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コラム

モバイルデザイン考 第113回 (2017年9月7日更新)
特別企画:TinkerCADで3D CAD事始め
第6回 ミニ四駆ボディを作る(後編)


特別企画”3D CADの超入門記事”の最終回(第6回)をお届けする。半年間に渡る連載となったが、初心者やこれまで3D CADを避けてきたデザイナーの皆様のお役に立てば幸いです。では、TinkerCADによるモデリングの最後は、ミニ四駆のボディを仕上げていく。

photo[プロフィール]

大谷和利
テクノロジーライター、AssistOn(www.assiston.co.jp)アドバイザー、自称路上写真家。Macintosh専門誌、Photographica、AXIS、自転車生活などの誌上でコンピュータ、カメラ、写真、デザイン、自転車分野の文筆活動を行うかたわら、製品開発のコンサルティングも手がける。主な訳書に「Apple Design日本語版」(AXIS刊)、「スティーブ・ジョブズの再臨」(毎日コミュニケーションズ刊)など。講談社現代ビジネスブックより「成功する会社はなぜ「写真」を大事にするのか 一枚の写真が企業の運命を決める」、三省堂より「ICTことば辞典:250の重要キーワード」(共著)、宣伝会議より「ビジュアルシフト」(監修)が好評発売中


▲TinkerCADによるモデリング例。(クリックで拡大)


●3Dモデリングは案ずるより産むがやすし

この短期連載も、いよいよ最終回を迎えた。実際に操作してみたり、ワークショップなどで一緒にアプリを動かしてみれば簡単なことでも、図版を使って説明すると回りくどくなる部分がある。そのため、どの回も図版数が多くなってしまったが、実際のTinkerCADを触れば、案ずるより産むがやすしであることを実感できるだろう。

それでは、ミニ四駆ボディのキャノピーとディテールを仕上げていこう。

●TinkerCADでミニ四駆を仕上げる

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▲前回の最後のビューから、赤丸の「ホームビュー」をクリックして、上面から作業できるようにする。(クリックで拡大)



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▲サイドシルの段差部分を利用して作業平面を設定。その面にキャノピーとなる半球のシェイプをドラッグする。半球をメインセクションの上面に置かないのは、そうするとキャノピーの立ち上がり方が急角度になりすぎ、スマートさが出ないためだ。(クリックで拡大)



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▲半球の長さを115ミリに変更する。(クリックで拡大





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▲同じく高さを26ミリに変更する。(クリックで拡大)



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▲造形途中のキャノピーをメインセクションのところまで移動。このとき、キャノピーの頂点(一番高い部分)と黄色のシェイプの手前の縁がほぼ一致する位置に置く。(クリックで拡大)



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▲キャノピーとメインセクションを両方とも選択し、「位置合わせ」をクリックする。(クリックで拡大)





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▲キャノピーとメインセクションの前後方向の中心線が一致するように、赤丸のマーカーをクリック。(クリックで拡大)



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▲空クリックをして、位置合わせモードから抜けておく。(クリックで拡大)



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▲キャノピーを選択し、その幅を調整していくが、最初に奥側に拡幅し、暫定的に52ミリにする。(クリックで拡大)



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▲手前側にも拡幅し、全体で84ミリにする。最初に幅を決めてから位置合わせしないのは、TinkerCADの位置合わせ機能がサイズの大きなシェイプを基準としているので、メインセクションのほうが移動してしまうためだ。はみ出した部分は、この後でカットする。(クリックで拡大)


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▲グレーのメインセクションを選択し、赤丸の「複製」をクリック。(クリックで拡大)



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▲複製されたシェイプの幅を広げて、キャノピーの左右のはみだしが隠れるようにする(このときの幅は適当でよい)。(クリックで拡大)





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▲同様に、(ここでは見えていないが)キャノピーの前後方向のはみだしもカバーできるところまで前後方向の長さも伸ばしておく。それぞれ15ミリほどずつ伸ばせば十分だ。(クリックで拡大)



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▲複製されたシェイプの属性を「穴」に設定する。(クリックで拡大)


