Part02
10/31「DMMデザイナーズセミナー」レポート
3Dプリンタを軸に、
秋葉原にモノ作りの”すべて”を集約した
DMM.make AKIBA Center
10月31日(金)、東京・秋葉原の富士ソフトアキバプラザ、プレゼンルームにおいて、「DMMデザイナーズセミナー」が開催された。これは2014年11月11日の「DMM.make AKIBA Center」のオープンに先行して行われたイベントで、満員の会場に集まったプロフェッショナルデザイナーたちは、DMM.makeのモノ作りへの意欲、本気度に圧倒される内容であった。
イベントは前半にセミナー、後半がDMM.make AKIBA Centerの見学会の2部構成で行われた。
●プロダクトデザインにとっての3Dプリンタ
14時からスタートしたセミナーは、まずDMM.comの3Dプリント事業部、岡本康広氏が登壇。「DMM.make 3D PRINTサービスのご紹介と3Dデータの重要性」というテーマで、DMMがこれから行おうとしているモノ作り事業の概要が語られた。
・3D PRINTサービスのベストパートナーへ(岡本康広氏)
まず、「DMM.make 3D PRINTサービス」だが、これはユーザーが手元のパソコンからDMM.makeのWebサイトにアクセスして、自分がモデリングした3Dデータをアップロード、その3DデータをDMM.makeが検証し、問題なければ各種3Dプリンタで出力後、宅配便などでモデルが送られてくるというシステムだ。利用できる素材は石膏フルカラー、アクリル樹脂(染色対応/高精細)、ホワイトアクリル、ナイロン(ポリアミ染色対応)、ABSライク、ゴムライク、チタン、シルバー、ゴールド、プラチナ、マルエージング鋼、インコイルなど。さらに法人向けに、各種ABSなどプラスチック素材を今後充実していく予定だという。
出力機も多彩で、CONNEX500、objet500、Projet3500HD、iPro8000、Fortus400mcなどが設置されている。また石川県加賀市のKAGA PRINT CENTERにはProjet660Pro、Projet3500CPX Max、EOSINT M280、EOSINT P110、EOSINT P750が導入され、3D PRINTサービスは主にこちらで対応するという。
DMM.makeでは、特にエントリー系ユーザーやアマチュアユーザーへの対応として「3Dデータのつくり方」のWebページを用意、さらにモデリングサービスを通して、ユーザーと3Dデータクリエイターをマッチングするクラウドソーシングも構想している。
3D PRINTサービスはもちろん法人向けにも展開。競合他社との差別化、優位性について岡本氏は、「1つ目は低価格。世の中にはいろいろなプリントサービスがありますが、DMM.makeは低価格設定になっています。価格に関してはご安心ください。2つ目は高品質。最新鋭の3Dプリンタを先行投資し、今後は出力物の表面を磨いて納品するこだわり仕上げサービスも検討しています。そして法人サービスに関しましては営業担当がつきます。この3つによって皆様のベストパートナーになれるのではないかと考えています」と述べた。
さらにDMM.comのWeb上で「クリエイターズマーケット」もスタート。これは3Dプリンタで造形可能な自作の作品を販売できるシステムで、オーダーが入れば、その都度出力してユーザーに届けるという、DMMらしいビジネスモデルとなっている。
・3Dプリンタだからできるデザイン、製品開発とは何か(西村拓紀氏)
▲西村拓紀デザイン株式会社の西村拓紀氏 |
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▲西村氏による3Dプリンタで出力したステーショナリー製品 |
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▲西村氏が製品作りのサポートを行った猫用のトイレスコップ |
次に西村拓紀デザイン株式会社の西村拓紀氏が登場。「DMM.makeを利用したビジネス展開」というテーマで、以前よりDMM.makeの3D PRINTサービスやクリエイターズマーケットを利用している西村氏ならではの説得力のある事例が語られた。
「以前よりDMM.makeさんで、3Dプリンタのサービスを使って、作品を作ったり、製品開発の際のプロトタイピングを作っていました。
3Dプリンタだからできるデザイン、製品開発とは何か。これまで金型でできる樹脂の形状が大前提でしたが、3Dプリンタでは、金型から解放されるのが大きなポイントです。花器シリーズは明らかに金型では作れない形状になっています。3Dプリンタによって外観のイメージの向上を果たしました。花器以外にもペンとカードホルダーの一体型文具を3Dプリンタで製作しています。
3Dプリンタのもう1つの特徴は。不均等肉厚が可能な点です。これも樹脂の射出成型では温度差などが生じてできない形状です。積層を利用した不均等肉厚を生かして、子供用のペットボトルのおもちゃなどを作りました」(西村氏)。
また西村氏は自身の作品をクリエイターズマーケットで販売している。
「クリエイターズマーケットも利用しています。自分で価格設定が行えるので、例えば5,000円で造形できる製品を8.000円で売っても20,000円で売ってもいいかまわないわけです。もちろん高すぎては売れませんが、従来のようにサプライヤーを通さずに商品を流通させられるのは素晴らしいことだと思います。
個人の思いが商品になる。いままで樹脂製品などは個人で作る発想はありませんでした。そもそも金型は非常に高額なイニシャルコストが掛かります。それが3Dプリンタによってオリジナルの立体プロダクトを自分で作ることが可能になりました」。
西村氏は、海外に住む日本人女性が、市販品によいモノがないということで、自分で考案した猫用のトイレスコップを作るサポートをした事例も紹介。これもDMMの3Dプリンタサービスを活用しており、詳細はDMM.makeの「知る」に西村氏が寄稿している。
・小規模のモノ作りの場合、試作の制作費が課題だった(磯野梨影氏)
▲PearDesignstudioの磯野梨影氏 |
