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モバイルデザイン考 第115回 (2017年11月20日更新)

AI機能を搭載する話題のスマートスピーカー
「Google Home」のデザイン



AI機能を搭載するアシスタントスピーカー、いわゆるスマートスピーカーの日本での公式販売が始まった。今回はGoogle Homeを購入したのでデザイン面を含め紹介する。

photo[プロフィール]

大谷和利
テクノロジーライター、AssistOn(www.assiston.co.jp)アドバイザー、自称路上写真家。Macintosh専門誌、Photographica、AXIS、自転車生活などの誌上でコンピュータ、カメラ、写真、デザイン、自転車分野の文筆活動を行うかたわら、製品開発のコンサルティングも手がける。主な訳書に「Apple Design日本語版」(AXIS刊)、「スティーブ・ジョブズの再臨」(毎日コミュニケーションズ刊)など。講談社現代ビジネスブックより「成功する会社はなぜ「写真」を大事にするのか 一枚の写真が企業の運命を決める」、三省堂より「ICTことば辞典:250の重要キーワード」(共著)、宣伝会議より「ビジュアルシフト」(監修)が好評発売中


▲Google Homeのパッケージ。(クリックで拡大)


●Google Homeの概要

AI機能を搭載するアシスタントスピーカー、いわゆるスマートスピーカーの日本での公式販売が、満を持して開始された。筆者も、Google Homeを購入したので、今回はこの製品を採り上げてみよう。

端的に言えば、工業デザイン的なクオリティの面では、パッケージも含めてアップル製品と遜色のないところまで来ていると感じた。また、スピーカーの音質についても、Amazon Echoも含めてさほど良くないと言われているが、確かに本格的なミュージックリスナーにとってはそうだとしても、カジュアルユースでBGM的に流しておく用途ならば、問題ないレベルにあると思う。

実用面での違いがなく、より安価なMiniモデルにしなかったのは、構造的に標準モデルのほうが音の通りが(マイクとスピーカーの双方とも)良いと考えられたことと、上面のカラーインジケーターの動きが離れた場所からでも確認しやすいこと、そして、同じく上面のタップ操作(アシスタント機能の起動やアラームの停止など)がMiniでは誤作動するケースがあり、グーグルの判断で完全無効化(側面タップによる音量調節機能は維持。もちろん声でも調節可)されたためである。

Miniのほうが、音声操作デバイスとしては、よりピュアな状態になったともいえるわけだが、標準モデルでは音量調節も(タップではなく)円を描くようなスワイプ操作でできるなど、より優れたユーザー体験が得られそうなので、後者を選んだ次第だ。

まず、パッケージだが、箱を開けて中身を取り出すまでの方法がよく考えられており、デザイン上もそれが反映されている。

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▲全体にシンプルながら、外箱の上面に穴を開けて指がかりとした工夫や、そこから中箱のグーグルロゴを見せるアイデアがユニークなパッケージデザイン。
(クリックで拡大)













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▲正面以外のパッケージの側面には、製品の特徴や出来ることの例が簡潔に記され、店頭で目にした消費者に興味を持たせるようになっている。(クリックで拡大)



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▲(クリックで拡大)




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▲(クリックで拡大)






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▲中箱の構造も凝っており、斜めの開口部に沿って大きく口を開けるようにして製品本体が現れる。(クリックで拡大)










内箱が斜めに大きく開くので、中身を取り出しやすく、製品本体に初めて対面する際の視覚的な演出という点でも良い印象を受けた。

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▲樹脂成形された内部の緩衝材もコストをかけて作り込まれている。本体の底面と接する部分にある突起はシリコーン製で、後述するACプラグの差し込み口にはまるようになっており、輸送時にGoogle Homeが回転しないように安定させる役目を果たす。(クリックで拡大)












リビングやキッチンで使われることを意識してか、ACアダプタまで専用デザインでスッキリとしたものが付属し、ケーブルもフラットタイプで見苦しくない。マニュアルはなく、最小限のクイックスタートガイドが同梱されるのみだが、これもこの種のデバイスであれば当然であろう。

