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女子デザイナーの歩き方 第80回
冬の雪、氷遊びの道具
moviti/片山 典子

[プロフィール]
1964年神戸生まれ。京都市立芸術大学卒業、東京でインハウスデザイナーとしてパーソナル機器のプロダクトデザインや先行開発に携わる。デザインの師匠である同業のオットと2人暮らし。2005年から“デザインって何だ!”と称してノンジャンルで自主活動展開中。最近はフリークライミングとバスケットボールの“大人部活”と旅行にはまっている。2010年から本格的ソロ活動(離婚じゃなくて独立)開始。
http://moviti.com


このコラムでは、デザインのジャンルの枠を超えた活躍をされているmovitiさんに、さまざまな観点から女子デザイナーの歩き方を語っていただきます。



オットがバスケットでルーズボールを奪い合いになって小指を骨折。カルシウムMg、コラーゲン、ナットウキナーゼのサプリを購入。

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1月に初めてアイスクライミングなるものを体験してきました。ってそれなによ、ってこんなの。
http://nagano-outdoor.com/ice-climing-yatsugakate/
http://lovzearth.com/hpgen/HPB/entries/16.html

カマ(バイル)を両手に持ち、靴に前爪の付いたアイゼンを履き、安全確保のロープをハーネスで付けてカマを氷に刺してアイゼン蹴り込んで登る。

赤岳鉱泉のような人工の氷壁もあれば、天然の滝が凍るところを登ることもある。

初期投資が高いし、クライマーがなかなか手を出しにくい遊び。ついでに万一のときの怪我がでかいそうです。でもクライミングのビデオで海外クライマーがすごくでかい被っている氷柱を登っているのを観ると、普通のクライミングと似てるような違うような。オットはどうにも気になっていた。やらないと一生やらない、謎のままなので、この冬道具を揃えたのだ。

バイル(ピッケル)なんというか、尖っていたり、妙に曲がっている柄が、マガマガしい。RPGで勇者が持ちそうな。
http://www.alteria.co.jp/sport/support/info/new-iceaxes.html
↑動画がものすごい技の連続で必見。

http://www.nirayama.com/~suwabe/sub1-1.htm

アイゼン(クランポン)もクライミング用は爪先に縦爪1本だの3本だので、爪先を蹴り込んで刺して、その爪に体重をかけて乗り込むタイプなんて、まさに「凶暴な下駄」。これを付けるにはシューズも「ワンタッチアイゼン対応」という爪先と踵にコバ(段)が付いてる靴なんだが、これがお高い。
http://www.lostarrow.co.jp/support/support_0443.html
http://climbs.shop-pro.jp/?mode=cate&cbid=1130706&csid=0
http://www.nirayama.com/~suwabe/sub2.htm

ちなみにトレッキング用のは下駄のように刃に乗って歩くので、軽アイゼンみたいな土踏まずに付けるコンパクトなものもある。これは春山縦走とかに使ってるね。
http://column.kojitusanso.jp/ksguide/cat18/cat78/

安全確保のためにロープをかけるスクリューも筒状のねじ切りの付いた刃。ロープを通す穴と回すハンドルが付いている。
http://yukiyama.co.jp/ice_jp/gear_screw.htm

他に防寒な服装(目出し帽のことをバラクラバって言うんですよ)、ヘルメットとハーネス、眼鏡(氷の破片が頻繁に飛ぶ)など、0から始めるには物入りな。

クライマーの道具好き、「使ってみたい」から始めるジャンルもあるのだが、アイスクライミングの道具は「X-MENのウルヴァリン」気味というかコワい。こんなのでホントに振り上げて振り下ろして凍った滝に刺さるのか? それに体重を預けて自分は登れるのか? 氷がバラバラ崩れて刃が外れたりしないのか? なんでこんな柄が曲がっているのか? 片手離してスクリューを刺して、ねじ込めるのか? ロープに自分のバイルやアイゼンの刃を刺してしまわないのか? ロープは凍って動かなくなるんじゃないのか?

1月の三つ峠は以前富士山を観に軽アイゼンでトレッキングをしたことがある、地面は凍ってツルツル、アイゼンで真っすぐ踏めば心配なし。降雪もなくラッセル不要、1週間ほど雨が降っていないので乾いて過ごしやすい。風もあまりなかった、ラッキー。
凍った天然の滝って美しい! 透明で水の流れのようにうねった氷、ロスラブグローブのty nantのボトルを思い出す。アナと雪の女王観てないけど、こんなかしら。
http://www.rosslovegrove.com/index.php/custom_type/ty-nant/

凍った滝の下に水が流れているのが見える。滝の麓を少し移動するだけでもバイルを使わないと、手袋の手を着いても滑って動けない。

私は普通のクライミングでもへなちょこなので、アイスは手を出さない宣言をしていて、見学に行ったつもりだったが、先導してくれた友人が汎用の平爪アイゼンと柄がまっすぐな縦走用ピッケルを貸してくれる。滝は垂直面ではなく緩い坂状なので、体験してみる。すごい、刺さる! バイーンと弾かれるところもあるが、刺さったら登れるのだ。透明の氷に刃が刺さるとピシッとひびが入りドラマチック。岩の凹凸を探さなくても、蹴り込んだらスタンスになる。バイルの曲がった柄も真っすぐより全然刺しやすいし、両端が氷の面に載るとポータブルな「プールの梯子の取手」状態になる! 右手のバイルを刺して、右手を空けてスクリューをねじ込んで、ハンドルを回すと筒からフローズン状の氷がシュルシュル出てきてスクリューが深く刺さっている! スクリューが刺さっているかどうかは氷が透けているので様子が見える。なんとまあよくできていることか!

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この数年、友人5~6人で2月の月山で雪洞を彫って2泊して、米沢牛のすき焼きやおでん、スノーシュートレッキングだの楽しむ、寒すぎてハイになる「極寒キャンプ」をいい年なのにしている。6人が泊まれる雪洞は4畳くらい、天井も立てるくらい掘るとなると8時間くらいかかる。掘るというより「塊を切り出してプラスチックのそりに載せて雪を捨てる」。このね、効率良く雪を捨てるのがキモなんですよ(地元の人だと3時間くらいで掘れるというのだが、どんな道具と技を使っているのか。ママダンプを使うそうだが)。
http://matome.naver.jp/odai/2141880911411942201

当初はアウトドアブランドの折り畳みショベルを使っていたが、壊れるし、斜めの形状が蹴り込んで切り出しにくい。結局地元の旅館で雪かき用の丈夫なショベルを借りて効率アップ。雪洞の中で煮炊きすると表面が溶けて再凍結して強度が増す。「床が平らって素晴らしい」とか「割り箸を壁にぷすっと挿すとちょっとしたフックになる」とか、簡単に土木気分を味わってみたりする。山に雪が降り積もる天然の美しい曲面、樹の枝を真っ白にする氷の美しさ。

白くて綺麗、静かに吸音する。積もったばかりだとフカフカなのに凍ると容赦なくツルツルになる。思ったより寒くないような、でもじっとしているとじんわりと冷えていく。妙に気分が高揚してお腹が空く。雪国に住む人には大変な日常事だけど、遊ばせてもらえる交通や道具が整っていることに感謝。

 


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