 
大谷和利
テクノロジーライター、原宿AssistOn(www.assiston.co.jp)アドバイザー、自称路上写真家。Macintosh専門誌、Photographica、AXIS、自転車生活などの誌上でコンピュータ、カメラ、写真、デザイン、自転車分野の文筆活動を行うかたわら、製品開発のコンサルティングも手がける。主な訳書に「Apple Design日本語版」(AXIS刊)、「スティーブ・ジョブズの再臨」(毎日コミュニケーションズ刊)など。アスキー新書より「iPodをつくった男 スティーブ・ジョブズの現場介入型ビジネス」、「iPhoneをつくった会社 ケータイ業界を揺るがすアップル社の企業文化」、エイ出版より「Macintosh名機図鑑」が好評発売中 |
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筆者は仕事柄、ノートMacとデジタルカメラを時に数台携えて都市間を移動したり旅に出たりすることが多い。重くてデリケートな機材を運ぶには、バックパックが最も安全かつ効率的で、身体への負担が少ないと考え、実践している。
だが、一口にバックパックといってもさまざまで、状況に応じてボブルビーやクランプラーの製品を使い分けるようになった。そこに最近加わった新顔があるので、今回はそのフェールラーベン(http://fjallraven.jp)のディペンドラートラベルバッグ(17,800円)を紹介したい。
たまたま訪れた北海道のアウトレットショップ(とはいえ、価格は定価)で購入したが、スポーツ用品のSSKが代理店で全国十数カ所にオフィシャルショップがあるようだ。
フェールラーベンは、スウェーデンのアウトドアエクイップメントの会社で、社名は母国語で「北極ギツネ」あるいは「アウトドア・パーソン」を意味しているという。スウェーデンのメーカーとはいえ、製品の製造はご多分に漏れず中国やベトナム、日本などで行われており、このディペンドラートラベルバッグ(以下、ディペンドラー)も中国製である。ただし、縫製仕上げともに高いレベルにあり、コンピュータと同じように原産国がどこかというのは、この場合、大した問題ではない。
ポイントはデザインにあり、ディペンドラーは外観からしてほぼ直方体で、質実剛健に見える。


まるで同じスウェーデンのボルボがかつて製造していたステーションワゴンのように、四角四面で質実剛健を絵に描いたようなディペンドラーの外観。外装素材は、 耐摩耗性と耐引き裂き強度に優れた420デニールナイロン(420D)だ
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一見、ジッパーによる開口部がないように思えるが、これはスリなどの多いヨーロッパの都市事情を考慮したもので、ショルダーハーネスの内側が開くようになっている。オーストラリアのクランプラーのバックパックにも見られるこの構造は、バッグを肩からおろさないと内部にアクセスできないので不便な場合もある。そのためか、すぐに使うチケットなどは側面から取り出せるような独立したポケットも備わっている。だが、何より海外旅行時の安心には代え難いので、こういうバックパックの存在はありがたい。


裏返しても平面的で、下部側面にチケットなどをすぐに取り出せるポケットが付く。SAFETYの文字は、開口部をショルダーハーネス側に設けたため不用意に後ろから開けられる心配がないという、スリの多いヨーロッパならではの配慮を示している
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開口部の位置がよりよく分かるカット。ジッパーは、2つ合わせた状態で、市販の南京錠などを使ってロックできる。また、通常のバックパックではショルダーハーネスが本体と縫製などで一体化されているが、ディペンドラーでは内部のネジ留めによって付け根が横方向に自由にスイングし、無理な力がかからない |
さらに、箱形だと背中へのフィッティングが今ひとつになりがちなので、ディペンドラーでは、ショルダーハーネスの取り付け部を一般的な縫製ではなく、ネジ留めによって横方向のスイングを許す構造にしている。これにより、見た目よりも柔軟に肩の位置や動きにハーネスが追従するようになっている。
これに対して、引き込み式の手提げハンドルは、収納時にフラットにしたいがためか、ナイロンベルト製で少々心許なく感じる。今のところ、実際に問題が生じているわけではないが、以前に似たような構造で使っているうちに擦れて摩耗し、切れかかったものがあったので、長期の使用になると少々心配だ。