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▲底蓋を外すとクイックスタートガイドとACアダプタが収納されている。ACアダプタも汎用品ではなく、アップル並みにすっきりデザインされて、収められている。(クリックで拡大)



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▲基本的な設定は専用のGoogle Homeアプリから行うため、クイックスタートガイドの内容も最小限だが、おそらく今後の家庭用AIデバイスは、すべてこの程度の説明で使えるようになっていくはずだし、そうなるべきだ。(クリックで拡大)






本体は、基本的に柔らかな曲面構成ながら、上部を斜めに切ってライトとタッチによるインターフェース面としており、シンプルだが凡庸ではなく、視覚的にも実際にも安定したフォルムが実現されている。
 
ロゴやただ1つの物理ボタンを背面に配した点には、アップルの影響も感じられるが、これからはこうした主張しすぎないデザインが増えそうだ。 ACプラグも本体とのマッチングを考えた形状になっており、細かいところまで気を配って作れれていることが分かる。


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▲本体は、ロゴがあるほうが背面で、このあたりもアップルを意識したデザインといえる。ロゴの上の穴のように見えるものは電源状態を示すパワーインジケーターランプで、その上のボタンはマイク機能をオフにするミュートボタン(長押しでリセット)である。(クリックで拡大)



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▲背面(クリックで拡大)







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▲底部は滑りにくいシリコーン系素材をドーナツ状に配し、ACプラグをはめ込むと面一になるように設計されている。(クリックで拡大)













別売りオプションと交換可能なスピーカー部のカバー(Google Homeベース)はマグネットを利用して脱着できる仕組みのため、ねじ込んだりする必要がなく、気軽に付け外しが可能だ。こういう配慮も、優れたユーザー体験をもたらしている。

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▲本体の下半分のスピーカー部を覆うカバーはGoogle Homeベースと呼ばれ、取り外し可能。矢印で示したマグネットによって吸着される。Google Homeベースは樹脂にファブリックを被せた構造で、別売りオプションとしてカラーバリエーションのほか、メタル素材の高級版も用意されているが、日本での公式販売は、ファブリックのコーラル色と、メタルのカーボン色、カッパー色のみとなる。(クリックで拡大)











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▲カバーを外すと、正面に1基の2インチ高可動性フルレンジスピーカ、側面に2 基の 2 インチパッシブラジエータが現れる。背面のマイクロUSBポートは保守用で、ユーザーには公開されていない。(クリックで拡大)



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▲(クリックで拡大)







カラフルなインジケーターは、点灯時以外はその存在がわからず、ひとたびアシスタントが起動すると、最小限の動きで処理中であることを伝えてくれる。 また、円弧上に並ぶ光点は、音量調整の結果を直感的に示すことができる。

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▲斜めにカットされた上面は動作状態を示すカラーインジケーターを内蔵すると共にタッチパネルにもなっている。円を描くようになぞれば音量調節、短押しで音楽などの再生/停止、長押しでGoogleアシスタントの呼び出しができる。左右に見える小さな黒い穴は、、2基のマイクロフォンアレイの開口部だ。(クリックで拡大)











専用の設定アプリのインターフェースも、堅苦しさのないクリーンなもので、特に、処理待ちの際に表示されるカラフルでリズミカルなアニメーションは、これまでにないビジュアル要素だ。

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▲Google HomeアプリのUI/UXもよく作り込まれており、処理待ちの間に表示される、カラフルでリズミカルな幾何学形のアニメーションが秀逸だ。(クリックで拡大)



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▲17(クリックで拡大)






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▲セットアップ完了後に再生を勧められる動画の音声が英語のままだったのは意外だが、順次日本語化されるものと思われる。(クリックで拡大)










スマートスピーカーとしては後発ながら、Google Homeのデザインは、Amazon Echoよりもソフトで優しい印象を与えることに成功している。

肝心の機能面では、声による音楽再生やちょっとした音声検索などが現在のメイン用途である筆者としては、現状でも満足できるものだが、今後、家電連携などが進むことで用途も広がれば、その有用性はますます高まっていきそうだ。


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