moviti
1964年神戸生まれ。京都市立芸術大学卒業、東京でインハウスデザイナーとしてパーソナル機器のプロダクトデザインや先行開発に携わる。デザインの師匠である同業のオットと二人暮らし。2005年から"デザインって何だ!"と称してノンジャンルで自主活動展開中。最近はフリークライミングとバスケットボールの"大人部活"と旅行にはまっている。
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新しい年です。正月は空が青くて気持ちいい。今年もよろしくお願いいたします。
●女子トーク、男子トーク
仕事の場では女子と話す機会があまりないんですが、この頃昔の友達とか、その友達とか女子が増えまして、ときどき会うとキャラキャラ喋ってます。展示会のオープニングパーティーとか、ご飯食べに行くとか、友達の手料理を食べるとか。自称ガールズトークと言ってますが、客観的にはガールズなんて詐称甚だしいです。そのせいもあってか、「楽しそうだねえ」と言われつつも男子(含むオット)を誘っても怖れられます。
単純にうるさい、会話のテンポが違う、声が高いからでしょうか? 女性というものへの夢が崩れるんでしょうか? 話題が合わない&ぶっ飛ぶからでしょうか? まあ独特ですよね、急に意気投合して盛り上がるんだから。この“女子盛り上がり”って万国共通なんですかね。ワルダクミしてるようにさえ見えるらしい。いや結構内容はないですよ。
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なんとなく受験して、中学・高校は女子ばかりでした。男子の皆様の夢を壊すようで申し訳ないが、女子高生というのは意外と“おばさんぽい省エネモード”思考になります。男子への日常の配慮とか見栄がないぶん実質的。
お姫さまと現実的合理的省エネが両立する女子。
いつまでも精神年齢は少年な男子。
それが美大の予備校に行ったら自分と思考が近いヒトがたくさんいる。普段はしょうもないことばかり言っている汚いジーンズぼさぼさ頭の先輩が、ときどき「色が響きあう」「空気の形が描けてる」と、ものすごく詩的な言葉の表現が出てくる。それまで美術の授業程度の価値観で絵を描いていたのが、いきなり客観評価/数値変換で美術の能力を測る(つまり美大受験)場に踏み込んだですから、悩みつつも刺激的。男子と普段の会話をするのも小学生以来だし。ボキャブラリーが増える、一生懸命考える、
どう語るか工夫する。スキルをクールに語る割にはメンタルが如実に作品に表われる女子。
熱く語る割にはスキルで作品を仕上げる男子。
そのまま大学に行くと、小所帯な大学で専攻を超えた交流が多かったのか、さらにいろんなヒトがいる。女子比率が増えた今の美大はどうか分かりませんが、美大に行くような女子は総じて気が強く、徹夜も力仕事も男女平等(とはいえ要領良く仕事が早いのがかっこいい)。逆に男子は繊細さがむき出し。当時生意気にも先輩の作品、当時話題になったアーティスト、デザイナーと商品、建築家についていっぱしに語り合ったりしてました。80年代中盤、建築は表現手段/海外ではポストモダンのムーブメント/国内ではライフスタイル提案型のデザイン家電/ファッションはギャルソンがもてはやされておりました。「デザインが文化として右肩上がり」だった時代。
じっくり粘って深みのある作品を作り、それが普段の生活態度にも表われる工芸科の女子。
学生というより職人みたいな風貌で、後輩を使って大きな作品を作る彫刻科の男子。
考えてるようで、型にはめちゃえば意外とオートマチックに頭を使っていたのかもしれないデザイン科の女子。
そんな学生時代の後、意外とまいったのが、社会人になってから。私自身はあまりOLトークなムードって苦手です。話題=有名人・買い物・テレビドラマ・身近な誰かの噂になりがち、オチがない会話、自己完結型(自分で喋って自分で終わる)会話になりやすい。趣味とか打ち込んでいることの面白さを説明できるほど、時間も聞く耳も語るテクニックもなかった。35歳過ぎると、それなりにみんなストーリーテラーになるんですけど。
一方社内の先輩たちの話題は自動車、オーディオ、他社商品デザイン(あ、当然か)、BMWの型番を言われても全然分からない。オーディオの挽物ダイヤルのローレットのピッチなんてまじまじ見たこともなかった。ヴィンテージカメラがかっこいいのは背負っている時代のムードがあるからと思っていた。「○○(企業名)の製品っていいよね〜特にここのディテール」。そんな会話、したことがなかった。いわゆる名品とか「らしさ」との出会いですね。職場が男子ばかりだったからですかね、業種ですかね、地域差ですかね。慌てて身に付けようと実はそれなりに苦労しました。結果的に良かったと思います。直感的な女子でも実は潜在意識的にこういうディテールでモノの善し悪しをチェックしてるものだと後日実感した。