ナイロンベルト製の手提げハンドルは、不使用時には引き込まれてフラットになり、必要時のみ引っ張り出してこのように握ることができる。他の頑丈さに比べると、印象としては心許ないものの、今のところ不具合は生じていない
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ディペンドラーの最大の特徴は、このようにスツール代わりに腰掛けることができる点。イベントの基調講演の順番待ちや、帰省シーズンの新幹線利用など、そこに腰掛けがあればと思う機会は少なくない。外側に折り畳みイスを付けた釣りなど用のバックパックも存在するが、これはビジネスにも使えるスマートさが特徴
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そして、ディペンドラーがなぜこのような直方体のフォルムを採っているのかという理由が、次の写真を見ていただくとよく理解できる。このバックパックは、金属フレームを内蔵していて、そのまま地面に置いてスツールのように腰を掛けられるのだ。


さらに、外側を向いたスリット風のポケットは、待ち時間に読む新聞などをサッと出し入れできるように考えられている。痒いところに手が届くディテールの作り込みと言えるだろう
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このように、外装のすぐ内側に、いかにも頑丈なフレームが内蔵されている。そのため自重も1.9kgとやや重いが、100kgまでの荷重に耐えられる構造が実現した。個人的には、荷物を持っての移動は体力作りの一環と考えているので、重量はさほど気にならない
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底部には、このように硬い樹脂製の脚が4個付いており、地面に置かれたバックパックをしっかりと支える。北極ギツネをイメージした赤いマークはフェールラーベンのロゴ。その右脇に、スウェーデンの国旗のタグが付く(製造自体は中国だが)
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形から想像されるように、中身は直方体の空洞状態になっており、収容力は大きい(容量は18リッター。22リッターの上位モデルもある)。背負ったときに背中側になるフタの内側に、ノートPC用ポケットや、メディア、メモ類の収納ポケットが付き、本体側の左右の側面に2個ずつ、計4個のメッシュポケットがある
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本体側の底部には、書類や着替えなどを畳んで固定できるバンドが上下2カ所に設けられている。黒いケースはオリンパスペンの本体とレンズキットの純正ケースで、ちょっとした撮影旅行にも使える。1〜2泊程度の出張ならば余裕でこなせるはずだ
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フタ側に、MacBook AirやPomeraを入れてみたところ。コンピュータ用のジッパー付きポケットには、ややキツめだが15インチのMacBook Pro(初代モデル)も収まる。なお、下方に見える左右2本のストラップを調整すれば、フタが不用意に倒れてしまうのを防ぐことが可能だ
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細かい点だが、ハーネスのバックル類は単に直線的に結合するのではなく、ある程度の回転を許すタイプのものが付いており、無理のない装着が可能となる。ただし、背面そのものはクッション性があるとはいえ平板な造りなので、実用には差し支えないものの、フィット感の点では今ひとつと感じる
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内側は変な仕切りもなく、フタや側面に沿って複数のポケットが適宜配されているのみ。ノートPCはフタ側の専用大型ポケットに格納できるほか、電子ガジェットなどの収納に向いた中型のポケットもある。
最初に背負ったときに感心したのは、ハーネスのバックル類が、一般的なバックパックで採用されているような直線的結合用のものではなく、装着後もある程度回転が効くタイプであったことだ。これのおかげで、特に左右のハーネスから伸びて胸のところで留めるナイロンベルトを締めても動きやすく感じられる。
こんなふうに、国による文化や考え方の違いを感じられるバッグやバックパックを使うことは楽しく、新しい発見がある。時には、主流から少し外れた製品にも注目したいものである。

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