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▲磯野氏による3D PRINTサービスを用いたケーススタディ「おりん」の試作モデル |
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最後に登壇したPearDesignstudioの磯野梨影氏は、「3Dプリンタを利用した作品とその利便性」をテーマに、モデリングを含めて、DMM.makeの3D PRINTサービスを利用したプロトタイプ作りの実例を紹介。
「クライアントが大企業であれば開発費は確保できるのですが、小規模のモノ作りの場合、プロトタイプ、試作をいかに制作するかという課題がありました。ロットもなく開発費も潤沢でないモノ作りでは、最終に近い試作品で確認するのはなかなか大変でした。
例えば最近、高岡にある仏具メーカー山口久乗の「おりん」という鈴の素晴らしい音色を、玄関のドアベルやインテリアなど普通の生活に取り入れるプロダクトを手がけています。
3D CADのレンダリングで設計やデザインを確認しても、ベルの部分とフレームの部分の干渉で音に”ビリ”が出るなど、音色の確認までできません。やはり試作モデルを組んで音を出してみないと分からないのですが、これまでモデル作成の費用に関して、クライアントさんは予算を組みづらかったのです。
そこで今回、一番新しい商品開発で3D PRINTサービスを用いたケーススタディを行いました。今回はIllustratorで描いたアイデアスケッチをDMMさんにお渡しして、3Dデータの作成からお願いしました。週末にスケッチをお渡ししたら、週明けには簡単なマテリアルを貼ったモデリングデータができ上がってきて、その確認後、3日目には出力モデルが到着と、非常にスムーズに進行できました。ちなみに今回の費用はモデリング料30,000円、出力料6,000円でした」(磯野氏)。
クライアントの負担にならないリーズナブルな価格でモデリング、出力が行え、しかも短期間で試作が作れるので、小規模なモノ作りには最適なソリューションといえるだろう。
●DMM.make AKIBA Centerの概要
セミナーの後半は、DMM.make AKIBA Centerの見学会。ここは「モノを作りたい人が必要とする、全てを。」をキャッチコピーに、11月11日にオープンする。
同センターは、
12階:BASE(シェアオフィス)
11階:HUB(各種3Dプリンタによる出力サービス)
10階:STUDIO(モノ作りの工房やスタジオ、町工場設備)
以上の3フロアーで構成されているが、まず最上階、12階のシェアオフィスから紹介しよう。
当日は残念ながら撮影が禁止だったため、写真での紹介はできないが、廃材を利用した通路やインテリアなど、クリエイターが落ち着いて仕事できる空間となっている。フリースペースは1ヶ月2万円(入会時4万円)で利用できる大部屋。ノートPCなどを持ち込んでの作業が可能だ。3人用~6人用の法人用ブースも用意され、3人用で月額12万円から利用できる。このブースは法人登録も可能だ。シェアオフィスは24時間利用可能で、利用者は10階、11階の設備も自由に使える(有料設備もある)。なおシェアオフィスの入会には審査がある。
11階は、前述した各種最新の3Dプリンタが並べられ、ここでユーザーから受注した出力サービスが行われている。出力物のサポート材を省いたり、仕上げ、梱包などの作業もここで行われている。
そして10階は、各種工具や加工機、切削機、解析機などが設置された、いわば「町工場」となっている。このフロアーでは、基板から白物までを試作することが可能だ。また100前後の小ロットの製品を作ることもできる。アパレル製品向けの設備や録音スタジオも用意されているので、まさに何でも作ることのできる場である。
以上、巨額な投資でクリエイターが活躍できる”器”を用意したDMM.make AKIBA Center。ここは、モノ作りがメーカー企業から個人にダウンサイジングされる象徴的なスペースといえるのかもしれない。
本来、モノ作りは、個人のアイデアから始まる。そのモノ作りの原点をサポートするために、AKIBA Centerが誕生したといっても過言ではないだろう。東京・秋葉原からモノ作りの新時代は切り開かれるのか? 新しいモノ作りの拠点として、DMM.make AKIBA Centerの展開が楽しみだ。
Part01
2014年10月31日に東京・秋葉原で
DMMデザイナーズセミナー開催
株式会社DMM.comの3Dプリント事業部では、2014年11月にオープンする東京・秋葉原の「DMM.make AKIBA」の記念イベントとして、デザイナー向けにDMM.makeによる3Dプリンタのサービスを紹介するセミナーを開催する。
来場者には、DMM.make AKIBAの先行内覧会および3Dプリントお試し造形サービスのプレゼントも用意されている。
●日時 10月31日(金) 14時〜17時(13時30分開場)
●会場 富士ソフトアキバプラザ プレゼンルーム
●講演者および内容
○西村拓紀/西村拓紀デザイン株式会社
「DMM.makeを利用したビジネス展開」
○磯野梨影/PearDesignstudio
「3Dプリンタを利用した作品とその利便性」
○岡本康広/DMM.com 3Dプリント事業部
「DMM.makeの新サービスのご案内」
●セミナーの詳細は下記URLまで。
https://media.dmm-make.com/item/2655/
※お申し込み受付は終了いたしました。
ありがとうございました。
○会場アクセス
http://www.fsi.co.jp/akibaplaza/cont/info/access.html
登録は、下記メールアドレスに、法人名、担当者名、連絡先メールアドレスを記載の上、送信。
(個人や学生の方はその旨を記載)。
●登録・問い合わせメールアドレス
make-seminar@dmm.com
※会場の収容人員には限りがありますので、参加ご希望の方は上記Webサイトより10月27日までに申し込みください。
定員になり次第締め切らせていただき、参加者にはメールにてご通知致します。
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