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女子デザイナーの歩き方 第111回(2017年9月4日掲載)
デザイナー社長のテラダさん
moviti/片山 典子

[プロフィール]
1964年神戸生まれ。京都市立芸術大学卒業、東京でインハウスデザイナーとしてパーソナル機器のプロダクトデザインや先行開発に携わる。2010年独立、3D CADでプラスチック製品から布製品、ソファやモダン仏壇の木製品、クラフト系などネーミングやロゴ込みでいろいろ手がけている。趣味はフリークライミングとバスケットボール、旅行。
http://moviti.com/moviti_nori


このコラムでは、デザインのジャンルの枠を超えた活躍をされているmovitiさんに、さまざまな観点から女子デザイナーの歩き方を語っていただきます。


私は企業勤めが約22年、マネージャー職に就かなかったので(後日同時期に脱サラした後輩に訊いたら”キャラじゃない”のだそうだ)、会社経営という経済活動集団を運転していくのに心構えや配慮すべきこと諸々を知らない。誰かを雇う=生活の糧の責任を負う、はせず、今も1人でやっている。

社長という人は遠くて高い雲海の向こうにいて、同じ側というより対峙する側にいて、ダイヤモンド社の本を読んで自社のフィロソフィーやDNAや顧客満足について考える一方で、株主や固定費のことを考えてる、のかな。
事業部長だと意外と考え方がいろんな分野に柔軟で、呑みに行くと部課長クラスの人より面白い会話ができたなあ。社長と呑みに行ってたらどうだったんだろう。
http://www.teradadesign.com/

寺田尚樹さんと知り合ったのは会社員時代に"くらしのスリッパ"という活動に参加した時だ。がっちりした体格で、作るプロダクト同様に丸みがあってカラフルでユーモラスな感じの人だ。料理が上手とか模型作りが好きとかキャラが立っているのだが、喋ってみると人当たりが良すぎてうまくかわされている印象だった。

建築家な一方、1/100の紙模型テラダモケイや15.0%アイスクリームスプーンのシリーズで、おそらくデザイナーじゃない若い人にも名前の知れた現役デザイナーだと思う。ひ弱な雑貨にせずに骨のしっかりしたユーモアに仕上げるのセンスいいなあ。大胆なんだか細かいんだか、自分のやりたいことにとことん付き合うというか、おかげで大企業とのコラボや海外の展示などブランド構築やキャラクタービジネス的な展開に広がっている。
https://www.youtube.com/watch?v=Dpzh2WNwDQE
https://www.youtube.com/watch?v=kGJkG7OfmWo
https://www.youtube.com/watch?v=ky_KsL1ykpw
https://www.youtube.com/watch?v=-non2cQpvBo

そうこうしているうちに家具輸入商社インターオフィスの社長になり、Knoll Japanの副社長になったと案内状をいただいた。小さなものから大きなものまで、びっくりである。会社の人もびっくりしてるだろう、デザイナーがやってきて社長になるなんて。社長って"プレジデント"とかダイヤモンド社の本に載るみたいな人になっちゃった?!
https://www.interoffice.co.jp/
https://www.knoll.com/
https://www.itoki.jp/press/2017/1706_knoll.html

と思っていたらこんなイベントがあったので聞いてきた。
[デザイナーと経営者を併行させる意義]
https://www.tempology.org/topics-vol-2/

インターオフィスと寺田さんは空間デザインの仕事でつながっていたそうだが、創業社長さんから「デザイナーがトップになる商社は珍しいからやってみないか」との話を受けて、「ぼくができること、デザイナー/建築家としての経験をどう活かすか」と考えたそうだ。

取締役になってからイトーキとの合弁ブランドi+(アイプラス)を自社ブランドとして作ったときも、ありそうでなかったホワイトボードをキーアイテムにしたり、家具用キャスターを使わずにスケートボードのタイヤを使って印象を変えたり。

市場を読んだ戦略でも100%天才的思い付きでもなく、日々の糧を得る労働活動でもなく、気負いのない配慮とやりたいことを探してやっているうちに”個人的生涯の夢(田宮模型とのコラボ、Knollからお墨付きをもらって名作椅子を広める)”もかなえてる。

実際は決算書とか経営っぽいのも見てますよ、とは言っていたが、娘さんのキャラ弁作るのにテーマや構図決めて、ウインナーやブロッコリー調達して、時間を逆算して薄焼き卵を焼いてカットする段取りしたり、渋谷の交差点を3,000名ミニチュア駒撮りを実現するのも、寺田さん的にはずっと地続きなフツーの線上なのかも。ピンセット使って大量の細かい作業するように、経営のツボを押さえているのではないだろうか。

そして講演終了が見事予定時間ジャストだったのも、ううむ、なんという気配りなのだ。


 


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