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コラム

モバイルデザイン考 第106回 (2017年2月10日更新)
ミニ四駆をBluetooth制御する
「RCミニ四駆」レース


1月28日に、京都のMTRL KYOTOにおいて、Fabミニ四駆RCクラスの第1回レースが開催された。専用RC化キットにより、スマートフォンからの操縦テクニックで競うレースだ。

photo[プロフィール]

大谷和利
テクノロジーライター、原宿AssistOn(www.assiston.co.jp)アドバイザー、自称路上写真家。Macintosh専門誌、Photographica、AXIS、自転車生活などの誌上でコンピュータ、カメラ、写真、デザイン、自転車分野の文筆活動を行うかたわら、製品開発のコンサルティングも手がける。主な訳書に「Apple Design日本語版」(AXIS刊)、「スティーブ・ジョブズの再臨」(毎日コミュニケーションズ刊)など。講談社現代ビジネスブックより「成功する会社はなぜ「写真」を大事にするのか 一枚の写真が企業の運命を決める」、三省堂より「ICTことば辞典:250の重要キーワード」(共著)、宣伝会議より「ビジュアルシフト」(監修)が好評発売中

イラスト
▲ミニ四駆レースのビジュアル。(クリックで拡大)

●スマホで操縦するミニ四駆レース

このコラムでも折に触れて採り上げているFabミニ四駆の話題だが、去る1月28日に、京都のFab系施設MTRL KYOTOにおいて、その派生イベントであるFabミニ四駆RCクラス、通称RCミニ四駆の第1回レースが開催された。

これは、ミニ四駆のシャシーを専用のRC化キットにより、スマートフォンからのBluetooth制御を可能とし、ファブ+操縦テクニックで競うものだ(一定の基準を満たせば完全自作車両でも可)。

Fabミニ四駆では、コース攻略のためのアイデアやセッティング勝負で、スタート後はほぼクルマ任せだが、RCミニ四駆の場合のファブ要素は(少なくとも初回は)ボディデザイン中心となり、時間のない参加者はタミヤのキットボディでの参戦となった。

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◀工具メーカーのKTCや光硬化樹脂3Dプリンタの製造販売を行うformlabs、そしてAutodesk Fusion 360のスポンサードを受けたRCミニ四駆のワークショップとレースは、京都のFab拠点、MTRL KYOTOで行われた。(クリックで拡大) photo ◀会場の一角には、過去のFabミニ四駆カップの名物車両を含むFabレースカーの展示スペースが設けられた。(クリックで拡大)

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◀スポンサーやパートナー提供のボディデータをformlabsの3Dプリンタで出力したものをサポート材ごとマウントした優勝・入賞トロフィー。(クリックで拡大)


RC化キットは、ロボット開発などを行うPLEN PROJECTが、Bluetooth通信&リモコンコアユニットのbCore MXをベースに、3Dプリントされたステアリング機構などを組み合わせて実現。クラウドファンディングサービスのkibidangoを通じて資金を集め、製品化されたものだ。

ミニ四駆のサイズ感を活かすことが大前提なのでコンパクトさが重視され、左右のタイヤ間の距離であるトレッドがやや拡大するものの、ボディのデザインはステアリングモジュールの出っ張りをクリアさえできれば、自由に行える。

また、FacebookのFabミニ四駆カップ参加者向け情報共有グループページには、ボディ設計のためのシャシーデータも用意されている。

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◀一般的なミニ四駆のVSシャーシ(上)と、RC化のためのパーツを組み込んだものの比較。モーター上の基板がbCore MXモジュールで、ステアリング機構の装着後は後輪のみが駆動される。(クリックで拡大)

トレッド拡大により車幅も広がるため、今回の筆者の参加車両は、ワイド&ローのウェッジシェイプを基本として、ウィングや排気管など、子どもにも分かりやすいギミック的なディテールを付加してみた。

前回のFabミニ四駆カップでは、Fusion 360でデザインした車両も作ったのだが、今回は、より初心者向けのTinkerCADでも工夫すればこのようなデザインが可能になるというところを重視した。


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◀今回のレースのためにTinkerCADを使って筆者がデザインした「Fabmula-008」。ボール状になった前輪部分のデータは、RC化されたときのタイヤの可動範囲を示す。(クリックで拡大) photo ◀色の異なるパーツごとにフィラメントを変えて出力し、プラモデル的に組み立ててボディを作り上げた。私物の3Dプリンタの造形ベッドに収まるよう、赤い本体部分は前半、後半、ウィングに3分割して、出力後に合体されている。(クリックで拡大)

また、イベントの時点では間に合わなかったものの、ヘッドライトとテールライトの機能を実際に点灯・点滅するLEDによって再現している。レースそのものの役に立つわけではないが、展示の際のリアリティが増すディテールといえる。

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◀ヘッドライトとテールライトは、それぞれ白色、赤色に光るLEDで再現。bCore MXにはLED用の端子もあり、専用アプリから点灯・消灯が可能だが、今回は100円ショップの自転車ライトを分解して組み込み、マニュアル操作で複数の点灯・点滅パターンを選択する方式にしてみた。(クリックで拡大) photo ◀テールライト。(クリックで拡大)

他の参加車両も、常連の方々を中心に力作が揃い、どんどん見応えが増している印象だ。formlabsの3Dプリンタによる出力はさすがに美しいが、私物の3Dプリンタの手軽さも捨てがたく、今後もさまざまなアイデアを試してみる思いを強くした。

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◀Fabミニ四駆カップの第2回大会からレースでご一緒することの多い、The Maruta Worksの圓田さんのフォーミュラEを思わせる作品。(クリックで拡大) photo ◀クリエイティブデザインユニットt-o-f-uの西川さんによるレトロフューチャー的なレースカー。(クリックで拡大)

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◀オートデスクのFusion 360エバンジェリスト、藤村さんの曲面を駆使した参加車両。以上のお三方は、イベントのサポーター、スポンサーでもあり、それぞれの車両デザインが前出の優勝・入賞トロフィーにも使われている。(クリックで拡大) photo ◀3Dペンの3Doodlerの日本総代理店でもあるナカバヤシの田中さんによる手作りのワイヤーフレームボディ。見た目以上に柔軟で耐衝撃性があり、衝突しても壊れることはなかった。(クリックで拡大)

肝心のレースだが、実はRC化キットの正式リリースは3月で、今回使用したものはパブリックベータ的な意味合いも強かったため、ステアリングパーツの緩みなどで走行中にハンドル操作が効かなくなる症状が多発。そうしたハプニングも含めて、場内はレースごとに大爆笑となった。

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◀このように1レース3台ずつのトーナメント方式で競われたが、ステアリングパーツの精度の関係で迷走する車両が続出して場内大爆笑。筆者も1回戦の中盤まで独走するも、途中で転回不能となって敗退し、最終レースはミニ四駆のダイハツ・コペンキットのボディを載せた3台のワンメイクレース(?)となった。(クリックで拡大)


細かい日程は未定だが、2月には歴代車両を集めたFabミニ四駆モーターショー、3月にはRCミニ四駆の東京大会も予定されているので、興味のある方は前述の情報共有ページをチェックされたい。

筆者の車両(第2回Fabミニ四駆カップのマジFabクラス優勝車と今回のモデル)もモーターショーに展示され、RCミニ四駆の東京大会ではステアリング精度などを向上させたニューモデル(?)を投入する計画だ。

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