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▲穴属性のシェイプとキャノピーの両方を選択し、赤丸の「グループ化」をクリック。(クリックで拡大)





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▲これで、キャノピーがメインセクションから上の部分だけを残した状態になった。さらに、キャノピーを最終的に本体とは別パーツとして出力したいので、黄色のシェイプとの重複部分をカットしておく。このために、まず黄色のシェイプを選択して複製を行う。(クリックで拡大)



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▲複製された黄色のシェイプに「穴」の属性を設定。(クリックで拡大)



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▲穴属性のシェイプとキャノピーの両方を選択し、赤丸の「グループ化」をクリック。(クリックで拡大)





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▲見た目の変化はないものの、これでキャノピーが独立したシェイプとなった。ここから、黄色のシェイプを空洞化し、ウィング的な形に仕上げていく。(クリックで拡大)



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▲黄色のシェイプを選択し、「ビューを選択項目に合わせる」をクリック。(クリックで拡大)



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▲続く作業のためにキャノピーが邪魔になるので、一時的にこれを非表示としてみよう。キャノピーを選択し、赤丸の「選択した項目を非表示」をクリックすればよい。このシェイプの非表示化は、さまざまな場面で使えるので、ぜひ活用されたい。(クリックで拡大)





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▲非表示のシェイプがある場合、右の赤丸で囲った部分の電球アイコンがグレーから黒に変わる。その状態の電球アイコンをクリックすると非表示シェイプがすべて表示されるようになる。ここではこのアイコンはクリックせず、黄色のシェイプを選択して「複製」をクリックしよう。(クリックで拡大)



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▲複製されたシェイプに「穴」の属性を設定する。(クリックで拡大)



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▲そのシェイプの奥行きを31ミリまで縮めておく。(クリックで拡大)





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▲そして、幅を手前側に広げて75ミリとし…(クリックで拡大)



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▲続いて奥側にも拡幅して全幅が80ミリになるようにする。(クリックで拡大)



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▲さらに高さは9ミリに低めておこう。(クリックで拡大)





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▲「穴」属性のシェイプと黄色のシェイプの両方を選択し、「位置合わせ」をクリック。(クリックで拡大)



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▲前後方向の中心を合わせるために、赤丸のマーカーをクリックする。(クリックで拡大)



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▲空クリックをして、位置合わせモードを解除。(クリックで拡大)





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▲再び、黄色のしシェイプを選んで「複製」をクリック。(クリックで拡大)



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▲同じく、「穴」の属性を設定する。(クリックで拡大)



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▲「穴」属性のシェイプに対して幅の調整を行い、手前側を縮めて66ミリとする。(クリックで拡大)





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▲次に奥行きだが、まず手前に増やして57ミリにしておく。(クリックで拡大)



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▲続けて奥方向にも増やし、トータルで67ミリとする。(クリックで拡大)



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▲高さは10ミリに低める。このあたりの数値は、すべて事前にバランスを見ながら決定したものなので、自分で新たな造形を行う場合には、手描きのラフスケッチなどから比率などを割り出して決めていくことになる。(クリックで拡大)





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▲サイズを調整した「穴」属性の黄色のシェイプの両方を選択し、「位置合わせ」をクリック。(クリックで拡大)



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▲こちらは左右方向の中心を合わせるために、赤丸のマーカーをクリックする。(クリックで拡大)



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▲空クリックをして、位置合わせモードを解除。(クリックで拡大)





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▲2個の「穴」属性のシェイプと黄色のシェイプをすべて選択し、「グループ化」をクリック。(クリックで拡大)



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▲すると、このように空洞化されたパーツが残ることになる。キャノピーを再び見える状態にするために赤丸の「すべてを表示」をクリックしておこう。(クリックで拡大)



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▲次は、テールライトをイメージした窪みをメインセクションの後端に作っていく。そのために、赤丸のところをクリックして真後ろ斜め上からのビューに切り替える。(クリックで拡大





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▲メインセクションの後端の面に作業平面をドラッグする。(クリックで拡大)



