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コラム

モバイルデザイン考 第108回 (2017年5月8日更新)
特別企画:TinkerCADで3D CAD事始め
第1回「TinkerCADとモノ作りデータ共有サイトThingiverseの概要」


今回からしばらく、本コラム欄で”3D CADの超入門記事”をお届けする。デザイナー予備軍の方もCADに乗り遅れたプロの方もぜひご一読ください。著者の大谷氏は自身でモデリングして3Dプリンタで造形したミニ四駆で競技に参加している。エントリーユーザーと同じ目線で語る、面白くて役に立つ超エントリー向け3D CAD短期連載をお楽しみください。

photo[プロフィール]

大谷和利
テクノロジーライター、原宿AssistOn(www.assiston.co.jp)アドバイザー、自称路上写真家。Macintosh専門誌、Photographica、AXIS、自転車生活などの誌上でコンピュータ、カメラ、写真、デザイン、自転車分野の文筆活動を行うかたわら、製品開発のコンサルティングも手がける。主な訳書に「Apple Design日本語版」(AXIS刊)、「スティーブ・ジョブズの再臨」(毎日コミュニケーションズ刊)など。講談社現代ビジネスブックより「成功する会社はなぜ「写真」を大事にするのか 一枚の写真が企業の運命を決める」、三省堂より「ICTことば辞典:250の重要キーワード」(共著)、宣伝会議より「ビジュアルシフト」(監修)が好評発売中

イラスト
▲TinkerCADによるモデリング例。(クリックで拡大)

●初めてCADに触るならTinkerCADがオススメ

さて、今回から数回に渡り、本コラムはいつもと趣向を変えて、3D CADの誌上入門講座的な記事を短期連載することになった。

ご紹介する3D CADは、オートデスクのWebアプリ「TinkerCAD」。同社の製品としては、今はハイエンド3D CADの「Fusion 360」が有名だが、ここでは、機能は限られるものの工夫次第で応用が効き、エントリーユーザーにも簡単に扱うことのできるTinkerCADをメインに記事を進める。初めての人も対象にしているため、本ツールで基礎知識を得て、もしそれ以上を望む場合に、Fusion 360へのステップアップを考えるほうが取り組みやすいと考えた。

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◀Fusion 360は多機能で、自由曲面を自在に扱うことができるため、粘土細工に喩えられる。しかし自由度が高い分、慣れないと形を思い通りにコントロールすることが難しくなるケースもある。(クリックで拡大)

第1回目は、まずTinkerCADの概要を説明し、併せて、動画共有のためのYouTubeのような役割を3Dデータ(のみではないが)について果たしているThingiverse(シンギバース)についても触れることにする。

Fusion 360とTinkerCADの違いを、単純化して説明するなら、前者は粘土細工、後者は積み木を思い浮かべると分かりやすいだろう。

積み木よりも粘土のほうが造形の自由度が高く、複雑な曲面から構成された形でも作ることができる反面、それなりの造形テクニックを身につけた上で、作りたい形をしっかりイメージできていないと、意図とは異なるものに仕上がってしまう。これに対して積み木は、作れるものがある程度限られるものの、基本となるユニットを組み合わせていけば、誰もが簡単に造形を楽しむことができる。

もちろん、TinkerCADでは基本となる立体のサイズを変更したり、単純な積み重ねではないオーバーラップや、ある立体から別の立体を引くような操作も可能なので、積み木という言葉から想像するよりも、はるかに凝った造形を行えるようになっている。

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◀TinkerCADは、立方体や球、円錐などの基本的な形を組み合わせることによって、積み木のように造形していく手法を採用。単純な形の組み合わせでも、スポーツカーのように躍動感のあるボディをデザイン可能だ。(クリックで拡大) photo ◀3Dプリンタで出力。(クリックで拡大)

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◀ギアボックスのような機能部品も、組み込むパーツの計測をしっかり行って数値を設計に反映させていけば、TinkerCADで作り上げることができる。(クリックで拡大) photo ◀(クリックで拡大)


ゼロから造形するのは労力がかかりすぎるような場合には、Thingiverseのような3Dデータ共有サービスからベースにできそうなデータをダウンロードし、それをTinkerCADにインポートしてアレンジすることも可能だ。

この連載では、そうした既存データのアレンジによって、造形時の負担を軽減する方法についても触れる予定だ。

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◀Thingiverseは、さまざまなジャンルの3Dプリントやレーザーカット用データが、世界中からアップロードされ、無料でダウンロードして利用できるサービス(チップ制度あり)。(クリックで拡大)

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◀筆者も、ロボティックボール・トイのスフィロ用のハロウィン向けコスチュームデータなどを作って共有している。(クリックで拡大)


では次回から、TinkerCADの操作方法を説明しながら、具体的な立体造形を行っていくのでお楽しみに。





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