pdweb
無題ドキュメント スペシャル
インタビュー
コラム
レビュー
事例
テクニック
ニュース

無題ドキュメント データ/リンク
編集後記
お問い合わせ

旧pdweb

ProCameraman.jp

ご利用について
広告掲載のご案内
プライバシーについて
会社概要
コラム

モバイルデザイン考 第116回 (2017年12月26日更新)

バッテリー駆動でWi-Fi対応のセキュリティカメラ
「Reolink アーガス」

今回採り上げるのは、クラウドファンディングで製品化された「Reolink アーガス」というセキュリティカメラだ。アーガス(Argus)とは、ギリシア神話に出てくる「百の眼を持つ巨人」を指し、転じて「厳格な監視者」の意味がある。

photo[プロフィール]

大谷和利
テクノロジーライター、AssistOn(www.assiston.co.jp)アドバイザー、自称路上写真家。Macintosh専門誌、Photographica、AXIS、自転車生活などの誌上でコンピュータ、カメラ、写真、デザイン、自転車分野の文筆活動を行うかたわら、製品開発のコンサルティングも手がける。主な訳書に「Apple Design日本語版」(AXIS刊)、「スティーブ・ジョブズの再臨」(毎日コミュニケーションズ刊)など。講談社現代ビジネスブックより「成功する会社はなぜ「写真」を大事にするのか 一枚の写真が企業の運命を決める」、三省堂より「ICTことば辞典:250の重要キーワード」(共著)、宣伝会議より「ビジュアルシフト」(監修)が好評発売中


▲「Reolink アーガス」のパッケージ。(クリックで拡大)


●百の眼を持つ巨人が守る

筆者も被害者になりかかった経験を持つが、マンションでの盗難被害が一番多い時期は、新築物件に住民たちが入居した直後だと聞いたことがある。互いにまだ顔見知りではないため、外部の人間が入ってきていても気づかれにくい上、引越しなどが終わった安堵感や新居に移った嬉しさなどから気が緩みがちとなることが原因のようだ。

新しいマンションであれば、館内の主要箇所に防犯カメラが取り付けられているが、犯罪者はそれらの位置を把握し、死角部分を移動したり、巧みに顔が写らないようにして正体を隠す。筆者が入居するマンションでも高層階まで非常階段を利用して昇り、ポーチに置いていた自転車のケーブルロックをワイヤーカッターで切断し、やはり非常階段から運び出そうとしたようなのだが、途中階の住民に見つかりそうになったらしく、踊り場に放置された状態で発見され、ことなきを得た。

実際に犯罪に遭遇しなくても、自前でセキュリティカメラを取り付けたいと思う人はそれなりの数に上りそうだが、一戸建ての持ち家ならばともかく、マンションでは分譲、賃貸を問わず、外壁にも及ぶような配線工事をすることは難しい。また、防犯目的でなくても、家の中で子供部屋の赤ん坊などの様子を、キッチンから確認したいといった用途で、簡便なカメラシステムが必要という場合もあるだろう。

Reolink アーガスは、どちらのケースにも利用できるように、バッテリー駆動、Wi-Fi映像・音声伝送、HD解像度、モーション感知、防滴設計などの特徴を備えている。全体形は丸みの強い俵のようなフォルムで柔らかみを感じさせ、標準ベースも磁力吸着式という特徴を活かすために完全な半球型である。

photo

▲全体形は丸みを帯び、セキュリティカメラにありがちな厳つい印象はない。それは、子供部屋などでの用途も想定されているためだろう。レンズの上の穴に光センサーがあり、暗くなると自動で赤外線撮影モードに切り替わる。青いランプは、インターバルのある点滅がスタンバイ状態、連続点灯時が撮影中を示す。ランプの下の少し色が異なる部分がモーションセンサーで、さらに下の7つ並んだ小さな穴がスピーカーだ。(クリックで拡大)



photo

▲アーガスの構造上の大きな特徴として、中央の標準ベースユニットが磁力吸着式である点が挙げられる。ベースを複数用意して必要な箇所に取り付けておけば、本体の脱着はワンタッチ、かつ微妙な角度調整も自在に行える。また、一般的な三脚ネジ付きのスタンドも同梱されている。(クリックで拡大)










最近のWi-Fi対応デバイスは、セットアップの簡便さをアピールするものが多いが、Reolink アーガスも背面のQRコードをスマートフォンで読み取ってユニットの登録を行い、続けて、スマートフォン側で設定したSSIDとパスワード情報に基づいて表示されるQRコードを、今度はアーガスで読み取らせるだけで設定が完了する。また、途中でも音声ガイダンスがあり、分かりやすい。

photo

▲背面には、セットアップ時にスマートホンのカメラ機能を使って専用アプリから読み取るQRコードが貼ってある(万が一、表面のQRコードが読み取り不能な状態になったときのために、カバーの内側にも予備のQRコードが貼られている)。(クリックで拡大)












スマートフォンとつながっている状態では、アーガスの映像記録(動画、静止画)はスマートフォン側で行われるが、単独でモーションセンサーによる記録を行う場合にはマイクロSDカードを本体側面のスロットに装着して行う。
また、再度セットアップをやり直すときなどに本体をリセットするボタンもサイドにあり、それを押すためのクリップのようなツールも付属する。


photo

▲側面のシリコンカバーの中には、ローカルで映像を保存する場合に使われるマイクロSDカードのスロットとリセットボタン(赤矢印)が設けられている。(クリックで拡大)









本体背面にあるバッテリーカバーは、特にゴムパッキンなどは介さず、樹脂同士で嵌合されている。密着度はかなり高い印象で、ロック機構により不用意に外れないようになっている。

photo

▲背面のバッテリーカバーは、OPENの矢印が指すところに付属のスティックの先端を押し当て、こじて開けるようになっている。(クリックで拡大)



photo

▲ロック機構は、カバーの内側の2箇所の突起が本体側の可動パーツと噛み合うことで実現されているが、防滴性確保のために本体とカバーの嵌合がしっかりしているため、こじる動作も必要なのである。(クリックで拡大)







対応アプリの画面レイアウトやインターフェースもスッキリしており、必要な機能をすぐに呼び出すことができる。

photo

▲専用アプリもきちんと作り込まれており、モーションセンサーのトリガーによる映像記録のある時間帯も一目で分かる。(クリックで拡大)



photo

▲(クリックで拡大)









アーガスの外装には鋭い突起などはないが、子供部屋などで使う際に、さらに安全性を高めるとともに、設置の自由度を上げるためのシリコンカバーも用意されている。

photo

▲さらに別売でこのようなカバーも用意され、付属のベースやスタンドでは取り付けにくいベビーベッドなどにも容易に固定できる。(クリックで拡大)











Reolinkは香港の企業で、2009年に創業してから10年も経っていないが、着目点に優れ、ハード、ソフトの作り込みもしっかりしている。その製品は決して派手ではないが、日本のメーカーも見習うべきところが多々ありそうだ。


Copyright (c)2007 colors ltd. All rights reserved