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▲そこに「円形屋根」のシェイプをドラッグ。(クリックで拡大)



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▲そのシェイプを90度回転させる。(クリックで拡大)





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▲続けて、縦と横のサイズを、それぞれ4ミリと68ミリに変更する。(クリックで拡大)



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▲さらに、高さを2ミリに変更し、細長い半円柱を作る。(クリックで拡大)



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▲調整したシェイプを、図の位置に移動する。そして、ビューを赤丸の斜め上からのものに切り替える。(クリックで拡大)





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▲細長い半円柱の属性を「穴」に変更する。(クリックで拡大)



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▲半円柱を180度回転させ、丸みがボディ側にくるようにしよう。(クリックで拡大)



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▲この半円柱をボディ後端に埋め込むため、作業平面をメインセクションの側面にドラッグしておく。(クリックで拡大)





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▲半円柱を前方に2ミリ移動して後端と面一にする。さらに、半円柱が見やすいように「ビューを選択項目に合わせる」をクリック。(クリックで拡大)



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▲「複製」をクリックして、半円柱をもう1個増やす。(クリックで拡大)



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▲複製された半円柱を下方向に移動し、間隔が2ミリになるように調整。(クリックで拡大)





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▲2個の「穴」属性の半円柱とメインセクションをすべて選択し、「グループ化」をクリック。(クリックで拡大)



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▲すると、メインセクションの後端に、テールライトをイメージした2つの溝が刻まれた。「ホームビュー」をクリックしてボディ全体が見えるようにしよう。(クリックで拡大)



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▲ボディの先端部分に、格納式のヘッドライトがポップアップしたことを想定したパーツを設けるために、図の斜面に対して作業平面をドラッグする。(クリックで拡大)





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▲そこに「屋根」のシェイプをドラッグ。(クリックで拡大)



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▲作業平面上で向きを90度回転させる。(クリックで拡大)



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▲さらに、屋根の底面だった面が上に来るように前方に向かって135度回転させよう。回転後、新たな屋根の底面と作業平面は密着しているように見えるが、実際には少し浮いた状態になっている。そこで一旦シェイプをカットし、再度ペーストすることで、作業平面に密着させておく。シェイプのカットは、アイコン操作では行えないが、キーボードショートカットを使えば可能になる。ちなみに、赤い四角で囲った2つのアイコンが、コピー(左)とペーストである。実際には、その2つの処理もキーボードショートカットで行える。(クリックで拡大)





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▲屋根の幅と奥行きを、どちらも10ミリに変更する。その後、「ビューを選択項目に合わせる」をクリック。(クリックで拡大)



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▲屋根が拡大されたところで、さらに高さを6ミリに低めておく。そして、ビューを斜め前上方からのものに切り替えるため、赤丸のところをクリック。(クリックで拡大)



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▲下になっているボディの先端部のパーツを選択し、「ビューを選択項目に合わせる」をクリック。(クリックで拡大)





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▲ヘッドライトのパーツを手前の縁の左端に移動する。(クリックで拡大)



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▲先端部の角から縦横それぞれ1ミリずつ離した位置に調整し、「複製」をクリック。(クリックで拡大)



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▲複製されたヘッドライトのパーツを右端に移動する。角からの距離は、左側と同様。そして「ホームビュー」をクリックして全体を表示する。(クリックで拡大)





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▲作業平面をデフォルト状態に戻し、シャーシデータとキャノピーを除くすべてのシェイプを合体させる。個々のパーツをシフトキーを押しながら連続クリックして選択状態にする方法もあるが、より簡単なのは、全体をカバーするようにマウスポインタを対角線状に動かし、一度全パーツを選択してから、VSシャーシとキャノピーをそれぞれシフトキー+クリックして、選択から外す方法だ。必要なシェイプが選択されたら「グループ化」をクリックして合体させ、適宜、カラーを変更しておく。(クリックで拡大)



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▲キャノピーを選択し、カラーを青に変更。(クリックで拡大)



