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女子デザイナーの歩き方 第108回(2017年6月2日掲載)
たわいもなく愛らしいモノたち
moviti/片山 典子

[プロフィール]
1964年神戸生まれ。京都市立芸術大学卒業、東京でインハウスデザイナーとしてパーソナル機器のプロダクトデザインや先行開発に携わる。2010年独立、3D CADでプラスチック製品から布製品、ソファやモダン仏壇の木製品、クラフト系などネーミングやロゴ込みでいろいろ手がけている。趣味はフリークライミングとバスケットボール、旅行。
http://moviti.com/moviti_nori


このコラムでは、デザインのジャンルの枠を超えた活躍をされているmovitiさんに、さまざまな観点から女子デザイナーの歩き方を語っていただきます。


海外旅行でコテコテの土産物屋やスーパー、文具店に入り、地元の日用品や食品を見るのは楽しい、大学卒業旅行のときからやっている。1980年代の旅ココロをくすぐるものは飛行機のチケットも長封筒サイズ、赤いカーボン紙の数枚綴り。
https://www.amazon.co.jp/Carouschkas-Tickets-Carouschka-Streijffert/dp/9163069075

プラスチックが生き生きしている、ぷくぷくした形や色、勢いのある線、ボリュームたっぷりのロゴ、アイキャッチの曲線。中身よりもパッケージの存在感が強いのが今とは違う。ちょっとレトロなもっさり感が、クールで静かな無印良品やオーガニック化粧品と対極。日本語表記でないのが意味を読み取らず文字の形でお洒落に見えるのか。恋しくなるとソニープラザやアメリカンファーマシーに行ったりしていた。

今でも旅行すれば一度は雑貨の宝探しをする。ノルウェーで見つけたbliwの平たいボトル、ニュージーランドの蜂蜜カップ、見つけたときは大興奮。塩や重曹のボトルは昔ながらのデザイン。先日連休でマカオ観光に行ったら"缶が可愛い魚の缶詰専門店"ありましたが、魚の缶詰が魅力的なのが多いのは、実は世界の常識?
http://evrica.jp/bliw/handsoap/
http://www.aratakihoneyhb.co.nz/range/classic.html
https://www.facebook.com/lojadasconservasmacau/

人類の本能、世界共通の”可愛いのツボ”がある、と思う。

その中でもロンドンはお茶目カラフルな透明プラスチック(今はなくなった、結構モデルチェンジしてる)やシンプルなメタル缶にモノクロ写真のあしらいなど、イギリスのデザインって守備範囲が広くて感心する。まあSainsburyとかちょっとヌルイんですが。
https://www.ltmuseumshop.co.uk/
http://www.harveynichols.com/int/brand/harvey-nichols/food-and-wine/food/

フローティングペンは一時集めていたので友人から旅行土産にいただいたりしたが、デンマークのエスケセン、今はより特注品にフォーカスしてるのかな。
http://www.eskesen.com/

日本にもいいのあります、ミニチュアのような昔の阪急百貨店の包装紙が大好き。個人ブログですが、私もこの柄にデパートの懐かしいワクワクを感じる。
http://norimi.blog45.fc2.com/blog-entry-71.html

伊豆あたりの干物店の包装紙も筆描きの魚の絵や店名がぐっとくるの多い。ロゴのフォントがきれいなKIRIN、写真と日本語のでオーセンティックなアオハタ、素晴らしいアーガイルのキューピーマヨネーズは海外仕様のバリエーションもキュート。
http://www.kirin.co.jp/products/
https://www.aohata.co.jp/mc003_product/index.html
https://www.kewpie.co.jp/english/products/mayonnaise.html

アジア圏はコンビニ経由で日本のお菓子飲料がそのまま売られて、海外の皆さんに日本の美味しいを共感してもらったようで嬉しくなるが、オリジナルの秀逸なタンブラー入りコーヒーとかあるね。
http://www.bifido.com.tw/newsite/products.asp?classid=AA20131217174229

**
去年急逝された柳本浩市氏を追悼する展覧会「『柳本浩市展』“アーキヴィスト ー 柳本さんが残してくれたもの”」を見た。6/5まで。
http://sixfactory.jp/
https://www.facebook.com/Yanagimoto.Koichi.Exhibition/
http://boundbaw.com/world-topics/articles/25

柳本浩市さんとは直接お会いしたことも仕事で関わることもなく、年下なので私が多感な時期の雑誌BRUTUSの記事を描いていたというより同じく読者の立場だったのだろう。でもこの人のおかげで”消耗品、食べ物パッケージをいい大人が蒐集する”ことがデザインな活動として認められたんだし、影響は大きい。

今回の展示はごく一部だろうけど、体系化のために購入してるもの、明らかに魅かれて執着して買ってるもの、蒐集を整えるためにコレクターから買っているもの。膨大な物量の向こうに柳本さんの目利きのテイストが見える。今後は丸ごと考現学博物館でも設立して保管、とはいかずにおそらくアイテムごとにコレクターに転売されていくのかなあ、残念だ。ジョンソーン博物館の現代版みたいになれば面白いが。
http://www.soane.org/

もっと自分が熱狂するかと思っていたが、意外と自分とジャンルが被っていてもセレクトの基準がずれてるのかな、柳本さんが集めていないものを想って脳内コレクション欲が刺激された。ただ私の場合、数々ある中から自分的ベスト1だけを買ってしまうのでアーカイブにならないのだ。


 


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