そうか今思えば、「プロダクトデザインがモノ作りとマーケティングをつないで商品にする手段になった」時代とダブっているのかも。いや、これはインハウスならではなのかな。
ディテールに凝って伝統やモノ作りの蘊蓄を感じる男子マインド。
ムードで捉えて直感的、“かわいい”でひっくるめて皆OKな女子マインド。
男子にも女子マインドはあるし、女子にも男子な視線がある。
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冒頭に書いた、この頃よくお呼ばれするガールズトークですが。なんだかんだ言ってデザインの仕事をこの歳までやってるんだから、だいたいみんな苦労もラッキーも荒波も体験してるし、理想があるから続けている、みたいなところもあります。意外と正義を貫こうとする姐さんたちです。でもしっかり“インテリ女性”を武器に社会に甘えるようなしぶとさもあります。オンナって汚い。と言ってもちょっと契約者スペースに車を停めさせてもらうとか荷物を持ってもらうとかそんなレベルですけど。ぎょっとするような話題にぶっ飛ぶこともあります。ときどきぐるぐる同じ話題だったり、噛み合ってないようなときもあります。
みんなお洒落でいつも何か大人らしくてかわいいものを身に付けている。ガールズトークではそれを話題にするのがmust。お酒も好きだけど、甘いものやお茶、コーヒーはmust。
男子のストレス解消は体力勝負なお酒。
女子はちょっと上等のケーキがあれば“とりあえずシアワセ”。
●同じようだけど違うんでしょうね
仕事で“まったく理解できない!”というほど男女の思考の差はないと思う。でも優先順位の差、割り切りポイント、こだわりポイントは違う。“なんでこんな些細なことが決められないねん!”“なんで自分の立てたロジックに自分でがんじがらめになるねん”と思う一方、“こんな大事なことスルーするなんて!”というのはある。これは男女というより個人のキャラ/職種・経験・立場の差かも。あーでも普段見ているモノが違うという差はある。
むしろ私のことを「女性の視点、女性の好みの代表」と思われると実は結構困る。今のOLさん嗜好(モテ系って言うんですか)はスワロがキラキラとかお姫さまピンク、でしょ。以前よりは私も若い女の子がお洒落がんばっているのを見ると、素直に「いいなあ」と思えるようになったので、カバーできるレンジは広くなったと思いますが。まあ昨今の流行というのはそれリバイバルしてるの? な典型的スクールガール風、パンク風、80's風といったサブカル発のスタイルが散見されて、個人的には分かりやすく感じます。ともかく女子の嗜好はすごく細かくカテゴリーが分かれているので、そこご理解いただきたい。
ちなみに数年前女子ばかりで作り手/売り手サイドから化粧品について語ったら、似たようなことを熱く語っている割に微妙にバラバラでもどかしく、まとまらなかった。すでに個人個人で求める商品像、思い入れ、価値観をユーザーとして作り上げているから、目指すベクトルが全然噛み合わない。女子&女子アイテム=一致団結、とはいかないみたいだ。女子アイテムを扱っているときのほうが、ヒアリングしたり気を使っているかもしれない。
逆に「男子の視点の代表」という理由で起用されたら、男子デザイナーも困るよね、きっと。
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ところで私の一番身近な男性は当然ですが夫です。基本的に嗜好も思考も志向も面白いと思うツボも近いので、ありがたいです。デザイン/仕事/遊びの師匠だし、家事もしてくれる。
夫を見て、おじさんだなあと思うとき
1:テレビに見入ると、ご飯を食べる箸の動きが止まる
2:40歳過ぎるとお酒の席で説教っぽい発言が増えた
自分を見て、おばさんだなあと思うとき
1:出張の帰りに脳みそ切り替わって晩ご飯の買い物を済ませてしまうとき
2:なんの動物か確かめずに動物ビスケットをばくっと食べてしまったとき
“分かりあえないこともある”と余地を残しておいて、差を話せる/聞ける余裕があれば、“違ってるから面白い”と思えるんでしょうね。
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