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▲続く作業に備えてグリッド間隔を0.25ミリに変更した後、ボディの空洞を作るためのシャーシデータを呼び出すために「インポート」をクリックする。(クリックで拡大)





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▲目的のファイル名を選んでこのダイアログが表示されたら「インポート」をクリック。(クリックで拡大)



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▲空洞用のデータはVSシャーシのみのデータとはサイズが多少異なっているため、少し前寄りの位置に読み込まれるが、この後で調整する。(クリックで拡大)



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▲空洞用シェイプに「穴」の属性を設定する。(クリックで拡大)





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▲キーボードの右矢印キーを使って空洞用のシェイプを右に移動させていくと、2つの赤い矢印で示したローラー取り付け用の突起がVSシャーシのみのデータと重なるところがある。そこが空洞用シェイプの正しい位置となる。(クリックで拡大)



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▲先ほどグループ化されたボディと空洞用シェイプを両方とも選択し、「グループ化」をクリック。(クリックで拡大)



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▲すると、このようにシャーシ部分と干渉しないボディが得られる(外観のみならず内部的にも干渉箇所がない状態)。3Dデータとしてはこれで完成としてよいが、このまま樹脂溶解積層型の3Dプリンタなどで3Dプリントすると、空中に突き出た部分などを積層する際にサポート材が必要となり、出力後にその部分を除去しなくてはならない(キャノピーは、サポート材なしにそのままプリントできる)。そこで、サポート材を使わずに済むように、縦方向に90度回転させて立たせた状態で出力することを考え、それに合わせてリアウィングの一部に手を加えることにした。(クリックで拡大)





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▲そのためには、まずメインセクションの上面に作業平面をドラッグする。(クリックで拡大)



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▲そこに「屋根」のシェイプをドラッグする。(クリックで拡大)



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▲90度回転させ、立てた状態にする。(クリックで拡大)





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▲回転後の「屋根」のシェイプの底面は作業平面とずれてしまうので、一度カットし、再びペーストして密着させておこう。(クリックで拡大)



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▲シェイプを作業平面上で90度回転させる。(クリックで拡大)



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▲シェイプに「穴」属性を設定する。(クリックで拡大)





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▲ウィングと斜めの支柱の交わるところに、ちょうどシェイプの縁が来るように移動し、ビューを真上からのものに切り替える(真上から見た状態で微調整を行ってもよい)。(クリックで拡大)



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▲この状態で、シェイプの幅を41ミリ、奥行きを15ミリに設定する。(クリックで拡大)



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▲調整したシェイプとボディを共に選択し、「グループ化」をクリック。(クリックで拡大)





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▲ウィングの形状をこのようにすることで、立たせてプリントした際にもサポート材なしにすべての部分を積層していくことが可能となる。「ホームビュー」をクリックして側面の斜め上からも見てみよう。(クリックで拡大)



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▲これがサポート材なしで3Dプリントするための完成形となる。(クリックで拡大)



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▲3Dプリントの際には、キャノピーはそのままコピーして作業平面にペーストしてからSTLデータをエクスポートし、ボディのほうは90度回転させてからカット&ペーストで作業平面上に密着するようにし、同じくSTLデータをエクスポートすればよい。(クリックで拡大)





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▲完成したボディデータを3Dプリントし、ミニ四駆キットのステッカーを適宜貼ってみたところ。出力には、2色のフィラメントを使ってグラデーション印刷が可能なXYZ PrintingのDaVinci Jr.2.0 Mixを利用した。ヘッドライトのガラス部分とテールライトに相当するパーツは、別途造形して貼り付けている。余裕があれば、これまでに得た知識を活かして、それらを自分でモデリングしてみてもよいだろう。(クリックで拡大)



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▲(クリックで拡大)









ちなみに、筆者は今回の造形を現行MacBookの初代モデル(Proではない)上で行った。複雑な合成操作などがクラウド上で行われるため、クライアントデバイスの負担が少ないのもTinkerCADのメリットだ。

このWebアプリで3D CADの面白さや可能性に触れ、ステップアップの一助としていただければ幸いである。


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