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コラム

モバイルデザイン考 第92回
より小型・軽量に進化した3Dペン
「3Doodler 2.0」

以前にこのコラムで取り上げた元祖3Dペンの3Doodlerが、フルモデルチェンジして3Doodler 2.0へと生まれ変わった。

photo[プロフィール]

大谷和利
テクノロジーライター、原宿AssistOn(www.assiston.co.jp)アドバイザー、自称路上写真家。Macintosh専門誌、Photographica、AXIS、自転車生活などの誌上でコンピュータ、カメラ、写真、デザイン、自転車分野の文筆活動を行うかたわら、製品開発のコンサルティングも手がける。主な訳書に「Apple Design日本語版」(AXIS刊)、「スティーブ・ジョブズの再臨」(毎日コミュニケーションズ刊)など。アスキー新書より「iPodをつくった男 スティーブ・ジョブズの現場介入型ビジネス」、「iPhoneをつくった会社 ケータイ業界を揺るがすアップル社の企業文化」、エイ出版より「Macintosh名機図鑑」が好評発売中

イラスト
▲「3Doodler 2.0」のパッケージ。(クリックで拡大)

●小型・軽量になった魔法のペン

3Doodlerは、いわば、3Dプリンタのヘッドと送り出し機構を筐体内に組み込んだペン型の造形ツールだが、初代モデルは一般的なペンに比べてサイズがかなり大きく、重量もあって、特に手の小さな子供には扱いが難しい面がみられた。

樹脂フィラメントを熱で溶解して積層し造形する基本的な仕組みは初代モデルに準じるので、詳細は過去の本コラムを参照されたいが、2.0では、筐体の大幅な小型・軽量化が実現され、少し大きめのマーカー的な感覚で利用できるようになっている。

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◀サイズ、重量共に、一般的なペンにかなり近づいた3Doodler 2.0。直線部分は、アルミの引き抜き材でできており、先端部はラバー素材で覆われ、後端には樹脂のキャップがつく。(クリックで拡大) photo ◀オリジナルの3Doodler(右)と比較すると、そのコンパクトさが際立つ。また、フォルムやディテールも、より洗練された。(クリックで拡大)

同時に断面形状も見直され、円から逆三角形に変更された。これは、メカニズムを内蔵する最小限のスペースを確保した上で、不要な空間を削るようなデザイン過程を経てたどり着いたものと思われ、グリップ時のフィット感も大きく改善された。

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◀太さはもちろん断面形状も、まったく別物といえるほど変化し、ホールドしやすくなった。(クリックで拡大)

基本的な操作インターフェイスは変わっていないため、初代モデルのユーザーも迷わず使えるが、新たに送り出しボタンのダブルクリックによって送り出し状態をホールドできるように拡張され、指で押し続けることなく造形を続けられるように改良された。

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◀先端に近いボタンが高速送り出し、もう1つが低速送り出しで、両方を同時に押すとフィラメントを後端から排出する。また、ボタンのダブルクリックで送り出し状態が維持される。クリックで拡大)

電源ケーブルの接続部とフィラメントの挿入口は、後端にまとめられている。初代モデルでは、前者は筐体下部、後者は後端断面の中央に位置しており、熱対策のためもあって、かなり余裕を持たせた構造だった。

2.0では、特にフィラメントの動線と送り出し機構を変えたことが、コンパクト化に大きく貢献している。

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◀ペンの後端には、専用ACアダプタからのケーブルをプラグインする穴とインジケーターランプがある。(クリックで拡大) photo ◀後端の三角断面の下端頂点近くにある穴が、フィラメントを挿入するためのものだ。(クリックで拡大)

金属製の筐体の仕上げも、初代より高級感があり、製品名や各種認可マークなどは、見えにくい位置に刻印されている。ただし、樹脂パーツとの接合部分などの精度はさほど高いものではなく、実用に差し支えはないが、今後の改善に期待したい。

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◀製品名や各種認可マークなどは、軸の下面に刻印されている。ペン先に近いツヤありの黒い樹脂パーツは、メンテナンス用ハッチ。(クリックで拡大)

電源スイッチの温度設定が2段階になっているのも初代と同じだが、表記はフィラメント素材名の「PLA、ABS」から「LO、HI」へと改められた。これは、対応する専用フィラメントの素材の種類が増えたための措置だが、スイッチを見ただけでは分からなくなったので、対応を覚えておく必要がある。

また、新たに温度の微調整ができるようになり、上級者は好みや造形するものに応じて、造形時の樹脂の硬さを変えることも可能だ。

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◀スライド式スイッチは、フォラメント素材に応じて、高温(230~240度)と低温(190~200度)の切り替えが可能。中央の丸い穴は温度の微調整用。そして長円の凹みは外部コントローラーのコネクタである。(クリックで拡大)

また、初代モデルでは、フィラメントが詰まったり、フィラメントが削られて送り出しのギアの山が埋まり滑るようになった場合、最悪、筐体を分解して原因を取り除く必要があったが、2.0ではメンテナンス用のハッチが付加され、これを開けて対処できるように改良された。

送り出しの機構もウォームギアに変更され、動作の確実性が上がっている。

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◀メンテナンス用ハッチは、留め金をスライドさせて取り外す仕組み。初代モデルではローラーとギアで挟んで押し出す方式だったが、2.0ではより確実なウォームギア方式に改められた。カーブしたハッチ裏の金具が、フィラメントを強くギアに押し付ける設計だ。(クリックで拡大) photo ◀(クリックで拡大)

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◀(クリックで拡大)

3Doodler 2.0は、初代モデルよりも細くコントロールしやすい送り出しを実現したため、面を塗りつぶすような作業にはやや不向きになった。しかし、3Dペンの先駆者として着実な進化を遂げ、より万人向けの製品へと成長したといえるだろう。

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◀スライド式スイッチは、フォラメント素材に応じて、高温(230~240度)と低温(190~200度)の切り替えが可能。中央の丸い穴は温度の微調整用。そして長円の凹みは外部コントローラーのコネクタである。(クリックで拡大)


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