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モバイルデザイン考 第78回
USBキーボードをBluetooth接続できる
モバイルバッテリー「EneBRICK」


今回は、キーボードからの信号を中継しスマートデバイスなどにBluetooth経由で転送でき、本体の一部がタブレットスタンドにもなる、モバイルバッテリーを紹介する。

photo[プロフィール]

大谷和利(OtaniFaceS)
テクノロジーライター、原宿AssistOn(www.assiston.co.jp)アドバイザー、自称路上写真家。Macintosh専門誌、Photographica、AXIS、自転車生活などの誌上でコンピュータ、カメラ、写真、デザイン、自転車分野の文筆活動を行うかたわら、製品開発のコンサルティングも手がける。主な訳書に「Apple Design日本語版」(AXIS刊)、「スティーブ・ジョブズの再臨」(毎日コミュニケーションズ刊)など。アスキー新書より「iPodをつくった男 スティーブ・ジョブズの現場介入型ビジネス」、「iPhoneをつくった会社 ケータイ業界を揺るがすアップル社の企業文化」、エイ出版より「Macintosh名機図鑑」が好評発売中

イラスト
▲「EnaBRICK」のパッケージ。(クリックで拡大)

●好きなキーボードでタブレットを使う

タブレットデバイス向けの無線キーボードは、いろいろと出回っている。しかし、キータッチなどへのこだわりで、使い慣れたMac/PC用の外付けキーボード(USB接続)を、そのまま利用したいというユーザーも確実に存在する。

USTREAM公認のライブ配信機器である「LiveShell」など、独自のデジタルデバイスの開発・販売を行っているセレボの最新製品であるEneBRICK(税抜き12,800円)は、USB接続したキーボードからの信号を中継し、ペアリングされたスマートデバイスなどにBluetooth経由で転送してくれるという、これまでありそうでなかったアクセサリだ。

キーボードと接続されたデバイスの双方にUSB給電できる6000mAhのバッテリーも内蔵し、本体の一部がスライドしてタブレットスタンドにもなるなど、細かい工夫がなされている。

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◀EneBRICKは、まずパッケージが良くできており、本体を覆う透明シートを外すために、下部のカバーをずらすと、このようにパッケージ内のアイテム一覧の図が現れる。(クリックで拡大)
photo ◀パッケージの背面には、この製品の用途が一目で分かるイラストが描かれている。鮮やかな青地に白抜きという色使いも斬新だ。(クリックで拡大)


例えば、好みのキータッチのUSBキーボードをiPadと組み合わせて使いたいという場合、駆動電力が少なくてすむ製品であれば、従来は、iOSデバイス用カメラコネクションキットのUSB接続ユニットを使って利用できなくもなかったが、当然ながら非推奨の方法と言えた。

しかし、EneBRICKがあれば、事実上、どのようなUSBキーボードでもスマートデバイスと無線接続して利用できることになる。このとき、iOSでは、接続されたキーボードの配列にかかわらず、英語配列キーボードとして認識され、英語/日本語の切り替えは、Command/Windowsキー+Spaceキーで行われる。また、Androidの場合は、iWnn、Googleでの日本語配列のみがサポートされ、ATOKでの利用には別途アプリケーションが必要だ。

例えば、筆者が今回の写真撮影のために、キータッチに定評のあるPFUのHHKBことハッピーハッキングキーボードをEneBRICKにつないで使っていたとき、たまたま観光で日本を訪れていた韓国の男子大学生に声をかけられた。

聞けば、彼の地元の友人たちにもHHKBの愛好者が多く、初めて見るEneBRICKにも興味を持ったとのこと。このように、優れたキーボードのファンは国を問わず存在しているわけだが、昨今のようにワイヤレス前提のデバイスが普及してくると、少し取り残されたような気持ちになっていたのも事実。EneBRICKには、そんな状況にユーザー側で対処できる可能性を開いてくれたのだ。

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◀このユニットは、PFUとのコラボレーションから生まれた「EneBRICK HHKB Edition」。価格も含めて仕様的にはノーマル版と変わらないが、キータッチで定評のあるHHKB(ハッピーハッキングキーボード)のロゴが入り、PFU Directのみで限定販売されている。Bの字の斜め下にある丸いボタンは、電源スイッチ。(クリックで拡大)


EneBRICKの筐体の素材は、アルミと樹脂の組み合わせからなり、機能上、その形は単純な直方体でも構わないわけだが、あえてフロントとサイドパネルに傾斜を付け、下すぼまりの断面形状となっている。これが、外観に表情を与えると共に、持ち上げる際に掴みやすいというメリットを生んだ。

