートで蓄積/更新しなくてはならないデザインスキル。
まずは目を引く魅了する、というのは経済をぐるぐる活性化させるには大事な要素。むしろデザインの仕事ってこういうのをコントロールすること、と思っている人は多いのでは。人はなぜかキラキラするものに眩惑される、本能でしょうか。ここ追求していくとそれなりに深みがありそうです。
一方、技術的には携帯電話の登場あたりから塗装などの表面処理が急激に発達して、これはこれで面白く味わいと技巧があるフェイキーな世界です。不景気と言いながら表面処理はインフレだ。
GOOD DESIGN EXPOでも感じましたが、昨今はもっぱら情報家電系は「ピアノブラック」です。
ちょっと前まで指紋がつく、埃が目立つと嫌われていたはずが、拭いてすぐキレイになるならOKとなった。最近はさらにブラックonブラックで金属光沢の黒とか布や革のマットブラックと合わせて質感を見せたり、ハイライトの表情の変化や曲面で魅せるのが知的でスマート。成形/塗装技術、造形処理もノウハウが蓄積されているのか、揺らぎをあまり感じない。黒いのに重さを感じさせずにCGがそのまま立体化したよう、いかにも21世紀ですね。
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私の考える男女別「キラキラ感」を書き出してみます。
●男の子向け
・基本は自動車。ブラック光沢あるいは深みのあるグラマラスな赤にシルバー光沢の細いモール。分かりやすい。
・オーディオ、クロノグラフ、カメラ。数字のついた細かい目盛り、スピン目、円筒側面の細かいローレット。リズミカルに配置されたツマミや凹凸のハイライト。
・重さ、手応えを感じさせる。金属の削り出し、面取り、磨き。最近流行りの黒めのスモークがかかったメッキ。蒸着シルバーは軽すぎてNG。
・シルバーと黒ラバーのコンビは男子っぽい。
・実は赤、オレンジは男子色。偏光カラーは男子色。
分っかりやすいです。ファッションや年齢でも女子ほど幅が広くないからでしょうか。
私は男子じゃない分のめりこまないからか、実は男子魅了系のデザインが得意です。ダーク系カラーは調色もしやすい。頭の中に「ジョージ・クルーニー:いいクルマが好きです、男ですから」などと思い浮かべてカラーリングやLEDの配置をしたりします。最近のHONDA、VOLVO、VolksWagenあたりのクルマは育ちの良さとちょっと危うい鼻っ柱の強さがミックスしてる、ああいうの魅力的です。
●女の子向け
・基本はネイル。塗膜厚みやクリアコート、パールやラメへの潜在欲求はネイルの流行/定着からでしょう。ラメって一歩間違うとデコトラみたいになっちゃうけど。
・重厚はあまり好きではない、軽く薄く明るく瑞々しいが基本。フラットで滑らかが好き。蒸着に淡いクリアカラーなど好まれる、一歩間違うとおもちゃみたいにペナペナになっちゃうが。
・コントラストの強いコンビカラーは重たく見えるので嫌いだが、シルバーとゴールドの組み合わせやピンクゴールドはOK。カッパーは重いからNG。
・ファッションの流行が男子より反映しがちだけど、カジュアルと言えどもキラキラ。「赤が好き」と言ってもソリッドなレゴのような赤じゃない。ソリッドカラーは「プラスチックみたいで安っぽい」と言い放ちます。プラスチックぽさが支持されるのはファッション系カリスマブランドの商品のみ。当然メタリックやパールが入っていること。ソリッドなら塗膜の厚みを感じさせるクリアコートが必須。
・ピアノブラックは女子も好き。高級イメージの原体験はシャネルのコスメですかね。女子、光沢黒好きが実は多いです。ワンポイントのメタルパーツは必須。
・悔しいがピンクは女子色、女子がシンパシーを感じて寄ってくる色。いつからですかね、私はディズニープリンセス戦略あたりからの「姫ブーム」が大人のピンク好きカミングアウトのきっかけと思う。なんだよ、普通に暮らしているのに姫って。昨今流行りの森ガールはどうなんでしょうね。
営業のTOPの方々が「若い女性向け」戦略として欲しがる定番色。かと言って「ピンクにしてりゃ女子はオッケーなんだと思われてシャクだ」と考える女子も実は結構いるものです。すでにファッションのメインストリームはピンクが落ち着いてきてターコイズやパープルとブラウン、ブラックだと思うんだけど。最近は「どこまでごつい高機能をピンクにできるか」攻めピンクの戦略を考えるとこれはこれで痛快です。
ピンクはくすみ・濁りは大敵、最高に気を使います。テクニック的には発色が難しい、立ち合いで泣かされます。
で、男女くっきりとこう分かれているかというとそうでもなく、アイテム別で男子テイスト/女子テイストが分かれる事例もある。
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キラキラ感というのはそれなりに造形なりスタイルへの造詣、背景となる世界観がないと、自分でうんざりするくらい下品になったりまとまりがなくなったり。流行りテクを盛り込むとさらに危険、今思うと青色LEDってほんと扱うのが難しかった。くれぐれも目指しているのはBuddha phone系成金キッチュパワーではないですよ。
かと言って上品だけでまとめようとすると大人しくて物足りなくなりがち(いやほんとの上品というのは圧倒的なパワーがあると思いますが)。
キラキラテクニックがうまくはまると上品かつセクシーでパワフルになります。高揚させます。
フィリップ・スタルクが3、4年前soft eggだったかMr.Impossibleだったか、本来プラスチックの椅子のシリーズをゴールド光沢に仕上げていて、それがヤラしくエロでハイソでセレブで未来的、かつスタンダードで端正でかっこよかった。むしろ表面処理に負けない普遍的な造形なんだと再認識させられた。
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