 
大谷和利
テクノロジーライター、原宿AssistOn(www.assiston.co.jp)アドバイザー、自称路上写真家。Macintosh専門誌、Photographica、AXIS、自転車生活などの誌上でコンピュータ、カメラ、写真、デザイン、自転車分野の文筆活動を行うかたわら、製品開発のコンサルティングも手がける。主な訳書に「Apple Design日本語版」(AXIS刊)、「スティーブ・ジョブズの再臨」(毎日コミュニケーションズ刊)など。アスキー新書より「iPodをつくった男 スティーブ・ジョブズの現場介入型ビジネス」、「iPhoneをつくった会社 ケータイ業界を揺るがすアップル社の企業文化」、エイ出版より「Macintosh名機図鑑」が好評発売中 |
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ポータブルオーディオプレーヤーのユーザーは、外出先ではステレオイヤフォンやヘッドフォンで聴き、自宅に戻って利用する際には、何らかのオーディオシステムに接続し、実際にスピーカーを鳴らして聴くという人が多いのではないかと思う。
市場には、そのための据え置き型のオーディオアクセサリも多く出回っているが、このソニーのドックスピーカー「RDP-NWV500」は、自宅では専用ドックに差してカジュアルなホームオーディオ、そして自動車内に持ち込めばカーオーディオ的に利用できるというハイブリッドユースの製品だ。
確かに昨今では、iPodを直接サポートしていたり、フロントパネルにオーディオ入力端子を備えているカーオーディオも増えている。しかし、そうではない製品が装着されている、あるいは1台のクルマに長く乗り続けている場合などには、一度、ユニットを外して背面のAUX(補助入力)端子を使った配線を行ったり、FMトランスミッターを利用するなど、手間をかけるか、音質を犠牲にするような回り道をする必要がある。
したがって、ハイブリッドユースの製品にはそれなりの需要があると思われるわけだが、普段は自宅で使っているスピーカーを愛車に持ち込むという発想は、これまでなかったように記憶する。
ソニーは、これを、オーディオプレーヤーだけでなくスピーカーも差すことのできるドックを用意するという方法によって、実用化した。iPodやWalkman自体がそうであるように、デバイスをさまざまな場所に移動して使う際に、一番厄介なケーブル類の接続を簡便なものとし、気軽に持ち出せるようにするためには専用ドックの存在が大きな役割を果たす。その考え方を、ポータブルスピーカーにも応用したわけだ。
また、スピーカー自体の形状を、ドリンクカップを思わせるものとし、自動車内のカップホルダーにそのまま差し込んで使えるようにした(ゆるい場合には、スペーサー的に使える専用マットも付属する)。カップ型のスピーカーは、過去にも簡易型の製品での例がなかったわけではないが、RDP-NWV500はより本格的なオーディオ機器であり、システムとして考えられている点が大きく異なっている。


付属の専用ドックに最新のWalkman「NW-S644」(別売)を組み合わせてみたドックスピーカーRDP-NWV500。500mlサイズのペットボトルとほぼ同じ容量を持つドリンクカップを思わせる外観は、そのまま自動車のカップホルダーに差し込んで使うことができる。カラーは、オレンジとブラックの2色展開
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電源ボタンは頭頂部にあり、その周囲の部分をひねることでボリュームのアップダウンが可能な合理的設計 |
頭頂部に設けられた電源ボタンは、分かりやすく押しやすい。また、その周囲の部分がボリューム調整のためにひねることのできる構造になっている点も、よくできている。それは、特に運転中の手探りでの操作のことを考えて発想されたものと考えられる。
ドック部分に差し込めるオーディオプレーヤーはWalkmanに限定されるが、その場合にも機種ごとにサイズや形状が異なるため、アダプタプレートを用意することで対応する仕組みとなっている。
ただし、プレーヤー側の操作ボタンが低い位置にあるモデルでは、ドックの凹みにはめ込んだときに、その部分がかなり埋もれる形となる。アダプタプレートの形状に工夫があり、操作自体は可能なものの、多少のやりにくさは否めない。現実的には、付属のリモコンを使った操作が主体となるので、さほど問題にはならないが、ややデザイン優先になっているようにも感じた。


ドックに接続するWalkmanの機種に応じて専用のアダプタプレートが用意され、新機種にも、それに合わせたものが付属する。対応機種は、生産終了品を含めてドックコネクタ付きの17機種。ただし、操作ボタンが低い位置にあるモデルでは半ばドックに埋まる形となり、少しボタンが押しにくい。実際の操作は付属のリモコン主体となるだろう
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リモコンは、必要十分な機能をコンパクトにまとめている。十字キー代わりに楕円の円周部をボタン化した部分は、真円のほうがシンプルで良いように思えるが、たぶん、指の動きを最小限に留めようとして、この形を選んだものと思われる
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リモコンの背面の指の当たる部分にはわずかな凹みが設けられている。小さくて薄いリモコンでも安定して操作できるようにするための、いかにもソニーらしい配慮だ
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スピーカー部は、トゥイーターとウーファーがそれぞれ1基ずつのモノラル構成だが、いずれにしてもこのサイズの製品ではステレオ化しても左右のスピーカー間の距離が確保できず、あまり意味がないため、かえって潔い。
しかも、上下に向かい合って配された2つのスピーカーからのサウンドを、間に挟まれたディフューザーパネルで360度に拡散させるという設計によって、周囲のどこにいても同等のリスニング体験が得られる点は、自室や車室内におけるカジュアルリスニングに適している。
電源の種類により16W(ACアダプタによる14.4V電源供給時)と12W(シガーソケットアダプタによる12V電源供給時)に変化する出力も十分で、縦長のボディを利用したバスレフ機構により、重低音も迫力ある再生が可能だ。


実は内蔵されたスピーカーユニットは、頭頂部のトゥイーターが下向きに、胴体内のウーファーが上向きに、お互い向かい合うように取り付けられており、その間に位置するソロバン玉のような形状のディフューザーパネルによって、サウンドが360度に拡散するようになっている
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本体後部には、上から車載時の落下防止用ストラップ取り付け部、Walkman専用ケーブル端子、シガーライターソケット電源の接続端子(黄色)、その左隣にオーディオ入力端子、そして、通風口が並んでいる。通風口は、低音を強化するバスレフポートも兼ねており、その空気の流れで内部のアンプの放熱を促す「サーマルベンチレーテッドバスレフ」構造を実現し、筐体のコンパクトさと重低音の両立につなげた
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細かい使い勝手では、ドックへの差し込み時の向きを一定させるための噛み合わせの凹凸や、Walkman以外のオーディオプレーヤーを接続できるオーディオ入力端子なども備わっている。したがって、Walkmanユーザーでなくとも、デザインに惹かれて購入・利用することも可能だ。
使い勝手も音質も良く、コンパクトなだけに、ドライブ先やピクニックなどで外に持ち出して利用できればとも思うが、残念ながらバッテリー駆動には対応していない。対応させることでコストも上がり、製品バランスが崩れてしまっては意味がないが、そういう進化のさせ方も考えられるのではないかと思った。


断面が円形のスピーカーをドックにはめ込むときに、前後がきちんと分かるように、接合部には噛み合わせのための凹凸が設けられている
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ドックの後ろ側には、Walkman以外のオーディオ機器も接続できるように、オーディオ入力端子もある
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同様に、スピーカー本体のオーディオ入力端子にも一般的なオーディオプレーヤーなどを接続可能だ。ただし、基本コンセプトが自宅や車内で使うことにあるため、せっかく優れた音質と十分な音量を持つスピーカー部をバッテリー駆動できない点は、少し残念だ
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