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◀後部パネルは垂直だが、側面と正面は下すぼまりになっている。単純な直方体になりがちなモバイルバッテリーの形状に、個性を与えようとした工夫が伺える。(クリックで拡大)
photo ◀リアパネルのポートは、左から、充電用のマイクロUSBポート、キーボード接続用のUSBポート、そして、組み合わせて利用するデバイスへの電源供給用USBポート。(クリックで拡大)

リアパネルのポート類にはアイコンが付き、それぞれの機能が一目で分かる。6000mAhという容量があれば、一般的なスマートフォンで約2回のフル充電が可能であり、大量のテキスト入力の必要性がない日でもEneBRICKを持ち歩く意味を持たせている。

さらに本体の前部をスライドさせてスマートデバイスのスタンドとして利用できるので、旅客機内や列車内などで映画を再生するようなときにも、デバイス側の電池の減りを気にすることなく楽しむような副次的な使い方も可能と言える。

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◀このように筐体の一部がスライドし、タイピング中にタブレットデバイスなどを立てかけられるスタンド機能も備わる。溝の幅は、付属のアジャスター部品を装着するかしないかで、2段階に調節可能だ。(クリックで拡大)
photo ◀底面には、スライド機構のストッパーとなるスリットや、アルミカバーを留めているネジがある。シンプルにまとめられているが、設置面との接触を考えると、ゴム脚などが付いていてもよかっただろう。(クリックで拡大)

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◀屋外にて、iPad 3およびHHKB Professional HG Japanモデルと組み合わせた利用例。特にこのような設置面の場合に、ゴム脚の必要性を感じる。(クリックで拡大)

ただ、底面にゴム脚的なものが付いていないので、設置面の素材によっては、傷などの心配(設置面側、EneBRICK側の双方に)もあるかもしれない。どうしても気になるようであれば、自分でゴム脚を張り付けるなどの対策を施しておきたいなお、実際にはEneBrickは、モバイルデバイスだけでなく、Bluetoothに対応したMacやPCとの組み合わせで利用することができる。

つまり、お気に入りのキータッチのキーボードがあったとして、それがワイヤレス仕様ではないとしても、コンピュータとケーブルレスで接続して使うことが可能になるわけだ。

EneBRICKを中継することで、心配されるような信号の遅延も体感できるようなものは一切なく、有線でそのままつながっているかのような間隔で入力できる。

実際に、EneBRICKをモバイル状態ではなく、USB電源につなぎっぱなしにしてデスクトップユース専用にしているユーザーもいるようだが、昨今のワイヤレス環境に慣れた消費者にとっては、こうした使い方も魅力的と言えるだろう。

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◀実際の接続は、この説明図のように、キーボードとUSBケーブルでつながったEneBRICKが入力信号を中継し、iOSデバイスやAndroid、Mac、PCにBluetooth経由で送信される仕組みだが、体感できるような遅延は一切ない。(クリックで拡大)
photo ◀フロントパネルが僅かに凹んだところにインジケーターランプがあり、充電中に点灯したり、電源スイッチを短く押したときの点滅間隔で充電池残量の目安を知らせる役目を果たす。(クリックで拡大)

また、EneBRICK本体には情報のインジケーターの類いがないように見えるが、実際にはフロントパネルの中にインジケーターランプがあり、これによって充電中か否か、あるいは充電池残量の目安を知ることができる。

現時点での課題としては、EneBRICK側でデバイスとのペアリング時間の制御が不十分なため、使っていないときにも電池を消費して気づくと空になっていることがあったり、スライド機構の動きがやや渋く、タブレットをセットするのに手間取る点が挙げられる。

前者はメーカー側でも認識しているとのことなので、今後のファームウェアのバージョンアップなどで対策が行なわれるものと思われる。

また、後者は本当に微妙なことではあるが、日常的に繰り返す動作なので気になるため、自己責任で分解して調整してみた。その結果、十分スムーズにスライドできるようになり、今は満足している。

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◀スライド機構の動きがやや渋かったため、分解して調整を行なってみた。分解は保証を無効にするので、あくまでも自己責任だが、電源ボタンの受けとなる部分に弾力を持たせるための造形など、なかなか興味深い。(クリックで拡大)

photo ◀さらに分解したところ。青いカバーの左端近くの2カ所にある爪が白いカバー内部の凹みに噛み合うことで、スライド部分が不用意に動くのを防いでいる。しかし、噛み合いが強すぎる印象があり、少しなだらかに削ってスムーズに操作できるようにした。(クリックで拡大)


EneBRICKは、CAMPFIREのシステムを利用したCerevo DASHというクラウドファンディングによって商品化を実現した製品だが、今後、こうした仕組みを上手く活用して、EneBRICKに続くユニークで実用的な製品が日本から生まれることに期待している。




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