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女子デザイナーの歩き方 第119回(2018年5月2日掲載)
布が好き!
moviti/片山 典子

[プロフィール]
1964年神戸生まれ。京都市立芸術大学卒業、東京でインハウスデザイナーとしてパーソナル機器のプロダクトデザインや先行開発に携わる。2010年独立、3D CADでプラスチック製品から布製品、ソファやモダン仏壇の木製品、クラフト系などネーミングやロゴ込みでいろいろ手がけている。趣味はフリークライミングとバスケットボール、旅行。
http://moviti.com/moviti_nori


このコラムでは、デザインのジャンルの枠を超えた活躍をされているmovitiさんに、さまざまな観点から女子デザイナーの歩き方を語っていただきます。


女だからかデザインの興味の始まりが洋服なのか、テキスタイルデザインに興味がある。

色や柄、素材感を楽しめるし、取っ替え引っ替え身につけられるからかな。ISSEY MIYAKEと、2000年代から北欧テキスタイル、鈴木マサル、ミナペルホネン、MARBLESUD、テキスタイルがメインのファッションブランドが増えて定着した。おばあちゃんになっても着たい。
http://www.mina-perhonen.jp/
http://www.marimekko.jp/
http://masarusuzuki.com/
https://www.marble-sud.com/

5月と言えば鯉のぼり、誰が考えたのか知らないが、日本が誇るキネティックアート。吹き流しと風車のコントラストもいい。姉妹だけの家で育ったが本当は鯉のぼりが欲しかった。今は室内飾りの小ぶりでお洒落なのが増えている。道の駅などで大量に並んでいるのも壮観。東京都美術館で須藤玲子さんの”こいのぼりなう!”5/28まで。
http://www.nact.jp/exhibition_special/2018/koinoborinow2018/

いわゆる鯉のぼりは口からぶら下げが多いが、この展示は照明を抑えた大きな部屋の天井に大きく渦を巻いて群泳。風に身をまかせるというより、引き締まってプリプリの300匹の鯉のぼりがぐいぐい泳ぐ。

300種の生地の展示。プリントはもちろん、織機を駆使してふさふさ毛が生えてたり、透けたり、穴が開いていたり、プリーツやシワ、大きな柄、繊細な柄。コートやシャツ、スカート、パンツ、どんな服にしたのかなあ。繊細な印象というより大胆ではっきりした柄で、衝動で描いたようなのもあるんだが、量産への地道な試行錯誤あったんだろうなあ。

風の波のような白い薄布が天井近くでたなびく、人をダメにするソファが置いてあり、環境音楽でくつろげる。無料にすることで美術館に縁遠い人も見に来て、という太っ腹がゴールデンウィークらしい。

さらに奥の部屋では小さいサイズで布に触れる、製法やデザインモチーフなどもアーカイブされている。福井や群馬の古そうで大型でガチャンガチャンと稼動している織機や長いシルク印刷台の動画。溶かす、刺繍、蒸す、型紙でプリーツ、穴開きカードで織りを制御、糸を切る切らない、結構大胆だ。
https://www.nuno.com/

まさにテキスタイルの歴史の延長上にある須藤さんの”知の集積、仕事公開”だ。もちろんnunoのショップでも見れるが、ここならどんどん触ってめくってみることができる。

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前後どちらからでも履けるスリッパを作って10年以上経つ、ときどき色を変えたりして今でも売っていただいている、ありがたや。個人差あるが私はガバガバのスリッパは歩きにくくて足も冷えるし苦手、コンパクトで履いたら柔らかくフィットするエラストマが好き。男性が履いても家庭的すぎないように、でもストラップ付きアヒル顔でとぼけた足元になる。
https://www.assiston.co.jp/1690

去年は再び石巻のウエットスーツの端材で”クライミングジムで登ってない時に履く室内履き”をデザインした。クライミングジムで履くのでジムスリッポンと名付けたが、もちろん普段の室内履きにも使える。

カラフルなウエットスーツの技術で、モンキーマジックらしい派手で発色良い印刷が表面もごわつかず、小ロットで実現できた。ウエットスーツ独特の縫製も縫い目がゴロゴロしないし、靴と靴下の中間。スリッパは共用で玄関に並ぶ、ルームシューズは個人持ちなんだなーとか当たり前のことに改めて気付く。似ているようで違う2アイテム。
https://www.monkeymagic.or.jp/report/detail/id/617/genre//currentId/1

テキスタイルは多様性を許容するプロダクト、持つ人の好みがより反映される。色の組み合わせや柄、厚みのある平面を、展開図を考えて裁って縫うことで立体になり、身に付けると膨れたり動いたり。不器用で手際が悪いのでいつも困るのだが、縫う手順や方向で形が変わるのは、ちょっと3Dサーフェスに似てる気もする。

手触りや重さ、伸縮性、密着感など固いプロダクトと違う感覚を刺激するのが面白い。

 


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